種芽吹く世界を戦争屋は駆る   作:ジャギィ

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別作品のキャラのやり取りを考えてる時が楽しいと気づいたジャギィです。マキオンでアルケーを使ってたら不意に思いついたので、急遽この作品を書き上げ投稿するに至りました

それではどうぞ


ㅤ歪みの始まり

L1のスペースコロニー「世界樹」

 

地球連合軍の月への橋頭堡といえる補給基地であり、宇宙における重要拠点の1つといえる軍事施設

 

今、その「世界樹」にて、2つの勢力による熾烈な攻防戦が繰り広げられていた

 

 

 

「世界樹」の周辺宙域で2つの人型が動く

 

それは巨大な人型のロボット…通称「MS(モビルスーツ)」と呼ばれる兵器であり、トサカ状の頭部にモノアイを揺らす青い機体は「ジン」と言うモビルスーツだ

 

そしてこれで戦場を駆る勢力が、人工的な遺伝子操作によって生まれた「コーディネイター」が集まって設立された「プラント」の勢力なのだ

 

『ラグナの機体反応が消えたのはこの宙域なんだろ?』

「気をつけろミハエル。卑劣なナチュラルどものことだ、何か卑怯な手でラグナを攻撃した可能性もある」

『分かってるって…ナチュラルめ!よくも、俺の家族だけじゃなくダチまで…!1人残らず八つ裂きにしてやる!!』

 

怒りに任せてコンソールに拳を叩き込むミハエル。そんな友の声を聞きながら、ヨハンは表面上は冷静でいながらも内心はマグマのような怒気を煮えたぎらせていた

 

「──ム?待てミハエル」

 

その時、コロニー内部のある一角から点滅する光の存在に気づいた。その地点をよく見てみると…

 

「あれは…大破したジンだと!」

『それに光通信…「チョウエンキョリソゲキアリ ジンヲチカヅケルナ」だとぉ?』

「もしやラグナかもしれん…十分に距離を置いてから降りるぞ!」

 

2人はコロニーに侵入する。大破したジンからかなり離れた場所にジンを着地させると、銃を持って目的地まで近づく

 

するとそこにはコックピットが半分抉れたボロボロのジン、その足元に、緑色のパイロットスーツを着た男がいた。そのパイロットスーツはコーディネイターの軍組織「ザフト」のものであり、同じくザフトのコーディネイターである2人の友軍であることを示していた

 

「おい!大丈夫かよ!?」

「お前ら…どうして、ここに…」

 

ヘルメット越しに息も絶え絶えな声が伝わる。男が手で押さえている右脇腹には赤いシミが広がっており、周辺にも血と思わしき赤い雫が浮かんでいる

 

「怪我をしているのか!?待っていろ、救援を…」

「やめろ…自分のことは自分で分かる…俺は、もう長く持たねえ……ゲホッ」

「な…!」

 

ヘルメットの中で赤いものを吐き出す男にヨハンは絶句する。目の前の同胞が死んでいくしかない姿に、ミハエルは下等なナチュラルに対して激昂する

 

「ナ、ナチュラルのクソ野郎どもが…!絶対許さねえ!!全員ブッ殺してやるッ!!」

 

怒髪天を突くと言わんばかりの様子を横で見ていたおかげでヨハンは冷静さを取り返す。冷静になったヨハンは、男に対してここに来た目的を告げる

 

「…そうだ。この宙域に我々以外のジンが現れなかったか?私たちはその救援に来たのだ」

「ジン…?ひょっとして…ラグナって…男か…?」

「知ってんのかよ!?どこで見た!?」

 

そう問いかけると、男は緩慢な動きで口を開き…

 

 

(やっこ)さん死んだよ」

 

 

重々しい雰囲気に全くそぐわない軽さでそう言った

 

「ハ?」

 

バァン!

 

直後、響き渡る銃声。音の発信源は男の右手に握られてある、隠し持っていた一丁の銃

 

「俺が殺した」

「───」

 

グラァ

 

「な…!?」

 

そして男が立ち上がるのと対照的に、心臓を撃ち抜かれ即死したミハエルは…目を見開いた表情のまま、仰向けに崩れ落ちた

 

「ミハエルゥ!!」

「御臨終だ」

「貴様ァ!!」

 

仲間を撃ち殺された。それを理解したヨハンは即座に男に向かって銃を撃つが、男はそれを予測していたように回避すると足払いをかけてヨハンを地に叩き伏せる

 

「くっ…」

 

バァン!

 

「ぐあ!」

 

うつ伏せに倒されたことで利き腕の動きを制限されたヨハン。それでも銃を左手に持ち替えて反撃を試みるも、持ち替えた瞬間に腕を踏みつけられて押さえられた上、左肩を銃弾が貫いたことで一矢報いることすらも封じられた

 

「へっ…」

 

男が着ているザフトのパイロットスーツは、よく見てみると血で汚れているだけで傷らしきものは1つもない。ミハエルを容易く殺し、ヨハンを簡単に拘束したことから、死にかけた様子自体が演技だったのだと想像できる

 

血を暗くしたような髪色がヘルメットの中から見えるその男…アリー・アル・サーシェスはそれぞれ離れた場所に鎮座するジンを見て口角を上げる

 

スッ…

 

するとサーシェスは足を退けてから銃を蹴飛ばす

 

「!」

「早く機体に乗ったらどうだ?これじゃ戦い甲斐がない」

 

なぜわざわざジンに乗るように促したのか、理由は全く分からなかったが、このままでは殺されるだけだと悟ったヨハンは感情を飲み込んで歩き始める

 

「いい子だ…」

 

ジンに搭乗したヨハンは左肩の痛みに耐えながらも機体を浮かす

 

「ミハエル…ラグナ…仇は討つ…!!」

 

そして湧き上がる怒りを吐露しながら、見逃したことを後悔させてやるとサーシェスを探し始め…

 

ピピピッ!

 

瞬間、アラートがコックピットに響く

 

「何!?」

『ハッハァ!!』

 

ギャリィン!

 

アラートが伝えてきた緊急事態は、先ほどまで同胞(ミハエル)が乗っていたジンが分厚い実体剣“重斬刀”を、ヨハンのジンめがけて振り下ろしてきたことだった

 

ヨハンが同じく重斬刀を手に攻撃を防ぎながらも、ミハエルのジンがこちらに攻撃してきた事実に困惑していた

 

「バカな!モビルスーツが独りでに動いて攻撃してくるなど…!」

 

そこまで口にしてヨハンは信じ難い結論に辿り着く

 

「動かしたというのか!?さっきの男が!」

『慣れねェとチト扱いづらいが…武装さえわかりゃあとは何とかなるってな!!』

 

元友軍機だったことから繋がる回線。サーシェスは“76mm重突撃機銃”で弾丸をばら撒きながら、ヨハンのジンに向かって接近する

 

「何故だ!?何故ナチュラルがモビルスーツを!」

『才能なんじゃねえのか!』

「そんなことが!!」

『同情するぜ、かわいそうになァ!』

 

ヨハンは機銃を回避しながら同じように機銃を撃つが、重斬刀でガードしつつサーシェスのジンは迫り来る

 

ヨハンは自分の荒れ狂う感情の波に頭がおかしくなりそうだった。今までナチュラルに向けられた感情といえば、あまりに激しい嫉妬や劣等感から生まれた「宇宙の化け物」という拒絶、『ナチュラルではコーディネイターに勝てない』事実から目を逸らした反応だけだった

 

こんな、こんな風にナチュラルであるはずの男にMSで弄ばれ、心の底から憐れまれるなど、とてもとてもヨハンには許容できるものではなかった

 

「私たちは…コーディネイターだ!!」

 

振り下ろされる重斬刀を防ぎながら“M69バルルス改”…いわゆるビーム兵器を撃ち込むも、ミハエルが乗っていた時よりも明らかに無駄のない洗練とした動きでその悉くを回避される

 

「この世界を変えるためにィ!!」

 

突撃してくるサーシェスを返り討ちにすべく重斬刀を突きつける

 

『御託はァ!!』

 

ギャギャギャ!

 

だが、サーシェスのジンは迫る重斬刀の剣先を、手に持った大剣で振り上げながら腹で受け流し

 

『たくさんなんだよォ!!』

 

ザン!

 

──その勢いを利用した斬り上げでヨハンのジンの右腕を斬り飛ばした

 

「こんな、ことがッ!?」

『逝っちまいなぁ!!』

 

すぐさま振り返ってバルルス改を敵モビルスーツのコックピットに向かって放つサーシェス。体勢を崩されたヨハンのジンがその攻撃に対応できるわけもなく…

 

ドォォォン…!

 

コックピットを穿たれたヨハンは最期の言葉を言う時間もなく全身を削り飛ばされ、ジンは爆散した

 

ジンだったものがコロニーの壁面を落下の衝撃で破壊する。残ったのは、右側のマニピュレーターに重斬刀を持たせた状態のまま、かすり傷1つ負うことなく宙に漂うジン一機のみ

 

『フハハハハハァ!!こいつァすげぇ!!凄すぎて戦争にならねえぜぇ!!』

 

徐々に崩壊していく「世界樹」のコロニーの中……戦争狂はコックピットの中で狂笑を上げるのだった

 

 

 

のちに『世界樹攻防戦』と歴史で語られる戦争

 

初の“ニュートロンジャマー”投入やプラントのパイロット“ラウ・ル・クルーゼ”の台頭で埋もれていくその裏側で

 

“戦争屋”アリー・アル・サーシェスが表舞台に静かに姿を現していくのであった

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