種芽吹く世界を戦争屋は駆る   作:ジャギィ

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モンハンとモンストしてたら遅くなりました!ゴメンナサイ!!

あとラクスの今後の扱いに困ってました。すごく困って、迷ってます


それぞれの思惑

先遣艦隊が壊滅した戦闘から数日…アークエンジェル艦内では、ある光景が日常に追加されていた

 

「はぁ…はぁ…はぁ…!」

 

長い鮮やかな赤髪を後ろで1つに纏めた少女が、動きやすいスポーティーな服装で廊下を走る。余程疲れているのか(はた)から見て分かるほど呼吸が激しく、全身からも凄い量の汗を流している

 

ガッ

 

その疲労は足元がおぼつかなくなるまでに至り、限界いっぱいまで走っていた脚が(もつ)れ、勢いよく転倒する

 

ドサ!

 

「あぐっ!?」

 

強かに全身を床に打ちつけた少女…フレイが痛みと苦しみで呻く

 

「ハッ、ハッ、ハッ…」

 

うつ伏せに倒れながらも、酸素を求める脳が肺を無理やり動かし、空気を吸って吐く度に意識が遠のく

 

こうしてずっと倒れていればどれだけ楽だろうか。ナチュラルの中では上位に位置する程度には容姿も頭脳も運動も優れていて、オマケに金持ちのお嬢様であるフレイにとって、自分が苦しくなるほど物事を打ち込んだことなどないのだ

 

逃げ出したい、投げ出したい。幾度となくそう思った考えを、憎しみで形作った決意で蓋をすることで抑え込む

 

「仇を……取るのよ……絶対に…ッ!!」

 

鬼の形相で立ち上がったフレイはフラフラとした足取りでありながらも、再び床を蹴って走り出した

 

「……フレイ……」

 

彼女を見守っていた、1人の男を置き去りにして

 

 

 

「第8艦隊視認確認!アークエンジェルとの合流に成功しました!」

 

ブリッジ内で歓喜の声が上がる

 

C.E.71年1月25日のヘリオポリス崩壊から2月12日…約3週間の航路の末、ようやくアークエンジェルは地球連合軍との合流を果たした

 

「ようやく辿り着いたわ…良かった」

「まさに肩の荷が下りた気分だな。ご苦労さん、艦長」

「あなたもね。それにみんなもよく着いてきてくれたわ。ありがとう」

 

ブリッジにいたマリューとムウが大きく息を吐きながら互いに労いの言葉をかける。普段きっちり締める時は締めるナタルも、この時は野暮なことを言うことはなかった

 

先日の先遣艦隊を犠牲に脱出した時はどうなることかと思ったが、ラクスの人質は想像以上に効果的だったらしく、あの後一切の追撃がないまま、アークエンジェルは平和な航路を進むことが出来た

 

「ン〜」と声を漏らしながら背筋を伸ばすムウは、しかし弛緩しきった態度を一気に引き締めて後ろを振り向く

 

「さてと、航路もひと段落ついたし…そろそろ聞き損ねていたことを聞かせてもらおうか、ゲイリー」

 

そこには、完全にシートに体を預けてリラックスし切っているゲイリー・ビアッジ大尉ことアリー・アル・サーシェスの姿があった

 

「何か聞きたいことがあるようだな、ムウさんよ」

(とぼ)けるな!数日前のアルスターのお嬢ちゃんがラクス・クラインに暴行を起こした翌日から、あの子はお前の指示で過酷なトレーニングを行っている!しかも出された兵士志願届けの希望先はMSパイロットだと…!?お前が何か吹き込んだんじゃないのか、ゲイリー!!」

 

マードック曰く、ビアッジ大尉の要望で鹵獲したジンを予備戦力として修理するように頼まれた、とのことだ。そしてその直後に提出されたフレイの志願兵届け。疑うなという方が無理な話だ

 

ムウの表情には普段の緩い雰囲気は存在せず、「エンデュミオンの鷹」というその異名の通り、鷹のように鋭い眼光でサーシェスを睨みつける

 

「もしそうだったとしてどうだってんだ?結局あの嬢ちゃんが決めたことだ、お前さんたちには何の関係もない事だと思うがな」

 

ガッ

 

それを聞いたムウはサーシェスの胸ぐらを掴み、顔を近づけて威圧するがサーシェスは何食わぬ顔だ

 

「本気で言ってるのか…!」

「オイオイ、どうしたんだ?いつも飄々としているお前さんらしい態度じゃないなぁ」

「うるせえぞこの野郎!!」

 

もはや今にも殴り掛かりそうなほど語気を荒らげるムウを、マリューが叱責して窘める

 

「やめなさいフラガ大尉!!…ビアッジ大尉も煽らないで」

「くっ…!」

「へいへい」

 

胸ぐらを掴まれても飄々とした態度を崩さないサーシェスを目の前に、ムウは悔しげに手を離す

 

「ビアッジ大尉……アルテミスの時もそうだけど、あなたが自分勝手に起こす行動には目が余ります。しばらく自室で待機してなさい」

「ラミアスさんよぉ、暴力沙汰を起こしたのは奴さん(ムウ)の方だぜ?謹慎にするならこいつの方だと思うがね」

「ビアッジ大尉」

 

マリューがサーシェスに再度通告する

 

「…分かりました。艦長の指示に従いますよ」

 

その様子を見ていたサーシェスはため息を吐きながら席を立つと、自分の部屋に向かって去っていった

 

プシュゥ

 

ドアが自動的に閉まる際の空気の漏れる音が、嫌なほどハッキリとブリッジに響く

 

「クソッ、白々しい奴だ。何が「艦長の指示に従います」だ!」

「フラガ大尉、気持ちは分かるけど落ち着いてちょうだい」

 

未だ感情を昂らせるムウを見て同情の視線を向けるブリッジのクルーたち。一方、そんな彼らとは違う意見を持つものが1人

 

「しかし、ビアッジ大尉の言い分にも一理あります。例え大尉の介入があったとしても最終的に決めたのはフレイ・アルスター自身です。ならば、そんな彼女の行動を止める権利が我々にはないものと考えます」

「バジルール少尉、あなた何を言っているの!」

「艦長、我々はすでにキラ・ヤマトを含めた戦争に無関係な人間を大勢巻き込んでいます。しかもラクス・クラインを人質として利用もしてます。今更「民間人を戦争に巻き込むことはできない」というセリフを言うのは些か卑怯なのではないですか?」

「それは…」

 

思わず黙り込んでしまうマリュー

 

ラクスをブリッジに連れてきたのはフレイで、その作戦を強行したのはナタルだ。しかし副官の独断を止められなかったのは艦長の責任でもあり、何より彼女の判断がなければ、今頃自分たちは宇宙(そら)の藻屑となっていただろう

 

ナタルだけを責めることなどマリューにはできなかった。心優しく、それゆえに甘いマリューには

 

「我々の目的はプラントに勝つことです。その為にもアークエンジェルとストライクを何としても地球軍に届ける必要があります…例え、ボロボロの状態であったとしても」

 

 

 

一方、ザフト陣営の方では、別行動をとっていたヴェサリウスとガモフが合流を終えていた

 

「足付きがラクス・クラインを人質に取っただとォ!?」

 

そしてヴェサリウスのパイロット控え室で、イザークが驚愕の声を上げる。そばに居るニコルも驚きを隠せない表情をしていた

 

ラクスを人質にした…その情報を伝えたアスランは神妙な顔つきで答える

 

「そうだ。奴らは前回の戦闘の際、不利になった途端にこちらにラクスがいることを伝えてきた。偶然ラクスの救命ポッドを拾ったと言っていたが、ユニウスセブンの残骸跡では明らかな戦闘の痕跡と破壊されたジンを発見した…嘘の可能性も十分ありえる」

「クソッ!ナチュラル共め!人質を取るなど卑怯な真似をしおってェ!!」

 

ドゴン!

 

パイロットスーツを仕舞うロッカーの扉が大きく凹むほど、イザークは怒りを込めて拳を叩き込む

 

元来、イザークはとても真面目で卑劣な事が許せない熱血漢だ。それゆえにすぐ頭に血が上るわけだが、それだけ民間人であるラクスを人質にしたナチュラルが許せなかった

 

「貴様も貴様だアスラン!!自分の女がナチュラルに拐われたというのに何故そうも冷静でいられる!?」

「イザーク、言い過ぎです!」

 

イザークはラクスの歌のファンでもある。アスランの事を…ラクス・クラインの婚約者であるアスランの、彼女に対するどこか煮え切らない態度はとてつもなく気に食わないのだが、同時にザフトの士官学校で次席の自分を抑えて主席で卒業したアスランの実力を認めてもいる

 

だからこそ、婚約者を地球軍に奪われても澄ました顔をしているアスランの姿がイザークの怒りの感情を強く刺激していた

 

「なんとか言ってみ──」

 

ガッ!

 

だが…そんなイザークの問い掛けは、どれだけ冷静さを装っても激情が滲み出るアスランに胸ぐらを掴まれた事で中断される

 

ギリギリギリ…

 

「言葉には気をつけろイザーク…」

「うっ…!」

 

今まで見た事がないほど憤怒に満ち溢れているその様子に、普段なら何か言い返すだろうイザークも思わずたじろぐ

 

徐々に強く締め上げられ、気道が締まりそうなところでアスランはパッと手を離す

 

「ゲホッ、ゲホッ」

「大丈夫ですかイザーク?しかし、今のはあなたにも…」

「分かっている!…ゲホッ!」

「…すまない。俺も冷静ではなかったみたいだ」

 

暴行を振るってしまったことを謝罪するアスラン

 

申し訳なさそうにする優男に少し安心感を抱いたイザークは「余計な心配はするなッ」と強気に言い切ってみせる。彼なりにアスランを気遣っているのだ

 

「それで、一体どうする気だ?足付きは低軌道上の地球軍の大艦隊と合流寸前だと聞いた」

「このままでは確実にプラントに対する強力な交渉カードとして利用…いえ、それ以上のことに巻き込まれる可能性も高いです。どうするつもりですかアスラン?」

「それに関しては考えがある。クルーゼ隊長から聞いた情報では、足付きが合流したのは知将ハルバートン提督が率いる第8艦隊らしい」

 

アスランは非難されることも承知の上で、自分の考えを2人に告げる

 

「交渉してラクスを引き渡してもらう」

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