憑依先がありえない!   作:石ノ心

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正直最近この作品のあらすじ見てて、「あれ、コレあらすじ詐欺じゃね?」とか思い始めました。

だってミルたんが最強目指してるというより既に最強の領域入っちゃってるし!
目指してるって言ってる割に頑張ってるのイッセーら原作主人公組ですしおすし…。


でも変えない。めんど……もといその方が面白そうだから!!


って事で第十一話、どうぞ!!


第十一話 特訓

ライザーとその眷属にレーティングゲームで勝つための強化合宿。

正直言って逃げたい。超逃げたい。…でも部長があんなやつと結婚するのだけは認められない。部長のためならなんだってできる!!

 

 

 

 

 

―――――そんな風に考えていた時期が俺にもありました。

 

 

 

 

 

昨日の特訓で何もかもぶっ飛んだ。なんだよアレ、拷問飛び越えて地獄じゃねえか!?

 

 

始まりはいくら倍加して攻撃しても無傷な無敵装甲の戦車と超遠距離から延々と射撃してくる無数の兵隊。

次に無情にも大量に降ってくる殲滅兵器。

追加で色んな場所から現れる様々な正義のスーパーロボット(ただし敵)。

終わりは地球破壊爆弾を抱えた常に3ミリメートルホバリングしてる猫型ロボット。

 

 

テレビの画面の中では色々と楽しませてくれたけど、敵対したら話は別だ。あんな兵器絶対人に向けるもんじゃねえよ!必死に逃げながらたまに攻撃してみたけどどいつもこいつも戦車と同じで傷一つつきやしない。というか殲滅兵器も結構直撃してたのに無傷ってどれだけ固いんだ…?

 

疑問に思ってミルたんに聞いてみたら、全部『ミルタニュウム合金』とやらで作られた装甲を使ってるらしい。地球破壊爆弾でも傷一つつかなくて太陽に突っ込んでも溶けたりしない、後何故か羽のように軽いとか。ついでに細菌とか放射物質は完全に遮断できるらしい。それに加えて全機能太陽光エネルギーで動かしてるから超エコだとかなんとか……ねーよ!そんな夢の合金あってたまるか!!

太陽に直に突っ込んでも溶けねえ合金なのにどうやって装甲にしたんだ!それに太陽光で動こうが地球ごとふっ飛ばしちまうようなロボがエコとかありえないだろ!!

 

 

とまあ、いつもの如くツッコミどころ満載だがツッコんでたらキリが無いからとりあえず置いといて。

ミルたんの出したこの特訓の課題は「とにかく生きのびる事」だった。

 

最初俺は敵をひたすら攻撃して倒し、試験終了時間までに終わらせる事だと勘違いしてた。で、攻撃しても傷一つつけられない事に絶望した。「あ、コレ終わらねー、詰んだ」って感じに。

普通に考えたら分かったはずなんだ。例えば宇宙戦艦。悪魔になったとはいえ上手く飛べない俺がどうしたら無敵の合金で造られたそんな巨大なものを撃ち落とせるのか?答えは小学生にだってわかるくらい簡単だ。

 

 

 

 

 

 

――――そんなの無理。バカジャネーノ?

 

 

 

 

 

 

ミルたんみたいに教会を粉々にしても勢いの衰えない拳圧を撃ち出せるとか、石を投げて国を落とせるとか。そんな次元の技を一つも持ってない俺にできるわけがないだろ?というかそもそも地球ぶっ壊せるレベルの攻撃とか無茶振り過ぎるぜ!!

で、そんな事は当然ミルたんも知っている。って事は倒すんじゃなく、時間いっぱい逃げまくるってのが正解ってわけだ。情けないけど仕方ない。

 

 

今までの難易度Easyの特訓は、ある程度の身のこなしを体に覚え込ませる事と赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)の力を使いこなすために只管に体を鍛える事に重点を置いてた(らしい)。

今度の修行は、「足りない物を自覚させながら体を鍛える」って意味があったんだろうと勝手に思ってる。つまり、今の俺に必要なのは……強敵を相手にした時の逃走技術とどんな装甲でも貫ける必殺技…で合ってるのか?自信ねえ。

 

 

あ、そうそう。今回の特訓の成果って言うのか、新しく赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)の力が発現して、その後神器の中に封じ込まれたっていう赤い龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)のドライグと話せるようになった。俺の「なにがなんでも生きのびる」っていう生存本能が呼び起こした結果らしい。

……ミルたんがこれを狙って今回の特訓をさせたなら怖いな…ありそうで困る。

 

新しく発現した能力の名前は『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』。溜めた倍加の力を別の物に譲渡する力……らしい。

らしいってのは実際に使ったことがまだないからだ。

状況が状況だけに全く使えなかったからな!流石に敵の兵器の威力倍加させるわけにもいかなかった。地球破壊爆弾に譲渡して威力を何十倍にもしたらミルタニュウム合金の装甲壊せるかもとか考えたけど、それだと自分まで塵になっちまうし。俺が最終的に生き残れたのって戦車強奪したからだしな。

 

 

最初から戦車奪えばよかっただろとか言うなよ?10秒以上俺があの中にいたら自動的に転移させられてチャージ完了した戦艦の主砲10m手前に放り出されるんだから…さすがにもう駄目かと思った。どうやって生き延びたかさっぱり覚えてねえけどな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、まあなんやかんやで生き残れたわけなんだが。

 

 

 

 「なんで俺達いきなり拉致られてんだろう、アーシア」

 

 

 「ミルたん先生ですからきっと何か考えがあるんですよイッセーさん」

 

 

そう、俺たちは気づいたら何故かミルたんにより両脇に抱えられて拉致されていた。…まあ、多分強化合宿に向かうんだろうけどさ。

 

 

でも、考えてみて欲しい。

ミルたんの特訓によりボロボロになり、特訓の疲れからかミルたんの悪夢にうなされ、早朝に起こされて悪夢から解放されたと思えば眼前にミルたんの顔がどアップ。誰か悲鳴を上げなかった俺を褒めてくれ。

というかこんな朝早くから出発するってのは聞いてないぞ。事前に言っててほしかった……そうすればちゃんと目覚ましかけといたのに…。

こんな寿命が縮まるどころか吹っ飛びそうな起こされかたしなくて済んだのに……!

 

 

 

 

……そういえば俺合宿どこでやるか聞いてないぞ。どこ向かってるんだコレ?

 

 

 「あのー、ミルたん先生。私、どこかの山の中で合宿するってお聞きしたんですけど…。どこの山にいくんでしょうか?」

 

 

 「ん?俺が用意したEXTRAステージ的な山」

 

 

 

アーシアのタイミングのいい質問に、修行にはもってこいなんだと答えながら笑うミルたん。

それって本当に山なのか…?ミルたんが修行のために用意した山って……RPGの裏ボスが雑魚扱いできるようなモンスターうようよしてるとかありそうで怖い。

 

 

 

 

 

しばらくしてミルたんの動きが止まり、俺たちの体は地面に放り出された。

 

 

 「ほら、着いたぞ。まずはそこの小屋でジャージに着替えてこい。

他のメンバーは先に集めておいたからもう準備も終わってるだろ。

右の扉が男で左扉が女だ。お前らの荷物は後で持ってきてやるから安心しろ。

……20分後から早朝訓練始めるぞ」

 

 

ミルたんに言われた通りアーシアは早速小屋に入っていったが、俺はその前に周りを見渡してみる。

 

想像してたよりもずっと普通だ。木が伐採されていて大きく開けている広場に、穏やかに水の流れる川。周りは鬱蒼とした森林になってるけど、特に変わった事は無い。正直拍子抜けした。

 

 

 

 『気を抜くなよ。二天龍の俺を軽くあしらう様な男だ。何があってもおかしくはない。………まあ、十分すぎる程分かっているようだが』

 

 

左手の甲が緑に光り、ドライグの声が発せられる。

ああ、そういやドライグと初めて夢の中で合った時、ミルたんが乱入してきてドライグをぶっ飛ばしたんだったっけ?最初はなんか大事な夢かと思ってたけど、ミルたんが出てきたあたりから「なんだ、いつもの夢か」って感じで流してたんだよな。

あれ一応神器の中のドライグが目覚めたって証だったらしいけど、流石はミルたん。

よく分からない内に流れを全部持って行きやがった。

 

 

にしても、三大勢力まとめて相手にした二天龍を圧倒できるって……いやそもそもなんであの人俺の精神世界まで入って来れるんだ。プライバシー権を主張したい!!

 

 「そりゃ分かるぜドライグ。昨日の特訓思い出してみろよ、逃げまくってとりあえず安全地帯に踏み込んだと思えば地雷原だぞ?どこにいたって安心なんかできねえよ!」

 

 

 『ククッ、違いない』

 

 

ショックカノンはマジでシャレになってなかったからな…。

さて、ドライグの同意も得られたことだし俺も着替えるか。下手に遅れたら何されるか分かったもんじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早朝訓練は飛ばす。昨日に比べたらストレッチみたいなもんだ。

筋肉痛はアーシアが完璧に治してくれるからない。アーシアがいなかったらこの眷属、今頃筋肉痛で家で魘されてたに違いない。

正直崇めたいレベルだけどそんなことしたら悪魔の俺達は大ダメージ。それに嫌がられるから感謝するだけにしとこう。

 

 

 「さーて、記念すべき一日目なわけだが……。悪いが今日は自主練だ。俺は本格的に鍛えるための準備がまだ終わってないから、そっちを今日中に終わらせて明日から参加することになる。とりあえず課題として互いの力を把握しとけ。以上だ」

 

 

これが全員の準備が完了して待機してた俺達にかけられたミルたんの言葉。

 

予想外だ、最初からクライマックスで地獄が押し寄せてくるかと思ってたのに。まあ確かに昨日の今日で急から準備ができてないってのは分かるけどさ。

高速で動くミルたんが一日もかける特訓ってどんなのだろうな……。

 

あの特訓より上って何が来るのか想像もつかない。

地球破壊爆弾なんて出てきたら次は銀河破壊か?

ミルたんならホントにできそうで怖いなあ……。

 

 

戦々恐々としてる俺達に背を向け、ミルたんはどこかへ消えて行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 「……さて、まずは生きて再会できたことを喜ぼうかしら。皆がどんな特訓をしてたかは分からないけれど、昨日はホントにお疲れ様。明日からはもっとキツイらしいから覚悟を決めなさい」

 

 

 「……気を引き締めろじゃなくて覚悟を決めろって言う時点で間違えてる気がします」

 

 

 「ミルたん先生ですから仕方ないですわ」

 

 

ですよね。ミルたんだから仕方ないですよね。……うん、もう常識は戻ってこないのか。

 

 

『諦めろ、ヤツにはそもそも常識なんてないだろう』

 

 

いや、あの人は常識を知りながらあえて無視する最悪のパターンだと俺は思う。

 

 

『周りに合わせる気は……ないだろうな。あったらそもそもお前の精神世界に入り込んだりしない』

 

あったら体育の授業で運動場にクレーター作ったりしねーよ。あと魔法少女紛いのナニカを連れてきたりもしない!ついでに他人を魔法少女化なんてさせたりしない!!

 

 

 「まあ、とりあえずお互いの能力の確認を…イッセーやアーシアには魔力の使い方も教えなきゃいけないわね。ミルたん先生はそういった異能の力は使えないって言ってたし、まだ知らないでしょう?」

 

 

 「はい……。でも、私頑張ります!イッセーさんと一緒に戦えるように!!」

 

 

部長の問いに元気よく答えるアーシア。回復役とはいえ身を守る力がいるってミルたんが前アーシアに言ってたな。まだ基礎訓練……ちょっとした体力作りしかしないって言ってたけど、魔法があればアーシアも自分で自分を守れるかもしれない。

ぜひ頑張ってほしい。というか真顔でそういう宣言されるのって何か恥ずかしい。

 

「ええ、頑張ってちょうだい。じゃあ始めるわ。あまり森の中に入って迷ってもいけないし、そもそもこの山自体がミルたん先生が用意した物で何があるか分からないから広場の中でやりましょう」

 

 

部長の一声で特訓が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――まずは、木場と木刀での打ち合い。ちなみに赤龍帝の籠手は使用禁止。

 

 

 「よっ、はっ、せい!!」

 

 「うわっと、危ねッ!」

 

 「視野を広げて相手と周囲を見る…って言わなくても大丈夫そうだね、ソレ!」

 

 「助言はありがたく貰っとく!強くなりたいからなッと!」

 

 

打ち合いというか、木場が縦横無尽に木刀を振って俺がそれを避けるか防ぐかするだけ。たまに木刀を突き出して反撃してみるけど全部防がれて弾かれちまう。

 

『兵士』の俺が剣の腕で『騎士』であるコイツに敵うはずがない。

『騎士』の駒の特性であるスピードを除いても俺に木場みたいな剣の才能は無いし、そもそも剣を使って戦った経験が無い。剣術の心得なんて何一つなくて、俺が剣を振り回してもそれはただのチャンバラ。当たるわけがない。

俺的には木刀を叩き落とされないだけマシな気がする。とりあえず俺にできるのは只管避けて隙を突くことだけ。

隙なんて実際にはほとんどないから実質避けてるだけだけどな!

 

 

 「避けるのがうまいね!イッセー君!」

 

 「ッたりまえだあ!昨日の特訓に比べりゃこの程度屁でもねえ!」

 

 「これならもうちょっとスピード上げても大丈夫かな!」

 

 「上等ォ!!バンバンきやがれ!!」

 

 

このあとソッコーで背後取られて脳天に一撃貰いました、まる。

 

でもあんまり痛くないなって言うと驚かれた。木場は本気とは言わないまでも割と強く打ちこんでたらしい。

 

木場のヤツやたら速かったな……ミルたんほどじゃないけど。

 

 

 

 

 

――――次に、朱乃さんによる魔力講座。

 

 

 「魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集めるのです。そう、意識を集中させて魔力の流れを感じるのです」

 

 

 「オーラとかさっぱり分からねえ……」

 

 「やった、できました!!」

 

 

とりあえず手のひらから魔力出して集めてみろってのが課題だ。

……分かってはいたけど俺の魔力は赤子以下。つまり魔法の才能は皆無。

いくら頑張っても集中しても出てくる魔力は米粒サイズで、とてもだが実戦で使えるレベルじゃあない。

 

対してアーシアはあっという間にコツをつかんでソフトボールサイズの魔力を集めた。

アーシアは才能あるっぽいな、羨ましい。

 

 「アーシアちゃんは次のステップに行きましょうか。

魔力はイメージで形や性質を変化させることができます。得意なものやいつもイメージしてるようなものならば簡単に具現化できますよ。私なら雷ですね。

今回は初心者用ということで実際にある物の形を変えてみましょうか」

 

 

こんなふうに、と言いながら朱乃さんは用意したペットボトルの中の水に魔力を送り棘に変え、ペットボトルを貫通させた。

 

イメージしたとおりに使えるってとんでもないな、オイ!実物見てすげえそう思う。

そして余計にミルたんにコレが使えないのは大正解だって思った。物理だけで既に最強なミルたんにこんな危険物なんか与えてみろ、その日が黙示録(せかいのおわり)だ。

 

しっかし、俺が使えそうなのは……得意なものとか全く分からないし。

いつも想像…というより妄想?してるものならたくさんあるけど。

……もしかしたら意外と使えるかもしれない。後で聞いてみよう。

 

それより先に、これが始まって割と最初の方から聞きたいことがあったんだ。

 

 

 「朱乃さん、質問良いですか?」

 

 「なんですか、イッセー君?」

 

 「体全体を覆うオーラが魔力みたいなこと言ってましたけど、ミルたんが発光してる時のオーラも魔力なんですか?」

 

 「謎エネルギーですわ」

 

 「え、ちょ「謎エネルギーですわ」……ハイ」

 

即答された。しかももう少し深く聞こうと思ったら遮られた。

朱乃さん…というか悪魔全員ミルたんの事はさっぱりらしい。

結局アレは何なんだろうな。

 

 

 『バケモノだろう』

 

 

それはオーラの話じゃなくてミルたん本人だ。

 

 

 

――――続けて、小猫ちゃんとの組み手。これまた赤龍帝の籠手は使用禁止。

 

 

 

 「……えいっ」

 

 「怖ッ!!」

 

小猫ちゃんの拳が打ち出されるたびに見えない衝撃波が俺を襲う!!

避けた後俺がさっきまで立ってた方を見ると、真後ろにあった木2,3本がバキッと音を立てて折れて倒れるのが見えた。さ、流石は『戦車』…すげえパワーだ。

 

ミルたんの拳圧飛ばしを習得してるとかなんなのこの子!?

本物より威力は無いとは言え、あんなデカい木を数本たたき折るとか拳銃なんかよりはるかに威力高いよな!…ってかこれ組み手じゃなくてシューティングゲームじゃね?

俺が的で小猫ちゃんの拳が銃の。

 

 

 

 「……惜しいです、後0.5秒早ければ」

 

 「なんでそんなに殺す気満々なのかなぁ小猫ちゃん!?」

 

 「打撃は体の中心線を狙って、的確かつ抉り込むように…打つべし、打つべし!」

 

 「聞けよ!ってかキャラ違うよな!?」

 

 「…先輩は黙って特訓の憂さ晴らしになっててください」

 

 「酷ぇ!八つ当たりか!!」

 

 

こんなの当たれば死ぬわ!どんな特訓してたんだよ小猫ちゃん!

俺よりヤバかったんじゃねえの!?……あれよりヤバいのってなんだろうな。

明日からは俺もソレ受けなきゃなんないのか、気が遠くなってきた。

 

 『気を抜いてる暇があるのか?そら、次が来るぞ』

 

 「……せい」

 

 「ひでぶッ!?」

 

 『ハア、言わんこっちゃない……』

 

 

 

雑念が混じって顔面に鋭い一撃を貰っちまった。

 

 

おかしいな?何故か死なない。でも、意し…きは…と…お………く………

 

 

 

 

 

――――最後に、部長との基礎体力作り

 

 

 

気絶してたんじゃなかったかって?残念、もう一発鳩尾に貰って蘇ったぜ!鬼か!?悪魔だ!!

 

 

 

で、体力作りで走りこみしてるんだけど…

 

 

 「足腰が思ったよりしっかりしてきてるわね。息もあんまり上がってないし…もう少し岩を重くしてみようかしら」

 

 

 「これよりデカイのなかったと思います、部長!」

 

 

 「大丈夫よ、何故かさっき増えてたから」

 

 

 「……ミルたんェ」

 

 

巨大な岩を体に括り付けてひたすら走ってる。やたら広い広場をぐるぐると走り回る。

なんで都合良く大小様々な岩がゴロゴロと広場に転がり込んできたとかそもそもどこから岩が出てきたとかツッコんじゃいけない。どうせミルたんの仕業だ。

準備するって言いながら何してんだあの人。削岩?

 

 

 

でもそんな無茶苦茶な人のおかげで走る事にかけてはタフになった自信がある!

なんたって特訓で逃げ続けてたからな!色んなものから!!

 

――――逃げるしかなかったって分かってても結構へこむなあ……

俺達よりよっぽどミルたんの方が悪魔な気がしてきた。

 

 

 「じゃあ、次は腕立て…1000回いってみましょうか」

 

 「うっす!」

 

 

ミルたん程じゃないけど、部長も鬼だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕方になり今日は一旦切り上げて夕食にしようという部長の一言で小屋に戻る事に。………いつの間にかミルたんが帰ってきてた。

 

 

 「お帰りなさい、ミルたん先生!!準備終わりましたか?」

 

 「ただいま。終わった終わった。もう準備万端だ。明日からが楽しみになる位に」

 

ミルたんの笑顔に俺達(アーシア除く)の口元が引き攣る。

分かってた事とはいえ明日からまた地獄が始まっちまうのか…。

 

 

 「とはいえ今日はもう飯だろ?食いながら今日がどんな感じだったか教えてもらおうか」

 

 

 「質問良いですか?ミルたん先生」

 

 「なんだ木場?解体場はあっちにあるぞ」

 

 「なんでそんな物騒なものが!?…じゃなくて。夕食ってどうするんですか?特訓してたからそんなもの用意してませんし。昼食は持ってきてもらった弁当がありましたけど」

 

確かに…。言われてみれば飯が無い。

魚を釣ろうにも川がどこにあるか分からない、獣を狩って肉を得るにもどんな化け物が出るか分からない。

そもそもここがどこの山かすら分からない。分からない事尽くしであのミルたんが用意した山を散策しようなんて無謀だ。

下手に動けば迷子になって戻って来れなく可能性だってあるしな。

 

 「飯なら今日は俺が用意しておいた。もう準備できてるから大丈夫だ」

 

ナイスミルたん!!確かに結構いいにおいが漂ってきてる。

ミルたんて料理できたのか…意外だ。

 

 「そうですか、分かりました。……あれ?今日()?」

 

 「ああ、明日からは特訓の一環としてお前らに獲りに行かせるぞ?あ、アーシアは別で特訓な。火の準備なんかを魔力でやってもらう」

 

 「「「「「―――――え?」」」」」

 

飯の準備?俺達が獲ってくる?特訓の一環?……いや、まだ希望はある!この周辺が化け物の巣窟と決まったわけじゃねえ。

きっとただの野犬とか猪とか熊にちがいない。魚だって普通にとれるはずだ。

特訓ってのはきっと俺達のサバイバル技術を上げるためのものに違いない!!

 

 

 「ここらへんは普通の獣は出てこない。最低でもランクAの強者ぞろいだ。山頂周辺になるとSSもうようよいる。たまに邪悪な生物『ダークリーチャー』もでるし、エンカウント率はそこそこ高いぞ。

そこの川は飲み水としては使えるけど何故か魚はいない。川を下ったところにある湖にはたくさんいるが、ブラックバスを釣り上げようと思ったらリヴァイアサンだったとかよくある話だから気をつけろ」

 

 

希望なんてなかったんや。

 

 

―――む、無茶苦茶だ!!ランクAとかSSとかいまいち分かんねえけど部長たちの顔見る限り相当ヤバいってのは分かる

それにリヴァイアサンってのは俺でも知ってるぞ!…ゲームだけど。それでも強いモンスター筆頭じゃねえか!!

 

 

 

 「……美味しいんですか?」

 

 「小猫ちゃん聞くとこそこじゃない!!」

 

 

イヤ確かにそこも気になるけど!もっと大事なことがあるだろ!

 

 

 「リヴァイアサンって…レヴィアタン様の事よね?食べられたのね…」

 

 「私も初めて知りましたわ……」

 

 「リヴァイアサンは聖書に出てくる怪物の事ですよね?ビックリです」

 

 「部長!?朱乃さんまで!アーシアは平常運転だけど、そこでもないです!」

 

 

なんでだよ、なんでみんなしてこんなズレてんだよ!!

ってか部長のは絶対間違ってる!絶対食べちゃダメだろその人!

多分ここ異世界だから細長い龍みたいなリヴァイアサンの方です!

ホラ、木場も苦笑いしてる場合じゃねえぞ、ズバッと言ってやってくれ!!

 

 

 「ミルたん先生、いくらなんでも誰もリヴァイアサンとブラックバスを間違えたりなんてしませんよ」

 

 

違ぁぁぁぁぁぁぁぁう!!!

畜生!!ブルータス…じゃねえ木場、お前もか!!

 

 

 

……ったく何だよ、まともなの俺だけかよ。仕方ない、こうなったら常識人の俺が聞くしかない。

 

 

 

 

 「―――『ダークリーチャー』って、なんですか?」

 

 「僕、今「お前が言うな」って幻聴が聞こえたよ…」

 

 

失礼な。

 

 

 

 

 

 

夕食を食べてる間に今日の特訓でそれぞれの能力についてどんな印象を受けたかを話し合い(飯はスゲー美味かった、解せぬ)、風呂ではミルたんの鋼の肉体にビビりと一日目は割と平和に過ぎて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜が明け、二日目の朝。

 

 

 

 

――――後になって思い出す。いや、思い出すも何も俺はこの時のことは絶対に忘れない。

この日ミルたんが特訓で俺を呼び寄せて放った言葉で、俺の人生は変わってしまった。思えば、ここが俺の分岐点だったんだ。

 

 

そこそこの強さで納得するか、極限まで自分を高めるか。

 

 

俺の目標が定まる、大切な第一歩だった。

 

 

 

 

 

 「恥を捨てろ、誇りを捨てろ、情けを捨てろ、筋肉をつけろ。俺は今からお前に、俺が身につけてる技全てを伝授してやる。本当に死ぬかもしれないが、強くなりたいなら命くらい賭けろ。これからの特訓は今までのお遊びとはワケが違う。覚悟ができたなら前に出ろ、できないなら帰れ。全部、お前が決めろ」

 

 

結構長いが結局出された選択肢は単純な二択。命を落とすかもしれない特訓を受けるか、ビビって逃げるか。

 

 

 『どうするんだ?俺としては前者を推すが、これはお前自身が決める事だ』

 

 

ったく、俺の精神世界にいるならどういう選択肢を取るかもう分かってるくせによく言うぜ。

 

 

 『確認しただけだ。気にするな』

 

 

まあいいけどよ。じゃあ、答えるとしようか。

 

 

 

 「――――――当然!受けます!!」

 

 

とっくに分かってたけど、俺は弱い。まわりはみんな才能の塊ばっかりで、今の俺がみんなと比べて誇れるのは逃げる事だけ。強いのは俺じゃなくて赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)の方で、それがなけりゃ俺なんかただの下級悪魔に過ぎない。

同じグレモリー眷属なのにこれだとあまりに不甲斐なさすぎる。

今回相手のライザーだって、ムカつく野郎だけど実力はずっと上。今の俺じゃ多分逆立ちしたって勝てやしない。

せっかくそんなヤツより強くなれるチャンスが訪れてるんだ。今までの特訓だって逃げっぱなしだったってのに、こんな大事な時まで逃げたら男が廃るだろ?

 

 

「恥なんて最初から捨ててます。俺は変態三人組の一人ですよ?誇りだって大事なものを守るためならいくら捨てたって構わねえし、情けだってそのつもりだし……筋肉はこれからイヤでもつくし。死ぬかもしれない、命を賭けろったってそれは今更です。今までの特訓だって下手すりゃ普通に死んでたし、そもそも俺一回死んでますから。

―――俺は、強くなりたい。今回は部長のためだけど、次はみんなを守れるように。

強くなって、どこまでも強くなって、そして……いつかアンタを越えてやる!!」

 

 

超常的な力を持つミルたんを越える、それがこの時俺が立てた目標。夢であるハーレム王とは違った、強さを求める上での俺のゴール。

いつ達成できるのか、そもそも達成なんてできやしないんじゃないかってくらい遠いけど、俺は本気だ。

今は足元にも及ばないどころか大気圏外だ。でも、それでもいつか届かせたい。

 

 

 

「OK、分かった。俺を越えるってのができるかは分からないが、それだけ覚悟があれば十分。それに強者が増えるのは大歓迎だ。俺の目標も世界最強だから競争相手がいるってのは結構燃えるしな」

 

ニィっと口を笑みの形に歪ませるミルたん。顔は怖いけど、やっぱこの人いい人だ。

既に世界最強じゃねえの、という疑問は敢えて口に出さない。

ミルたんより上がいたとして俺にはどうにもならない。

今はとにかく、強くなることだけを考えろ…!

 

 

 

 

「よし、始めよう。まずは十倍重力下で1tの岩背負って腕立て1万回、十五倍重力下で腹筋背1万回、背筋2万回を3セットな。基礎は筋肉だからここはきっちりしてもらう。で、次に俺と音速組手1時間だ。

安心しろ、どれだけ筋肉痛になってもアーシアの『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』があれば治せるから。逆に途中でリタイアしたらダークリーチャーの餌にするってことでヨロシク」

 

 

 「……ゑ?……う、うっす!!」

 

 

 『……さて、残り一週間でどこまで強くなれる事やら』

 

 

10倍重力とか、いつからここはドラグ・ソボールの世界になってしまったんだろう……。

 

 

 

この日から、俺の地獄(筋トレ)が始まった。

 




特訓てタイトルだけどそこまで特訓してません。能力確認って特訓とはなんか違う気がしますし…。強いて言うなら前回の特訓難易度NormalからHardの説明位?
……ハッ!あらすじ詐欺に続いてタイトル詐欺までしてしまったというのか!
どうでもいいな。

という事でここで作中登場した邪悪な生物〝ダークリーチャー”について説明をば。

・原作2巻に登場

・原作ミルたんが行った世界〝魔法世界セラビニア”に存在してると思われ(暫定)

・死海から抽出した塩と夜中にしか咲かない月見花(ムーンライトフラワー)を焼いて潰して粉にして作る特殊アイテムで退けるらしい

・「どう考えてもミルたんの正拳突きのほうが効果的だと思うんだ…」とは元浜談

………うん。強さとか全くわかりませんな。取り敢えずこの作品では魔王クラス扱いにでもしておきましょうか……。今後出てきたりしませんけどね!!
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