憑依先がありえない!   作:石ノ心

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戦闘回です!

書いてて思った事をここで一つ。
「あれ、ミルたんが絡まないと戦闘ってギャグにならねーぞ?」

……はい、ギャグ物書いてるハズなのにギャグになりきれない。
とは言えシリアスは決して書けない自分の文才の無さが恨めしい……!!
なら何が書けるのかって?シリアルとカオスです。

十二話、どうぞ!


第十二話 試合:開戦

―――決戦当日。

 

修行の方はイッセーが潰れたり吹き飛んだりミンチになりかけたり木場を巻き込んだりリヴァイアサンに食われたり軽くラブコメしたりダークリーチャーに喰われたりと、まあそれなりに順調に終わった。

 

 

 

正直に言うと十日なんて短い時間の間にあそこまで成長するとは思わなかった。流石原作主人公勢というべきか、全員この俺がビックリするレベルの成長速度だ。

 

 

イッセーは才能自体は微妙だけど、最初が酷すぎたせいか全体的に伸びしろで言うなら眷属トップ。特訓で切り札も手に入れてるから、このゲームでは一番期待できる。

木場は剣については教えられなかったとはいえ俺の速さを近くでずっと見てたからか目が良くなりすぎてる。

塔城は拳圧を飛ばす遠距離攻撃手段を得て、持ち前の速度をフルに使った移動砲台みたいになった。

アーシアは眷属全員が特訓でよく大怪我をしてその治療をしてたから、神器の熟練度が格段に上がった。全身複雑骨折くらいなら十秒もあれば完治するレベル。

姫島は雷を器用に使うようになった。雷が敵を追尾したり、軌道の読めない動きで襲いかかったりと敵にすれば相当恐ろしい。

最後にグレモリー。滅びの魔力なんてとんでもパワーを持ってたコイツには、主に戦術を叩き込んだ。姫島同様魔力のコントロールも上がってきてるし、順調に『王』として成長中だ。

 

…まあ、全員修行やりすぎて生まれ変わった、みたいな?成長したと喜んでもいいけど、イッセーはどっちかって言うと魔改造の類な気がしないでもない。

 

 

 

 

―――だが、それでもこのゲームを制するには足りないかもしれない。

 

質だけを見ればフェニックス眷属を超えていてもおかしくない。あの地獄を生き抜いたならそれだけの力は付いている。

問題はやはりというかなんというか、フェニックスの再生の力。

この再生の力がある限り全体的な力がほんの少し相手を上回っていたとして、それだけではライザーを倒しきることはできない。

フェニックスの倒し方は圧倒的な力でぷちっと潰すか、何度も何度も再生するたびに殺して精神を潰す事の二通り。

ほんの十日修行しただけのぽっと出の新人が既に公式ゲームで何勝もしているライザー・フェニックスを倒し切れるとは思えない―――。

 

 

 

 

 

と、いうのが客観的評価だ。俺の主観的評価?聞くまでもなくね?

初めてのゲームって事でちょっとは苦戦するかもしれないが、それでもアイツらは敵を圧倒する。フェニックスについては……俺は口出しはしてないけどなんとかするって言ってたからな。策はあるんだろう。

 

 

現在、深夜の十一時三十分。あと二十分もすればゲームが始まるため、俺は観戦できる場所に居る。

 

 

――――前にはグレモリー家とフェニックス家の現当主夫妻。その周りには両家の関係者。隣には魔王サーゼクス・ルシファー。……なにこれ罰ゲーム?

 

いやまあ、確かに指導者として観戦させてくれとは言った。言ったんだけど何このアウェー感。結局俺以外魔王含めて両家の血縁関係者。それに俺悪魔じゃなくて人間だし。……誰ソイツ、みたいな目がスゲー気に入らねえ。

 

 

まあいいか。害はない。

 

 

「さて、ミルたん。もうすぐ試合が始まるわけだけど、君はこのゲームどう転ぶと思う?ああ、君と私の仲だ。敬語は使わなくて構わない」

 

「なるようになるだろうさ。ただ………俺はグレモリー側が負けるとは、微塵も思っていない」

 

 

サーゼクスに問いかけられるが、即答でこう返してやる。

ほう、と感心したような声があちこちから聞こえた。

バカにしたような感じじゃなく、純粋に驚いてるみたいだ。

ここにいる大半はライザー側が勝つと思ってるらしい。

 

 

「ふむ、なるほど。君がそこまで断言するほどに成長した、ということかな。纏っている雰囲気から全員が既に下級悪魔なんて括りには到底入れらないレベルに強くなってるのは分かるけど、フェニックスにどう対抗するのか……、楽しみだね。つくづく君に彼らを任せて正解だったと思うよ」

 

 

「それは実際に戦ってるところを見てから行った方がいいと思うぞ?大して長い付き合いでもない俺の評価をそんなに高く見てくれてるのはありがたいけど、後で失望したみたいなことを言うのはやめてくれよ」

 

 

「言わないさ。なにせ魔王であるこの私の全力を受けて無傷、二発目に至っては掴んで投げ返してくるような人間なんて君だけだろうからね。戦闘での強さという点において君は妥協するような人間じゃないのはよく分かっているよ。それに友人が多いのはいいことだろう?」

 

 

「正確に言えば初撃で俺自身は無傷だけど服が吹き飛んで全裸にさせられたんだが」

 

 

アレはビックリした。わざわざ異世界で『強靭で中々破れない』ってのが売りの服を買ってきたのに一発喰らっただけで全損するとは……。破れないけど滅びはするらしい。どんな理論だ、紛らわしいわ。

 

 

「それについては本当にすまなかった……。躱すと思っていたのにまさか自分から当たりに来るとは想像もつかなかった。滅びの魔力の塊なんてものが迫って来れば、常人なら恐怖して動けなくなるか何とか回避しようとするかのどちらかだからね」

 

 

「俺は常人じゃない。ミルたんだ」

 

 

「なるほど理解したよ………さて、もう時間だ。始めてもらうとしようか」

 

 

何故か理解されてしまった。解せぬ。…まあ、それはひとまず置いとくとして。

サーゼクスがそう言い腕を組むと同時、目の前に今回のレーティング・ゲームのフィールド、駒王学園が映し出される。

 

 

画面の中に、グレモリー陣営とフェニックス陣営の両方が現れた。

 

 

開始地点が本陣だってルール説明があったから、この画面を見る限りグレモリー側は旧校舎のオカルト研究部部室が本陣。対してフェニックス側は新校舎の生徒会室が本陣か。

 

 

 

『開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は人間界の夜明けまで。それではゲームスタートです』

 

サーゼクスの眷属、『最強の女王』グレイフィアの声が響くと同時、試合開始のチャイムが鳴る…!

 

 

 

 

 

 

―――魔法少女の洗脳力は世界一ィイイイイ!!

 

 

 

 

 

………あ、ヤベェ。チャイムを魔法少女教布教用にすり変えたままだ。

 

 

敵味方全員が唖然とする中締まらない魔法少女ミルたんボイス(録音)で、試合が始まった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

グレモリー陣営。

 

 

「まーたミルたんか……なんでこう大事なところで好き放題やらかすかな…」

 

「あはは……ミルたん先生のする事は何でも突飛だからね」

 

 

イッセーがぼやき、木場は苦笑する。気を引き締めて試合に臨もうとしているのに、出鼻をくじかれたのだ。呆れが出ても仕方が無い。

 

 

「何はともあれ、ゲームは始まっているわ。気を引き締めて作戦通りに動きましょう……イッセー、準備は?」

 

 

「もう始めてます!」

 

リアスの問いにイッセーは左手――ゲーム開始直後に発現させた赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)を掲げる。

 

 

『Boost!!』

 

 

十秒ごとに所有者の力を倍加する能力を持った、神滅具(ロンギヌス)の一角。その力こそがリアスの立てた作戦全ての要となる。

 

 

ライザーを倒すためにはこのメンバーではどうしても火力が足りない。

それはリアスも、あらかじめ聞かされていた眷属全員も理解している。

それを唯一覆せるのが、力を増幅する事ができるこの赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)であることも。

つまり……万が一にその所有者であるイッセーが倒れてしまえば、グレモリー側が勝つ確率はかなり下がってしまう。それはマズい。

だからと言って高い攻撃力を持つイッセーをを前線に出さなければこちら側の被害が大きくなってしまうことも考えられる。

 

だから、リアスは考えた。この十日間伊達にミルたんに戦術を仕込まれたわけじゃない。そして、リアスの導き出した答えは……『本陣から動かさない事』だった。

 

断じてニートではない。作戦である。

 

それに、何もずっと動かないわけじゃない。第一段階が終われば全員で動くのだ。

 

 

 

「さて。イッセーの準備ができるまで、地図で作戦の動き確認しておきましょうか。朱乃」

 

「はい、部長」

 

 

テーブルの上に駒王学園の全体図を広げる。

 

 

 

「まず、作戦の第一段階と同時進行で、今から祐斗と小猫には森にトラップの設置を。朱乃には霧と幻術をかけてもらうわ。ここまではいいわね?」

 

「ええ」

 

「はい」

 

「問題ありませんわ」

 

 

「作戦第一段階終了後、あなた達にはすぐに校庭と裏の運動場に移動して貰うわ。一段階の時点で何人落とせるか、どの駒を落とせるかで変わるのだけれど…基本は朱乃が単独行動。相手側の『女王』と対峙してもらうわ。

祐斗と小猫がペアで、『女王』以外の残った相手と戦う。

私とアーシア、イッセーは第二段階開始と共に敵本陣へ突撃するわ。

朱乃、祐斗、小猫は相手を倒したら私たちと合流する事。」

 

 

「了解です、部長!!」

 

「わ、わたしも大丈夫です!」

 

 

 

 

全員が役割を把握したところで三人がリアスに言われた通りに罠や幻術を仕掛けに本陣を出る。

 

 

 

「イッセー。今どれくらいかしら」

 

 

『Boost!!』

 

 

「ゲーム開始から二分三十秒とちょっとです…十五回倍加しました」

 

『俺を時計の代わりに使うな!!全く…』

 

「32768倍……あと一分もあれば罠の設置も終わって戻ってくるでしょうし、それまでは倍加しておいてちょうだい。私も今から魔力を練るわ。

―――さあ、私たちなりのゲーム開始の狼煙を上げましょう!!」

 

 

にっこりと。悪魔的な笑顔を浮かべリアスは宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、フェニックス陣営。

 

 

「随分とふざけたチャイムだな。にしても魔法少女、か。……クッ、思い出しただけで腹が立つ……!」

 

「落ち着いてくださいお兄様。勝てるゲームも勝てなくなりますわ」

 

 

十日前の忌々しい魔法少女(変態)を思い出したライザーの怒りで体の周りから炎が噴き出し、それを『僧侶』にして実の妹であるレイヴェル・フェニックスが諌めた。

 

が、ライザーはその忠告を鼻で笑う。

 

 

「ハッ、レイヴェル。まさか不死鳥たるこの俺達が負けるとでもいうのか?

それこそありえん。確かにリアスの眷属は俺も驚くほどに粒ぞろいだ。十日の期間をやったし、全員がそこそこ戦えるレベルにはなっているだろうさ。だが、それだけじゃ足りない。百パーセントこっちが勝つ」

 

 

「私もまさか負けるとは思っていませんわ。雷の巫女や赤龍帝、紅髪の滅殺姫がどれほどの力を持つかは知りませんが、それでもフェニックスには届かないでしょう。こちらにも優秀な眷属はいますもの…ねえ、ユーベルーナ?」

 

 

レイヴェルに呼ばれたのは爆弾王妃(ボム・クイーン)の異名を持った『女王』。その異名の通りこれまで数々のレーティング・ゲームにおいて敵を爆殺してきた、ライザーやレイヴェルが最も信頼を置く眷属である。

 

 

「ええ。いつもの通りでよろしいのでしょう?相手がこちらの誰かを撃破(テイク)し油断したところを外から爆発……。まず負けることはありませんわ」

 

 

犠牲(サクリファイス)』。

フルメンバーだからこそ取れる、味方の誰かを犠牲にし相手の隙を突くライザーの十八番の戦術。

事実この戦術でライザーは今まで勝ち抜き、公式タイトル奪取の候補にまで上がっている。

人数差が大きければ大きいほど有利になるこの戦法は、リアス側の六人という人数を考えれば実に効果的だ。

 

 

「その通りだ。それに俺はお前らがリアスの眷属たちを抑えている間にリアスに一騎打ちを申し込む……。彼女の性格を考えればすぐに応じるはずだ。そうすれば間違いなく俺が勝つ」

 

 

ライザーの絶対的な自信は己の再生能力と戦闘経験からくるもの。リアスの持つ滅びの魔力は多少厄介ではあるが、決定打にはならない。故に勝てると、ライザーは確信する。

 

 

「すぐに動きますかー?」

 

「私ははやくバラバラにしたいなー」

 

「私としても相手の騎士と早く戦いたいです」

 

「…いや、相手はレーティングゲーム初心者だ。すでにこちらが勝つとは決まったも同然だが、ただ勝つだけじゃあ俺もこのゲームの観客たちも面白くない。少しハンデをやろうじゃないか」

 

「ハンデ、ですか?」

 

「フム、そうだな……向こうも今は罠を必死に仕掛けている頃だろう。

…決めた。二分だ。向こうが罠を仕掛け終えるまでをあと二分と想定しよう。二分後、俺達も行動を開始する……どうだ?」

 

 

いい案だろう?と笑うライザー。強者としての余裕を見せてやろうという事だ。

あえて罠を張らせておいて、その上で完膚なきまでに倒す。

相手に完全に負けたと理解させるための戦い方だ。

 

 

当然今すぐ突撃したいと思う眷属たちもいるのだが、『王』の決定はその眷属にとっては基本的に絶対。それにたった二分なら大して変わらない。

故に、誰もそれに否を唱えようとはしなかった。

 

 

 

 

 

 

――――――その『たった』二分が致命的な隙となるとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

「さあ、もうすぐ二分が経つ。

向こうはもう本陣の周りにいくらか罠を仕掛け終えただろう。

そろそろ『兵士』と『騎士』、『戦車』は作戦通りの位置に………―――――!!?」

 

 

 

 

指示する声が突然掻き消えた。否、掻き消された。

 

 

その時ライザーやその眷属たちの目に映ったのは辺り一帯を染め上げ、全てを飲み込み消滅させていく巨大な紅の閃光。

肌で感じたのは魔王クラスの、もしくはそれを上回るかもしれない膨大な魔力。

 

 

 

全てが吹き飛ぶ魔力の奔流に蹂躙される中、ライザーは自分の中の確信していた勝利が崩れていく音を聞いた………。

 

 

 

 

 

 

 

 

リアスの取った作戦第一段階は簡単だ。『滅びの魔力を極限までに倍加させて開幕ブッパ』である。

イッセーの赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)第二の能力、『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』により倍加した力の全てをリアスが敵本陣に向けた練りに練った魔力に譲渡。

何百万倍にも膨れ上がった滅びの魔力は砲撃となり、敵陣そのもの――本校舎を全て吹き飛ばした。

『滅び』の力を冠している通り、その砲撃の通った場所には塵一つ残らない。

正直作戦というほどでもないただの力押しだとリアスはこれを眷属に説明する時言ったのだが、相手も自分たちと同じように罠を仕掛ける時間があり、その限られた時間の中で先制攻撃を仕掛け、出来る限り多くの敵を倒すには?と考えた結果がコレだ。シンプルだが強力。満場一致でこの作戦で行こうと決定した。

 

 

実際には罠を仕掛けていたわけではなくただ慢心してふんぞり返っていただけなのだが、生徒会室にいた事には違いない。そもそも生徒会室どころか校舎そのものを飲み込むほどの砲撃を回避する手段など、悠然と構えていたライザー達にはなかった。

 

 

『ライザー・フェニックスさまの「兵士」八名、「騎士」一名、「戦車」一名、「僧侶」一名、リタイヤ』

 

 

 

 

―――たったの一撃。人数も経験も、全てにおいて圧倒的に不利で、勝つことは難しいとされていたリアスとその眷属たち。

それがたったの一撃で全てひっくり返った。

 

 

ライザー側に残っている戦闘員は『王』であるライザーを除けば四人。入れても五人。フェニックスであるライザーとレイヴェル、回復アイテムの《フェニックスの涙》をもっていたユーベルーナ。そしてたまたまライザーの後ろにいたため助かった『騎士』のカーラマインと『戦車』のイザベラだ。が、当然後者二人は大きくダメージを負っている。

対してリアス側は先の一撃で魔力の大半を使い、譲渡による倍加の力が抜けた事で脱力しているリアスと、回復要員であるアーシアを除いても全力で戦える四人。

 

 

ここまで人数差が潰されてしまえばもう『犠牲(サクリファイス)』の戦術も意味をなさない。

 

 

ライザー・フェニックスやその眷属たちだけでなく、このゲームを見ている観客たちもこの大番狂わせには唖然とするしかなかった。

ちなみに、それを見て爆笑する魔王と人外がいたりいなかったり。

 

 

 

 

「思ってた以上に減ったわね…『兵士』の一人か二人は残るものと想定してたのだけど。それに校舎を完全に吹き飛ばしたのも想定外だわ」

 

「俺はむしろ今ので全滅しなかったことの方が驚きなんですけど……」

 

「あわわわ、新校舎や体育館がキレイさっぱり消えちゃいました……」

 

「滅びの魔力と赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)の組み合わせがここまで強大だとは…僕は味方でホントによかったと思うよ」

 

「作戦通りですわね。敵を一気に殲滅した上に、いくらフェニックスといえど魔王クラスの一撃なら再生されようと精神の方も一気に削れるはず…」

 

「……相手の陣地が消えたから、敵の位置までしっかり分かります」

 

 

リアスたちが想定していた第一段階では、生徒会室に倍加した魔力を撃ちこみ、その後残った敵を朱乃、木場、小猫で分断して倒し、その隙にリアス、イッセー、アーシアで新校舎に乗り込みライザーを仕留めるというものだった。

が、結果は敵の本陣どころか突入するはずの新校舎まで消滅。

こうなると混戦になり、分断しづらくなってしまうかもしれない。

 

 

 

―――――が、問題ない。その程度でやられるほど、このメンバーはミルたんにやわな鍛え方はされていない。

 

 

 

 

「第二段階…とはもう呼べないかもしれないけど、作戦通り朱乃は『女王』を。祐斗と小猫で残りの『騎士』と『戦車』、『僧侶』をお願いするわ。私たちは作戦の最終段階だったライザー撃破を狙うわよ。みんな、大詰めよ、ここで勝つわ!!」

 

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

 

―――リアスの宣言とともに、全員が本陣の部室から飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

「ク……やられた、な。最初からあれほどの一撃を放ってくるとは……」

 

「泣き言を言ってる場合じゃなさそうだぞ、イザベラ……。そら、敵のご登場のようだ」

 

「――やあ、ライザーさまの『戦車』と『騎士』だね。僕はリアス・グレモリーの『騎士』、木場祐斗。大きくダメージを負っているところ悪いけど、僕たちは主人のためにも、僕たちを鍛えてくれた人のためにも負けられないんだ。勝負を挑ませてもらうよ」

 

 

『騎士』カーラマインと『戦車』イザベラのところには木場が。

自分の神器『魔剣創造(ソード・バース)』により創り出した剣を構える。

 

 

 

「…私のことを忘れているのではなくて?リアス・グレモリーさまの『騎士』さん」

 

「いいや、忘れてなんかいないさ。ただ……」

 

「…ただ、あなたの相手が私だってだけの事です」

 

「きゃあッ!?」

 

 

『僧侶』レイヴェルには小猫が。

不意打ち気味に拳圧をぶつけて吹き飛ばし、混戦状態にならないようにするため場所を変える。

 

 

 

「私の相手はあなたですわね。よろしくお願いしますわ、爆弾王妃(ボム・クイーン)さん?」

 

「…その二つ名は好きじゃないわ。センスが無いもの。…もう《フェニックスの涙》もありませんし、全力で終わらせていただきますわ……!そして早くライザー様の援護に…!」

 

「あらあら、せっかちな人ですわね。もう勝った気になっているんですか?残念ですが、勝つのは私です」

 

 

『女王』ユーベルーナには朱乃が。

全身に魔力を変化させた雷を帯電させ、臨戦態勢を整える。

 

 

 

「…クソッ!よくもやってくれたもんだな、リアス!ドラゴンの小僧!」

 

「ゲームですもの。勝つために最大限の努力をしただけよ」

 

「オイ、焼き鳥野郎!テメーの相手は俺だ!!ぶっ飛ばしてやる!」

 

『相手はフェニックスの三男坊か。俺からしたら少しばかり物足りないが、相棒にはちょうどいいな。ぶちのめすぞ!』

 

「回復は任せて下さい!!」

 

 

『王』ライザーにはリアス、イッセー、アーシアが。

 

自分が戦うと言ったイッセーが構え、残りの二人は後ろへ。

 

 

ライザーもそれを見て体に炎を纏う。

 

 

 

「いいぜ、赤龍帝のクソガキが相手か!!すぐに終わらせてその後リアスも倒させてもらおう!!…始めようか!」

 

「ふっざけんな!!勝つのは俺だああ!!」

 

 

ライザーが戦闘開始宣言と掌から高熱の炎を放ち、何度もイッセーを攻撃するが―――全くと言っていいほど当たらない。

炎が迫ってくる速度はイッセーから見るとミルたんの正拳突きに比べれば止まって見える上、さらに高重力下で岩を体にくくりつけられた上で修行させられたイッセーの動きは下手をすればそんじょそこらの『騎士』よりよほど速い。当たる理由が無かった。

 

わずかな炎の合間を縫い、懐に飛び込んだ勢いのまま顔面にストレートを打ち込む。

 

 

「吹き飛べェ!」

 

バキィッ、と鈍い音を立ててライザーの顔が歪む……が、案の定炎が集まりすぐに再生する。

 

 

「……クッ…。ハッ、その程度の倍加じゃあ効かないぞ!

それにさっきの魔力!あれほどの密度と大きさならば相当に倍加させたはずだ!

一気に力を倍加し体にため込む分、お前の体は大きく疲弊する…。

赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)ってのはそういう類の神器だ。

今は元気に俺を殴るだけの力があるようだが、不死である俺を相手にしていればそう長くは体力ももつまい!もっとも、さっきのデカいのは結構効いたがな…」

 

 

ライザーは立ち上がってはいるが、確かに足が震えていた。かなりのダメージが入っているらしい。当然、先程のイッセーのストレートによるものではなくその前の魔力砲のダメージだが。

 

 

「ああ、その通りだ!ミルたんにも同じこと言われたさ…だから、あの人は俺の体をひたすら鍛えさせた!何回倍加しても決して俺が倒れないように!!」

 

 

『Boost!!』

 

リアスに譲渡して一度リセットされてから5回目のブースト。イッセーの力は32倍まで跳ね上がる。

今度は炎で火傷するのもお構いなしに飛び込み、その先にいるライザーの顔面を殴り飛ばす。

 

イッセーには型も何もないが、修行により鍛えられた身体と無意識に覚えさせられた体の重心の動かし方で、かなりの重さを持つ打撃となる。

 

 

「お前が不死って事は耳にタコができちまうくらい聞かされた。一気に潰すか倒しまくって精神を潰すしか倒す手段が無いってのも聞いた。さっきので倒せないんだったら俺はお前を倒しまくるしかないんだろ?」

 

 

『Boost!!』

 

 

ライザーも普通に炎を飛ばしただけでは当たらないと理解したのか、体の周囲から波状に炎を飛ばす全方位攻撃に切り替えた。

高密度の魔力により生成された炎で、さらに殺傷能力を高める。

 

それによりイッセーの体の火傷は絶えず増え続けるが、そんな事よりコイツをぶっ飛ばすのが先だと言わんばかりに接近して顔に、腹に、肩に、胸に、腰に。自分の出せるありったけの速度と重さを乗せて殴り続ける。

 

 

 

「グウッ……!その通りだ。だが俺とて赤龍帝とはいえ下級悪魔にそう何度も倒されるほど弱くはない。時間をかけてお前にこれ以上力を倍加されるのもマズイ。最大火力で決めさせてもらうぞ……!!」

 

 

ライザーを取り巻く炎が紅蓮の赤から青白く変化する。言葉通りの最大火力らしく、その炎を纏っているだけで周りの物が焦げていく。

 

『Boost!!Explosion!!』

 

同時、128倍のブーストがかかる……が、イッセーはここで倍加を止めた。

続いて激しく鳴り響いてた鈍い殴打音が消える。イッセーが自分からライザーと距離を取ったからだ。

 

 

「128倍。さっき倍加しすぎたから今の俺じゃあここで打ち止めだ。これ以上倍加したらキャパシティを越えちまうからな。……何百万倍にもして攻撃したのにまだ倒れてないんじゃこれでも怪しいよな」

 

 

「へえ、熱血バカだと思っていたが意外と物分りはいいじゃないか。動かなければ一瞬で燃やしてやるぞ?」

 

 

「へッ、断るに決まってんだろ!!ドライグ、アレやるぞ!決めてやろうぜ!」

 

 

『それには賛成だ。こういうヤツは全力でぶっ飛ばすに限る!だが気をつけろ。今の相棒なら10分は大丈夫だろうが、それ以上やると相棒の体が危ないぞ!!』

 

「大丈夫だ!そんだけありゃ余裕でぶっ飛ばせるぜ!!」

 

 

 

イッセーは距離を取るため更に大きく後ろへ跳躍する。

 

 

「ほお、そんな状態でまだ何かできるのか。流石は赤龍帝、といったところか」

 

 

「お褒めに預かり恐悦至極…ってね!

 ………お前、俺が強くなるために足りない物って何だと思う?」

 

 

「―――いきなり敵にそんなことを聞くやつなんて聞いた事が無いからな。頭が足りてないんじゃないか?」

 

 

突然質問をしてきたイッセーに顔をしかめて答えるライザー。

しっかり答えてる辺り割と律儀である。

 

 

『ハハハッ!!意外と的を射た指摘じゃないか、相棒!』

 

 

「ちげーよッ!!……いや、まあ確かにバカとはしょっちゅう言われるけどよ。

そうじゃないんだ。俺、ついこの間までただの人間でさ。

『強さ』ってのが何の事だかさっぱりだった。だってそうだろ?

 

青春を追い求めて、おっぱいが好きだ!なーんて普通にエロに生きて、ハーレムを目指して高校に入学するようなどこにでもいる普通の学生だったんだ。

運動神経はいたって普通、成績は下から数えた方が早い。

友達と結構ケンカだってしたこともあるけど、不良と鉄バットで殴りあったりマフィアと銃で撃ちあったりするようなヤバいヤツは一回もねえ。

そんな俺が「お前にはこんなバケモノみたいな力があるんだ」ってポンと力渡されて、急に戦えって言われても無理だったんだ。

なんたって倍加する元々の力がこっちの悪魔やら堕天使やらの世界じゃあ平均の百分の一みたいなもんだったんだから」

 

 

「……で?別にお前の過去話やら成績やら性癖やらを聞かされてもなんとも思わないが……話の流れ的にお前が強くなるために足りない物は覚悟だった、なんてどこぞの下手な物語の主人公みたいなことを言い出すんじゃあないだろうな。もしそうなら興ざめもいいとこだ」

 

 

呆れたように言い放つライザーに、ニヤッと笑みを浮かべるイッセー。

 

 

「まあ確かにそれもあるさ。でも覚悟ってのはこの赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)を使ってるうちに出来てた。だからそれでもねえ。

「覚悟だけで強くなれるならみんなもっと強いだろ?」ってミルたんも言ってたしな。

…俺は強くなりたいって思うだけで、そのために自分に足りない物ってのをついこの間までさっぱり分かってなかった。

だから自分にとって何が『強さ』なのか考えてみた。

 

――――そして、それが閃いたその時、俺は遂にこの境地に至ったんだ……!!」

 

 

 

バッ、と赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)を展開したまま左手を振り上げる。

瞬間、緑色の宝玉が鈍く光り始め、赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)からにじみ出てきた赤いオーラがイッセーの身体を包み込んでいく。そして、全身がオーラに包まれた直後、激しく輝き始めた。

 

その光景に言い様の知れない恐怖を感じ、自分に出せる最高の炎を纏っているにも関わらず、ライザーは思わず後ずさる。

 

 

 

「見せてやるぜ、ライザー!これが俺達が出した答え!!俺に本当に必要だった力の証―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Muscle(マッスル)!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――筋肉だッ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 




うわ、こういう戦闘シーンって一万字書いても書ききれないもんなんですね…。
それともこれも書ききれない俺が悪いのか……?

ついでに修業期間キンクリしちゃいましたが、一応回想シーンみたいなのをしばらく後に出します。それで一話使っちゃうとgdgdになりそうだったんで。

あと、真面目な話自分三人称を書くのは初心者です。
「違和感を感じる」
「気持ち悪い」
「アーシアたんのおパンティー、くんかくんか」
という方は申し出て下さい。
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