憑依先がありえない!   作:石ノ心

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 どうも、一か月ぶりです。

 第六話投下します!


第六話 悪夢

 はぐれエクソシスト狩りしてた時間がおよそ15分。移動はほぼ一瞬で終わったとはいえ、数が多いのとやたら広範囲にバラバラに逃げるから予想より時間がかかってしまった。ちなみにまだ片腕に全員乗っけてます。一番下のヤツが泡吹いてるけど気にしない。俺も何度か通った道だ、きっとすぐ慣れるさ!

 

 他に残党がいないか気配を探ってみるが、やはりさっきのが最後だったらしい。…と、教会(跡)の堕天使の気配が消えたな。あっちも終わったか。気分転換がてら、ゆっくり歩いていくとしよう。

 

 

 

 

 

 

 うん、イッセー達と合流しようと思って来たわけだが…

 

「よかった…アーシア…ほんとによかった…うぅ」

 

「イッセーさん、ありがとうございます…」

 

 出て行こうにも出ていけなくなってる有様だよ。死を乗り越え感動の再会を果たした二人とその仲間達の前に突如現れる、人の山を抱えたムキムキ強面戦士。台無しなんてもんじゃなく、ただのラスボスである。さすがの俺もそんな役回りはご免だ、なんか手遅れ感があるけども。

 

 ということで俺は今教会(跡)の入り口付近にいる。はぐれ達?そこら辺に転がしてるぞ!おかげで傍から見たら完全に犯罪者。実際にさっき一回通報されそうになってな…。あそこで泣いてる女の子虐めてたからボコしたって言ったら信じてくれて助かったけど。でもアーシア殺されかけてたから…いや、様子を見るにやっぱ一回死んじまったのか?まあ、嘘はついてない。まあ、それ以上に目撃者の方は吹き飛んだ教会にビビってたが、それを含めて全部こいつらに罪をなすりつけてやった。ザマァ。

 

 

 

 

 結局色々考えながら20分位待機してたんだけど、うん。泣き止んだみたいだからそろそろ出て行こう。体育座りでずっとスタンバッとくのって結構辛いもんだな……。

 

 「よう、皆無事みたいだな。なんか人数が二人増えてるけど」

 

 「あ、先生!?…敵どうなりました?」

 

 「勿論全滅させたぞ。あそこにいるのが見えるだろう?」

 

 入口(だった所)を指差す。暇だったからはぐれ達を芸術的に積んでみようとしたら失敗して崩れてしまったため、全員凄い恰好で倒れてる。途中までバランスゲーム感覚だったけど、固定できないから諦めた。死後硬直?いや、死んでないからこいつら。白目むいたり泡吹いたり、吐血したり喀血してたりするけど殺したりしてないから。腕とか足が向いちゃダメな方向に逝っちゃってるヤツとかいるけど命はあるから。

 

 「「「あぁ……やっぱり」」」

 

 「何でそんなに悟ってるの?あなた達」

 

 「あらあら」

 

 「す、凄いですね!」

 

 誰がどの台詞を言ったかすぐ分かるな、これ。

 

 まあ倒すだけなら此処にいるアーシア除く誰でもできるが、この三人の顔が疲れて見えるのは確実に俺が教会消し飛ばしたの見たからだろう。この程度でこれだとなー…。ちょっと駆け足で強化合宿の申請でもしてやろうか。

 

 「でも殺してないだけマシじゃねーか…?」

 

 「いや、死ぬより酷い目にあってる可能性だってあるよ…」

 

 「……ありえなくはないと思います。死屍累々みたいですし、何よりこの人ですし」

 

 「ねえ、ホントに私と朱乃が堕天使相手にしている間に何があったのよ」

 

 聞こえてるからな。ヒソヒソ話してるけど俺の聴覚なめんじゃねーぞ。その気になれば10㎞位先の音だって拾えるんだからな?

 

 それに死ぬより酷い目なんて失礼な。地獄の果てまで追い掛け回す程度じゃないか。あ、そういえばこの世界ホントに地獄とかあったんだっけか。

 

 「一度部室へ戻りませんか?私達も色々聞きたいこともありますし」

 

 「彼についてもそうだし、アーシアもね。逆に私達からも話さなきゃいけないことがあるもの」

 

 姫島とグレモリーの提案に全員が頷いた。ようやく本来の目的の顔合わせが済むな…仕事どうしよう。時間もう大分オーバーしてるんだけど…、まあいいか。経営者に今回の事のあらまし位グレモリーから報告がいくだろうから、まず大した問題にはならないだろうしな。

 

 

 

 

 

 

 

 オカ研の部室にて自己紹介や報告を行った。

 

 ここでどうでもいい話を一つ。俺が自己紹介すると、いつも唖然とされるかツッコミが入る、もしくはスルーされるか笑われるの四択しかない。ちなみに前の方が多くて後になればなるほど少なくなる。笑われたの三回位だし。

 

 何故こんな事今言うのかというと、驚くべきことに新しい反応が加わったからだ。

 

 「ミルたんさんですね!よろしくお願いします!!」

 

 アーシアである。自己紹介なら確かに普通の反応だが、その普通が返ってきた事に感動した。まさか、普通に自己紹介できる日が来ようとは……!!

 

 ホラ、周りのヤツも唖然としてるぞ、アーシアの対応に。というよりこの子もしかしたら俺の名前に違和感すら持ってないんじゃなかろうか。

 

 「アーシア恐るべし…!まさか普通に返すとか…」

 

 「副部長でもスルーしてるようで凄い冷や汗かいてたからね。部長が顔色一つ変えずスルーできたのも驚いたけど」

 

 「私は事前に資料貰ってたから。その時はあなた達と同じ反応してたわよ」

 

 うん、俺にとってはこの反応こそ普通である。悲しいことにコレ(ミルたん)、本名なのよね…。そういえばこの名前をつけた親今どこにいるんだろうか。俺も会ったことないとはいえ、別に死んでるわけじゃないのは分かってるんだけどな…。案外俺と同じように異世界へ飛んでるのかもしれない。

 

 「さて、ミルたん先生。遅くなったけど、ようこそオカルト研究部へ!…皆に紹介しておくと、彼は魔王様が直々に任命した私たちの教官よ。戦闘のね」

 

 「「「ゑ?」」」

 

 「あら、そうでしたか。よろしくお願いしますね?ミルたん先生」

 

 「よ、よろしくお願いします!!」

 

 「ああ、改めてヨロシク」

 

 とはいえ戦闘能力強化の前に色々しなきゃいけない事があるがな。新しく眷属に加わったらしいアーシアの回復能力とかどうやって鍛えろって話だ。それとそこの三人。お前らが戸惑っててどうする。俺が鍛えられそうなのお前らだけだってのに。

 

 「顔合わせも済んだし、俺は仕事に戻る。用事ができたらまた明日にでも呼んでくれ。お前らの特訓もしなきゃいけないしな」

 

 「まだ来たばかりじゃない。私たちの事は聞いていかなくていいのかしら?」

 

 「構わない。お前の言う魔王にほとんど聞いてるから」

 

 実際は原作知識なんてありえない物で知ってるだけなんだがそれを言う必要はないし、言うつもりもない。しっかり墓の下まで持っていく気でいる。

 

 「…先生!ありがとうございました…!!」

 

 頭を下げてくるイッセーに手を振って、部室を後にした。

 

 

 「あ、コイツら(はぐれエクソシスト)部室の前に積んどくからな?六段ピラミッドで」

 

 「ピラミッドの意味は!?」

 

 

 特にない。 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 「部長、あの人マジで何者なんですか?物凄く強い事くらいしか分からないんですけど」

 

 今さっき部屋を出て行った先生、ミルたん。俺が初めて契約してもらった相手でもあるが、名前以外の全てが謎に包まれている。唯一垣間見る事ができた戦闘能力でさえ底が見えなかった。

 

  まあ、良い人だってのはわかったけどな!二つ返事で助けてくれたし。

 

 「それがね、経歴をどう洗ってみても本当にただの一般人でしかないのよ。怪しいのは数年ほど行方不明になってた時期があるらしいって事だけ。血筋だって特に英雄の血を引いてるわけでもなかったし…」

 

 結局謎なわけですね。ホント何なんだあの人、分身するわ教会消し飛ばすわいきなり人間ピラミッド作り始めるわ、やりたい放題じゃねーか。

 

 ―――そういえば、明日から特訓とか言ってたよな…?もしかして俺達、詰んでる?

 

 …いや、悪い方に思考を持って行っちゃだめだ!きっと手加減位はしてくれるハズ!!それに絶対強くなれるんだからいいことじゃないか!…イキテタライイナー。

 

 「部長、イッセー君が物凄く遠い目をしてます」

 

 「鏡を見てみなさい。あなたも人の事言えないわよ。…でも、そうね。皆疲れてるだろうしもう今日は解散するわ。アーシアは私と一緒に来てちょうだい」

 

 「はい!分かりました!……イッセーさん、本当にありがとうございました!」

 

 笑顔が眩しい。荒んだ心が癒される。助けられてよかったぜ…。

 

 

 皆自分の荷物を纏めて帰宅する。今日は滅茶苦茶疲れた…。でも俺の神器の事も分かったし!アーシアは助けられて同じ眷属になれたし!今日は良い夢見れそうだ!!

 

 帰宅後、夜の活動が主なハズの悪魔でさえ耐えられないような睡魔に襲われ、俺はベッドに倒れ込むようにして意識を手放した。

 

 

 

 

 

 ……気が付けば俺は暗闇の中に立っていた。四方八方見渡すが、何も見えない。そのくせ自分の体は細部までしっかり見えている謎仕様。微妙に発光までしてるし。現実味が全くないな、夢か。

 

 

 

 暫く回りを確認していると突如ギィッという何か扉が開くような音が聞こえた。

 

――――――――ギュピッ ギュピッ 

 

 同時に、どこかで聞いた事ある音が背後から聞こえ始める。そう、あれは確か…

 

――――――ギュピッ ギュピッ ギュピッ 

 

 つい最近、学校で…特定するなら体育の授業で…

 

――――ギュピッ ギュピッ ギュピッ ギュピッ ギュピッ

 

 常識にケンカ売ってる教師がよくこんな足音を立てていたような……?

 

ギュピッ ギュピッ ギュピッ ギュピッ ギュピッ ギュピッ

 

 足音が徐々に大きくなってきた。何かが近づいてきているのは間違いない。

 

 ピタッ…と突然音が止んだ。音は俺のすぐ後ろで止まったから、振り返ればその姿は確認できるだろうな。ただ、振り返れない。俺の生存本能的な何かが何故か決して振り向いてはならないと告げている…!

 

 肩にゴツゴツとした大きな手が置かれた。腕も筋骨隆々で、これは間違いなくミルたんだと確信する。だってこの人謎オーラ纏ってるし。

 

 緊張が解けたからか、体が動くようになった。金縛りってやつだったのか?まあ、とりあえず。

 

 「悪ふざけは止めて下さいよ、ミルた…ん………先、生?」

 

 「にょ?」

 

 

………………え?なんだ、これ。

 

 

あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!

 

 『ミルたんだと思って振り返ってみたら魔法少女のコスプレしたミルたんと同じ顔のマッチョマンがいた』

 

 な…何を言っているのかわからねーと思うが おれも何が起きてるのかわからなかった…

頭がどうにかなりそうだった…魔王だとか神だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

 

 というか味わってる最中だよ!!何なんだこいつは!?

 

 「何者だよアンタ!?」

 

 「ミルたんであってるにょ」

 

 ふざけんな!確かにそっくりだけど!顔も体つきも謎オーラも全部そっくりだけど!!

 

 「だったらなんだよそのコスプレは!その語尾は!!」

 

 そんな変な笑いを誘ってるとしか思えない服装してねーよあの人!髪型も全然違うし、服のサイズ明らかにあってないし!!むしろそんなパッツンパッツンの服着てよく破れないな、感心するわ!!

 

 「ミルたんは魔法少女になりたいんだにょ。悪魔さん、ミルたんを魔法少女にして欲しいにょ!」

 

 「もうなってるじゃん、なりきってるじゃん!いいだろそれで!?これ以上何を望むんだよ!」

 

 「どうしても魔法が使いたいんだにょ。魔法を使えるようにして欲しいにょ!」

 

 「いきなり何だよ!って、うわあァァア!こっちに来るなぁあああ!!?」

 

 この恐怖は多分実際に追いかけられてみないと分からないだろうな。必死に走って逃げてるはずなのにいつの間にか正面にアイツがいる絶望感。その度に逃げてるけど、それでもまた回り込まれてる。

 

 体力が底をついて俺は倒れ込んだ。もうこれまでだと後ろに視線を向けてみる。

 

 ――――ああ、俺死んだな。

 

 増えていた。三日ほど前の体育の授業の時みたいに分身して増えていた。ただ、その数と位置がおかしい。運動場を埋め尽くしたあの大事件は記憶に新しいが、もはやそれが一笑できるレベルになってた。

 

 俺の視界のありとあらゆる箇所、地だろうが天だろうが関係なく魔法少女(仮)により埋め尽くされているんだ…!なんだこのホラー。

 

 俺は、肉の壁に押しつぶされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おわあああああ!!?」

 

 良かった。夢でほんっとーに良かった…!!おいコラ昨日の俺!何が良い夢だよ、とびっきりの悪夢じゃねーか!

 

 なんで夢でまで疲れないといけないんだよ、全く。学校行ってオカ研で部長たちに癒してもらうとしようそうしよう。

 

 

 

――――癒してもらうつもり、だったんだけどなー…

 

 教室へ入ると、来ている男子生徒が全滅していた。嫌な予感しかしないぞ、コレ。男子生徒限定のところに悪意を感じる。女子は女子で何か「うわー…」みたいな表情してるし…何があったんだよ、マジで。

 

 灰になって机に沈んでる松田と元浜に聞いてみることに。

 

 「おい、お前ら何があったんだ。また聖典を没収でもされたか?…いや、それだとなんで全員沈んでるんだよ」

 

 「……俺達は禁忌を、犯しちまったんだよ…」

 

 「…アレを見るな、見てはならない…。お前も、やられっちまうぞ…?」

 

 「何の説明にもなってないだろ、それ。ちゃんと話せ!」

 

 生徒会から出頭命令だされようと、屋上から吊るされようと、全校生徒の前で性癖暴露されて恥かかされようと微動だにしなかったこいつらがここまでやられるとは…相当ヤバい事があったに違いない。

 

 「今日の…た…いく……ミ…んが」

 

 「………かゆい うま」

 

 「不吉な言葉残して逝くな!?」

 

 なんだよ、一体!結局、誰も何があったのか教えてはくれなかった。まるで、思い出せば全てが終わるとでもいうように。

 

 

 

 

 

 六限目。長かった…これが終われば晴れて部室へ行ける!癒しの先輩たちに会える!!

 

 俺は忘れていた。この時間は体育(じごく)だと。決して気を緩めてはいけない授業だと。気が付くべきだった。この時間が近づくにつれ、クラスの男連中の背中が悲しみや絶望を背負っていたことに。気が付いていれば、心の準備位ならできてただろうから。

 

 

 

 

 「さっそく授業を始める()()

 

 目の前に、今朝の悪夢が現れた。

 

 「…………正夢ェェ!!?」

 

 「「「「「「「「「「ウボァ」」」」」」」」」」

 

 

 癒される前に死ぬかも、俺。

 

 

 

 

 

 




 第六話読了ありがとうございます^^

 ミルたんがしっかりと原作に関わっていくのは焼き鳥辺りからになりますね。つまりもうすぐ。

 ちなみにここの魔法少女ミルたんは一話で終わる気がします。ネタとして所々に使うかもしれませんけど。
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