憑依先がありえない!   作:石ノ心

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どうも、石ノ心です。

書こうと思ってもどうしても読みに回ってしまうのはなぜなのか…。面白い小説が多すぎるからだよ!!

という事で第八話です。




戦闘校舎のフェニックス
第八話 訪問


 

 校内新聞にて『教師ミルたん二重人格発覚!魔法のステッキは千〇アイテム!?』とかなんとかデカデカと見出しに書かれたあの事件からはや一ヶ月。もう校舎の一部(運動場側)が破壊されたり運動場にクレーターが大量生産される程度のNICHIJOUなんかじゃ駒王学園のほとんどの人間は動じなくなった。

 

 さすがにあれだけ頻繁にクレーター作ってたら学校付近に住んでる人たちからの苦情は来ないのかと心配してたんだけど、部長が学校周辺には体育がある時間限定でしっかりと結界を張り巡らしていて外へは決して爆音を漏らさないようにして揺れも何とか抑えてると教えてくれた。いやー、そこまでしなきゃいけない状況にも慣れたとか大分毒されてきたよな俺たち。

 

 この一ヶ月間ホントに色々あった。ミルたんが起こす事件の数々のせいで入学してきたばっかりのアーシアが驚いてたり(その後すぐに「ミルたん先生はすごいんですね!」で終わらせた。天然って怖い)。

 とうとう放課後にミルたんの鬼畜特訓が始まってリアルに血反吐吐いたり。さらに毎朝のトレーニングでやってた鬼部長のスパルタメニューに魔神ミルたん監修の地獄メニューが追加されて絶望したり(ミルたん曰くどちらも難易度EASY)。

 夢で部長と結婚式上げてたはずなのに、声が聞こえて周りが真っ暗になったと思えば突然赤いドラゴンが出現。で、そのドラゴンがこれまた突然現れたミルたんにフルボッコにされたり(その後何故かしばらくの間『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』が出せなかった)。

 アーシアがミルたんの薦めで俺の家にホームステイすることになり、その事に嫉妬した松田と元浜が迫ってきて何故かミルたんが友達を紹介してくれる流れとなり二人が狂喜乱舞したり(ミルたんの笑みがちょっと黒かった気がする)。

 

 

 

 アレ、なんで全部ミルたんが関わってるんだ…? 

 

 

 

 あ、そうそう。アーシアのビラ配りも終了してとうとう本格的に悪魔デビューした。つまり、契約するために他人の欲望をかなえるって事だ。アーシアは天然な上、多分迫られたら断れない。変なやつが相手だと心配だったから部長に許可貰ってついて行った。

 

 

 ―――――契約相手がミルたんだった。またミルたんだったんだッッ!

 なんで?ここ一ヶ月の中で印象に残ってる記憶がミルたんで埋め尽くされてるのはなんで?ついでに契約の代価が例の魔法のステッキだったのはなんで!?………『ミルたんだから』でいいな、諦めた。ミルたんマジでありえねえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――さて、色々思い出してたけど実は今までのは全部現実逃避だ。だけどその逃避からすら逃げたくなってきたからもう戻ろうと思う。

 

 

 

 

 「何をしているの?時間が無いのよ。あなたも早く支度なさい、イッセー」

 

 現在、契約の仕事及び地獄の訓練を終えて帰ってきたため深夜。何故か目の前に半裸の部長がいます。突然部屋に魔方陣が現れ、中から出てきたと思ったら「私を抱きなさい」と一言で命令。……ミルたんのせいで色々驚き慣れてはいるけど流石にベクトルが違いすぎて唖然としちまった。

 

 何この状況。抱いてって…え、アッチの意味で合ってる?というかコレはホントに現実か?溜りに溜まった俺の性欲がこんな幻想を見せてるとか……いいや、間違いない。あのおっぱいは本物だ!俺は一度見たおっぱいは決して間違えない!!

 

 

 「…って!ちょちょ、ちょーっとストップ!待って下さい部長!なんでいきなりとか何故に俺とか色々聞きたいことありますけどまずは落ち着いて……」

 

 

 「落ち着いてるわ。ただ急いでるだけよ。私の周りにいて信頼できる男性はあなたと祐斗だけ。祐斗は間違いなく拒否するもの。だったらあなたしかいないでしょう?理由に関しては既成事実が欲しいからよ」

 

 イヤ意味が分かりません。なんか役得的な意味であの木場に勝ったっぽいのは嬉しいけど!既成事実って何!?でき婚でもするつもりですか!……あれ、マジで役得じゃね?モテ期到来?

 

 

 「早くするわよ、本当に時間がないの。多分すぐ来てしまう。だからその前に…」

 

 

 気が付いたらベッドに押し倒されていた。オ…オッパイがひとつ…オッパイがふたつ…。あ、ヤベ、興奮しすぎて鼻血まで出てきた。

 

 

 

 

 

 ―――――ええい、もうどうとでもなれ!部長相手ならむしろ本望!

 

 祝!!脱童t…

 

 

 「…時間切れ。一足遅かったみたいね……」

 

 

 「え?」

 

 

 次の瞬間床が輝き、再び魔方陣が現れた。部長が来たときと同じグレモリーの魔方陣。こんな夜中にまた誰か来るらしい。卒業し損なったぜ、なんてこったい。

 

 

 ――――というか、ヤバい。この状況を部員の誰かに見られるのは確実にヤバい。言い逃れとか全くできないぞ、コレ…。

 

 アーシアはそもそも俺の家に住んでる。わざわざ魔方陣を使ってまで俺の部屋まで来る意味何かないハズ。よって除外。

 

 木場なら見て見ぬ振りしてそのまま帰ってくれるかもしれない。むかつく程イケメンだけどやたら気配りができるいいヤツなのはここ一カ月で把握してる。

 

 小猫ちゃんなら「最低です」とか言われてたぶん明日からゴミを見る眼で見てくるに違いない。朱乃さんが来たら「あらあらうふふ」の説教確定。下手したら雷撃が飛んできて黒焦げになって死ぬ。ああ、後半二人は頼むから来ないでくれ……!!

 

 

 

 

 ―――――なんて色々考えてる間にでてきたのは見知らぬ銀髪美人メイドさん……プラス、目隠しをしたミルたんだった。

 

 

 女性の裸を見ないよう気を配っている辺りミルたんは紳士らしい。……って、ある意味予想してた事態よりヤバい!!メイドさんとか凄い気になるけどそれ以上にミルたんはまずい。教師に見られたら不純異性交遊で普通にアウトだコレ!?取り敢えずなんか言い訳を!

 

 「ちょ、え?ミルたん!?あー、そのコレは…そう!アレがマグナムでフィーバーしてヒャッハーでパイルダーオン的ドッキングって感じでして…」

 

 「ギルティだ」

 

 「そんなバカな!?」

 

 何故だ!?完璧な無実の証明じゃないか!…アホだこいつとか小声でわざわざ言わなくても聞こえてるぞミルたん。

 

 「いやさっきのを本気で言ってるならただの阿呆じゃなくド阿呆だろ…?安心しろ、状況は一応わかってる。今回は目を瞑る…というかそもそも俺は何も見ていない」

 

 

 退学とか色々不吉な単語が頭をよぎったけど無事に回避できたらしい。助かった。というか戦闘とか体動かす事が絡まなけりゃミルたんは凄い優しい。聖人君子とかそこまでは全く言わないけど尊敬するレベルで。

 

 アレ?ミルたんは何でこの状況になったか知ってるって言ったよな。じゃあ実質状況把握できてないの俺だけってことか……?そもそも落ち着いてみたら部長が俺なんかの部屋に来た理由がいまだ分からない。というかさっきまでの俺興奮し過ぎだ。普通に考えてでき婚とかねーよ、絶対そんな雰囲気じゃなかったろ…。

 

 

 メイドさんはゴミか何か見るような眼で俺を一瞥した後、部長に話しかける。

 

 「こんな事をして破談へ持ち込もうというわけですか、お嬢さま?」

 

 「こんな事でもしないとお父さまもお兄さまも私の意見を聞いてはくれないもの。自分の意見を通したいと思うのは当然の事でしょう?」

 

 「お気持ちは分かりますがそのような事で下賤な輩に操を捧げると?知れれば旦那さまもサーゼクスさまも悲しまれますよ」

 

 「(何か重い会話してる中でサラッと初対面の人に下賤とか言われたんだけど!?確かに平民の元一般人ですけども!)」

 

 「(今までのお前の行動を思い返してみろイッセー。この場合の下賤は間違いなく身分が低いって意味じゃなく下品とかそういう意味の方だ)」

 

 

 解せぬ。今回に限っては本気で解せぬ。いやまあ理性とか色々振り切れそうになったけど不可抗力だろ!少なからず気があるお姉さまに誘われたら男なら誰だってこうなるだろ!?

 

 「(ところでそもそも何でここに来たんですか?)」

 

 「(さっきの会話でサーゼクスって名前出てきただろ?リアスの兄貴で俺の上司兼友人でな。色々あって家に招待されてたんだ。で、気がついたらいつの間にかお前らの教師、というか責任者としてここにそこのメイドと来る流れになってた)」

 

 流れかよ!てか部長、兄貴いたのか。で、ミルたんの上司。――――ミルたん(教師)の、上司?俺ってば冗談抜きで退学寸前だったんじゃね……?あのままだと絶対後悔してたし、二人が乱入して止めてくれた事に後でお礼を言っておこう。

 

 

「はじめまして。グレモリー家に仕える者で、グレイフィアと申します。以後お見知りおきを」

 

 

 俺がミルたんと話してる間に部長たちの話は終わってたらしく、メイドさんに挨拶された。グレイフィアさんね…よし、覚えた。女性に自己紹介を受けたんだ、これは名乗らざるをえまい!

 

 

 「ご丁寧にどうも、俺は兵藤一誠。ハーレム王になる男です!!」

 

 

 「女性を目の前にして堂々とソレを言うところは流石の俺も素直に尊敬するな。真似しようとか微塵も思わないが」

 

 

 やかましい。

 

 

 

 「……兵藤、一誠?」

 

 

 あれ、何かグレイフィアさんの反応がおかしい。俺の名前どこか変か?

 

 あ、後ミルたん。自分関係なさそうだからって人の部屋でいきなり高速で腕立て始めるの止めて下さい。あともう部長服着てるんで目隠し外していいです。もうなんか変なプレイしてるようにしか見えないから!え、筋肉こそ至高?聞いてねえよそんな事。

 

 

 「『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』の使い手、竜の帝王に憑かれた者…。今代の赤龍帝」

 

 

 「ええ。私の自慢の『兵士』よ。実戦の経験は無いとは言え、今ではかなり強いわよ?」

 

  

 

 自慢の兵士。本当にありがたいお言葉だ。一ヶ月前の駄目駄目で戦力外通告を受けそうな俺に聞かせてやればさぞ喜んだだろう。……強くなる過程なんて一切気にもせずに、な。

 

 

 「そりゃまあ、地獄を見ましたからね……」

 

 「……ええ、本当に…」

 

 

 正確には今も毎日の様に見ている、だけどな!実際強くなれてるらしいから文句は言えないけど。

 

 「地獄?…一体どの様な特訓をなさっているのですか?」

 

 「なに、簡単な基礎訓練だ。何も問題は無い」

 

 「簡単な基礎訓練…?今のところ全特訓で血を見てるのにか…?」

 

 「イッセーがどんな訓練をしているかは知らないけれど、私も毎日結構な頻度で頭痛に悩まされているわ…」

 

 「……何も、問題は、無い」

 

 「――――ええ、よく分かりました。…色々と」

 

 

 

 思い出されるのはただ恐怖。修行メニューは部員によってバラバラで、他がどんな修行をしているのかは知らない。だけど部室に帰ってきた時のみんなの顔を見れば、そこに浮かんでる表情はやっと終わったという安堵。あるいは極限まで溜まった疲労。全員地獄にいたのには違いない(アーシアだけはホントに軽いトレーニングだけらしく、毎回みんなを回復してくれてる)。

 

 

 恐らくオカ研メンバーに特訓をどう思ってるか問えば、皆こう返すに違いない。

 

 

 

 

 ―――――……特訓?いいえ、拷問です。

 

まあ何にせよ、いろいろとキツイあれを乗り越えて何一つ変わってなかったら泣く。死に物狂いでやると何でも早く身につくもんだってのはホントだと実感したぜ…。

 

 

 「グレイフィア、話は後にして私の根城に場所を移しましょう。いつまでもここにいるわけにもいかないわ。あと、朱乃も同伴させるわよ」

 

 「構いません。上級悪魔が『女王』を傍に置くのは常であり、『王』としての責ですので」

 

 どうやら今日はこれで解散らしい。正直部長を止めに来たグレイフィアさんとミルたんはともかく、肝心の部長が俺の部屋なんかに来た理由…というか原因が未だわかってないんだけど。どうやら今は誰も俺に教えてくれる気は無いらしい。ちくせう。

 

 「よろしい。―――今夜は突然お邪魔してごめんなさいね、イッセー」

 

 

 「あ、はい。何か状況とか全然分かってないんですけど。頑張ってください、でいいのかな…?」

 

 「ええ、ありがとう。…そうね、これはお詫びと思ってちょうだい」

 

 お、何かくれるのか?部長からの贈り物とかスゲー嬉しいな!……ほら、俺とか全然女子からプレゼントとかもらった事無いしさ…。バレンタイン?チョコたくさん貰って嬉しそうにしてるやつを呪い殺す日の事だよな。

 

 

 

 

 

 ――――――部長の接近をぼんやりと眺めてたら、頬にキスされた。ちょっと想定外すぎて意識が飛んだ。

 

 

 「それじゃ、また明日部室で会いましょう」

 

 

 それだけ残して、部長はグレイフィアさんと一緒に魔方陣の中へと消えていってしまった。

 

 

 

 ――――ハッと気が付いて時計を見ると三分ほど経っている。

 

 

 「お、おおお…!うおおおおおおォォッッ!!」

 

 頭を再起動してさっきの光景を何度もリピート。最初はそれでも信じられなかったけど、まだ頬に残る感触から事実だと理解する。同時に無意識の内に自分の口は叫び声をあげていた。

 

 突然叫び出しそこらをゴロゴロと転がる男。傍から見たら不審者極まりなかったに違いない。

 

 でも仕方ないじゃん!キスとか頬でも初めてだよ!口から叫び声も出て来るよ!!転がりたくもなるよ!!

 

 

 

 

 

 ―――――落ち着くのに十分ほどかかった。十分間大声で叫びっぱなしで喉が痛くなったから止めた。断じて近所の人からうるさいと怒鳴られて窓から石を投げ込まれたからではない。

 

 

 「よし、明日は何で今日俺の家に来たのか聞いてみよう。そういえば最近部長あんまり元気なかったし、何か分かるかもしれない……!!」

 

 うん、明日何をするかは決まった。もう今日は寝てしまおう。健全な男子高校生にとっての兵器とか見ちまったから、正直言ってイロイロと溜まってる。でも仮に寝不足になりでもしたら明日の地獄に耐えれる気がしない。

 

 皮肉にもここ最近はその地獄の疲れのおかげでよく眠れる。いつもの様に睡魔に身を任せて目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「誰も俺が置いていかれたことに気付いてない件について」

 

 

 ―――――…素で忘れてました。ゴメンナサイ。

 

 

 

 

 

 

 

 






  「あ、ちょっと急な用事で今日先生泊まる事になったんだけど」

  「先生、ですか?」

  「あら、もしかしてアーシアちゃんがとても凄くて優しい人って言ってた先生の事?丁度良かったわ。二人が色々お世話になったって話だし、一度お礼を言いたかったのよ」

  「ああ、父さんからも言っておきたい。ところでイッセー。今その先生はどこにいるんだ?」

  「今こっちに向かってるよ。ほら、聞こえるだろ?」

    
  ギュピッ ギュピッ ギュピッ ギュピッ ガチャッ

  
  「どうも、突然お邪魔してすいません。息子さんたちの学校で教鞭をとらせていただいておりますミルたんと申します」

  「「」」

                     
                       
                      ――――――続かない
 
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