魔法騎士団 九つの騎士団から成る魔法帝直属の戦闘に特化した魔導師軍団。命をかけて国を護る英雄軍。全国民のあこがれである。
今日は一年に一度の魔法騎士団の入団試験の日である。
リオンもその入団試験のために試験会場に足を運んでいた。受付を済ます際に騒がれたが、リオンは気にすることなくに立っている。
周りからは
「お、おい!あいつだろ!半年前この辺で四つ葉の
「お、おい……向こうのアイツは、最果ての町の四つ葉の
(じゃあ、あいつが最果ての町での)
リオンはアンチドリが全く寄っていない黒髪の少年に近づく。
「初めまして。俺はリオン・オーウェン。名前聞かせてもらっていいか?」
「ハージ村のユノ……」
特に会話が続くことはなかった。馴れ合いする場でも無いしそんなものだろう。リオンも話す話題を探すが、浮かんでこない。勢いだけで話しかけてしまったのがいけなかった。
「へっへっへっ、オレ達のどっちかが魔法帝になる……。その伝説の始まりだなユノ!!半年間のオレの修行の成果見せてやるからなだだだだ!!!」
凄まじい量のアンチドリにたかられている。アンチドリは試験会場の名物で、魔力の少ない人物にたかる習性があるというが。
(にしてもたかられすぎじゃないか?)
追われている少年を見ながらそう思うディラン。
「なぁ、あいつユノの友達か?」
「ライバルだ。魔法帝を目指す」
「へぇ……魔法帝か」
その言葉に面白げに呟くリオン。バカにしているのではなく、ただ面白そうだという感じだ。
「ぬぉあああああ!!!寄るな鳥共~~~~!!!」
アンチドリに追いかけられている少年が誰かとぶつかる。アンチドリはそのタイミングで血相を変えて飛んでいく。
そのぶつかった人物を見たリオンは目を見開いた。
「いや~~~ぶつかってごめん」
「あ?殺すぞ小僧」
「あの時の……魔法騎士だ」
バンダナの少年は頭を掴まれて握りつぶされそうになっているが、そんなことよりリオンにとってはあこがれの人物である。だが、
「あの時と変わんねぇくらいに怖ぇ!」
問答無用とばかりに、少年の頭を握りつぶすかのごとく力を入れている。
「あ、いたいた。ヤミさん!こんなところで何してんですかもう」
「あ?今コイツの息の根止めるとこだ」
「ぎゃああああ!!!」
みしみしと危険な音と少年の悲鳴が騒がしく聞こえる。
「いや、ダメですよ!騎士団長が受験生殺しちゃ。つか何で試験場に降りちゃってんですか……」
「ウンコ行ってたら迷った」
堂々とトイレ行ってたら迷ったと言い切った。誰かに聞けばよかったのに道に迷って来ていたようだ。
「お、おい。アレってフィンラル・ルーラケイス。希少な空間魔法の使い手!しかし任務に支障をきたすほどのとんでもない女好き!」
「あっちは……ゴードン・アグリッパ!呪術魔法のエキスパート!ただしコミュニケーション不可!てかコワ!!」
ほかの受験者が頭を握りつぶそうとしているヤミの方を見る。
「それを率いているあのお方が……破壊神ヤミ・スケヒロ!!魔法騎士団の一つ『黒の暴牛』の団長!」
「『黒の暴牛』と言えば、武功より被害額の方が上回るならず者騎士団。団員には一人としてまともな奴がいないらしいぜ!」
それを聞いたリオンは遠い目をしていた。城下町に住んでいる以上、『黒の暴牛』の話を全く聞かずに暮らすなんて不可能だ。何かしらヤバイ話は聞く。
握りつぶされそうな様を見ていると、アンチドリが試験場から離れていく。一羽だけではなく、さっきまでいた全てのアンチドリがその場を離れる。
「受験生の諸君待たせたね」
その声のする方に顔を向けると、各騎士団の団長が全員集結していたのだ。その光景を見たものは湧き上がる。そんな中
「チッ、命拾いしたな小僧。せっかく助かった命だ大事にしろよ。じゃないと殺す」
ヤミ団長はその場から去る。団長の席に行くためだろう。
「大丈夫か?」
「スゲーー痛かった!」
「まぁ、無事なだけ良かったな。俺はリオン・オーウェンだ。おまえの名前は?」
「俺はハージ村のアスタだ!よろしくなリオン!!」
二人がそんなふうに話してる中、進行は続く。
「今回の試験は私が仕切らせてもらうよ」
その声の主は、
「現在最強魔法騎士団『金色の夜明け』団団長……ウィリアム・ヴァンジャンス!!!」
「次の魔法帝最有力候補だ!!」
「この間の戦も敵の大将首とったんだってよ!」
「団員からの信頼も厚いそうだ!」
『金色の夜明け』団団長の登場にさらに盛り上がる。リオンは特にこれと言って気にすることもなく試験内容が気になっていた。
ヴァンジャンス団長は
「魔樹降臨」
空から木の枝が受験生のところまで伸び、箒となり全員に行き渡る。凄まじい魔法に皆驚きながら箒を手に取る。
「それではこれより、魔法騎士団入団試験を始める……!」
ヴァンジャンス団長の宣言で試験が始まる。試験内容は様々なものがある。箒に乗って飛ぶものから始まり、様々な試験が行われた。リオンは軽くこなす、ユノも軽々とこなしていく。しかし、アスタは散々なものだ。
「魔力が少ないにしてもおかしすぎるだろ……」
リオンはアスタを見ながら呟く。箒で飛ぶに至っても、センスがなくても浮くものだ。それが一センチも浮かなかったとか不可解なものばかりだ。
そして、最終試験が始まる。
「それでは……次が最後の試験だ。最終試験は実戦形式だ適当に二人一組になってもらって、その相手と戦ってもらう。
そして、アスタはセッケと戦うことになった。最果ての町のアスタには不利な状況だったが。
一瞬で距離を詰め、
「速い!でも、魔力を感じねぇ……。じゃああれは、アイツの素の身体能力かよ!どんだけ鍛えてきたんだよ!」
リオンは驚きながら言う。アスタが言っていたことを思い出しながら笑う
『半年間のオレの修行の成果見せてやるからな』
「半年で出来るものじゃねぇ!何年間積み上げてきたんだよやべぇな!」
「オレはテキトーに頑張ってイイ思いをする為に魔法騎士団に入るんじゃねー。死に物狂いで魔法帝になるためだ!!!」
堂々と宣言するように言うアスタ。
(本気だな、アイツは本気で目指している……カッコイイじゃねえの)
試験は続いていく。リオンが次に注目したのは最初に声をかけたユノの番である。相手は貴族だったが
「『風魔法"暴嵐の塔"』」
風魔法で瞬殺してしまった。あっという間の事だった。そしてリオンの番が回ってきた。相手は貴族だ
「互いに頑張ろうぜ」
「平民風情が偉そうに頑張ろうだと?笑わせてくれるじゃないか!四つ葉の
男はリオンを馬鹿にするように吠え、
「『土創成魔法 土塊人形』!!!平民が無様に泣き喚け!!」
男は土のゴーレムを複数体創り出し、リオンに襲いかかる。リオンは溜息をつき聞こえない程度に
「やってみろよ、クソ貴族」
右足を上げそのまま地面に足をつける。強烈な冷気が迸り、
「『氷魔法 氷牙撃』」
足から氷塊が凄まじい勢いでゴーレムを拘束し機能を停止させ砕く。
「私の"土塊人形"が!?」
相手が呆然としているのを見過ごさず一息に距離を詰め、
「どこ見てんだよ…!」
「なっ!?いつの間に!?」
氷の魔力を纏った足で蹴り飛ばす。蹴り飛ばされた受験生は勢いよく壁に叩きつけられ、氷で縫い付けられる。
「悪いな。ムカついから力入っちまった」
対戦相手に背を向けて振り返ること無く、中央から離れた。
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