初任務
「そもそも魔法騎士団って何するんですか?」
朝の食堂にて、アスタがそのような質問をする。それを聞いたマグナは
「マジで言ってんのか?テメ――――……」
前に乗り出しアスタの首元を掴みながら
「国護ったり、警備したり世界一漢らしい仕事だぞボケぇぇ!!なんで入ろうと思ったァァ!?こらァァ〜〜〜」
「すみまっせぐえええ」
ノエルは朝食を食べながら
(朝から肉ばっかり……)
と思っていて、リオンは特に何も考えずに朝食を食べていた。
「市民の安全を守る〜〜〜?見たいかなぁ?護衛でステキな殿方とお近付きになれるかも♡」
露出が多く朝から酒を飲んでいるのは、バネッサ・エノテーカ。
「敵と戦いまくれるオモシロイ仕事だよ!犯罪者だったらどれだけボコボコにしても怒られないし♪」
シャドーボクシングをしながら物騒なことを言うのは、ラック・ボルティア。
「何よりも妹に尊敬される素晴らしい職業だ。給料で妹に好きなモン買ってやれるしな」
鼻血を出しながら妹の写真を見せつけてくるのは、ゴーシュ・アンドレイ。
「ご飯もたくさん食べられるよ〜〜〜〜」
ご飯が無くなり、魔法で羊を出し新しくご飯を作り出しているのは、チャーミー・パピットソン。
「ま、とにかく良い仕事さ!そのうち一緒に任務する時はよろしくなっ!」
さっきまで大男でアスタに変身したのがグレイ。
個性豊かな魔法騎士がここに集っている。アスタとノエルの感想は
((へ……変な人ばっかりだ〜〜〜))
「チャーミー先輩ご飯おかわりお願いします」
「いいよ〜〜これも食べてみ」
リオンはそんな中普通にご飯を食べていた。アスタとノエルからは、マイペース何だなと認識された瞬間でもあった。
――――――――
時間は少し経ち、新人3人組はマグナとヤミに呼び出された。
「つーわけで、オマエらに初任務を与える」
マグナから告げられたの任務の話だ。魔法騎士団に入団して初めての任務だ。三人はどんな任務なのか気になる。アスタは気になってワクワクしているし、ノエルとリオンは少し緊張してドキドキしている。
「ソッシ村でイノシシ狩りだ」
(((イノ……シシ……?)))
思っていた任務と違って三人は一度フリーズするが、
「な…何そのダサイ任務!」
「ダサイとは何だァァ!!」
「イノシシなんぞ素手でぶっ倒せますよ!」
「テメーイノシシ舐めんじゃねえェェェ!!」
「倒したら食べてもいいのか?」
「それは好きにしろぉぉぉ」
「この間二人して賭けに負けちまってな〜〜何でも一つ言うことを聞くってとあるジジーと約束しちまったんだわ」
「貧乏な村を潤す為に一攫千金目指して町に……なかなか漢なジーサンでしたね〜」
「背負っているモンがあると人間強いのな」
そこまで話を聞いてリオンは思った。
(その件に俺ら関係なくね?)
二人揃って賭けに負けてその尻拭いに行かされようとしているというところだ。初任務という名目で。アスタとノエルも同じことを思ったのか抗議する
「それって僕達関係ないっスよね!!!」
「そうよそうよ!」
その抗議を聞いたヤミは
「行くのか、死ぬのか、どっちだ?」
三人まとめて脅す。その脅しに対して三人は
「「「行きます」」」
と言うしかなかった。言葉から逆らえばどうなるかは察せられたのだ。
「とはいえ初任務だァァァテンション上がるぜ~~~!!」
「この私が…?小汚い村の小汚い老人の為に?小汚いイノシシ退治?」
「やるからには…きっちりやりますか」
アスタとリオンはやる気を出す。初任務がイノシシで気落ちしているようにノエル。それを見たマグナが
「ンだテメぇ文句あんのかコラ?」
「誰も文句なんて言ってないわ。…その…魔力のコントロールも出来ない私が行ってもいいかなって……」
「バーカ!ンなモン任務重ねてりゃ勝手に出来るよーになってんだよ!それにテメーのケツくらい先輩のオレが面倒見てやらぁ!」
マグナはノエルを励ますように言った
「マグナ先輩漢っすね!」
「よせよバカスタ。照れるだろ」
「で、そのソッシ村はフィンラル先輩の空間魔法で行く感じなのか?」
「いや、フィンラルの魔法は行ったことがあるところしか行けねぇ。だから今回は箒を使って飛んでいくぞ」
「オレ箒で飛ぶのできないスけど」
「私も」
「んはァァァァァ!!?まじかオマエらァ!!何でンな簡単なことができねーんだバカタレー!!」
箒で飛べないと知るとマグナはアスタのローブの襟をつかみブンブンと揺らす。
「だって魔力が無いですからね!!」
誇らしげにアスタは胸を張っていい
「魔力がコントロール出来ないんだから無理に決まってるでしょ」
ノエルは偉そうに言う。そんな中リオンは
「とりあえず自分の箒取って来たぜ」
マイペースであった。
―――――――――――
村に行くのにマグナの"紅零雨威災駆乱号"とリオンの箒に分かれた。
"紅零雨威災駆乱号"を見てテンションが上がったのはアスタだけだった。ノエルはリオンの方に乗ることになり、村に向かう事になった。
「しっかり捕まっとけよノエル」
「分かっているわよ!言われなくても」
リオンは箒に両足で乗り、ノエルは箒に横乗りで空を飛ぶ。しばらく飛び続けると村が見えてくるのだが、
「なんじゃこりゃ。村が……霧に覆われている…?」
村の近くに着陸して見ると村全体が霧に覆われていて中の様子が把握することが出来ない。その霧からは魔力を感じて取れる。
「ずいぶん天気悪い村っスね!」
「ばかね!これ……魔法よ。おそらく中に入っても目的の場所には入れないでしょうね」
「マグナ先輩村人の中に、村一つすっぽり包み込む魔法を使える人はいますか?」
「いや、そんな奴いなかったはずだ!急いで入るぞ!オイアスタ!オマエの剣でこの霧斬り裂け!」
「え?何馬鹿な事言ってんスか霧は剣では斬れませんよ?」
「馬鹿はテメーだァァ!魔法だったらテメーの剣で斬れるんだろうがァァァ!!」
アスタは思い出したかのように自分の魔導書から大剣を取り出して霧を攻撃する。
「便利だなぁ、こんな時の反魔法」
リオンは呟きながら言う。警戒を強め
「よし!霧が晴れ─」
村の広場に村人達が集められ、その頭上には鋭く尖った氷柱が佇んで居た。
「処刑」
その声と共に氷柱は村人の命を奪うべく降り注ぐ。
「『炎魔法・爆殺散弾魔球』!!!」
マグナが放った炎魔法がその氷柱の全てを撃ち落とし、村人の命を救って見せた。
『魔法騎士団が助けに来てくれた─!!?』
状況が呑み込めてない『黒の暴牛』の面々は状況を確認すべく周りを見渡す。
「……何が起こってやがる……!?」
「ううう…おじいちゃんの祈りが…通じたんだ―――…!!」
マグナがその言葉を聞きその方を見ると、賭けで自分たちを負かしたジーサンが横たわっていた。
「―――…ジーサン!オイしっかりし――…」
マグナは近くまで行き気づいた。その老人は既に息絶えていたということに。
(……こんなにも簡単に……!)
「テメェの仕業かァア―――」
マグナが見た方向には、ローブを纏った連中とその真ん中に座り時計を見ている男が居た。
「よくも時間を狂わせてくれたな。3秒後に全員処刑」
その男は冷たく言い、それを実行する。マグナ達に巨大な氷塊が迫り来る。対処しようとしたマグナだったが
(やべぇ…魔力が足りねぇー…)
だが、その氷塊は魔法で出来たもの。ならば、アスタが切れないはずはない。アスタは氷塊を縦に真っ二つにした。
男達はその様子を見ながら静観していたが、次の瞬間に回避行動に出た。男達がいた場所には氷柱が突き刺さっていた。
「許さねぇ」
アスタは怒りを剥き出しにし
「チッ、外したか……」
リオンはバツが悪そうに、しかし、静かな怒りを目に宿しながら対峙する。
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