ピーターパンしてたら世界が変わってた   作:霧丹

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7.仲間たちの旅立ちと現在

 

 

ロビンからそろそろ旅に出るということを告げられて、歴史の研究なんていう他の仲間よりも危険な目に遭う可能性があるだけに何かお守りでも用意しようかと思っていた。

 

俺の能力で何かできないかとか考えていたんだが、紙で身を守る事なんてできないしなぁ…

 

水に濡れたり燃えたり破れたりしたら終わりの紙だけに、耐久性がないのがネックだ。

 

 

そういえば燃えるで思い出した。少し前に「俺たちは世界中を冒険してみたい」と言って2人連れでイーストブルーに旅立った仲間がいたんだが海賊になったらしい。

その2人はシャンクスたちから冒険の話を聞いて、自分たちもそんな冒険をしてみたいと考えていたようだ。

 

まぁ前にも海賊になった仲間はいるから、それ自体は本人の意思だしいいんじゃないだろうか。

なんでも海賊とは名乗っているが冒険主体で、出会って意気投合したから一緒に旅をすることにしたとか言っていた。

 

そこの船長が燃える身体だとか火を出すとかそんな感じの事を言ってた気がする。

 

そんな連絡を受けた時に一緒に聞いたのが、なんかワノ国とかいうところに行った時に、その国がまた酷いところだったらしい。

もちろんその国にもネバーランドの仲間がおり、話を聞いてみると子供を虐待どころか権力者が住民を虐待しているということだった。

 

そして聞かされたその国の惨状は子供が虐待されているとかいうレベルではなかったために、こういう国にこそ革命が必要なんじゃないかと後で聞いて思ったものだ。

 

その話を聞いた2人のほうも一緒に残ると言ったそうだが、「もしかしたらここと同じような国がまだあるかもしれない。お前はこのまま海を渡り、そういった国があったらそこへ行って俺たちが助けられたみたいに他の子を助けろ」と言われたそうで、そのまま燃える船長と一緒に旅をしているそうだ。

 

これまでその国の情報が来なかったのは、ワノ国が鎖国しているせいで連絡手段に乏しく、ネバーランドまで連絡することができなかったためらしい。

そして、ワノ国の仲間が「自分たちの代わりにネバーランドへ連絡しておいてくれ」という伝言を受け俺たちに連絡したという事だった。

 

そんな情報を受け、革命軍のほうに聞いた内容を伝えておく。できればそんな国のほうを優先して革命を起こしてもらいたいものだ。

 

そのワノ国にはシャンクスと同じ四皇と呼ばれる海賊がいるらしいが、やはり四皇と呼ばれるほどの海賊の後ろ盾というのは大きいものなのだろうか?

基本情報としては知っているが、実物を見ていないだけにどうも現実味がないのが本当のところだな。

 

もしかしたら会ってみたらシャンクスたちのように気のいい海賊なのかもしれないし、その名前だけを利用し笠に着た者たちが悪行を働いているのかもしれない。

もちろんシャンクスたちが例外で、ワノ国にいるのは本当に悪い海賊の可能性だって否定できないんだが。

 

 

俺たちが海賊などに出会わないように気を使いながら行動しているのでわからない事が多いが、世間的に海賊が悪でそれを取り締まるのが海軍とされている。

 

しかし、仲間たちからの情報によれば海軍が横暴を働くケースもあるらしいのだ。

 

最初は民間人を守るためにと志高く海軍の門を叩いたんだろうが、それがいつの間にか「俺が守ってやっている」という意識に変わっていったんだろうか?

 

そういう情報は町中にいる仲間から俺たちに伝えられて、俺たちから海軍にいる仲間へと伝えられるようになっている。

そこから上へと報告を上げてもらうようにしているのだが、それで変わる時もあれば変わらない時だってある。

 

もちろん悪事を働く数は圧倒的に海賊のほうが多いのは間違いないが、やはり中には良い海賊悪い海軍というのも存在するということだ。

 

仲間たちの中にも海軍で働いている者はそれなりにいるため、そういう同僚の報告を聞くのは心苦しいものもあるかもしれないが、海軍というのは人によって志す正義が違うらしいので自分にとっての正義を持ってくれていれば大丈夫だろう。

 

考え方によっては自分にとっての正義をそれぞれが掲げるなんてすごい軍隊だと思う。

例えばだが世間的に悪行だったとしても、海軍の中でそれを正義だと言って掲げた場合は許されるのだろうか?

それとも正義掲示審査みたいなものがあって「君の正義は認められないから変えなさい」とか言われるんだろうか?

 

今度海軍の仲間から連絡があった時にでも聞いてみようかな…

 

海軍で頑張っている仲間たちも結構実力を認められて昇進していっているみたいだし、部下を持って自分の正義を貫いているのだろう。

 

 

ロビンは海に出た時には追われる立場になる。今はこの島にいるからそんな心配は皆無だが、海軍だけでなく賞金稼ぎからも追われたりするだろう。

もちろんこの島に来た時から身を守るための訓練は欠かさなかったし、覇気や六式体術もちゃんと使用できるようになっている。

 

ロビンと出会う海軍や賞金稼ぎがネバーランドの仲間だったら問題ないが、それでもずっと一緒に過ごしていたわけじゃないし、時期がズレていて会った事がない仲間だっているわけだしロビンがネバーランドの仲間だと気付いてくれなかったら困るな…

 

よし、ロビンへのお守りは仲間だと分かるように俺が生み出した紙で何か作って渡そう。

 

水や汚れに強い紙質にして、よく女の子に作ってあげたようなブローチみたいな感じでロビンのハナハナの咲かせる能力に掛けて花を作ろう。

 

それなら邪魔にならないし、仲間たちならばきっとそれに気付いてくれる。

 

丸1日かけて何度も試行錯誤した結果、なんとか納得のできる出来栄えの花を作ることができた。

これなら例え海に入っても大丈夫だろう。火に弱いのは変わらないが、それでも燃えにくいはずだ。

 

「ロビン、これを付けて旅をするといい。仲間たちならばこれを見ればネバーランドにいたと気付いてくれるはずだ」

 

「綺麗な花ね。ありがとうピーター」

 

「決して無茶をしてはいけないよ。何かあればすぐに連絡しなさい」

 

「ふふ、大丈夫よ。そんなに心配しないで。この島に連れてきてくれたおかげで、私は1人じゃないって思い直すことができたわ。困った事があってもみんながいるから平気よ」

 

ロビンは心配しすぎだと言うが、俺は毎回こんな感じで見送っているのでいつも通りだ。

そして旅をするのに困らないように偽札の札束を渡すのもいつも通りなんだ。

 

今世界中でどれだけの偽札が出回ってるんだろう…?

 

生きていくためにお金が必要でお金を稼ぐために働く、だが働くという過程を省略して札束を生み出している俺は、その働く時間を子供たちの救済に当てている。

しかし偽札を生み出し続けてもう50年くらいになっている。いくら必要分だけとはいえそれなりの数の偽札が世界中を出回っているということになるな。

 

革命軍も動き各地で動いているようで、ドラゴンは直接世界政府を倒そうとしている革命軍のトップという事から「世界最悪の犯罪者」と呼ばれているらしい。

 

もし偽札が出回っている事を知られた場合、俺のほうが「世界最悪の犯罪者」扱いになるんだろうか?それとも偽札くらいじゃ最悪とまではいかないのかな?

 

世界政府の基準は聞いてみないとわからないけど、ドラゴンも何をやったらそんなレッテル貼られるんだろうな。

まさか世界中の国で「世界政府があるから我々は苦しい思いをしているんだ!」とか「君たちの苦しみを根本から無くすためには世界政府がなくならなければならない」みたいな街宣活動してないよな?

 

そんな事するくらいなら、前にも考えたけど隠密に世界政府の中枢を入れ替えたほうが確実だと思う。

 

ロビンを送り出しながらそんな事を考えつつ、自分でうんうん唸ってても答えは出ないのでドラゴンに会いに行くことにした。

サボも今ではすっかり青年になったので、革命軍のほうで活動していることが多いし他の仲間もいるからたまには顔を見にいくのもいいだろう。

 

ロビンが旅立った事も教えてやらないとな。ロビンとサボは顔見知りだからどこかで出会うかもしれないし、何も言わずに突然ロビンを見たらサボもビックリするかもしれない。

 

幸いにもネバーランドには常駐している革命軍の人間がいるから聞けば教えてくれるだろう。

彼も革命軍の人間ではあるが、最初にドラゴンと協力関係を結んでからずっといてくれているので、実質ネバーランドの仲間と同じようなものだ。

 

もう長い期間ずっと覇気の教育をしてきてくれているので、新しくネバーランドに来た子たちは訓練するときはまず彼に覇気の存在を教えてもらっている。

 

「少しいいかい?ドラゴンに会いに行こうかと思ってるんだが、彼は今どこにいるか知ってたら教えて欲しいんだが…」

 

「ドラゴンさんか。あの人も世界中を飛び回ったりしてるからなぁ」

 

「ちょっと聞きたい事があってね。ついでにサボや他の仲間たちの顔も見たいんだが、彼らも一緒に移動しているのかな?」

 

「いや、サボたちはたぶん革命軍の本拠地にいるんじゃないかな?もしかしたらドラゴンさんも戻ってるかもしれないし、そっちに行ってみるといい」

 

「ありがとう。とりあえずサボたちのところに行って、ドラゴンがいたらラッキーくらいに思っておくよ」

 

サボのビブルカードも、革命軍に入った仲間のビブルカードもあるので場所はわかる。場所というか方角がわかるだけだが…

まぁどれだけ移動する時間がかかるのかはわからないが、俺が旅をするときは荷物を全部紙にしてしまうので嵩張らないからすごく便利な能力だ。

 

例えば1人で移動する船だったとして、そこに積み込める食料などには限界がある。

食材なら腐ったりしないように気をつけないといけないし、出来上がったものなんて当然何日も持つわけがない。

魚を釣りながら調理して食べるなんてスキルがあれば別だろうが…

 

だが俺なら作ったものを紙にしてしまえばいいので、料理を紙にしておけばいつでも美味しいご飯が食べられる。

難点は1人で食べると、いつもの大勢で食べているのに比べて少々味気ないという気分になることくらいだ。

 

ネバーランドはその人数が多い分、食事は膨大な量になるから俺が旅するときの食事のために追加で作ってもらう必要もない。

みんながお腹いっぱい食べられるように、食材の買い出しもだが畑など自給自足の生産活動もしているからだ。

 

大多数の仲間は世界中に散らばっているが、中にはこの島で成長し結婚したりする子たちだっている。

そういった子たちはこの島に根を下ろしたいという事で、いろいろと役立つ事をやってくれたりしているわけだ。

 

勝手に無人島に乗り込んで名付けたネバーランドだが、今じゃ普通に国だと言われても納得できるくらいに成長している。

それもこの島の磁場のログが他の島に持っていかれているおかげなので、この島を見つける事ができたのが何よりの幸運だったのかもしれないな。

 

ただ、俺の一番の悩みというか…仕方ないと思いながらも申し訳ないと思う事がある。

 

それは、仲間全員の顔と名前が一致しなかったりわからなかったりすることだ。

 

子供たちを助けて連れてくる時に多い時は1隻に3~400人くらいいたりするし、それが俺だけじゃなく世界中のみんなが助けてくるため、1度に1000人以上が同時に来たりすると本当にわからなかったりするんだ。

 

そういった中には名前のない孤児なんかも結構多いため、その際には島にいる仲間が付けてあげたりするんだが俺が名付けた事はない。

 

なのでよく接する子はまだわかるんだが、まったくわからない子もいるというのが現状の悩みだな。

子供たちや仲間たちは俺の事をわかっているから困った事は少ないんだが、もういっそ名札とか付けてもらっておくか?

 

 

 

 

 

革命軍も世界中で同志を集めているとか言ってた気がするから、ついでにドラゴンに「どうやったら仲間の名前を覚えられるか」って聞いてみようかな。

 

 

 

 

 

 


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