中間棲姫が、ある拾い物をして、そこから少しずつ日々が変わっていく。

1 / 1
とりあえず、サイコロで負けたので独立させました。


凪中日記

我は中間棲姫、他に名前は無い。そういった存在だ。

今日からこのペンとノートという道具に、文字という情報媒体を用い記録を付けていく事にする。

 

人間の開発したこれ等の道具類は中々に便利だ。

態々、物体に文字を刻み込まずとも、紙というものの束にインクという液体をペン先に着けてなぞれば良いのだ。

 

では、何故に我が記録を付けていく事になったのかを、記載しておく。

 

人間を拾った。

 

人間と言っても、我は白骨化した人間以外見た事が無い為、伝聞を元にした判断で人間とする。

 

否、我は人間を見た事があった。

確か、『フランシス・ドレイク』という人間だった筈だ。我に人間の見分け等つく筈が無いから、あの船に乗っていた人間のどれが『フランシス・ドレイク』かは判別出来なかったが、恐らくはあの妙な帽子という衣服を被った人間が『フランシス・ドレイク』なのだろう。

世界の果てがどうとか喚いていたが、どうなったのだろうか?

 

まあ、いい。今は関係の無い話だ。

今はこの拾った人間の観察記録を優先するべきだ。

この人間は、先日の嵐が過ぎ去った朝に我の縄張りである島に打ち上げられていた。

四肢並びに自我が未発達という事から、この人間は『子供』という個体であると推測される。

 

人間という生物は、とても貧弱で脆弱だ。

我の様な甲皮や外殻を持たず、水中での呼吸も出来ない。

その上、食事給水睡眠と、生命維持の為に必要な行動が多すぎる。

我は海から産まれた存在だ。生物というよりは概念に近い。体内炉心により食事も給水も必要無い。睡眠はしたい時にするという考えだ。

 

 

む? 体温の低下が激しいな。生命反応も低下している。

成程、人間は体温が低下しても生命活動が停止するのか。

人間というのは、本当に貧弱で脆弱だな。

しかし、その生命活動を停止してもらっては困る。

火を起こすという手もあるが、生憎火元となるものが無い。

仕方ないので、体内炉心を活性化させ、我の体温を上昇させる事にする。

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

○/□

 

記録を付けるに当たって、日付というものを覚えた。

否、覚えたというのには語弊があるか?

人間が残した記録の切れ端から、記録には日付というものが必要だと学習したというのが正しいだろう。

我に時間という概念は存在しなかった。

気付けば海から産まれ、気儘に海を渡り歩き、気付けば朝日が昇り沈んでいく。

そういった在り方をしてきた。

なので、この日付という概念は非常に興味深い。

 

人間は体温が低下すると衰弱し、上昇しても衰弱する。

意味が解らない。この生物は一体どうやって、地上で生きてきたのか?

 

ふと、この人間の額に手を置いてみると表情が和らいだ。

ふむ、人間という生物は体温調節が出来ないのか。

 

仕方ないので、体内炉心を冷却し、我の体温を低下させこの人間の額を冷やす事にする。

 

しかし、何なのだ、この感覚は?

解らない。観察を続行する。

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

○/△

 

最近、海が騒がしい。

我の縄張りまでは騒がしくないが、その他の海が騒がしい。

一体なんだ?

 

まあ、いい。我には関係無い。

我の縄張りを荒らさなければ、他なぞどうでもいい。

 

どうやら、人間の食事には『味』という要素が必要な様だ。

人間という生物は本当に不可解だ。ただの外部からの栄養摂取に『味』という要素、美味に不味い、熱い冷たい、固い柔らかい、非常に不可解で興味深い。

我に味覚は存在しないが、人間の味覚には興味が出てきた。

人間曰く、海は『しょっぱい』『辛い』『塩味』という味覚らしい。

それらは一体どの様な感覚なのか?

興味が尽きない。

 

ああ、そうだ。この人間の事を記録していなかった。

この人間も、我と同じ様に名前が無いらしい。

陸上で他の人間達に船に乗せられ、何処かへ運搬されている途中、嵐に遭い船が沈んだところまで覚えている様だ。

ふむ、人間とは変わった習性があるのだな。

名前の無い子供を集めて船に乗せ、嵐の海に放り出すとは、一体何を目的とした行動なのか?

 

人間とは本当に不可解な生物だ。

この人間が言うには、人間には『母』という個体が居て、『子供』を守るらしい。

成程、この人間には『母』という個体が存在しなかった為に、嵐の海に放り出されたのか。

となると、人間には『母』が存在しない『子供』の個体を集めて、海に放り出すという習性があるのか。

実に不可解な習性だ。態々、繁殖に成功した個体を廃棄するとは。

しかし、よくよく見れば、この人間には傷がある。背中をびっしりと這い回る傷。成程、繁殖に成功した個体だが、弱い個体を破棄し、強い個体のみを選別したという事か。

 

何なのだ?

何故、この人間は我を『母』と呼ぶ?

この感覚は何なのだ?

何故、我はこの感覚を受け入れている?

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

×/○

 

どうやら、我以外の個体と人間が戦争という行為を行っている様だ。

ふむ、実に不可解で非効率的な行為だ。

戦争という行為は、互いに殺し合い効率的に数を減らし合う行為の筈だ。

我には関係無いが、巻き込まれると厄介だな。

 

新たに流れ着いた資料によると、人間には『雌雄』なる区別があるらしい。

これは、人間だけではなく、その他の生物も同様の様だ。

体型や生殖器の形状によって、それらは区別される。

 

その事から、この人間が『雌』という個体であると推測される。

我? 我に『雌雄』という区別は存在しない。第一に、我は海から産まれ海へと還る存在だ。その我に何故、生殖器が必要になる?

我は生殖行為自体を必要としない故に、我に生殖器は無い。

大体、出産という繁殖方法自体が非効率的だ。

繁殖するのであれば、イ級のように分裂すれば良いだろうに。

成程、『快楽』という感覚を得る為に行為に及ぶ場合もあるのか。

 

む、どうした? 人間、顔色が悪いな。体調不良か?

 

・・・そうか、辛かったな。

安心しろ、此処に居る限りは他の人間が現れる事は無い。

此処には我とお前だけだ。

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

△/○

 

非常に不愉快だ。これが『苛立ち』に『怒り』という感情か。

あの中枢棲姫という個体が、この星の核から産まれた個体で、我よりも上位に位置する個体だという事は理解しているが、それだけだ。

只、上位個体であるという理由のみで我に命令しようとするとは、非常に不愉快だ。

 

む? ああ、我等は海即ち、この星から産まれる。

お前達、人間の様に『母』を介する事は無い。

星から産まれ星へと戻り、また産まれる。

それの繰り返しだ。

 

ふむ、安心すると良い。我は戦争をしない。

縄張りを守る為なら戦いはするが、それは絶対では無い。

あの中枢棲姫が異常なのだ。何故に、好んで戦争という非効率的かつ非合理的な行為をするのか?

我には理解出来ぬ。

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

□/○

 

不愉快な事象は続くと、人間の言葉にあるらしいが、本当にその通りの様だ。

あの『カンムス』なる生物、人間なのか我等なのか、まるで解らぬ。

しかし、解る事がある。

あの『カンムス』という生物は、非常に獰猛かつ狂暴であるという事だ。

我を視認するなり、いきなり攻撃を仕掛けてきた。

我には理解出来ぬ。何故、あやつらが我に攻撃を仕掛けてきたのか、我の縄張りを奪うという訳でもなく、只ひたすらに、我を滅ぼそうとしている。

理解出来ぬ。我が海を奪った等と宣っていたが、我は海を奪った覚えなぞ無い。

第一、海を奪うとはどうやる?

海は其処に在るものだ。奪う奪わないなぞ出来るものではない。

奴等は一体何なのだ?

 

ふん、要らぬ心配だ。この程度は損傷とは言わぬ。

しかし、あの生物は一体何なのだ?

戦う力は有れど、我に歯向かうには至らぬ。不可解だ。

 

む? 我の戦いで記憶に残っている者か?

確か、『エドワード・ティーチ』なる人間の船との戦いか。

あの時代の人間は我等を理解し、我等との戦い方を熟知していたからな。

ふむ、その事から考えるに、あの『カンムス』は『エドワード・ティーチ』の船よりは弱い生物という事か。

あの船は、我の外殻を割り甲皮に傷を付けたが、『カンムス』は我が外殻に傷を付けども、割るに至らず甲皮にも届かぬ。

ぬ、どうした人間よ? 顔色が悪いな、体調不良か?

 

そうか、少々、この身にも疲労がある。今日は早く休むとしよう。

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

◇/○

 

今にして思えば、我がこの人間を観察し始めたのは何故だったか。

単純な好奇、未知への探究、そういった感覚だったか。

今となっては、それらの感覚は薄れ、在るのは『愛しい』という『感情』だ。

・・・港湾や飛行場、リコリスに深海海月が今の我を見れば笑うかもしれんな。

あの中間棲姫が人間に『感情』を抱くなぞ、考えだにしない事だった。

その様に在ってきた我に、この『感情』が芽生えたのは間違いなく『  』のお陰だ。

『  』とは、我が拾い観察していた人間の名前だ。

我が『  』を拾った日の海に因んで名付けた。風の無い穏やかな海であったと記憶している。

 

ん? ああ、今日は穏やかだな。

最近はあの『カンムス』が喧しく海を荒らし回っているが、今日は本当に穏やかな海だ。

 

 

 

む、くれるのか?

そうか、貝に珊瑚によく集めたものだ。

ありがとう。

 

 

 

なあ、『  』。何時か、他の人間に会いに行ってみるか?

人間とは、他の人間との交流で学ぶと言うではないか。

 

ふむ、確かにまともではない人間も居るだろう。我の記憶している人間にもまともとは言えぬ人間が居た。

だが、『  』よ。人間の生とは我等とは違い短いものだ。

もしかしたら、まともではない人間は居なくなっているかも知れぬ。

我と同じであれば良かった?

ああ、『  』。そんな事を言わないでくれ。

お前が我と同じになるなど、我には耐えられぬ。

お前が我と同じ様に、只在って還るだけの存在になるなど、我には耐えられぬ。

『  』、お前は人間として生きてくれ。

お前が人間として生きている内は、我は我として在ろう。

 

ああ、願わくば、今この時が少しでも永く続く事を祈る。

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

▽/◎

 

『カンムス』の攻撃が激しさを増し、我にも損傷が出てきた。

どうやら、奴等は我に対する攻撃の仕方と言うものを学習し始めた様だ。

我の今の損傷率は約20%、今はまだ自己修復で賄えるだろう。

恐らく、過去の我等との戦いを調べたのだろうが、奴等も学習するという事が出来るのだな。我を直接ではなく、我の縄張りである海を荒らし我の力を削いでから攻撃してくるとは。

 

心配は無用だ『  』。我は負けぬ。

此処がお前の居場所と言うのであれば、我が負ける道理は無い。

 

逃げる? 何故だ?

我が負ける道理も無ければ、お前が傷付く事すら無いのに、何故逃げる必要がある?

 

ああ、そうか。そう言う事か。

お前にその傷を付けたのは、奴等か?

お前が奴等を怖れる理由が、今解った。

 

我は奴等を赦さぬ。骨肉の一片、血の一滴足りとて残さず滅してくれる!

 

・・・何故だ?

何故、お前は奴等を赦す?

赦していない? なら、何故、我を止める?

 

我が傷付く?

我に心配は無用だと、言った筈だ。なのに何故、我が傷付くと言う?

 

戦えば、傷付く?

それは自明の理だ。避けられるものではない。

 

それでも、か。

 

・・・解った、逃げよう。

奴等が来ぬ場所に逃げよう。この島を奴等に明け渡すのは業腹だが、お前の涙には変えられぬ。

 

なに、任せておけ。この星に我の知らぬ海は無い。

幾ばくか力を失ってはいるが、中枢棲姫にも『カンムス』にも負けはしない。

 

・・・人間の言う冗談、と言うやつだ。戦いはしない。

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

◎/◇

 

奴等から『  』と逃げ出してから、どれ程の時が経ったか。

『  』よ、お前も背が伸びたな。人間の成長という現象は中々に興味深い。

直に我の外殻よりも高くなるのではないか?

・・・冗談だ。

 

ふむ、次はあの島に行ってみよう。

・・・誤魔化してはいないぞ?

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

●/■

 

この島に住まう民は我と『  』に対し、非常に友好的に接してくれる。

なんでも、この者達の祖先と我等は関係があったらしい。

『シ・ンカ・セ・カン』この者達が我等を呼ぶ際の名前だそうだ。

意味は『海から来る白い人』『海に住む隣人』と言う意味らしい。

この民達と『  』とは肌の色が違うが、環境の違いがこの差を産み出したのだろう。

この島周辺は暖かく、陽射しが強い。我と『  』は白いから、民達の中では目立つな。

 

どうした? 『  』

ふむ、人間の雄達が優しい?

良い事ではないか?

む、怖いか。

『  』、この民達はお前に危害を加えようとしている訳ではない。

安心して、交流活動をすると良い。

・・・もし、もし、だぞ?

何かあれば、我に言え。その人間の生殖器を引き抜いてやる。

・・・なに? 雌も優しい?

人間というのは不可解だな。

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

■/●

 

この島の民達は等しく陽気だ。嵐に遭い漁が不漁に終わっても、笑って次の漁へと歌を歌う。

誰かが去っても、あの世で会おうと笑って見送る。

 

不可解だと聞けば、この島は豊かとは言えぬらしい。

ならば何故、この島に居着いているのか? もっと豊かな島に移住すれば良かったのではないのか?

 

我の問いに民は笑って答えた。

この島は民達の祖先が、我等から貰った島だと、豊かな島に移住した者も居るが、自分達が去っては島をくれた我等に申し訳が無いと言っていた。

 

我等に申し訳が無いというのは、不可解だな。

我等は民達に島を与えた覚えは無い。なのに、民達は我等が与えたと言う。

不可解だ。

しかし、民達の表情を見ると悪い気はしないのは何故なのだろうか?

 

『  』?

そうか、この島が好きか。

なら、この島に住むか?

我もこの島の民達の、海との付き合い方が気に入っている。

お前が望むなら、我はそれで良い。

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

◆/■

 

なあ、『  』。その、なんだ? お前の楽しみにしていた木の実を食べたのは謝る。

だから、我を無視するのは止めてくれ。我もお前達がしている『食事』という行為に興味があったのだ。

ああ、あれが『甘い』という『味覚』なのだな?

 

ぬ? 否、それは違うぞ。我は一つだけのつもりだったのだが、あの木の実は一つが大量にあったから・・・

 

何? あれはそう言う木の実なのか?

成程、あの木の実は『バナナ』という名前なのか。

む? 『バナナ』は皮を剥いて食べるのか?

そう言えば、民達は皮を剥いて食べていたな。

ふむ、記録しておこう。

 

ああ、『  』、無視しないでくれ。

お前に無視されると、我は悲しい。

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

▼/◆

 

人間が築いた文化で『音楽』というものは、実に興味深い。

信号の伝達、意思表示等に使われる音を組合せ、異なる音と混ぜ一つの形にし、感情に心境まで表現するとは、人間には驚かされる。

我も民達に『太鼓』という楽器を借り、音を出してみたが、あれは中々に楽しいな。

叩く力の強弱、角度、速度に応じて様々な音を出せる。

 

我も一つ欲しいな。

 

む、『  』どうした?

これは、『笛』という楽器だったか?

息を吹き込み、その空気の流れを利用して音を出す楽器だな?

成程、この穴を指で塞ぎ音を変えていくのか。

 

ふむ、この口調は我の癖だ。『  』、お前はもう少し、何と言うか、柔らかい口調の方が良いぞ?

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

▲/◎

 

海の騒がしさが治まり始めている。

この海域に住むイ級に話を聞けば、戦争が終わったらしい。

中枢棲姫、この星の核から産まれた存在を討ち果たすとは、『カンムス』も侮れないな。

しかし、我には関係無い事だ。我は戦争などと無意味な行為に参加していない。

話によると、港湾とリコリス、深海海月がとばっちりを食らったと言うが、直接の被害は無い様だ。

 

『  』、どうした?

ああ、戦争が終わったらしい。そうだ、もう『カンムス』に出会す事は無いだろう。

だから、安心しろ。もう直に海は、何時かの様に穏やかになる。

 

ん? 民達が呼んでいるな。

おお、今回の漁は大漁だったのか。

今日は忙しくなるぞ、『  』

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

○/◎

 

さて、このノートのページもペンのインクも少なくなってきたな。

今にして見れば、我も物好きなものだ。

さして興味も無かった人間が縄張りに流れてきたからと、観察記録を付けるとは。

だがそれも、今となっては最良の選択と言えるだろう。

 

我は海から産まれ海へと還るだけの存在。

その我が、感情を知り愛を理解する日が来るとは、夢にも思わなかった。

 

『  』、彼女のお陰だろう。彼女に出会ったあの日、それらは決まっていたのかも知れない。

ありがとう、『  』。我はお前のお陰で、知らぬ事を知る事が出来た。

まだ、これからも知らぬ事を知っていくのだろう。

 

ああ、『  』。今日は何を見たんだ?

ふむ、それは『鯨』という生物だ。

そうか、それは良かったな。

 

今日は天気が良い。浜辺を歩いてみるか。珍しい貝があるかもしれんぞ?

 

ああ、今行く。『  』、あまり走るな。転ぶぞ?

海は逃げはしない。何時でもそこに在る。

 

ふむ、我が遅いか。それは考えなかったな。

 

お前と居ると新しい事が知れるな。

ああ、そうだ。我にも知らぬ事がある。

永く在っても知らぬ事だらけだ。

 

む? 見ろ『  』

あれは初めて見るものだ。

ふむ、興味深いな。

 

 

さて、今日も様々な事が知れたな。

もう日が暮れる。

家へ帰ろう『凪沙』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に一つ、この観察記録に名前を付けようと思う。

 

『凪中日記』

 

我が記録した凪沙との日々の名前だ。




戦後、ある島にて拾われた日記。
筆記者は不明。しかし、文脈から行方不明であった深海棲艦のものではないかとされている。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。