夕暮れのワンダーランドステージにて。
木原天成、天馬司、神代類、草薙寧々、鳳えむは、
えむの二人の兄達と会話をしていた。
天成と司は、えむの兄二人と激しい感情がありつつ、
口論して、真っ向に対立していた。
「認めたっていいだろうが!実績を出しているだろうが!」
と、天成が言いだす。
えむの兄二人とフェニックスワンダーランドの上層部の人間、
CEOは観客の多さに少しばかりは驚いていたが、
ステージの方が、純粋に素晴らしいと感じていた。
「観客は見込めたが…」
すると、えむが父と兄たちに謝罪の言葉を述べていた。
「お兄ちゃん達!パパ!本当にごめんなさいっ!」
「どういうことだ?説明してくれ」
と、兄がえむを問い詰めた。
そして、えむが反省の弁を述べていた。
「えむ…」
「えむ、お前…」
「あたし、あたし…本当にごめんなさいっ!」
と、えむがお辞儀をして、父と兄二人に謝っていた。
「えむ…」
「でも、それでも、あたしは諦めたくないっ!
フェニックスワンダーランドを、ずっと、残したいの!
どんどん、アトラクションが無くなっても、
ステージが変わっても、笑顔にする想いだけは、残して欲しいの!
その想いが変わらなければ、お客さんも来てくれるから!
だから…!」
えむの父は険しい表情を決して崩さなかった。
すると、CEOが…
「少々、よろしいですか?」
「ミスターライリー…?」
と、えむの兄が言いだす。
「私は本日のショーを見て、素直にこう思いました。
この場所から生まれるショーを、もっと観て観たいと思いました」
「…」
「テーマパークを全て使ったショーは、
珍しい方ですが、世界中を見たら、今まで無い訳では無い。
それでも、心を打たれたのは、気持ちがこもっていたから、
そして、人々の想いがあったからだと、私は思います。
全てのキャストの目に確かな光がありました。
そんな、素晴らしいテーマパークは、やろうと思えば、
決して、簡単な事ではありません。なかなか、作れません」
「…」
えむの父も、どこかで瞳を曇らせていた。
「どうでしょうか。我々も、私も加わりたいです」
「どういうことですか?」
「それは…一体…」
「素晴らしいショーを、私もご一緒出来たらなと思っています。
幸せな場所に出来たら、私も、私たちも嬉しい限りです」
「ミスターライリー…」
「もちろん、ライセンス料も最低限に構いませんので、
どうですか?」
「本当ですか…?それなら、よろしくお願いします!
是非、お願いしたいです!」
と、えむの兄も了承を得てくれた。
「…」
「父さん!」
「本当にすまなかったな…ここまでやるとは正直予想はしていなかった。
そして、慶介、昌介。謝っておこう。
私はこれまで、私情を挟むべきではないと思っていた。
鳳グループを預かる身として、個人的な意見は、ほとんど聞いていなかった。
私的な理由も、受け入れてなかった。
だが、私もあくまで人間だ。想いがあったかもしれない。
親父や祖父みたいに」
「想い?」
「父さんが望んだこの場所が、ずっと残る事が、
私は本当はそれが一番の望みだった。私は情けない限りだった」
「父さん…」
「ミスターライリー、多大なるご配慮に感謝します。
これから、どうぞ、よろしくお願いします」
「えぇ!喜んで!」
「えむ。すまなかったな、とりあえず、許しても良い」
「えっ?」
「あぁ、何とかするからさ」
と、えむの兄達と和解するのだった。