マッドサイエンティストと毒舌歌姫   作:アッシュクフォルダー

7 / 26
第七話 木原天成の実験

神山高校は現在昼休み。学生たちが喋る声、

歩く足音でガヤガヤとしている。そんな喧騒の中、

ひとりの少女に声をかける男子生徒の姿。

 

「寧々!放課後時間あるかい?」

 

少女はぴたりと足を止め、振り返る。

 

「げっ!」

 

彼女に声をかけたのは、木原天成…寧々の腐れ縁の男である。

 

「げっ!、とはなんだ。…っていうのもね、

新しい実験に放課後付き合ってほしいんだ」

 

「なんで私が……」

 

「寧々しか頼れる人がいないんだ!

他のクラスメイトはみんな俺を避ける!」

 

「そりゃ、あんたみたいな

変態マッドサイエンティストの実験なんて

なにされるかわかんないんだから…」

 

悲劇的な態度を演じてみても、

寧々は眉を顰めるだけだった。

 

「ほんとのことでしょ、まったく…」

 

ため息をつく寧々を気にせず、天成は続ける。

 

「ああ、次は体育だった!それじゃあ

授業終わったら化学実験室でね」

 

「ちょっと!」

 

天成はそのまま、去っていく。

寧々はその後ろ姿を見送ると、肩を落としてため、息をついた。

 

 

 

時は変わって放課後。渋々といった面持ちで実験室に現れた寧々を、

天成は諸手を掲げて歓迎した。

 

「別に……今日暇だったし、友達いないあんたがかわいそうだったから」

 

ツンとした態度をまったく意に介さず、続ける。

「今日は化学薬品の合成実験だ!ワクワクするだろう?」

 

「いや、しないけど……ていうか何それ」

 

「危ない実験だ、ほら、

保護メガネと白衣と手袋をつけろ」

 

「なんで私を呼んだわけ……」

 

天成は寧々は手渡された衣類を身につけながら独りごちる。

気にせず実験器具を準備し始めた。始めた。

 

 

「なんかあったらほんとに恨むからね」

 

「この俺がいるんだぞ?怪我なんてさせるわけない」

 

ビーカーやフラスコが並ぶ棚から振り返って、

微笑む天成がいた。

 

(ほんとバカ…なんであんなのにときめかなきゃなんないのよ)

 

寧々は胸の高鳴りを気のせいにしようと口を開いた。

 

「で?私は何すればいいわけ」

 

「ああ、このビーカーにこの赤褐色の粉を5g測ってくれ」

 

「はいはい…」

 

「絶対に肌に触れさせちゃいけない。刺激性がある!」

 

「危ないならあんたがやってよ!?

ほんっと、私がやることじゃないって……」

 

などと言いつつ、寧々は器用に試薬を測り取り、

撹拌する。などと言いつつ、

寧々は器用に試薬を測り取り、撹拌する。

 

「うまいぞ!じゃあこの器に保健室から氷をもらってきてくれ!」

 

「もらえるわけ?」

 

「木原が欲しがっていたと言えば大丈夫!」

 

寧々は呆れた顔で部屋から出ていく。

天成はそのまま実験を続けた。

しばらく待っていると、寧々が帰ってくる。

 

「持ってきたわよ。氷水でいいの?」

 

「さて、寧々の仕事だ!この中身を撹拌していてくれ!」

 

「かき混ぜてればいいの?」

 

「そうだ!頼んだぞ!」

 

ガラス棒でくるくる中身を回す寧々の横で、

天成はビュレットから少しずつ過酸化水素ガラス棒で

中身を回す寧々の横で、天成はビュレットから

少しずつ過酸化水素水を滴下する。水を滴下する。

 

「ふむ。予算を削ろうと少なめの分量でやったが、やはり少ないな…

さて、これは数時間、このまま、寝かせておくか」

 

寧々は面食らった。

 

「帰るの?終わり?」

 

「ああ、帰る。明日もやるぞ!」

 

「勘弁してよ…」

 

寧々はじっとりと天成を見つめるが、なんだかどうでもよくなってきて、

つい笑ってしま寧々はじっとりと天成を見つめるが、

なんだかどうでもよくなってきて、つい笑ってしまう。

 

「ふふ…ほんと変なヤツ」

 

寧々は貸し出された白衣などを脱いで天成に渡す。

 

「変?知識欲を満たさんとすることは

人類の正しい本能なのであって、俺はそれをー」

 

「ほら、帰るよ」

 

「あっ、あぁ…」

 

天成は、実験室から出ようとする寧々に

ついて行きながら、その場を後にした。

 

その後、翌日、実験は何とか、成功するのだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。