SAOに来たんですが、キリトさんがいないようです   作:青い灰

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第一章 始まりの攻略戦線
主人公いないってマジすか


 

 

 

 

 

S(ソード) A(アート) O(オンライン)

 

 

それが世界の名だ。

 

内容はVRMMOでは初のRPG、

更に『フルダイブ』という技術により

仮想空間に五感を接続、

まるで現実のように味わえるゲームだとか。

 

だがその実態はゲーム製作者、

茅場晶彦が仕組んだデスゲームだった。

 

アインクラッドという100層からなる世界を

全て攻略し、ゲームをクリアしなければ

全てのプレイヤーは死亡する運命にある。

 

 

 

そんな、小説の物語だった。

 

 

 

 

 

 

小説の物語だったハズだ。

キリトという主人公がいる物語の、ハズだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このソードアート・オンラインという世界に、

どうやらオレは転移したようだった。

 

前世の記憶は何故か、全くと言っていいほど無い。

だが、SAOという原作については知っている。

だから最初の安全なエリア『始まりの町』にいれば

そのうちクリアされると思っていたのだ。

 

 

だが、知らない記憶がある。

このリアル世界での名前は神谷(かみや) (じん)

SAOのVRゲーム機、ナーヴギアは被った。

だがそれは記憶としてあるだけで、

オレがやったことじゃない。

 

プレイヤー名は『ジン』。

 

 

 

つまり、人格が入れ替わった。

この世界の人間じゃない

オレとしての記憶は、ゲームスタートから。

 

さっさとログアウトしようと思った。

だが、つい魔が差したのか、こんな考えが(よぎ)る。

『全部キリトに任せればいいんじゃね?

 どうせなら1~2層でゆっくり暮らそう』

 

 

 

…………今になって、バカだと思う。

 

結果、茅場を名乗る赤ローブに

『始まりの町』に強制召集され、

ログアウトを封じられる。

 

そして、第1層攻略の目処が立ったのは

デスゲームスタートから1ヶ月後。

2000人が死んだ。

…………この辺で嫌な予感がしていたのだが、

事が起きるのは確かこの後だったと安心。

 

 

攻略会議の色々を横目で見ながら

なんとなくクエを進めたりしていた。

 

 

 

 

そして、数日後だ。

最悪なことが発覚する。

 

 

 

 

 

「……………嘘だろ?」

 

 

見上げる掲示板にあったのは、第一層のボス戦。

その ()() という大きな見出しに、

『死にたくないし主人公に任せときゃいいかー』

という、そんな甘い考えは打ち砕かれたのだった。

 

 

「キリトが、負けた?」

 

 

思わず呟く。

主人公補正は最強のハズだ。

有り得ない、が頭を支配する。

 

 

「………………ということは、このまま」

 

 

死んでいくしかないのか。

いや、ただの間違いだろう。

そう思いたかった。

 

…………このまま、キリトがいないのなら。

全員がこのゲームをクリア出来ずに、死ぬ。

 

 

「……………死んでたまるか」

 

 

絶望は、怒りに変わって。

その矛先は何処にもいない主人公へ、

もしくはこの理不尽な世界へと向けていた。

 

こんな意味の分からない状況。

どうにか打破しなくてはならない。

 

 

「やってやる………どうせ、ゲームだ」

 

 

ゲームと思い込む。

そうだ、死ぬことはない。

恐れを捨てて、死ぬまで戦ってやろう。

 

 

 

 

 

 

 

なんで主人公がいねぇんだよ。

 

そんな怒りを胸に抱えたまま、

オレは槍を片手に、まずはレベリングへと向かう。

 

 

 

 

 

 






プレイヤー名:JIN 武器:槍
………今作の主人公。特記なし。
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