SAOに来たんですが、キリトさんがいないようです 作:青い灰
コロナには気をつけよう!
余談ですが手洗いする時間は
Happy Birthdayの歌を一回分らしいです。
サチと共に黒猫団を抜けて3ヵ月。
オレは再び前線に戻っていた。
ついて来た……というか連れてきたサチは
やはり最前線では付いていけない、ようなので。
「よっクライン、久しぶり」
「お前、お前お前お前!!
久しぶりじゃねぇかジンお前この野郎!!
半年振りくらいか!?
有名になりやがってよぉぉぉ!!」
いつものようにアルゴに頼んで場所を聞き、
クラインのギルド『風林火山』にやって来ていた。
全く暑苦しいギルドである。
ちなみにクラインとは10層辺りのボスで
何度か共闘していたので会ってはいた。
彼等は今、34層にギルドホームを構えて
レベリングをしており攻略組の
背中を追いかける形で付いてきている所だ。
どうやら他の奴等は買い出しに行っているようで、
ギルドホームにいるのはクラインだけだった。
「あ、あの………」
「ん?………おいジン、この娘は?」
「オレの………友達?
ちょっとお前に頼みがあってな」
「なんで疑問系なんだよ……
まぁお前の頼みと来ちゃあ仕方ねぇなー!」
「サチ」
「う、うん」
と、クラインの前にサチが進み出る。
「クラインさん」
「は、はい」
「ジンの信頼できる親友だって聞きました」
「お、お前そんなに思ってたのか………!」
「暑苦しいからひっつくな」
「え、えっと………」
「おっと悪いな、で……なんだ?」
「私を、『風林火山』に入れてください!!」
◆◇◆◇◆◇
とまぁ、これがサチとの結末。
風林火山の連中は暑苦しいが信頼できるし、
カタナ使いの男のギルドだとか言われたが
そこは『お前オレの親友だろ?』とゴリ押した。
あそこは強くなるし、
血盟騎士団と同格ギルドの聖竜連合と
同レベルの実力もある。
そもそもクラインが情に厚いから大丈夫だろう。
オレが言うのもなんだが、
あの連合は全員ヘタレだから安心だし。
「…………ふぅ、久しぶりに最前線に来たが……
まー、敵さんがお強いこって」
オレは最前線、40層迷宮区にいた。
無論、ソロである。
久しぶりの感覚を掴むのに苦労する。
光となって消えたMobから槍を引き抜き、
右手で回して血を払う。
正確には血ではないのだが、
エフェクトがくっつくので払っている。
と、再びMobが湧き始める。
現れたのは人型の敵が4体。
騎士の名を冠した敵だが、これがまぁやりにくい。
「PK慣れしそうで怖いな、おい!!」
走り出す。
敵が構えているのも槍だが、
こちらも臆せず槍を回しながら突っ走る。
「ふぅぅ、っ!」
息を吐きながら低姿勢で走るまま、
敵の突きを身体を横に逸らして回避する。
懐に入った。
低姿勢から鎧の隙間を狙って
首に槍を突き刺し、右に振り抜く。
血のように紅のエフェクトが
それに合わせて光る。
クリティカル、だが
レベルが足りないため倒しきれない。
「は、ぁッ!」
そんなことは予想している。
蹴りを放って騎士の体勢を崩して倒れさせ、
胸を狙って槍を突き刺す。
鎧を貫いた槍は騎士の肉を貫通し、床に突き立つ。
ここでMobのHPが全損。
動きがピタリと静止し、光の欠片となって爆散。
だがまだ敵は来る。
「ぜ、らぁぁッ!!」
身体を引き、槍を握る右手を引き絞り
息を吸い上げ、右足を強く踏み込む。
〝ブラスト・スピア〟
深紅の槍を投げ放つ。
握り方を変えたため、回転しながら槍が飛翔する。
貫通力を増した紅の槍は2体の騎士の鎧を貫き
壁に突き刺さる。
それに走り寄り、槍を掴む。
壁を抉りながら2体まとめて斬り上げ、
その上半身を
「最後ッ!」
背後に迫ってきた騎士。
光を爆散させる壁から槍を引き抜き、
ソードスキルの光を纏う騎士の槍を
真上に弾き上げ、硬直させる。
「ふ、ぅ……疲れるな、全く」
敵の硬直で余裕が出来たため一端槍を下げ、
身体から力を抜いて息をつく。
そして、敵の硬直が解けた瞬間。
「オラくたばれ」
右手に握った槍を一閃。
騎士の首を迷宮区の暗い天井へ刎ね飛ばす。
ビクッ、と騎士の身体が最後に痙攣し、
騎士の身体と地面に落ちた頭が光となって爆散。
それを見送り、壁に背中を預けて溜め息をつく。
「はぁ、あーあー気持ち悪い。
プレイヤー斬ってる気分だわ。
茅場の野郎ホント趣味悪いな」
そんな悪態をつき、
擦れる金属音と共に聞こえる足音の方を向く。
数は20、と言った所だろうか。
その先頭を歩くそいつは貫禄があった。
勿論、索敵スキルをスキャンしたため気付いた。
視線を向けると、
緑色のカーソルが大量に浮かび上がる。
まぁ、大抵は気がつくだろう。
おめでたい紅白の騎士鎧やら騎士服。
武器まで紅白に染められているのを見ると
黒ばかり使っているせいか気持ち悪くなってくる。
「覗き見たぁ、趣味が悪いな」
「部下への上位プレイヤーの戦い方の観察。
私からは腕が鈍っていないか、
それを見させてもらっただけに過ぎないわ」
「口調が団長に似てきたな。
戻した方がいいぞ、気持ち悪いし」
「他人に口調についてまで
口出しされる筋合いはないわ」
「おぉ怖い怖い…………」
たった半年近く放っておいただけで
ここまでなるか、と苦い顔になる。
だが、懐かしの再会だ。
槍を背中に納め、握手しようと手を差し出す。
「久しぶりだな、アスナ」
「ボス戦だけを私たちに任せて
久しぶり、だなんて良いご身分ね、黒槍」
差し出した手を弾かれる。
「もう名前も呼んでくれねぇのかよ………
頼むから許してくれって、
また前みたいにイチャつこうぜ?」
「立ち去りなさい、マッピングの邪魔よ」
いや人変わりすぎだろ…………
別人じゃないだろうか、と疑うほど。
血盟の騎士服を纏った彼女は、冷たくなっていた。
敵MobはSAOIFのものです。
やってないですけど。