SAOに来たんですが、キリトさんがいないようです   作:青い灰

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ストレアとかプレミアとか、
大抵のキャラは内容とか正体は知ってるんですよ?
でもその、fbだけしかやったことないんですよね…

改行が多いようなので少しだけ詰めてみました。
調整中なので読みにくいようでしたら
教えてください。




なんでもするとか言っちゃいけない

 

 

 

 

迷宮区奥地、とある部屋でMob騎士(大型)の、

振り下ろされるソードスキルをステップで回避。

〝スラント〟……単純な初期ソードスキルとはいえ、

この最前線でも最高レベルの敵が使えば

かなりのダメージを食らうだろう。

 

 

「よっ、と!」

 

 

右手で握った槍で右に斬り払い、跳躍。

槍を両手で構え直し、振り下ろす。

一連の慣れた流れで十字に斬撃を叩きつけるが、

流石は最前線のMobと言った所だろうか。

敵HPバーは未だ4割ほど残る。

 

背後から迫ってくる気配は素早く、

その足音で連携を確認。

叩きつけた槍を利用し、棒高跳びの要領で

大きく飛び上がり敵の真後ろへと降り立つ。

 

 

「やぁぁぁッ!!」

 

 

バキュウン、という重い音が響く。

単発、だが重いソードスキルが敵を貫き、

そのHPバーを削り切る。

 

振り向くと、静止した騎士は膝をつき

光の欠片となって爆散した。

敵とはいえ、その特殊な死亡演出に

こんなものもあったのね、と彼女は目を丸くする。

 

 

「お疲れさん、ほれ」

 

「おっとと、ありがと」

 

 

槍を背中に納め、開かれる扉を横目に

こちらと同じく得物であるレイピアを納めた

アスナへとポーションを投げ渡す。

彼女のHPバー減少は3割ほどだが、

最前線では非戦闘時はHPが9割以上を

維持するようにしている。

 

こちらもHPバーが4割ほど削られていたので

ポーションをオブジェクト化して飲む。

レモンジュースに茶葉を入れたかのような

正直美味しいとは思わない味が口に広がる。

もうこの味にも飽きるほど慣れたものだ。

 

 

「それにしても、ジンって

 ソードスキルみたいな動きするわよね」

 

 

と、戦闘中でもないのに恐ろしい速度で

ポーションを飲み干したアスナが聞いてくる。

ソードスキルみたいな動き、か。

特に思い当たることはない。

 

 

「んー?そうか?」

 

「もしかして自前?

 槍って突くものだと思ってたけど

 殴ったり斬ったり………凄い戦い方だよね」

 

「ほー、アスナは槍を突くものだと思ってたのか」

 

「え、違うの?」

 

 

きょとん、とアスナは可愛らしく首を傾げる。

美少女は何しても絵になるな、と

最近は思うようになってきた。

話に戻るが、本来は槍は突く武器ではない。

 

 

「元々の槍ってのは投擲武器だ。

 石器時代とか昔から狩りに使われてて、

 そこから対人の武器として発展していったんだ。

 斧とか鎌とかも槍から派生したもんだからな。

 刺突、ってのは間違ってないけどな」

 

「へぇー!そういえばジンも槍投げてるもんね。

 〝ブラスト・スピア〟だっけ?」

 

「そう。ま、威力はあるんだけどなぁ………

 手元に戻って来ないのが難点なんだよ」

 

 

彼女の言葉に頷く。

あの深紅の光を纏う槍は凄まじい威力が出るから

重宝しているが、槍使いでは実際見たことがない。

サチにも教えたが彼女は半笑いで

『無理』とはっきり言われた時は何故か傷ついた。

 

 

「あれってどういう仕様なの?

 投げるから装備から外れるってことだよね。

 でもメニューから装備し直してないよね?」

 

「それがちょっと特殊な仕様っぽいんだよな。

 気になってな、一回試したことがあるんだよ」

 

 

ブラスト・スピアを発動し、槍が手元を離れた時。

メニューの装備欄を開くと、装備名が薄くなり

【Temporary】と表示されていたのだ。

つまり、()装備状態となっている。

それは投げられた槍を掴んだ瞬間に

仮装備状態は解除され、装備状態に戻った。

 

つまり、再びメニューを操作して

装備する必要はないのだ。

攻撃が完全に封じられることになるが。

 

 

「成る程………まだまだ知らないことばかりだね」

 

「主武器投げることなんてないしな。

 投擲スキルなんてもんがあるんだし」

 

 

そして実はあのソードスキルには

投擲スキルの補正も乗ったりする。

投げる、ということは同じなうえに更に始動の

モーションが似通っているため槍ソードスキルと

投擲ソードスキルを同時発動させ、

ダメージを格段に上げる────裏技、

もしくはシステム外スキルというものだろうか。

 

アルゴに教えればまぁ金になるだろうが、

そもそもブラスト・スピア自体が(一時的とはいえ)

『武器を失う』という状態に陥り、

マスターした体術スキルがあっても

危険極まりないものであるため嫌な顔をされた。

俺もあまり死人は見たくないため

秘匿としてアルゴと決めておいた。

彼女にはガチの顔で『使うナ』と言われたが

勝利のためには仕方ないのである。

 

 

「それじゃクエストも終わったし、帰ろっか」

 

「…………はいよ、お姫様」

 

 

そうして、今日の楽しい時間も終わりを告げた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

~22層、湖畔の木造プレイヤーホーム~

 

 

 

 

 

「アノ、ヨロシイデスカ?」

 

「ん?どうしたの?」

 

 

満面の笑みで聞き返される。

そのウィンドウはなんですか、と聞きたいが、

注目されるそれは嘘をつかない。

代わりにソファに座る俺は、こう問うことにした。

 

 

「ナンデ俺ノ前デ、ソレ解除スルノ?」

 

「さぁ?なんででしょうね?」

 

 

満面の笑みは変わらぬまま。

彼女は少し悩むように顎に手を当て、

なんと()()()()()()()()()()()()()

台所へ向かいやがったのだ。

 

 

「…………どうしてこうなった」

 

 

半月前の己の発言に後悔しながら、

半笑いで、そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

現在、2023年11月3日。

 

 

攻略組は俺が戻って来たこと、

そして年末という焦りもあり、

凄まじい速度でアインクラッドの攻略を進めた。

 

現在の最前線は48層。

俺とアスナの大喧嘩騒動から

やっと半月が過ぎたワケなのだが…………

───────俺とアスナは、()()()()()()

いや、させられているというべきか。

別に嫌ではない……のだが。

美少女との同棲とか男の夢だし?

 

…………話を戻すが、半月前。

アスナの『私のものになれ』発言により、

彼女の生活には全て俺が共にいることになった。

俺もアスナも家がなく宿屋暮らしなため、

一緒にいれないじゃん!とアスナが1日目に気付く。

 

それから、2日目。

アスナと半々にして、この22層の家を買った。

展開早くなーい?

そして、このまま狩りやクエストをこなして

アスナと共に生活し、半月が経過していた。

 

 

 

 

 

 

彼女の作る食事は勿論美味しいし、

無茶な命令はされていない。

こちらの発言も普通に許されている。

いるのだが。

それを逆手に取られ、言わせようとされている。

 

 

「生殺しってキツ過ぎるだろ………」

 

 

思わず頭を抱え、蚊の鳴くような声で言う。

台所のアスナは満面の笑みで、

そのウィンドウを見せつけるように

こちらの見やすい位置へと移動させる。

そのウィンドウが、悩みの原因である。

 

───《倫理コードの解除済み》のウィンドウが。

 

 

「あら、どうしたの?」

 

 

満面の笑みのアスナが聞いてくる。

 

 

「ナンデモナイデス………」

 

 

そう感情を殺した声で返す。

楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

 

 

─────これが、あと半月続くのか……………

 

 

夕刻の茜色の光が、窓から漏れていた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

倫理コードについて簡単に説明しようと思う。

 

SAOには幾つかのハラスメントコードがあり、

プレイヤー同士の執拗な接触や

嫌がらせと該当されるものを感知すると

被害者側に現れるウィンドウで、

相手を選択1つで黒鉄宮と呼ばれる場所の

犯罪者を入れる監獄エリアに飛ばすことが出来る。

 

倫理コードというのはその一種で、

文字通り倫理に反するものが該当されている。

セクハラとかが主な例だろう。

そして、β版には(というか本来は)無かった現在、

その倫理コードを、なんと解除することが可能だ。

つまり、倫理コードを解除すれば合意で

『ピー』や『ピー』なことが出来るということ。

 

 

 

そして今、例えば俺がアスナに抱きつこうと

倫理コードが現れることはなく、

監獄に送られることもない。

勿論、俺にそんな度胸などあるハズもなく。

 

俺はヘタレである。

それを知ってのアスナの行動がこれだ。

あまり……あまりにも大胆過ぎではなかろうか。

しかも、生活する場所も同じなため、

ほぼ毎日これを目の前で解除されている。

俺こういうの良くないと思うなぁぁぁ!!!

 

 

「…………ねぇジン?」

 

「ナンデショウカ」

 

 

夜食を終え、食後のティータイムをしていた時。

アスナに問われ、俺は感情を殺して返す。

アスナはニヤニヤ笑いを浮かべ、

ウィンドウは残されたままである。

 

 

「ジンってヘタレだよね」

 

「悪いか」

 

「さぁ?」

 

 

開き直るが、彼女は悪戯っぽく返すだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、ってなんだよ」

 

「女の子がここまでしておいて、ってことよ」

 

「そんなこと言ってると襲っちまうぞ」

 

「やれるならやってみれば?」

 

「………男は狼だぞ」

 

「………子犬の間違いじゃないの?」

 

「……………………そろそろ、本気だからな」

 

「……………………ほんとぉ?」

 

 

 

 

 

 

「────────っ」

 

 

 

 

 

 

 

ここから先は、言うまでもないだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

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