SAOに来たんですが、キリトさんがいないようです 作:青い灰
続編に関してですが、一部の設定を変更します。
ヒロインたちの関係をもっと緩くする、等ですね。
(主に序盤で何も考えずに色々やったせいで)
色々と物語がややこしくなりますから緩めます。
主人公はそのまま続投させますので、ご安心を。
他の設定変更は大したものではないですが………
主人公が起こした改変についてなど、
物語が完結すれば全て書き起こしますので
続編が楽しみな方々、もう少し待って頂きたい。
来年から忙しくなるので急がねば………
じゃないと本気で終わるか分からんのです。
「それでは、アインクラッド50層勝利を祝して」
コップを掲げる。
テーブルを囲むのはストレア、風林火山。
「乾杯!」
歓声が上がる。開会の一言を言い終え、ストレアとクラインの間の、サチの向かい側に座る。旨そうな食べ物に目を輝かせるストレアに苦笑いしているとクラインが話しかけてくる。
「お疲れさん、お前も随分と
リーダー感が出てきたんじゃねぇか?」
「柄じゃねぇんだよなぁ……やっぱり。
つーかストレアがやった方が良いんじゃね?
お前だったろ、ボスにとどめ刺したの」
「わはひ?」
「あぁごめん、飲み込んでから話そう……」
「んん? んっく」
ガツガツと頬一杯に食べ物を運んでいくストレアに少し引きながら言うと、彼女は咀嚼を繰り返して、食べ物を飲み込んで首を傾げる。
「なになに? 何の話してるのー?」
「ストレアさんがボスにとどめを刺した話だよ。
凄く強いんだもん。私もびっくりしちゃった」
「あぁ、あれ? ガンガン攻撃して
HP減らしてくれた皆のお陰だよー。
サチも影から凄いダメージ出してて驚いたよー」
女子2人で話し始め、それを横目で見て串焼きを手に
取る。するとクラインが小さく手招きしているのに
気付き、串焼きを齧りながらその耳打ちを聞く。
「………………なぁジンよぉ、
お前、どっからそんな女の子連れてくんだよ?
SAO中の女でも集めてんのかお前?」
「んなワケねぇだろ………自然に集まってんだ。
ストレアも高レベルプレイヤーだし、
最前線に出てくるのもおかしくないだろ?」
「俺らとタメ張ってるような奴らは古参ばっかだ、
あの娘は見たことも聞いたこともねぇぞ、オレ」
「まぁそりゃそうだろな…………」
「んあ?」
ストレアはプレイヤーではないし、そもそもSAOのシステム、カーディナルの一部だ。思わず口に出てしまったが、クラインは気付いてないようだ。
そもそも、本当になんで来たんだろうか。
嫌な予感しかしないんですが。
「………しかし」
「ん?」
突然に驚くほど真面目な声音になったクラインに、思わず顔を上げる。クラインの視線は、真っ直ぐにストレアに向けられており─────
「ありゃあ─────でけぇな」
「…………………………いや、まぁ、うん、確かに」
目を伏せる。
戦闘中なんかは集中していて気付かないが、普段は凄い揺れるし………もうなんか露出凄いし………
「分かるよ」
「だよな…………でもなんか
手ぇ出すのはヤベェ気がすんだよなぁ。
言動が子供っぽいからか………?」
「…………………………」
男の直感というやつだろうか。
確かに彼女に手を出すのは色々と不味い気もする。システム的にストレアと『そういうこと』するのははたしてOKなのだろうか…………ではなく、手を出すのはいかんだろうが。冷静になるんだ。
自分を抑えつつ、椅子に座り直して息をつく。
「煩悩退散」
「あら、どんな煩悩なのかしら?」
「えっ」
聞こえた声に振り向こうとして────
後頭部を鷲掴みにされ、動けないことに気付く。
「あっえっ、ちょっ、えっ?」
いや、そんな筈はない。
彼女は血盟騎士団の団長に諭されて、渋々ギルドの祝勝会に行った筈だ。ここにはいない、呟く程度は発言しても許されると思って痛い痛い痛いこの鈍い痛みの感じあんまり好きじゃないっていうか
「あ、あの、ちょっと痛いっていうか、
筋力補正でも頭は握り潰せないから、ね?
きっと空耳だから、話し合う余地くらいは……」
「煩悩退散、確かにそう聞こえたわよ?
視線はどこを向いてたかしら?」
「私の胸見てたよね」
「気付いてたのかよ痛い痛い痛い痛い」
「女の子は気付くのよ、視線が露骨だから」
「ジン………」
いきなりのストレアのカミングアウトにサチからの視線が苦々しいものに変わっている。視線だけでも動かすが、どうしても後ろは見えない。
食事を口に運びながら疑問符を浮かべるストレア、感情の消えた目でこちらを凝視してきているサチ、引きつった笑みのクラインと、ざわめく風林火山。
「何か言い残すことは?」
「……………仕方ないことなんだ、男だもの」
「最低」
「おぐり」
そのままスープの皿に頭を突っ込まれる。
コンソメみたいな味で美味しい。
◆◆◆◆◆
「抜け出してきたわ」
「凄いなお前………副団長じゃないの?」
「好きでやってるワケじゃないわよ。
実力主義な連中が多いから仕方なくやってるの」
「いっそ抜けりゃ良いんじゃないの?」
ストレアが首を傾げるが、それが出来ないことは、俺たちも重々承知している。アスナは苦い顔で溜め息をつくと、サチの隣に椅子を引いてきて座る。
「今更、なのよね。
申請が通るとも思えないし、抜けれたとして
ギルドの連中に付き纏われるのがオチよ」
「そっかぁ、大変だね」
「ストレアはギルドには入ってないの?」
「私もギルドには入ってないよ。
アインクラッドでは人が多い方が安全だけどね」
「そうなのよね………
あぁ、本題を忘れる所だったわ。ジン」
「はい?」
突然こちらを向いたアスナの声音に、思わず敬語で返してしまう。なんか怒気混じってない?
「……あの時、ボス戦でのスキルだけど」
「あぁ、二刀流か」
「それよ。ギルドでも初めて聞くスキル………
おそらく、団長と同じ〝ユニークスキル〟だと
血盟騎士団を含めた各ギルドは睨んでるわ」
周囲がざわめく。
ここで今まで沈黙していたクラインが口を開く。
「二刀流、ねぇ……聞いていいのか迷ったけどよ。
この際だ。ジン、入手方は分かるか?」
「知らね。気づいた時にはスキル欄にあったし」
「ていうか片手、槍持ってたわよね。
二刀流って片手直剣用のスキルじゃないの?」
「別に槍二本でも出来たぞ」
「そりゃバグじゃねぇのか?」
「さぁ? ソードスキルだけど
流石に槍二本は大抵のソードスキル不可だった。
片手なら一部のソードスキルは撃てたけど」
「でも、もしジンが片手直剣を使ってたら
恐ろしく強力なスキルだっただろうね。
二刀流、防御を捨てた火力特化スキルだろうし」
サチの言葉に、俺を除いた全員が息をのむ。
確かにそうなのだが……どうにも両手に剣を持つのは違う気がする。ただでさえ猪の俺だし、ある程度の射程がある武器でないとすぐに死ぬだろう。
「でも要望があるなら剣に持ち変えようか?」
「駄目よ」「駄目だな」「駄目だよ」
「……………理由を聞いても?」
「ただでさえ紙耐久なんだから
それ以上防御を薄くされたら困るわ」
「右に同じだ」
「私もアスナさんと同じ意見」
「そんな簡単に俺が死ぬワケねぇだろ」
「出たわね慢心・驕り・自己中心。
一回死んだ癖によくそんなこと言えるものね」
「うぐ………」
「こればっかりはアスナの言う通りじゃない?
宝の持ち腐れだけど、極力使わない方がいいよ。
まだスキルの熟練度も上がりきってないでしょ」
ストレアにとどめを刺される。
確かにそうだけどさぁ………ロマンと火力は凄いし。
「でもさ、槍と剣のソードスキルを
片手ずつで使えるんだから強いだろ?」
「ソードスキル後の硬直時間あるだろ」
「防御とカウンタースキルもちゃんとあるし」
「敵の連発ソードスキルに耐えきれるの?」
「ここぞ、という時の敵HPバー削り」
「50層ボスでは反撃されてたわね」
「………………無慈悲すぎる……あまりにも……」
「はい論破」
こうして、完全に撃沈された挙げ句、二刀流という
ソードスキルは封印されることになったのだった。