SAOに来たんですが、キリトさんがいないようです   作:青い灰

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いかんのー、これ書いてると
新しいSAO二次が頭に浮かんでしまうのです。
構想だけが脳内でぐるぐるしている。
終わるかな………終わりそうにねぇなぁ………
でもやりてぇなぁ…………悩み所さん!?

他の小説完結も見えてきませんねぇ!
これも終わるまで予定はあるけど長すぎるっピ!




夜の間に

 

 

 

晩飯を終え、俺はシリカに早めに休んでおくように言い、無理矢理にアルゴを外へと連れ出していた。

 

「ん、どうしたんダ?

 オネーサンと夜のデートでもしたいのカ?」

 

「それはまたの機会で。

 ちっとばかし話しておきたいことがある」

 

周囲を見回す。

確か、シリカの部屋で話をすれば、聞き耳スキルを持った奴に盗み聞きされてしまう。だが、無理して隠そうとしても標的に逃げられてしまうだろう。

取り敢えず、それよりも。

 

「なんでここにいる。金は払ったぞ」

 

「それはお前も分かってるダロ?

 お前が下層に降りる理由は大切な何かがあるって

 そろそろあいつらも気付いてきてるってことダ」

 

「………俺の監視、か。

 あーしまったな………目立ち過ぎか、俺?」

 

「そりゃ、あれのせいだろうナ」

 

それを問いただそうとした時、違和感に気がつく。どこからか……何か、遮蔽物に隠れてこちらの様子を伺われているような、粘り気のある感覚。

PoHと戦った時から分かるようになった感覚だが……それはマップや索敵よりも正確に思えてきている。

 

「………アルゴ」

 

「(分かってるヨ)」

 

「(あぁ、話題変えるぞ)」

 

アルゴがこちらへ近寄り、耳打ちする。盗聴野郎のお出ましのようだ。俺も頷き、言ってから離れる。ちなみに彼女に盗聴の危険があるのは伝達済みだ。

 

「やっぱり、レッドギルドの数はまだ多いか」

 

「あぁ、お前も気をつけろヨ。

 ここ最近は物騒な噂も多いしナ」

 

「俺も久しぶりにパーティーを組むしなぁ……

 特に大人数に襲われたら不味いかもだし、

 明日が終わればそろそろギルド加入も考えるか」

 

「それをオススメするヨ。

 オレっちも情報を集めておくから頑張れよナ」

 

「あぁ、ありがとな。

 ………ギルドといえば、件のレッドギルドがな」

 

話の流れで、そのギルドの話題を切り出す。本気で話しているつもりだ。アルゴも苦い顔で頷く。

 

「酷いもんだよナ、ギルドの

 リーダー以外は全滅したって話だったカ」

 

「あぁ、見てきたが自殺しかねん勢いだった。

 生き地獄だろう………ゲームとはいえ、

 何故そう簡単に人を殺せるんだろうな………」

 

本当に理解の範疇を越えている。

実際に、連中はそういった性格であるのだろうが。そしてゲームという、この世界の元々の在り方が、それを加速させているのだろう。

それにアルゴは大きな溜め息をつく。

 

「オレっちには理解できないし、したくもないナ。

 …………そろそろ寝るカ。明日もあるダロ?」

 

「あぁ、起きてれば、あいつの部屋で

 明日の打ち合わせもしときたいしな」

 

「手は出すなヨ」

 

「分かってるっつの………じゃ、そろそろ」

 

「あぁ、ゆっくり休めヨ」

 

「お前もな。良い夢を」

 

彼女に背を向けてその場を後にする。

アルゴは1人ではあるが、彼女も中々の手練れだし、それに連中も圏内で誰かを襲うことはないだろう。

 

圏内、という脳裏に浮かんだ単語。

宿に入り、歩きながらそれを脳内で復唱する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………圏内殺人、それもいつか起こるのだろうか。

 

 

主犯(やつ)は、殺した。

 

だが、どうにも嫌な予感がする。

 

 

 

 

 

 

それを振り払うように、首を振る。

 

きっと、大丈夫だ。

 

 

きっと。

 

 

 

 

この予感も、この感覚も。

 

きっと、気のせいだ。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

「おーい、まだ起きてるかー?」

 

ノックして、扉の先にいるだろうシリカへと聞く。

 

『はっ、はい! ジンさん!?』

 

「攻略の打ち合わせをしようと思ってんだけど、

 あー…………今夜じゃない方がいいか?

 眠いなら別に明日でもいいんだけど」

 

『だ、大丈夫です!

 丁度、私も聞きたいと思ってて』

 

妙にうわずった声が聞こえ、軽い足取りがこちらへ近付き、扉がすぐに開かれて─────

 

 

「えっ」

 

 

思わず、困惑に低い声が口から漏れる。

それに彼女は気付いていない様子で、首を傾げた。

 

 

「え? ど、どうかしましたか?」

 

「なんだ………その………」

 

「え、えっ?」

 

「部屋に回れ右しろ話は明日だじゃあな!!」

 

 

取り敢えず謝るが、彼女は今だ気付かない。これは不味いと咄嗟に思い付くまま言葉を並べてそこから自室へ戻ろうと廊下を走り出す。そして、最後に。

 

 

「服は着ろ!!」

 

「えっ────」

 

 

下着姿のシリカの叫びを背中で聞きながら、部屋に逃げ込むように飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、一時間ほど。

夜中、11時を過ぎる頃に自室の扉がノックされる。俺はというと、脳裏に染み付いてしまった下着姿のせいで眠れるような気がせず、悶々とアイテム欄に目を通して心頭滅却しようとしていた。

 

『あの……ジンさん』

 

やはり聞こえてきたのはシリカの声。大きく深呼吸してから声を返す。あまり意識するのもよくない。

 

「なんだ?」

 

よし、ちゃんとした声が出ている。

そう内心で頷き、彼女の声が返ってくるのを待つ。ボソボソと小さな声は聞こえてくるのだが………

 

『えっ、えっと………その、あ!

 明日のお話を、聞かせてもらえませんか!?』

 

「ん、そうか、そうするか」

 

脳を切り替える。そうだ、攻略の話をすれば、気も紛れるだろう。煩悩退散、いかんぞ相手は確か13。

俺はロリコンじゃない。自己暗示をかけながら扉へ向かい、鍵を外して扉を開く。そこにはしっかりと服を着ている、若干顔の赤いシリカがいた。

 

「………えっと」

 

「まぁ、うん。いらっしゃい」

 

「は、はい、お邪魔します………」

 

 

 

 

 

 

 

 

テーブルの位置をずらして、椅子を向かいに置く。彼女は顔を赤くしたまま俯いている。当然と言えば当然だろう、そういう年頃だし。椅子を指差して、重たい口を開く。

 

「まぁ、座ってくれよ」

 

「はっ、はい!」

 

「リラックスしていいからな………?」

 

「…………………」

 

彼女は椅子に座ると、言われた通り大きく深呼吸をする。その様子に少しだけ笑い、アイテム欄を開き2つのカップアイテムをタップしてオブジェクト化、そしてルビー・イコールというアイテムをタップ、そのカップに注ぐ。湯気の立つ赤い飲み物だ。

 

レアアイテムだが、どうせ使うことはないだろう。この世界が終わるとしてもデータとして残り続け、そしていつか、崩れ落ちてしまうのだ。

ならば使ってしまうのが、これも嬉しいだろう。

 

「ま、飲んでくれよ」

 

「ありがとうございます………」

 

彼女はカップを手に取り、ゆっくりとそれを飲む。すると少しばかり目を丸くして、落ち着いたように肩から力を抜いた。

 

「おいしい………」

 

「だろ?」

 

カップ一杯分を飲むと敏捷が1だけ増加するのだが、それは黙っておくことにする。未だ思い詰めているだろう彼女の肩から力を抜くことができるのなら、それがいいのだし。

 

「あの……これは?」

 

「ちょっとした嗜好品的なアイテムだよ。

 どっちにせよ、俺はあんまり飲む機会ねぇしな。

 残りものだが……喜んでくれたなら嬉しいな」

 

「………………ごめんなさい、気を遣ってもらって」

 

「下着見られて恥ずかしかったことか?」

 

「ちっ、違いますよ!!

 ていうか忘れてくださいっ!!」

 

顔を真っ赤にしてテーブルを叩き立ち上がる彼女に乾いた笑みを返す。忘れようにも忘れられなくて、寧ろこちらも困っているところだが。

 

「は、冗談だよ。

 さて……明日の攻略の話だったよな?」

 

「は、はい………もうっ」

 

「思い出の丘………あぁ、そういえば」

 

「?」

 

座り直して首を傾げるシリカを横目に、メニューのアイテム欄からそれをオブジェクト化させる。

小箱のようなものの中に小さな水晶球が納められたそれは、ミラージュ・スフィアというアイテムだ。

 

「お楽しみだ、びっくりするぞ」

 

「えっ?」

 

その水晶球の部分をタップし、現れたメニュー窓を

操作する。そして最後に『OK』のボタンに触れる。

瞬間────水晶球が光を放ち、そのアイテム上に

巨大なホログラムが現れる。

 

それは、47層を形作っていた。

 

 

「うわぁ………!」

 

「ミラージュ・スフィアってアイテムだ」

 

「凄い………綺麗……」

 

 

それに目を輝かせている彼女を他所に、あの感覚が現れる。その感覚は、獲物を狙う隠しきれぬ欲望を思わせるものだと、その時に理解した。

 

「………」

 

「ジンさん?」

 

 

メニューを開いて全速力でスキルセットをタップ、〝忍び足〟スニーキングのスキルを装着してから、彼女を置いて立ち上がり、扉を開ける。

 

 

「趣味が悪いな?」

 

「─────!」

 

 

視界の端で動いた影は慌てたように動き、階下へと逃げて行く。それを追うことはせずに、息をつく。シリカがこちらに駆け寄ってきた。

 

「え、どうしたんですか?」

 

「男女の密談を盗聴しようとする変態じゃね?」

 

「もっと言い方ありますよね!?

 なんか………いかがわしいですよ!?」

 

「そりゃ男の部屋に女の子がいるわけだし………」

 

「うっ………間違って……ないですけど………」

 

「安心しろ。追い払ったしな」

 

「あ、ありがとうございます………?」

 

 

扉を閉め、シリカに再び椅子に座るように促す。

 

 

「さて、攻略の話に戻るか」

 

 

 

 

明日の攻略の話を再開し、それが終わる頃……………

 

 

 

 

「ここまで来てやっと………って、おん?」

 

 

 

 

 

 

うつらうつらと船を漕いで、眠りに落ちている。

そんな彼女に、笑みがこぼれる。

 

 

 

「寝ちまった、か」

 

 

 

彼女に肩を貸し、ベッドに寝かせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生憎、床で寝ようと立って寝ようと筋肉痛はない。

 

 

「良い夢を」

 

 

呟いて、明かりを消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女らが、夢の中だけでも幸せが見られるように。

 

そう願いを込めて、瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

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