SAOに来たんですが、キリトさんがいないようです 作:青い灰
新年もう明けましたおめでとうございます。
コロナや通信制限のせいじゃなくて……
俺が悪いんだよ
読者が続きを読めないのは俺のせいだ
もう……嫌なんだ、自分が……
俺を……殺してくれ……もう、消えたい………
結末まで構想ついてるけどモチベがキツい。
面白そうな場面とか設定が思い付くのが……
本当に俺が悪いんだよなぁ(銃フェラ)
「いやぁぁぁ無理無理無理無理ぃぃいぃぃっ!!」
そんな絶叫が、美しい花畑に響き渡る。
突如として現れたMobから伸びる蔓がシリカの足に絡みつき、彼女をその大口へと放り込もうとする。逆さ吊りの状態でミニスカートを必死に押さえて、シリカは手にした短剣を滅茶苦茶に振り回す。
花畑から土を盛り上げて登場したそいつは、言葉にするならば『歩く花』と言った所か。伸ばした蔓がヒュンヒュンと風を切り、捕らえた餌を食らわんと開かれた大口には鋭い牙が生え揃い、妙にリアルな太舌がとてもグロい。もしもあんなのに捕まったら俺でも絶叫すると思う。
『そういやこんな場面あったなー』と顎に手を当てながら、スカートの中身を見ないよう目を逸らす。今更な気もするがとにかくだ。彼女が食われる前に大きな声で助言する。
「そいつ見た目より弱いから落ち着け!
蔓切って花の下にある白い部分を狙えば───」
「無理ぃぃいぃぃっっっ!!」
「はよせんと食われるぞ」
「それも嫌ぁぁぁあぁっ!!」
涙目になりながら、彼女はそう言ってスカートから手を離し、素早く蔓を切り裂いて拘束から逃れる。そして態勢を立て直すと、俺の言った弱点を射程に入れ、大きく短剣を持つ手を引き絞る。
「っ、この………ッ!!」
羞恥か怒りか、そんな言葉が続かぬうちに、深紅を纏ったソードスキルが食人花の弱点へと放たれる。重単発型だろうか、その一撃は見事に食人花Mobの首(茎?)を刎ね、HPバーを消滅させた。
光の欠片となって爆散した食人花を前に、着地したシリカは此方へと振り向いて問うた。
「…………見ました?」
「見てないよ」
「本当は」
「不可抗力でしょあれ」
拳が飛んできたので避けた。
◆◆◆◆◆
「無理ですぅぅぅうぅぅぅっ!!」
そして数分後。
今度はイソギンチャクのような粘液に濡れた触手を伸ばしたMobを前に、花畑に再び絶叫が木霊する。こいつデザインした奴さぁ………ほんとに。
また涙目になったシリカは俺の背中に回ると、俺を盾にして隠れ、顔を出す。
「じっ、じじじジンさん!!
無理!! 無理ですっ、私無理ですっ!!!」
「あー………うん、俺がやる。
だから後ろを警戒してくれ……」
正直、俺もこういう奴は無理なのだが……………虫とか
幽霊はともかく、このヌメヌメしてる触手は…うん、
ちょっと、いやかなり気が重い。
腰の直剣を抜き、シリカにタゲが行かないよう前へ出て右足を下げ、左手の剣を正中に構える。どんな攻撃が来てもバランスを崩さぬよう右手は広げる。
「気持ちわるいんだ────よっ!」
粘液を帯びた気色悪い触手が、拘束しようと迫る。数は3、触られたくもない。腹を狙ってきた最初の触手を斬り落とすと同時に走り出す。
最悪の事態に備えて、彼女には渡した脱出用の転移結晶をオブジェクト化させている。少し離れる程度問題はないし、レベルもそれなりに上げさせた。
触手を斬り払い、イソギンチャクの本体へと接近。見たことないMobだが………レベル差は十分過ぎる。慢心とまではいかないが余裕を持って、迫る触手を斬り飛ばして弱点をさが─────
「むぐ、っ……?」
その触手の奥、体内と思わしき場所から飛び出した細い線に、胸を貫かれる。ズクン、と鈍痛が走り、それに思わず身体が怯む。
「毒針か───!」
触手に多いと聞くが、分布は分類によって様々だ。そしてこいつはそれを体内に持っており、おそらく継続してHPを減少させる毒を保有する毒針。
小癪な真似を。
だがシリカを前に出さなくて正解だった。そして、完璧なものではないが毒耐性スキルは持っている。毒も麻痺も、それこそ死ぬほど味わった。そもそも自動回復の方が回復量を上回っているし。
そして、弱点も見つけた。
恐らくだが、この触手に守られた槍糸の射出口だ。そこへ、振り上げた剣を思い切り突き立てる。
「おぉ、らぁっ!!」
瞬間、迫って来ていた触手の動きがピタリと静止し本体も、俺を貫いた槍糸も、その動きを止める。
イソギンチャクを形成するポリゴンが崩壊を始め、そして一気に収束、強く弾け飛んだ。
「わっ───!」
シリカの驚きの声が聞こえてくる。
フィールドボス的な存在だったのだろうか。まぁ、こんな気色悪いMobが狩られないのも無理はない。
弾ける瞬間に後ろに飛んで距離を取り、光片の嵐を見届けて俺は握っていた剣を鞘へと納めた。そして視界の隅で毒のアイコンが消える。毒耐性スキルが功を奏したようだ。
「す、凄い………」
「まぁ随分と派手に消えたもんだ」
呆然としている彼女の方へ歩み寄り、向かい合う。
彼女は俺に気付いていなかったようで、ハッとして
引きつらせた顔をこちらへと向けた。
「なんだったんですかあれ………」
「知らねぇよ……毒針まで持ってやがったし、
まぁ単体沸きだろ、今後二度と会いたくねぇわ」
「そうですね………って、毒針!?
えっちょっ、大丈夫なんですか!?」
「避けたよ。ていうか海洋生物だよねあれ。
槍糸つってさ、クラゲとかが持ってるやつ。
なんでこんなメルヘンチックな花畑にいんのさ」
「ここにいるモンスターのせいで
もうメルヘンチックに思わないんですけど」
真顔で言うシリカには完全に同意である。どうして思い出の丘なんて名前で触手ばかりなのだろうか。黒猫殺しよりも今やこれが一番のトラップである。
「はぁ………最悪だ。後で温泉でも行こうかな……」
モンスターが消滅した今はないものの、触手が纏う粘液に濡れてしまったので、そんなことを呟いた。その時、バッとシリカが顔を上げる。
「おっ、温泉!!?
温泉があるんですか!?」
「うん、あるよ。
何層だったっけ……確か安全地帯だ。
隠し通路があって、そこから入れた筈だけど」
その時は驚きやら嬉しさやらで思わずマップに印を付けただけで終わったが、確かまだ誰にも教えてはいなかったと思う。いやアルゴに売ったか………いや多分あいつも黙ってそうな気がする。
結構前に準備して行ったが普通に気持ち良かった。湯の温度も丁度いいくらいに熱かったし、良すぎて他の皆に教えるのも忘れていた。
「あの……教えてもらったり、とかは……」
「帰ったら、な。ピナも連れてくんだろ?
護衛しながら連れてってやるよ」
「っ、はい!」
気合いを入れて頷く彼女と共に、更にMobが増え、急勾配になっていく丘を進んでいく。
目的地は、あと少しだ。