SAOに来たんですが、キリトさんがいないようです   作:青い灰

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主人公は口悪いけどそういう性格設定です。




死にたくないのは普通ですしおすし

 

 

 

「な、なんで、私の名前を………?」

 

「あー………この手のゲーム、情報屋がいるんだよ。

 まぁ立ち話もなんだし、町に入ろう。

 Mobが寄ってきてもあれだし、なにより疲れた」

 

 

軽く息を吐き、町へと戻る。

そういえば、という感じで思い出したが

アスナはこの頃ゲームについての知識が

ないことを思い出す。

 

適当な飲食店でパンのようなものを

2つ買い、近くの噴水近くのベンチに座る。

彼女はフードを被り直している。

あまり人に見られたくないのだろう。

 

そもそも女プレイヤーが少ないという話だったが、

本当なのだろうか。

男が多いのは確かだが、女もちらほらいる。

 

 

「ほれ」

 

「……っと…ありがとう……」

 

 

買ったパンの片方を投げ渡す。

早速本題に入らなければ。

行儀は少し悪いがパンを齧りながら話し出す。

 

 

「ま、聞きたいことがいくつかあるんだよ」

 

「……………」

 

「もう一回聞くが、黒毛の片手直剣の男……

 名前はキリトって言うんだけど、知らないか?」

 

「知らない………けど……討伐隊の中じゃないの?」

 

 

首を振るアスナだが、それは違う。

パーティーを組んでいたハズだから、

知らないとおかしい。

 

………えらいことになった。

まさかキリトがいない世界だとは………

ともかく、軽く咳払いをして話を変える。

 

 

「じゃあ2つ目だけど、ボス攻略の本は見た?」

 

「一応は………配布されてたから……だけど」

 

 

まぁ、間違いの情報だが。

ボスの攻略本はβテスターたちが作ったものだが、

実際は茅場がデータを弄ったせいで

違うものとなっている。

彼女の言葉を予測して言う。

 

 

「タルワールじゃなく、野太刀だった、か?」

 

「っ!?なんで知って………!?」

 

「実はオレも討伐隊にいたからな」

 

「そうなの!!?」

 

「声がデカイぞ」

 

「あ、ご、ごめんなさい………」

 

 

ま、嘘なんですけどね。

都合の良い嘘だが、

これで怪しまれることはなくなるだろう。

 

 

「お互い、なんとか逃げきれて良かったよ」

 

「…………だけど、あの人たちが」

 

「野太刀のソードスキルも学習できた。

 次に生かせるようになったじゃないか」

 

「っ、あなたは………

 あの人たちを犠牲だって言うの!?」

 

「仕方ない、とまでは言わねぇけどさ。

 じゃあ何だ?お前は一緒に

 あそこで死にたかったのかよ?」

 

「こうやって生き残るくらいなら………

 あそこで殺されていた方が良かった!!

 貴方は違うの!?

 見殺しにして、勝手に逃げて!!」

 

 

お前がそれを言うのか………

若干困惑するが、まぁ的を得ている。

あと声が大きいと何度言えば。

胸倉まで掴まれて逃げられないし。

周りの目がキツいよ?

 

とにかく、的を射てはいる。

だが、その考えは間違っているだろう。

 

 

「────馬鹿だろ、お前?」

 

「……っ………!?」

 

 

溜め息をつき、

彼女で睨みつけながら、静かにそう言い放つ。

 

 

「死ねば良かった?

 ならさっさと下に飛び降りたら良いじゃねーか。

 討伐隊の奴等に会えるんじゃないか?」

 

「っ………」

 

「ほら黙る。オレを助けるフリして

 あんな無茶なレベル上げに命張ってさ?

 こう言葉にされて馬鹿だと思わないか?

 頭を冷やせ、死にたくなけりゃな」

 

「………………あなたに、何が」

 

「分かるっつーの。

 同じ討伐隊だって言ったぞ?

 話を逸らそうとしても無駄だ」

 

「っっっ…………!!」

 

 

煽りまくる。

とにかく、こんなおかしくなった奴は

一度思いっきり溜め込んでるものを

吐き出してやらねばならない。

 

まぁそれを許さないで追撃し、

一方的に追い詰めていく。

が、それもここまでだ。

 

少し間をあけて、言う。

 

 

「だから、戦うんだよ」

 

「………え?」

 

「これからも死人は多く出るだろう。

 また同じ間違いを繰り返してどうする。

 死んでいった連中と同じ地雷

 踏み込んで死にたかねぇだろ?

 いや、そもそもだぞ?」

 

 

呆れ顔で言い放つ。

 

 

 

「死にたいって思うのは悪くねぇけど、

 『死にたくない』って思うのが普通だろーが」

 

 

 

虚を突かれた顔で呆然とする彼女。

あ、これ癖になりそう。

こんな相手を『は?』って呆然とさせるの楽しい。

 

 

「奴等も死にたくて死んだわけじゃない。

 それは皆同じだって分かってるだろーが。

 だから……そいつらの分まで戦う。

 それでいいだろ、全部」

 

「で、でも……私は、私たちだけが、生き残って」

 

「生き残ったお前を責める奴はいても、

 怖くて震えて戦ってすらいねぇ奴に

 生き残ったお前を責める権利なんざねぇよ。

 だから安心して言って良いんだぞ?」

 

 

最後に、笑って言う。

話の締めくくりはさっぱりすれば良い。

 

 

 

「『生きてて良かった』ってさ」

 

「あ………ぁ…う……っ……ぇぐ……」

 

 

その零れ伝う涙は嬉し涙か、

それとも溜め込んだものが溢れたのか。

まぁ別に興味もないが、まぁこれで。

 

 

 

 

「話は終わったから行くぞ。

 周りの目がキツい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泣きじゃくる彼女の腕を引きながら、

逃げるようにその場を離れる。

 

 

 

 

 

……………これでオレも生き残り判定食らったなぁ。

周りの奴等に聞かれてたし………

ヘイトが集まるのは嫌なんだけど………

 

 

 

 

 

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