SAOに来たんですが、キリトさんがいないようです   作:青い灰

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ヒスイの地オリチャーRTAから帰ってきました。
うぉろさんゆるしてチャートこわれる((急所連発




消え失せぬ悪意

 

 

 

「誰それ?」

 

 

俺が驚きに打ちひしがれていると、考えれば確かに何も知らないであろうストレアが首を傾げた。

ストレアがいつ生まれたのは分からないが、恐らく俺がPoHと殺し合ったときよりも後だろう。

 

 

笑う棺桶(ラフィン・コフィン)………聞いたことあるでしょ?

 今は勢いを失ってるけど、かなり大きい組織で、

 PoHって奴はそこのリーダーだったの」

 

「………悪い人ってこと?」

 

「人殺し……レッドギルドって言えば分かるわよね」

 

「っ……なんで、そんなことするの……?」

 

「連中は楽しみたいだけなんだろうよ。

 オレたちが殺し合うように仕向けたり、

 殺したり………頭がおかしいとしか思えねぇな。

 昔からそんなことばかりやってやがんだ」

 

 

青ざめるストレアの前で、クラインが悪態をつく。だが、だから終わらせたと思った。まだひっそりと活動を続けていると聞いたことはあったが、かなり勢いも落ちたとも聞いた。

 

解せない。

あいつは殺したハズだ。

 

あの時、確かに─────────

 

 

 

 

『終わりか』

 

 

 

 

詰まらなそうな、だが狂喜の浮かんだ狂人の笑みが脳裏を過る。あの時、奴は笑っていた。奴は自分で殺すことよりも、他人に殺させることを好む。

 

俺を人殺しに出来たことへの嬉しさ。

だが自らが死んでしまう、その残念さ。

 

最期の言葉は、その2つの意味を含んでいた。

狂人だったが分かる。奴は奇しくも俺たちと同じ、確かにこの世界で『生きて』『殺して』いた。

だからこそ奴は、絶望を与え続けてきていた。

 

 

 

「俺が殺した」

 

 

 

確かにあの時、殺した。

せめて言葉にして、それを証明付けようとする。

 

 

「殺した筈だ、確かに…………」

 

 

生きているかもしれない。

その言葉を、ひた隠しにしていた悪魔への恐怖を、振り払うように顔を手で覆う。

 

 

「あの時……殺した、筈で「ジン!!」っ!?」

 

 

名を呼ばれ、それに驚いた俺は思わず立ち上がり、臨戦態勢に入っていた。背中にある筈の得物に手を伸ばそうとして、その武装を全て解除していたのを忘れ、即座にメニューを開いて─────

 

 

 

「───────ぁ…………」

 

 

 

そこで、やっと視界が開けた。

驚愕、焦燥、心配……………様々な感情を顔に浮かべた皆が目に入り、やっと正気を取り戻す。

 

 

「───────」

 

 

全身から力が抜け、膝から絨毯の上に崩れ落ちる。立ち上がっていたアスナが、必死の形相でこちらに駆け寄ってそれを支えてくれた。

 

忘れていた呼吸を思い出し、咳き込む。

 

 

「ごほっ、っ、げほっ……! う、あ……」

 

「大丈夫!?」

 

「だい、じょう、ぶ……大丈夫、だから………」

 

 

アスナの肩を借り、荒い呼吸を整える。

この世界で呼吸が荒くなることなどない筈なのに、という疑問すら忘れて、呼吸を繰り返そうとする。

そしてそれを思いだし、感覚を取り戻す。

 

 

「あ、れ……どうして、俺、咳き込んで……?」

 

「……もう大丈夫そう?

 リアルの感覚を思いだしたんじゃないかしら……

 すごい顔だったし……仕方ないと思うわ」

 

「……………………もしかして……」

 

 

落ち着き始めたからだったのか、その誰にも聞こえないような、ストレアの小さな呟きが耳に入った。彼女の方へ視線を動かすと、その細められた赤眼と目が合う。彼女は慌てたように視線を泳がせる。

 

どうしたのだろうか。

 

 

「……ストレア?」

 

「えっ!? ………だっ、大丈夫!?」

 

「あ、あぁ、もういい……けど」

 

 

取って付けたような『大丈夫』の言葉に更に怪しくなるが、まぁ今はそれよりも、だ。

 

 

「アスナ、悪い。もう大丈夫だ」

 

「あ、うん」

 

「ありがとう……………いや、

 本当に話逸らしたな、ごめん」

 

 

アスナに離してもらい、皆に頭を下げてそう謝る。それぞれ首を横に振ったり、息をついたりと反応はそれぞれだが、許してもらえたようだ。

 

 

「ふー……焦ったぜ、全く。

 お前があんな風になるなんてなぁ」

 

「私も見たことなかった……」

 

「そりゃ格好悪いとこ見せたな……」

 

「いやいや、おめーも人間だっての。

 そんなこともあるってもんよ、な?」

 

「………さんきゅ、クライン」

 

 

クラインにも助けられてばかりだ。そう礼を言って椅子に戻り、腰を下ろす。アスナも隣に戻って座り話を再開する。

 

 

「改めて悪い……で、話はどこまで進んだっけ」

 

「ストレアに説明が終わったとこだね。

 今から本題に入るけど……本当に大丈夫?」

 

「大丈夫だ、うん」

 

「なら、話を戻すか」

 

 

アスナの代わりにクラインが話を始める。

また怖気に襲われぬよう、少し肩の力を抜く。

 

 

「事の始まりは、28層のギルド失踪事件だ。

 それはお前たちも知ってるだろ?」

 

「うん、確かギルドの全員が失踪したんだよね。

 いないを気にしたギルドの元組員が

 ホームを確認したんだけど、もぬけの殻」

 

「メールも既読すらつかない、

 そいつは生命の碑を確認にいったが、

 全員の名前に横線が引かれてることはなかった。

 結局、ただの旅行か何かだろう、って

 片付けられた。一月前の事件だったか」

 

 

ストレアの言葉を引き継いで、その事件について、簡単な言葉にしてみる。その大事になった事件は、前線の俺たちの耳まで届いていた。当然捜索などは行われず、調査の依頼を出していた奴が少しの間は捜索依頼を出していたらしいが、最後は渋々という様子で諦めたのだとか。

 

最早、今となっては誰の興味も引かぬ事件だ。

頷いたクラインは、暫しの沈黙の後に口を開いた。

 

 

「そいつは毎日、生存確認に行ってたみてぇだ。

 で………昨日の朝、リーダーが帰ったそうでな」

 

「そりゃ良かった、とは言えないのか」

 

「あぁ、リーダーもギリギリで生きてたらしい。

 それで……リーダーはその後、外周から飛んだ」

 

「…………サバイバーズ・ギルト」

 

 

クラインの言葉に驚いていると、ストレアが呟く。その言葉の意味が理解出来なかったその場の数人が訝しげに眉を寄せる。知っている言葉だ。どうやらアスナも知っていたらしく、その意味を説明する。

 

 

「虐殺、災害とかに遭った人が

 『どうして自分が生き残ってしまったのか』、

 そんな風に亡くなってしまった人たちに

 罪悪感を感じるようになること、だったわね」

 

「そいつも耐えきれなかったんだろうな。

 しかし、それとPohがどう繋がるのかがな………

 で、続きがあるんだろ」

 

 

その心中は察するに余りあるが、まだまだ繋がりが見えて来ない。そう言ってクラインの方へと視線を向けて、続きを催促する。

 

 

「あぁ、まだ話は終わってねぇ。

 リーダーの証言を、アルゴの奴が取ったらしい。

 あいつは今は来てねぇが………これだ」

 

 

そう言ってクラインが取り出したのは、メッセージ録音用の、青に近い緑色をしたクリスタル。確か、原作でサチがキリトに送り、メッセージと『赤鼻のトナカイ』を録音したものだったか。

 

クラインはそれをテーブルの上に置き、再生する。

 

 

 

『………全員、拉致されたんだ。

 逆らえば殺すって、髑髏面の奴に言われて』

 

 

聞こえてきたのは、男の声。件のリーダーだろう。

 

 

 

 

『洞窟みたいなとこに連れて来られて……

 ギルドの仲間同士で殺し合いをさせられた。

 死にそうになる度にそこにいた奴等に

 回復結晶で回復させられて……もう嫌だった!

 1ヶ月の間、ずっとだ!!

 それで…『飽きた』って、そいつらの中にいた

 鉈みたいな武器を持ってた不気味な奴が……

 それで全員、一撃で、あいつに…………

 俺は、それに耐えて『逃げていい』って……っ、

 連中がいなくなっても、見張られてる気がして、

 いや、あいつらは今も俺を見て笑ってる!!』

 

 

『……はぁ、落ち着いたよ、あぁ。

 ちくしょう、みんな………なんで、俺だけ……

 ………………そいつは、マントで顔が見えなかった。

 軽い口調の奴で……ぁ、今、分かった、けど、

 俺たちをずっと、本気で殺し合うよう仕向けて

 ……そいつが、ボスって呼ばれてて……え、ぁ、

 笑う、かん、おけ……ボス……あ、ぁあ───!』

 

 

 

 

 

 

 

恐怖の悲鳴は、録音が終わるまで続いていた。

 

 

 

 

 

 

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