世界の終わり
プロローグ
広大な砂漠の中でただ一人。
仲違いし、最後の最後まで分かり合えなかった幼馴染の亡骸を抱き、大切だった少年の仇の死体が砂漠の砂に埋もれていく様を視界の端に収め、太陽と月が重なる不気味な空を仰ぐ。
自分も幼馴染も仇もひどい姿をしている。
顔も腕も足も……身体全身が傷だらけどころか風穴が空いており、流れた血で砂の大地を汚し、空気はあたり一面鉄くさい。
正直に言うと、自分でも何で生きているのかと言うほどの重傷だと思う。
だけど……全てがどうでもいいぐらいに疲れているはずなのに、ある存在に対する怒りと憎しみで力が沸々と湧き上がってくる。
「お前に……みんな……全て奪われた」
一人の少年と出会ったことが全ての始まりだった。
別な世界から来たと言う、可笑しな少年。
何の力も無い、ただの人間。
そんな無力な少年と目の離せない幼馴染み、そして私……この3人と『みんな』で、ただ平和に暮らしたかっただけなのに……
どうしてこうなってしまったのだろう……
「……返せ」
『奇跡を叶える代わりに代償を払う』
それがこの世界の法則。
砂漠で、凍土で、灼熱の大地で、みんな水を、食べ物を、幸せを願った代償に身体の一部か、人間として大切な何かを消費する。
この【等価交換】と呼んで良いのか分からない法則に『みんな』大切な何かを無くしていった。
罪悪感を、道徳を、満足感を……その【等価交換】の果てが、この見渡す限り砂で埋もれた乾いた世界。
もう世界の何割が砂なのかすら考えるのも嫌になる。
砂の世界にした張本人は世界を砂で埋め尽くすつもりは無かったのだと理解している。
その人を倒したのは私だからある程度のことはわかる。
アレは狂っていた。
狂っていたから自分が何をしているのか、自分が何を望んでいたのかすら分からなかったのだ。
「…………返してよ」
しかし……いや、だからこそ、その人を倒して生き残った私は理解した。
この世界の神は何を望み、何を目的としたのか。
その理由が……その所業が許せない。
「『みんな』の大事なものを返せ!!」
天を睨み、天に叫ぶ。
お前の望み通り力を手に入れた……
だけど、お前の思い通りにはさせない……
この世界をお前には任せられない……
最後に残った私がお前を倒す……いや、私が倒さなくてはいけない!
その代償に何を支払っても、この世界を破壊してでも……散っていった『みんな』の為にもこの世界を救う!!
自分の中にある『何か』から力そのものを無理やり絞り出して、
〔みんなの願いが叶うのなら〕
〔天に祈り、地に思いを馳せよう〕
〔ああ、どうかみんなを守らせてほしい〕
引き出した力で私の【奇跡】を組み上げ……
そして、私は拳を握りしめて、振りかぶり、天に向けて拳を振るった。
この世界は滅ぶことが決まっていた悲しい世界。
一人の少年がこの滅びの世界に迷い込んだことで、その物語は加速した。
その少年は何を見て、何を感じ、何を成したのか……
次回からシリアス成分75%OFFとなりお身体に優しいお話となっております
2022/7/25
※地の文などを全体的に修正
※最後の登場人物の言動を修正
「行くぞぉぉぉおおおお!!!」
↓
そして私は拳を握りしめて、振りかぶり、天に向けて拳を振るった。
追記
この話に登場した人物は怒りと憎しみで論理的に考えられておりません。
世界を壊したいのか、救いたいのかチグハグになってます。