終わってしまう世界の果てで   作:チャイナドレス先輩

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書こうと書こうと思ってたらいつの間にか4ヶ月が過ぎていた……
これが小説を書くという方なのか?

まあ、やばいと思ったのが今年の5月末で、そこから設定やストーリーの見直しや設定の追加などで半月、ダクソの誓約マラソンで半月、テリワンレトロに再びハマって更に半月……ほほ自業自得ですね。

今後は定期的に投稿できるように頑張ります


4話:いや、いつもはもっとちゃんとしているよ?だけど予想外の事が重なって正常な判断ができなかったんだ。信じろ。

これは夢だ。

 

「……やめろ」

 

いつも見る夢。

 

「……やめろよ」

 

自分の罪と後悔が見せる実際に起こった過去の出来事だ。

 

「やめろ!!こっちに来い!!」

 

山に遊びに行こうなんて言わなければ良かった。

今日、山に遊びに来なければ、熊に襲われずに済んだのに。

俺は熊に左腕をズタズタにされ、痛みに震えることなんてせずに済んだのに。

一緒についてきた幼馴染の少女は熊に殴り飛ばされて全身血まみれにならずに済んだのに。

 

「こっちに来いって言ってんだよ!!」

 

熊はこちらを見向きもしない。

小便チビらせて、歯をガタガタ言わせて怖がっている俺の事は『脅威』としてみていない。

そんな『無力』なガキより、俺より重症な幼馴染の方に行く。

『食事』を優先して、幼馴染の方に行ってしまう。

 

 

 

 

今、俺が無力だから『彼女』も死ぬし俺も死ぬ。

嫌だ……そんな終わり方は嫌だ。

俺はどうなったていい、だけど彼女だけは助けたい。

何を犠牲にしたっていいです。

どんな力でも構わない

 

 

≪その願い、叶えてやる≫

 

ふと、声が聞こえた気がする。

 

≪しかし、貴様には【資格】がない≫

 

その声が何を言っているのか分からない。

 

≪故に、その【代償】は身体で支払ってもらう≫

 

男の声なのか女の声なのか。

 

≪腕か?足か?目か?それとも臓器か?≫

 

若いのか老いているのかも分からなかった。

 

≪まぁ、俺には【資格】を持たない奴なんてどうでも良い≫

 

だけど、その声は。

 

≪しかし、願うのが少し遅かったな?≫

 

とてもムカつくことを言っていた気がする。

 

 

***

 

 

砂漠都市オービヤ

 

とある宿の一室

 

 

「うぅ~、頭痛ぇ……」

 

俺の名前はテル。

身長は174cm、髪の色は栗色で髪型はロングヘヤー。

筋肉で引き締まったボディが自慢のナイスガイだが、本日は寝起きから調子が悪い。

まずは悪夢を見たことから始まり、次に頭痛を感じる。

その痛みはまるで頭を鈍器で殴られたかの様にズキンズキンと痛む。

昨日はどうやら飲みすぎたようで、昨日の記憶が曖昧だ。

確か金髪でおっぱいの大きい少女が俺たちの宴に何故か参加していて、何だかんだで一緒に飲み食いをしていた事はまでは覚えているのだが……断片的に覚えているのは……バカみたいな大きなバカの声……ちっぱい……寸胴鍋……だめだ、これ以上思いだせない。

思いだそうとすると頭痛が大きくなる……

 

「あ、起きましたか。もうお昼になりますよ?はい、これお水です」

「あぁ、ありがとう」

 

ベットに寝ていた身体を起こしたら隣にベットに座っていた金髪でおっぱいの大きい青い修道服を着た少女から水の入った『水滴の付いている』コップを手渡される。

取り合えずこの『キンキンに冷えた水』を飲み、今日は休みなのでどのように過ごすか考え……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……って、アレ?

 

 

 

 

「……」

「……ん?どうかしましたか?」

 

ジーっと、その少女の服装を見る。

青い修道服……それは、この世界最大の勢力【教会】の【聖女】である証。

俺らみたいな『奴隷商』のような卑しい奴とは関わりはない存在、なのだが……

 

「……なんでお前ここにいるの!?」

「?」

 

コテンと可愛く首傾げてんじゃねーよ。

 

 

***

 

 

【教会】

【聖人】や【聖女】を世に出し、人間が生きずらい世界で俺たちが最低限生きていられるようにしてくれている。

この世界の人間は【教会】の協力なしでは生きられない。

故に、この世界にいる人間は【教会】には『絶対』に逆らう人間はいない。

【奇跡】を起こす【聖人】や【聖女】の育成を行い、世に出し、世界に安定をもたらすのが最大の役目。

 

 

……なのだが。

 

 

「何でお前は俺たちと一緒にいるんだ?」

「それは……色々あって」

 

先日、奴隷商を営んでいる俺たち男4人はこの少し良い宿に泊まった。

部屋が2人部屋が2つしか空いていなかったから、俺たちはその2つの部屋を借りてから酒場に向かった。

部屋にはベット2つ、ソファー1つと結構広く、ソファーで寝れば1つの部屋で大人3人は寝れるようになっている。

俺が酔い潰れている(?)間に何かがあって、現在この少女が急遽、俺たち4人と一緒に行動するようになって発生した寝床問題は、他の3人は少女と俺を一緒の部屋にさせ、自分たちは男3人で一緒の部屋になったんだろう。

そして、誰がソファーで寝るか争って、何やかんやあって親分がソファーで寝たのだろう。

間違いない。

うん、床でも良かったから俺も同じ部屋が良かったなかな?

 

現在、俺たちはお互いのベットに座って向かい合っている。

出口側のベットに少女、窓側のベットに俺が座っている。

俺は昨日の服装のまま、白いチュニックに細いベルトに灰色のズボン。

少女は青い修道服で、ベットの端には茶色のコルセットベルトと荷物が入るであろう皮製のバック、あと折り畳まれている白い布(多分マントだろう)が置いてある。

あのコルセットベルトをこの少女がつけたら素晴らしいモノ(おっぱい)がより強調される(素晴らしくなる)ことだろう。

 

「理由になってないぞ?」

「それよりお仲間から手紙を預かっていますので、こちらを参考にしたほうがよろしいかもしれません」

 

誤魔化すように少女が手紙を近くのテーブルから取り、一度断ってから『左腕』の無い俺のために、手紙を開封した状態にして手渡してくる。

少女から渡された手紙を受け取り、何が書いてあるのかを確認する。

 

〈その【聖女】の面倒を見といて。これ親分命令な。守れなかったら減給〉

〈酔いつぶれたあなたを宿まで運んだんですから、彼女のお守りで貸し借りが無くなると思ってください〉

〈間違っても襲うなよ『おっぱい星人』?『色々』と危険だから……〉

 

「………スー、ハー」

 

手紙の内容が『良く』理解できたので深呼吸をして、口を大きく開く。

 

「あのクソ野郎共が!!」

 

仲間たちからの手紙(ゴミ)を握りつぶして叫ぶ。

厄介事を俺に押し付けてどっか行きやがった!!

そして誰が『おっぱい星人』だボケェ!!

いや、確かにおっぱいは好きだけど!!

仮にこの手紙が見られていたら俺の心証最悪だったんですけど!?

この【聖女】なら手紙を勝手に見ることは無いとは思うけど、俺が『左腕』無いこと忘れてない!?

善意で手紙を開封してから渡してくるかもしれないだろうが!!

実際そうだったし!!

そして、結局この娘と一緒にいる理由が一切分からないんだけど!?

荒む心を落ち着かせて、少女に向き直る。

 

「あー、何点か確認したいんだが……えーと」

 

酒場で自己紹介されたが、なんて名前だっけ?

何で俺はこんなにも昨日のことを覚えていないんだ?

そして、俺は何でこんなに頭が外からも中からも痛むんだ?

少女は俺が名前を聞こうとしている、あるいは忘れたことを察して再度自己紹介をしてくれる。

 

「シュガーです」

「悪いな。俺の名前はサヴィだ」

「はい、サヴィさんですね。見ての通り、私は【教会】所属です。任務の帰りでこちらの都市に立ち寄ったのですが、【聖都】から【砂漠都市】の間でC級の危険生物が大繁殖していて、その区間立ち入り禁止になって移動が出来なんですよ。それで、この都市に暫く滞在することになりました」

「そうか、よくわかった」

 

危険生物が大繁殖していることは知っている。昨日飲みに行く前の親分の話では、討伐隊の数が足りないので民間からも募るようになり、報酬が出るはずだから俺にも参加しろとか言っていたな?

『雑魚』のC級なので俺なら余裕とか言っていたが、その『雑魚』が大繁殖しているので、実際の脅威度はB級の上位、もしくはAの下位とか鼻がないうちの会計担当が言ってた。

確かにそんな状況なら安全が確保されるまで道が封鎖されるから言っていることに違和感はない。

……しかし、だ。

 

「それで?結局何で俺たちと一緒にいるの?【聖女】なら護衛の【騎士】が一緒のはずだろう?」

 

目に見える『欠損』がないので、この【聖女】は『教会の戦力』でもあるが、それ以上に重要人物である存在なので、単独行動は流石にありえない。単独行動が許されているのは【片翼の聖女】のみで、その他は必ず複数人での行動で、最低でも2人コンビでの行動になるはず。

シュガーが【片翼の聖女】であれば何もおかしくは無いが、残念ながら別人だ。

【片翼の聖女】とは一度戦ったことがあるから姿は分かっている。

……いやー凄かったね【片翼の聖女】。

流石は『教会の最高戦力』。

思い出したら怖くて眠れなくなるのでこれ以上考えないようにする。

……反則だろあのスピード。

 

「……実はやむを得ない事情で【騎士】のレーナとは分かれているんですよ」

「へー、やむを得ない事情ねー」

 

目を逸らすなこっちを見ろ。

目を逸らしても目が泳いでるのは分かるんだよ。

まあ、この場で嘘を暴いたとしてもどうせ一緒に行動することになっているで時間の無駄だし、何か理由があって分かれているのは本当らしい。

そしてそんな嘘を追求して時間を浪費するよりも重要な事がある。

 

それは……俺は今とても腹が減っているという事だ。

朝食わないでずっと寝ていたらしいので相応に空腹を感じている。

 

「とりあえず昼飯を食いに出かけよう。この宿は朝飯はでるが、昼飯と夜飯はでないから外で食べてくるしかない」

「わかりました。あなたのマントは私のすぐ後ろにあるので取りますね」

「いや、取らなくていい」

 

砂漠の街なので、日差しが強く日焼け防止のマントの装備が必須になる。

現在俺はベッドに座っていて、マントを掛けてある出口付近の壁とは2mほど離れている。

彼女の言う通り、彼女のすぐ後ろにあり普通なら彼女に取ってもらって受け渡された方が良いだろう。

『普通』ならな。

 

「その距離なら『取れる』」

 

俺はマントをとるために、肘から上の無い左腕を日焼け防止用のマントに向けて……【光る腕】を発生させる。

【光る腕】はその名前の通り『光る左腕のことだ。俺が【奇跡】を望む事で得た能力。その腕は太陽のような炎のようなオレンジの発光体で構成されている。太陽のようなと表現したがそこまでの光はなく、蝋燭の火程度の光なので日中はそんなに目立たない(発光しているので夜ならとても目立つ)。

【光る腕】を伸ばしてマントを取り【光る腕】を元の長さに戻して、マントを肩にかけ【光る腕】を消す。

『光る腕』は消える際にキラキラと散るように消える。

……フッ、決まった。

フフン、カッコいいだろう?

惚れても良いんだぜ聖女様?

 

「よし、準備できたから行くぞ」

「……」

「ん?どうした」

「そういえば、昨日からあなたは服装も身体もそのままでしたので流石に色々準備して欲しいのですが……」

「……」

 

この少女には部屋の中にいてもらい、外で体を洗ったり着替えたりで10分ほど待ってもらった。

……締まらないなぁ。

 




前回、世界の『法則』などを説明すると記載しましたが、あれは嘘です。

よくよく考えたら金髪聖女のシュガーメインの回に必ず2人登場させなくてはいけないことに遅れながらにも気づきました。
もっと多く書けば良いけど、隻腕男テルの締まらない落ちで話を締めたいのでシュガーの話はここまで。

シュガーメインと書いておきながら殆ど男のことしか分からない点はご容赦下さい。

次回はいかがわしいお店に突撃をしたレーナの話になります。

こちらは今月中に投稿出来たら良いなぁ。

2022/7/31
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テル→サヴィ

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