めちゃくちゃ堂々とあの方とか言ってるが第三勢力なんて存在しない   作:幽 

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お久しぶりです。原作で新事実が明らかになり、どうしようかと悩んでいる内に軽く一年が過ぎておりました。

pixivの方でリクエスト企画をしているのですが、そちらで続編をという声が有り、これを機にと投稿しました。
感想いただけましたらうれしいです。


密通者が騙る

「おうおう、こりゃあ、いい面がそろってなあ。」

 

のんびりとしたそれに京都校の人間は声の方を見た。そちらを見ると、着物を纏った男が立っていた。黒い、木作りの鬼の面を被っている。

唯一、露出された口元は皺が寄っている。

顔は見えないが、微かに煙草のにおいを漂わせた男は伊達男、なんて単語が似合いそうだった。

 

「・・・何者だ?」

 

京都校の面々は、それぞれ構えを取る。狭い呪術界隈で見たことのないそれは確実に警戒を誘った。

 

「ああ、いや、作戦会議を聞こうとしたわけじゃねえんだ。」

 

老人はそう言って、壁に体を預けるように力をかけた。ゆったりと笑った口元が老人の得体のしれなさを表していた。

それを見ていた三輪霞は今までで見たことのないそれにどきどきした。西宮桃はぐっと箒を握った。

 

「俺は、ああ、そうだ。今は黒鷲っていう男さ。五条悟の、知り合いだ。楽巌寺殿に用があってな。」

「五条?」

「・・・わしにか。」

「ああ、簡単なことをな。」

「こちらも暇な身ではなくてな。」

 

それに黒鷲は淡く微笑み、そうして、肩をすくめた。

 

「それなら。」

「おい。」

 

楽巌寺を見ていた黒鷲は声の方を見た。それに加茂憲紀は反応する。声の主である東堂葵は黒鷲をにらみ付けた。

 

「・・・ああ、なんだい、坊主。」

「てめえが爺さんにどんな用があるかは興味がねえ。こちとら気分がわりいんだ。」

「虎杖悠仁を殺す算段でも立てていたか?」

 

それに楽巌寺の眉がぴくりと動いた。

図星だった。虎杖悠仁に関して、保守派の人間からはどうするのかと話が出ていた。

が、五条の言っていたそれに、これ以上の懸念事項を背負うのを避けたい人間が出てきた。

 

ならば、今回を機に虎杖悠仁を始末するという方向性に決まったのだが。

「ああ、謀略諸々好きにすりゃいい。俺に指図をしなけりゃな。ただ、俺はてめえに聞きたいことがあるだけだ。」

「ほう?」

「どんな女がタイプだ?」

 

それに部屋にいた人間がまた始まったとため息を吐いた。

東堂は目の前のそれを見た。普段ならば、あまり他人を気にしない彼は、それでもその老人を見て興味が湧いた。

ただ者ではない。それの勘のままに彼は黒鷲にそう聞いた。それに、彼はふむと首を傾げて口を開いた。

 

「そうだな。強いて言うのなら、高身長で尻のでかい女と言いたいが。」

前半を聞き、目を見開いた東堂はその末尾にがっかりしたように顔をしかめた。

「どういう意味だ?」

「昔はそうだったが、今は違うという話だ。年を取り、多くが変われば女の好みも変わる。坊主も女の好みを気にするのはいいが、選ぶ女は考えろよ。」

 

ふうと、黒鷲は一度だけ息を吐いた。

 

「女に泣かれるのは堪える。」

「女を泣かせなきゃいいだろうが。」

「はっはっは!いやあ、なかなかに言うな。確かにそうだ。まあ、出来ないこともあるってことだ。」

 

黒鷲が首をすくめるのを見ると、東堂は早々と興味を無くした。女の趣味が悪そうであることを察して、そのまま障子を蹴破って廊下に出ようとした。

 

「・・・・廊下に出たいのならば、障子を手で開けろよ。」

「あ゛?」

「暴力的な男を、えてして、女は嫌うもんだぞ?」

 

それに東堂は顔をしかめ、そうして障子を開けて出て行った。その後ろ姿に黒鷲は声をかけた。

 

「師匠によろしく伝えておいてくれ。」

 

東堂はそれに一瞬だけ歩を止めたが、すぐにまた、歩き出した。

それを見送った後、黒鷲は改めて、楽巌寺を見た。

 

「さて、騒がせて悪かったな。」

「・・・九十九由基とは知り合いか?」

「有名だからな。さて、時間が取れないのならば仕方が無い。俺としては、まあ、あんたらの虎杖の坊主への態度が知りたかっただけだしな。」

「・・・貴様も五条と同じか?」

「同じ?ふむ、同調しているというのならば、そうさな。そちらはどう考えているんだ?少なくとも、転換期には入っているのだろうが。」

「そのために宿儺の器を野放しにしろと?」

 

楽巌寺のそれに、老人はゆったりと微笑みを浮かべた。

 

「何を言う、俺の見る世界と、あんたの見る世界が同じであるのだと思っているのか?」

 

黒鷲はそう言うと、くるりと皆に背を向けて、ゆうゆうと微笑んだ。

 

「重要なのは、事実の見方だ。物事をどう見るか、それによって敵は味方であるし、同時に、味方は敵になる。」

「どういう意味だ?」

 

加茂のそれに黒鷲は人差し指と親指を立て、くるりと回した。

 

「あんたの立つ位置は、果たして正常か。いいや、もしや、ひどく歪やもしれん。」

 

黒鷲はそのまま廊下に向かい、部屋の中を振り返った。

 

「自分たちの知らない今まで存在する。長く続いた、さてそれは。」

信ずるに値する価値になるのか?

 

「いったい、何について言っている?」

「さあ?ただ、一つだけ言えるのならば。いつだって、世界も人も、己が見ている以上にねじくれているもんさ。」

 

それを忘れることは無きように。

黒鷲はそう言って、廊下を歩いて行ってしまった。

 

 

 

「・・・・ほら、言ったろう?」

 

楽しそうな声に庵歌姫は振り返った。そこには悠々と立つ老人の姿があった。着流しに、白髪の髪をしたそれは鬼の仮面を被っているせいで要素はわからない。

ただ、今現在、歌姫には目の前のそれがそこまでゆうゆうとしているのか理解が出来ない。

交流会の団体戦にて唐突に現れた帳、おまけに五条悟だけを阻むという特別仕様だ。

緊急事態の中で、その老人はやはり悠々と笑っている。

 

「黒鷲の言うとおりになったか。」

 

五条のぼやくような言葉に歌姫は目を見開いた。

 

「あんた、知ってたの!?」

「あくまで予想であって、はっきりとした確信はなかったがねえ。」

「どういうことだ?」

 

歌姫達の会話に京都呪術高専の学長である楽巌寺が割り込んだ。それに黒鷲が引き継ぐように口を開いた。

 

「・・・・呪詛師は基本的に己の欲望に忠実で、個別に動くことが多い。だが、この頃、その呪詛師に声をかける人間が出てきていてな。それに伴い、この交流会の話を五条から聞き、もしやと思い話を通しておいたまでのこと。」

 

楽巌寺は目の前の、教師達が慌てて外に出てくると同時にどこからか現れた存在である老人を見た。

老人、黒鷲は肩をすくめた。

 

「ふっふっふ、んなこええ顔をしないでくれよ。ただ、こっちも取れる手段はとりたかったってだけの話だ」

 

煙を巻くようなその言葉に楽巌寺の眉間に皺が寄る。けれど、それを五条が遮った。

 

「彼は信用できるから大丈夫だよ。それよりも、中の方が心配だねえ。」

「信用が出来るだと?こいつの正体を知っているのか?」

「おじいちゃんだって知ってるでしょ。呪石をばらまいてる奴らのこと。」

それに楽巌寺の目が見開かれた。

「そこの組織についての協力者。でもさ、黒鷲、おじいちゃんに何の用があったの?」

「いんや、本命は東堂葵だ。少し、顔を見たかったからな。建前さ。で、五条。お前さんはこのまま帳が上がるのを待つんだろう?」

「そうだけど。ああ、そうか。」

 

五条は今回の件について、黒鷲からの提案があったことを思いだした。

今回、呪詛師に動きがあるという話が夏油傑と黒鷲からあった。夏油がこの場にいないのは、呪詛師たちがまったく別の案件で集っている場合を考えて、待機をしているためだった。

そんなとき、黒鷲から提案があった。

 

「・・・今回、呪術高専に呪詛師が何かを仕掛けてくる場合、大雑把にわけて可能性が二つ。両面宿儺についてのこと。そうして、高専自体に用がある場合だ。」

それに五条と夏油は顔をしかめた。

 

「高専自体?」

「ああ、だろう。あの学校にゃあ、呪詛師も呪術師もよだれが出るような厄介ごとも、宝もあふれてるだろ?」

「・・・・宝物庫には、そうそう、入れないはずだ。」

「術式ってのは、千差万別だ。御前んとこにも、とんちきな術式持ちはいただろうが。」

方法なんてどうにでもなるのだ。

 

「・・・・黒鷲は宝物庫には、どうやって入るわけ?」

「いいや、入り口にだけ張っておく気だが。」

 

五条は黒鷲の話を思い出しながらそう言った。それに黒鷲は肩をすくめた。それに五条は頷きながら好きにすればいいと言った。

そんなふたりの様子に歌姫が叫んだ。

 

「あ、そうよ!あんた、なんでそんな落ち着いてるの?」

「そりゃあ、警告はされてたからね。」

五条は帳を見上げて笑みを浮かべた。

「ちゃんと、隠し球ぐらい用意してるさ。」

 

 

吹っ飛んだ。

伏黒恵、そうして加茂憲紀と狗巻棘は思わず空を見上げていた。見事な快晴だ。それはもう、外で何かするのにはぴったりだと思うような空だった。

そうして、その空に舞う、今まで自分たちを追ってきていた呪霊。

そうだ、丁度建物の屋根部分まで逃げていた折、何かが呪霊にぶつかった。そうして、呪霊は華麗に吹っ飛んでいったのだ。

そうして、その後に現れた存在に伏黒は目を見開いた。

 

「親父!?」

「はあ、黒鷲の言ってた通りになったな。」

ぼやくように伏黒甚爾は森の方に吹っ飛ばした呪霊、花御へぼやくように言った。

「おい、ガキども。てめえらはさっさと下がって教員のとこにいけ。」

「・・・・君の父親?ならば。」

「は!?あんたは!?」

「さあな。さすがに命をかけるほど暇じゃねえよ。ただ、今回のバイト代がよくてな。」

 

そう言いながら、甚爾はぐるりと游雲を構えた。それを眺めながら甚爾はぼやいた。

 

「たく、お前がこれのことを坊に言うもんだから、いちいち借りなきゃならねえんだぞ?」

「な!つって、あんたが殆ど借りてて私物になってるだろうが!」

 

後ろから息子の罵倒を聞きながら、甚爾はそっと游雲に視線を向ける。

游雲は元々、甚爾のものだ。

だが、昔、武器庫にしていた呪霊をくもの一員である存在に盗まれてから行方知れずになっていた。

けれど、ある日、それが息子である恵の影から出てきたのだ。

 

(なんの目的だ?)

 

游雲自体は調べても何も出てこなかった。が、何かしらのトラップが仕掛けられている可能性が高い。

そのために、どうなっても構わないと思われている甚爾が常時使用している。

 

『・・・・不可思議な、気配ですね。』

 

屋根から吹っ飛ばした樹木の生えた呪霊のそれに甚爾はぐっと背伸びをした。

「・・・まあ、バイト代ぐらいは働かねえとな。」

 

そう言って甚爾は獰猛に笑った。

 

 

 

その日、脹相はうっきうきだった。

何故って、今日、彼はようやく兄弟たちとの再会が叶うのだ。

 

「お前には頑張って貰うからな。」

 

脹相はそう言って己の肩に絡みついた芋虫のような呪霊に言った。それは、彼の弟である黒から借りた呪霊だ。

七人の弟を運ぶのは大変だろうと、わざわざ貸してくれた存在だ。

 

(・・・俺たちのように受肉は出来ないだろうが。それでも、ずっと閉じ込めておくよりはましだ。)

 

何よりも、ようやく弟の仕事を肩代わりをできることが嬉しかった。

 

「脹相にしか頼めないんだ。」

 

(ようやく、あの子の力になれる。)

 

脹相は、最初に彼に会ったときのことを覚えている。

眼を覚まして、そうして、まるで霧が晴れるような感覚だった。人である、目の前のそれ。けれど、確信を持てた。ああ、これは、弟だ。

己の、愛すべき者だ。

 

けれど、情けない話をしよう。

脹相はまったくと言っていいほど、黒に対して何も出来ていない。どちらかというと、黒に生活の保障をされている身だ。

 

(くもという奴らも気に入らない!)

 

己の可愛い弟を幼い頃からこき使っているというのだ。

脹相は正直、くもたちの目的がどんなものかは興味は無い。黒曰く、国家転覆らしいが、それさえも本当かわからないのだ。

けれど、脹相にとってはどうだっていい。彼にとって重要なのは、どこまでも、弟たちだ。けれど、だからといって、彼は呪霊のように振る舞う気も無かった。

弟たちにも、黒の頼みで人を殺すことがあるとしても、できる限り、人として振る舞うように心がけている。

それは、黒が人であるためだ。可愛い弟を仲間はずれにする気は無い。それ故に、脹相たちは己自身を人として定義した。

 

何よりも、なんだかんだで脹相たちはそれぞれで術式を使う訓練を除外すれば戦ったことはあまりない。

黒の欲しがる術式を持った、呪詛師の捕獲をしたぐらいだろうか?

脹相は、他の呪霊たちに混ざって呪術高専までやってきたが、思い返すほどに呪霊達に腹が立つ。

 

(特に、真人という奴!俺の弟にべたべたしやがって!)

 

脹相は弟たちが仕舞われている倉までの道を歩きながら、いらいらとしていた。

今回は黒も同行しているが、何故か呪霊たちはやたらと弟にべたべたしているのだ。

普段の脹相ならば、さすがは俺の弟と胸を張るのだが、彼にはわかる。黒が、彼らを不快に思っていることを。

 

(あいつは優しいからな。はっきりと拒絶できんのだろう。)

 

高専にまで来ていないが、真人というそれと今度会ったらはっきりと言ってやろうと思っていたとき、後ろから声がかけられた。

 

「よう、兄ちゃん。」

 

それに脹相は何のためらいもなく後ろに向けて、赤血操術・穿血を放った。

やらなければやられる。事前に作っておいた百斂から、放たれる。

脹相は、声の方向に向けて、切り裂くように術式を放った。けれど、それと同時に、脹相は己の体に圧倒的な重みが襲ったことを理解した。

それによって、穿血の狙いがずれたことを理解した。振り向いた先に、人影はない。

 

「・・・・おーい。」

 

脹相は天井を見た。そこにはひらりと己に手を振る存在がいた。

 

「鬼面!」

 

脹相は圧倒的な重さに動くことが出来ない。

 

(俺、の体が重くなっている!)

「いやいや、坊主。んなに振り向き様にしなくてもいいだろう?俺だって、すぐに殺そうなんて思ってないんだが。」

 

だまし絵のように天井に立つそれはくるりと回転しながらその場に降り立った。そうして、楽しそうに笑っているのが見えた。

 

「黒鷲か!」

「おおっと、初対面のはずだが。やっぱり、俺のことは幽霊たちに知られてるか。」

 

仕方が無いとからからと笑うそれに、脹相はなんとかその場を離れられないかと考える。黒鷲、その存在については黒からよくよく聞かされている。

 

「黒鷲って老人に会ったら気をつけろよ。」

「何故だ?」

「・・・・幽霊のことを執拗に追ってるじじいだ。術式も範囲が広くてやっかいだからな。だから、いいか。すぐに逃げろよ」

 

(くそ!五条たちとつるんでいるとは聞いたが、まさかこんなところに!)

「はっはっは!そう怒るな。殺すときは苦しませんよ。ただ、なあ。」

 

亡霊どもの情報を教えてくれればの話、だが。

それに老人の目が見開かれていくことを脹相は気づく。それに、彼は必死に心を落ち着かせた。手さえも重く、ろくに動かせない。

 

脹相は黒の言っていたことを思い出す。

いいか、黒鷲に会ったとき、一度だけならこれで逃げ出せる。

 

脹相は口を開いた。

 

「・・・サシナの絶命を、貴様は聞けずじまいであるな。」

 

それに黒鷲の目が、仮面ごしにさえも見開かれたのが見えた。爆発的な、殺意を脹相に向けられたのがわかった。けれど、それに反して自分の体が軽くなるのを理解する。

脹相はそれに立ち上がり、赫鱗躍動を使い、その場から離れる。

 

(今回の俺の役目は、目的のものを回収し、そうして、黒たちの元に帰還すること!)

「お兄ちゃんに任せておけ!」

 

脹相は、この、特殊な空間において自分に勝機があることを確信していた。

 

 

「・・・・まあ、無事に逃げてくれたし。いいか。」

 

黒鷲こと、板取祐礼はそう言って息を吐いた。

 

(黒鷲に会ったら、何があっても逃げること。あれだけ言いつのれば、さすがに従ってくれたな。)

 

そのまま祐礼はゆうゆうとその場から歩き出した。

 

(黒のほうで五条たち側の調整をして、黒鷲で本命を果せば良い。)

 

元々、今回、祐礼は黒として参加するはずだった。それを覆し、以前手に入れた分身体を使って、脹相という存在に接触を図りたい理由があった。

 

(我が母上の手が、加茂家にすでに回されていたなんてな!)

 

忌々しげに祐礼はほぞをかんだ。

五条家は、五条悟が掌握している。問題は、他の二家。禪院家は性格に難がありすぎる。ならば、加茂家を先に攻略しておきたかった。

幸いなことに、加茂家の次期当主であるらしい青年は少なくともまともな方だ。そちらから崩していくことを計画しておいたというのに、だ。

 

(ああ、しくじった!しくじった!ああ、そうだな、おかあさん!すでに加茂になったあんたなら、とっくに掌握していることも考えておくべきだった。ああ、俺の落ち度だ!ああ、俺の、俺の、浅慮さだ!)

 

祐礼は冷たく微笑みながら、道を歩く。脹相を追うのはたやすい。

祐礼の脳裏には、自分に微笑みかける、それがいた。

 

加茂家?

ああ、君も使いたくなったら言ってくれ。大々的には無理でも、少しぐらいなら、なんとかなる。

 

己が、手のひらの上で踊りかけていたことを理解して、祐礼は吐き気がした。

 

(脹相に会った、そうして、その口から、加茂家の名前が出た。)

 

黒鷲としてわざわざこの場にやってきたのは、脹相との接触の実績が欲しかったためだ。

それによって、加茂家を潰す足がかりにする。

祐礼はそう決めて、脹相を追う。

事前に、設定していた黒鷲へのお呪いも覚えていたようだ。

 

(この分身の術式、使い勝手が良いな。)

 

以前殺した呪詛師の術式について、祐礼は多くの縛りを使い、条件を構築して使っている。

イメージとしては、某スタイリッシュな忍漫画の分身だろうか。

何よりも、分身体を消すことでフィードバックを得られるのがいい。

これのおかげで、彼は現在、一人二役の状態をキープできているのだ。

 

「さて、どう出る?」

 

祐礼は奥に進む。今回の大本命である祐礼の目的。それは、天元との接触なのだから。

歩きながら、祐礼は考える。

 

(・・・真依の方も、どう転ぶか。)

 

 

その日、禪院真希は茫然と、それを見ていた。

「やだ、鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔してる!」

きゃらきゃらと、まるで、普通の少女のように軽やかに、それは笑っていた。

もう、遠くに、記憶は掠れて幼い頃の写真を便りに探していた。

ずっと、ずっと、探していた。

 

「お姉ちゃん、ねえ、久しぶりね。」

「真依、お前、今まで、いったい・・・」

「そんなのは、どうだっていいの。ねえ、お姉ちゃん、ようやくよ!」

私ね、お姉ちゃんのこと、迎えに来たの!

 

そう言って、禪院真希の片割れは恋する少女のように華やかに微笑みで見せた。

 




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よろしければ、こちらにリクエストあればください。

祐礼が考えているくもなんかの設定について知りたいでしょうか?小説の中ではたぶん部分的にしか出てこないので、関係ないと言えば関係ないんですが。

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