僕に甘い三船栞子   作:ぽぽろ

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お久しぶりです。


そろそろ文化祭ですね

 

「もう少しで文化祭ですね」

 

既に日が落ちきり、グランドを照らすライトと教室から漏れ出る光を当てに看板製作を進める人たちを見ながら彼女は言った。

 

いつものグランドやダンス部屋の使用許可、予算の紙が積み上がっているのではなく、各クラスの出し物の申請の紙が多く並んでいるのが、より実感を生み出している。

 

クラスの出し物の準備ではなくて、紙で感じるのは悲しいものだけれど。

 

僕も彼女と同じ所に向ける。

 

「そうだね、皆張り切ってるみたいだね。」

 

僕は視線を窓から外を見つめる栞子ちゃんの横顔に移す。

生徒会室の蛍光灯に照らされた彼女の横顔は、些か落ち着きがないように見えた。

 

常に冷静にあろうとする彼女だけれど、やはり文化祭は彼女の心さえもワクワクさせる高校生の一大行事なのだ。

 

「僕達のクラスは何をするんだっけ」

 

未だ窓を見つめる彼女にそう問いかけると、ゆっくりと視線を僕の方に移した。

 

「確か喫茶店と聞いてます。珈琲だったり、簡単なケーキ、パンケーキなどを出すと話し合いで決まったそうですよ」

「喫茶店か、いいね。手伝ってこようかな」

「そうですね、せっかく皆さんで作るものですから。大分片付いて来ましたからね」

 

柔らかく彼女は微笑んだ。

僕達はそこで一旦仕事を終えることにした。

コップに残っていた冷めた珈琲を飲み干し、出ようと思った所、緊張した面持ちで彼女は僕を見ていた。

 

「どうしたの?」

「あの…えっと、一つだけお願いがあるのですが」

「僕に出来ることならなんでも」

 

ここで大きく息を吐いた。まるで大きな発表をするみたいに。

 

「文化祭の日、私と回っていただけませんか?」

「栞子ちゃんと?部活の人達はいいの?」

 

中洲さんとかランジュさんとかが誘いそうなものだけれど。

 

「はい。み、見回りですからね。トラブルや何かあっても困るので生徒会としてするべきだと。そして生徒会長と副会長がやるのが適任ではないかと思っただけです!」

「確かにそうかもしれないね」

 

当日はダラダラと一人で回ろうかなと思っていたから渡りに船だ。僕はもちろん受けた。

 

###

 

当日、僕達はいつも通り生徒会室に集合をしていた。

クラスの出し物は生徒会の仕事で出来ないことを伝えたら快く受け入れて貰えた。

けれど最後に寄って欲しいとの事。

 

「最初はどこを見回ろうか」

「最初にはクレープの屋台でも見回ろうかと思ってます。」

「火を使うから危ないもんね」

「えぇ、衛生面もありますから」

 

確かに。と僕は頷き、クレープを二つ買い一つを栞子ちゃんに渡した。

小さな口でかぶりつき、幸せそうな笑みを浮かべた。

 

「これ美味しいね、甘さも控えめで僕でも食べやすいよ。もちろん、フルーツも新鮮だね」

「ええ、とても美味しいです。」

「タピオカミルクティーもあったから買ってきたよ。もう時代遅れかもしれないけれど」

「いえ、全然嬉しいですよ」

 

彼女が少し飲むのに苦労しているのをよそ目に僕はクレープにかぶりつく。

うん、美味しい。

 

「あ、口に生クリーム付いてますよ」

「どこ?」

「左の方に……両手が塞がって指させませんね」

 

僕が苦戦していると、名前を呼ばれそちらを向くと栞子ちゃんの顔が近づいてきていた。

びっくりして目を閉じると舐められた様な感覚がした。

 

目を開けると満足そうな笑みを浮かべた栞子ちゃんがいた。

 

「これで取れました。」

「ありがとう」

 

僕がお礼を言うと同時に栞子ちゃんの顔が真っ赤に染まり、周りを見渡し始める。

僕も習って周りを見ると皆が僕たちを見ていた。

なんで…?

 

まあ、生徒会長と副生徒会長がいたら皆緊張もするかと僕は納得する。

 

「場所移動しようか」

「は、はい!そうしましょう!」

 

彼女は慌てるようにクレープを食べ、紙をゴミ箱に捨てた。

顔はまだ赤くなったままだった。

 

###

 

その後はお化け屋敷やら、射的、占いなどを体験し、僕達のクラスに戻ってきた。

入ると和モダンな内装になっており、文化祭にしてはすごく本格的だ。

僕は珈琲とオムライスを注文し、栞子ちゃんはココアと抹茶パフェを注文した。

けれど栞子ちゃんはクラスの人に奥の方へ連れてかれてしまった。

僕は珈琲を一口飲み、息を吐いた。

舌の上を苦味がじんわりと転がるように伝わってくる。

 

「お、お待たせしました…ご主人様…」

 

やっと来たかなと思って目を声の主に目を向けると僕は目を疑った。

栞子ちゃんが猫耳としっぽをつけたメイド服に着替えていた。

そして、オムライスが乗っていて、ケチャップより顔が赤くなっている。

 

「栞子ちゃん…?どうしたのその格好」

「クラスの人に無理やり着せられてしまって。そ、その…あまり見ないで頂けると助かります……とても恥ずかしいので」

「とてもよく似合っているよ。可愛い」

「か、可愛い……ですか?私が…?」

 

栞子ちゃんの猫耳はカチューシャのはずなのだけれど、少しピクリと動いた様な気がした。

 

「ほ、本当に似合ってますか…?」

「うんうん。とっても可愛いよ。僕は今栞子ちゃんから目が離せられなくなっているのが証拠かな。」

 

僕はポケットの中から携帯を手に取り、写真を撮ろうか迷っていた。

 

「そう、そうなんですね、私から目が離せない…と。と、特別に少しだけなら見てもいいですよ……?」

「写真は?」

 

そう言って僕はポケットから素早く携帯を取り出し見せる。

彼女はしばらく視線を彷徨わせ悩んだ後、小さく頷いた。

 

周りの人はあれが"しおにゃんモードか…"なんて話をしているけれど、何それ僕知らない。友達曰く僕にが相手の時だけになる甘える様な態度らしいけど、僕もそんなのは知らない。

 

メイド姿の栞子ちゃんはとっても可愛かった。




裏の会話
クラスメイト「ねえ、三船さん」
「はい、なんでしょう。なぜいきなりバックヤードに私を」
クラスメイト「この服あるんだけど着てみない?」
「め、メイド服!?き、着ません!絶対に着ませんよ!!というかここは普通の喫茶店ではなかったのですか!??」
クラスメイト「着ないの?もしかしたらスクールアイドルのライブで着るかもしれないよ?衣装と変わらないって」
「絶対に着ません!!」
クラスメイト「絶対に似合って可愛いって!1回だけだから!」
「そう言って携帯を取り出さないで下さい!絶対着ませんからね!!」
クラスメイト「そういえば副会長がメイド服好きって言ってた様な……言ってないような…?」
「せ、せっかく準備して頂いたので少しだけ、ほんの少しだけなら着ます。今後スクールアイドルの衣装としても着るかもしれないので」
クラスメイト『わかりやすいな〜』(ほんわか)

次回はまたネタが思いついたら
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