とりあえず古戦場が終わったので投稿。あと催促されたので。
今日、栞子ちゃんが風邪を引いたらしい。
僕は、スマホのメッセージアプリに映し出されている栞子ちゃんのアカウントとの会話画面を見つめていた。
そして、何となく孤独感みたいなものを一人もいない生徒会室を眺めながら感じていた。
僕は取り敢えず莫大な量の書類をいつもの席に置いた。そして、何気なくいつも栞子ちゃんが座っていた席を眺めた。
いつもは、ここで栞子ちゃんと会話をしながら書類を進めるのだが、中々手が進まなかった。
そして、僕はぽつりと呟くように言った
「今日は部室に行こう」
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僕が必要なもの一式を持って部室に入ると、皆多少驚いた顔をしていた。
「あれ?珍しいですね、自分から部室に来るなんて」
僕が適当に目に付いた席に腰掛けるとその隣に優木さんが座った。
皆、タオルで汗を拭いて、スポーツドリンクを飲んでいるところを見ると練習中だったらしい。
「練習中にすみません、お邪魔ならどこか行きますけど」
「いえ、そんな事ありません!貴方は立派なスクールアイドル同好会の会員です!」
「その割にあまり顔を出せなくて、すみません」
「そうですよ!勿論生徒会の仕事が忙しいのは知っていますが。あんまり来てくれないじゃないですか。それなのに今日はなぜ?」
優木さんは首に傾げて尋ねてくる。
「今日、栞子ちゃんが風邪で休みだったので、何だか寂しくて。仕事もあまり進まなかったのでここに」
「そうですか!それならゆっくりして言ってください」
僕が部室にあまり行かない理由は一つだった。
偶には顔を出さないとと思い向かおうとすると栞子ちゃんがやけに不機嫌になるのだ。そしてやんわりと行くのを拒否をする。
ちゃんと練習はしているらしいのでそこは大丈夫だろうけれど。自分から勝手に部活に入れたのに行こうとすると止めるのは何故なのか。
なんて事を考えながら僕は、練習する声をよそ目に書類に取り組んでいた。
でも、すぐ近くから甘い匂いがして、そちらに目を向ければ優木さんの顔がすぐ近くにあった。
気がつけば席の間合いが詰められている。
狭かったのかなと僕が横に1メートルズレれば、優木さんが1メートル詰める。僕が2メートルズレれば優木さんが2メートル詰める。
うーん、既視感。
「優木さん、近くありません?」
「気のせいですよ」
「そうですか?」
「いつも番犬……もとい番猫さんがいらっしゃるので出来ないから、せっかくのチャンスを無駄にする訳には行かないんです!」
番猫……番猫……?
「それって栞子ちゃんの事ですか……?」
「はい、私が貴方に近付こうとすると牙を向いてキッーって睨むんですよ」
爪を立てて引っ掻くような動作をする優木さん。
そんな事栞子ちゃんはしていたのか。何のために?
確かに前、机に猫耳入ってたことあるけれども。
「栞子さんは幸せですね、こんな優秀な副生徒会長がいるなんて」
「いえ、僕はとても足を引っ張ってばっかで。それこそ他の委員の人達、栞子ちゃん、そして優木さんに教えて貰ってるので何とかってとこです。」
優木さんは、「貴方はとっても優秀ですよ」と笑いながら言った。そして「私の専属マネージャーとして欲しいくらいです」と付け足した。その目はどこか獲物を狙う蛇の様な気もした。
「もし私がもう一度生徒会長をやる時は副生徒会長をやってくれますか?」
「それを決めるのは、生徒会長の権限です。僕にはどうしようにも。今だって無理やり栞子ちゃんに言われて副生徒会長になったんですから」
「それじゃ、次の選挙ではまた立候補でもしてみましょうか」
「それはちょっとまた色々忙しくなるので……」
僕と優木さんは和やかな時間を過ごしていた。
栞子ちゃんといる時とはまた違った気持ちになった。少しの間二人は無言だったけど気まずい気持ちにはならなかった。
「そういえば一つ、要望があるのですが」
「なんですか?」
優木さんが僕に頼み事をするのは珍しい。いつもお世話になりっぱなしだから。
「せつ菜ってこれから呼んでくれませんか?大切な部員なんです。優木さんじゃ、少し距離を感じてしまいます」
「でも先輩ですし、中々」
「それじゃ、先輩命令です!」
ビシッと立てた人差し指をこちらに向ける優木さん。
僕は「やれやれ」とため息を着く。生徒会長は強情じゃないとやっていけないのだろうか。
そして、優木さんはニコニコと子供のように笑顔を浮かべていた。
「せつ菜さん」
「はい!優木せつ菜です!」
ふぅ。と僕は息を吐いた。先輩を名前で呼ぶのは中々勇気がいる。優木さんだけに。
うーん、宮下さんのが移ってしまったみたいだ。
「えっと、せつ菜さん、そんなに僕に目をかけて頂いているようで光栄ですが、なぜ僕に……?」
「それは貴方のこと大好きですから!」
「成程、僕もせつ菜さんのことは好きですよ」
「本当ですか!?栞子さんよりもですか?」
「なんたってとっても頼りになる先輩ですから。栞子ちゃんと比べるのは難しいですが。」
「そういう意味ではないのですが……」
がっくしと肩を落としたせつ菜さん。何が僕悪いこと言っただろうか。
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僕は、コンビニで買ったスポーツドリンクとフルーツゼリーの入ったレジ袋を片手に栞子ちゃんの家に向かっていた。
せつ菜さんがやけに絡んでくるものだから、大分時間が遅くなってしまった。
インターホンを押すと、マスク姿の栞子ちゃんが見えた。
「栞子ちゃん、風邪ひいたって聞いたから来たんだけど大丈夫?」
「は、はい、大分落ち着いてきた所です。」
いつもよりやはり元気がないというか少しやつれているような感じもする
そして、栞子ちゃんは何かを気づいたように顔をぺたぺたと触り始めた。
「どうしたの?」
「あ、あの、えっとあまりこちらを見ないでいただけると助かるのですが……だらしのない姿ですので」
確かに格好はラフだけど家だから当然だろう。
何より家に行く事を伝えてないし。
「僕はどんな栞子ちゃんでも好きだよ」
いつもの栞子ちゃんもリラックスしている栞子ちゃんもそれは栞子ちゃんであり、別にそれで嫌いになったりすることは無い。
僕がそう言うと栞子ちゃんの顔が目に見えて赤くなったのが見えた。熱が上がってしまったのだろうか。というか栞子ちゃんは病人なのだから、気遣わないと行けないだろう。わざわざここにお話をしにした訳ではないし。
「ごめん、気づかなくて。これ、買ってきたんだ。必要かもしれないから」
と僕は先程買ったものを手渡した。
受け取った栞子ちゃんは「ありがとうございます」と言った。
「良ければうちへ上がって行きませんか。対した事も出来ませんが。あ、いえ、これでは風邪を移してしまいますね」
そう言って、今から独り立ちする猫の様に笑った。
やはり風邪を引いている時はどこか寂しくなってしまうものだ。
「それじゃ、少しだけ」
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最初に栞子ちゃんを布団に眠らせ、氷枕を変えてやり、ゼリーを食べさせた。
「今日は学校で何かありました?」と聞いたので「特に何もないよ」と答えた。
別に驚く様な事も、事件も無かった。綺麗にトンボを掛けたグランドみたいに平らだった。
なので山を強いて作るとしたら……
「今日はせつ菜さんと沢山話したかな」
今日はいつもよりせつ菜さんを知れた日だと思う。まだせつ菜さんと言うのは慣れないけれど。
僕は何気なくそう言うと栞子ちゃんはピクっと何かに反応する様に眉を動かした。
「せつ菜……さん?せつ菜さんと言いました?」
「うん、せつ菜さん」
栞子ちゃんは一言一句確かめるようにゆっくりと言った。
「何故いきなり呼び方を変えたのですか。」
だいぶ前を思い出させる様な鋭い目付きで僕を睨む。
変な事は言ってないんだけどなぁ……
「何かそう言ってくれって言われて」
「では、例えば璃奈さんのことは何と呼ぶのでしょう。」
「天王寺さんだね」
「ではかすみさんは」
「中須さんかな」
「しずくさんは」
「桜坂さんだね」
「歩夢さんは」
「上原さん」
「最後にせつ菜さんは」
「せつ菜さん」
これの問はなんの意味があるのだろう。
栞子ちゃんはじっと考えていた。
そして、急にぷすーと頬を膨らませて不機嫌である事をアピールしていた。
何で怒っているのが皆目検討がつかなかったけれど、僕は「ごめんね」と言うと彼女は「知りません」とぷいっと顔を背けて布団を頭から被った。
何か僕はしてしまったらしい。
暫くすると布団の間から手が伸ばされた。
「許して欲しかったら、私が寝るまで手を繋いでもらっていいですか」
「勿論」
布団に隠れて顔は見れなかったけれど、少しの隙間からまた顔が赤くなっていたので熱が上がっていることが分かった。
だから眠るにも人肌が恋しくなったのだろう。
僕は栞子ちゃんの小さい手を優しく握った。
気がついた頃にはすっかり外は夜だった。
僕は栞子ちゃんの幸せそうな顔を見てから、起こさないように、こっそりと家に帰った。
遅くなった原因は中々思いつかなかった事に起因するので、多分活動報告にリクエスト募集あるのでそこにご自由に何かリクエストあったらぶち込んでください。Twitterのdmも良き。気に入った奴や展開が思いついたら書きます。全部は採用は出来ないと思います。ご了承ください。
それか貴方達が栞子ちゃんを書いてくれたら補給出来ていいんだけどなぁ?(チラッ)