栞子ちゃんかわいいよぉ!もっと私に栞子ちゃんを補給させて!皆書いて!!!一日三回、三船栞子を補給しないと理性を保てないから
今日も今日とて僕と栞子ちゃんは生徒会の仕事に励んでいる。
目の前には沢山積み上げられた書類の束。
これを全部もって頭に振り被れば、人一人気絶させられそう。と思うのは既に書類作業に辟易していて、逃げたいという現実逃避からだろうか。
ぐっーと身体を伸ばせばポキポキと小気味のいい音が節々から鳴った。
「少し休憩しましょうか、ずっとやってても効率悪いですし、疲れますから」
「ぜひそうしてくれると助かるよ」
流石の僕を見かねた栞子ちゃんは持っていたペンを離し、いそいそとお茶の準備をする。
僕は本当は手伝うべきなのだろうけれど、そんな元気は無くなっていたし、そもそも前に押し切られた経験があるので、ソファーに座り直してもう一度伸びをした。
僕と同じ時間、同じ量くらいこなしているはずなのに彼女には疲れが見えなかったし、僕みたいに段々と姿勢が崩れてもいなかった。
彼女の育ちの良さから来ているのかそれとも彼女自身の素質なのかは分からない。
全く羨ましいものである。
僕はせめてもとお茶菓子を出して、それと一緒に栞子ちゃんが入れてくれたお茶と一緒にいただく。
僕と栞子ちゃんの入れ方はあまり変わらないはずなのに彼女の入れたお茶の方が美味しく感じるのは何故だろう。
僕は一口飲んで、ほっと一息つく。
「今日は中々大変ですね」
「特別多い気がするよ」
今日中に終わるか怪しい。僕はぐるりと首を回す。さっきより大きくポキポキと音がなった。
「あの、今週の土曜日って空いてませんか?」
意を決した様に栞子ちゃんは言った。
「今週?えっと、空いてるけれど……」
携帯のカレンダーを見ても予定は入っていない。
「い、一緒にぷりくら?を取りに行きませんか?」
「プリクラ?」
「は、はい」
何故、急にプリクラ。きっとまたクラスメイトに何か言い含められたか前のスイパラみたいに興味みたいなものだろう。
「何で急に?」
「えっと、クラスの人にそういう物があると聞きまして、こ……友達同士でよく撮るものだと。」
確かにクラスの女の子がプリクラを撮っている姿はよく見る。今はアプリでも出来そうなものなのに。
きっと何か僕には分からない特別なものがあるのだろう。
プリクラと言えば僕は思い出されるものが一つあった。あれは確か僕がスクールアイドル同好会に入って間もない頃に僕と栞子ちゃんの歓迎会みたいなのがあって、その帰りに……
「プリクラか……大分前に宮下さんとせつ菜さんと撮ったことがあるだけかな」
「は?」
「ヒェッ…」
先程まで、にこやかに引き伸ばされていた目を途端にキツく細く絞り睨む栞子ちゃん。怖いよ……
あれは半ば強制的に二人の押しの強さによって撮ったものだけれど、周りを見ると男女で取っているのは大抵カップルが多かった。
最近は普通に男女の友達同士でも取ったりするものなのだろうか。僕は世間に聡い訳では無いので分からない。でも、まぁ
「いいよ、何時に集合しようか」
栞子ちゃんがやりたいと言うのなら良いと思った。
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僕は土曜日、待ち合わせは少しばかり遅めの時間を設定した。
きっとまた栞子ちゃんは一時間前にはいるだろうから。
そして僕は1時間半ほど前には到着しようと思っていたのだが、電車の遅延で結局栞子ちゃんに先を越されてしまった。待合場所に行くと一生懸命鏡を見ながら髪を直している栞子ちゃんがいた。
「ごめんね、遅れて」
「いえ、全然大丈夫です、電車の遅延はしょうがありません。そもそも集合時間より早いですし」
僕が申し訳なくいうと、栞子ちゃんはにっこりと笑いながら言った。
「毎回言うけれど、そんなに早く来なくていいのに」
「いえ、貴方との約束だけは遅れられませんから」
真剣な目でまっすぐ僕を見据えて言う栞子ちゃんは、すこりばかり可笑しくて笑ってしまった。
「そんなにプリクラ楽しみだったんだね」
「……えぇ、そのようなものです」
少し僕を咎めるような何とも言えない顔をした栞子ちゃんに僕は首を捻った。考えても何も分からなかったので僕は流す事にした。
そして、僕たちは近くのゲームセンターに着いた。
やはりプリクラのコーナーを見てみると、女の子同士だったりカップルが多い印象だった。
プリクラと一口に言っても色々な種類があってよく詳しくない僕は何が何だか分からなかった。
「どれがいい?」
僕が栞子ちゃんに尋ねると、栞子ちゃんはうーんと暫く考えていた。3つくらいの機械を見比べていた。
「これ、でしょうか」
少しの時間、時間にするなら五分くらい経った時、栞子ちゃんが指を指したのは、カップルにオススメ!と大きく書かれていたものだった。
「これでいいの?」
確認の意を込めて僕は聞き直した。
「はい、大丈夫です!」
と満面の笑みで返された僕はどう反応するのが正解だったのだろうか。
まぁ、いいかと僕は諦めて四百円を財布から取り出して入れた。
そして、暖簾の様になっている垂れ幕の様な物を潜り中に入ると案外窮屈なものだった。
「どうやるのでしょう……」
と困った顔をしていたので、前の記憶を辿りながら拙劣ながらもフレームやら効果やらを栞子ちゃんに決めてもらって何とか写真撮影までたどり着いた。
途中で栞子ちゃんはじっと僕の方をじっと咎める様に睨んで「やはりせつ菜さんや宮下さんと行ったのでそんなにスムーズなのですか?それともほかに誰かと他の方と行ってるのでは無いですか」と浮気を疑う恋人の様に探っていたのを何とか宥めた場面もあった。
『まず、二人仲良く並んでピースをしよう!』
若い女性の声を模した様な機械音声が聞こえた。
二人で画角に移ろうとすると肩が触れ合う程近づかなければならず、流石に嫌かなと思って離れたけれど、離れる程近づいてきて機械から出そうになったので大人しく並んだ。
カウントダウンが始まりシャッターが切られる。
『次は、手を繋いで恋人アピール!!』
続け様に音声が聞こえた。
手くらいならと僕は差し出すと顔を赤くした栞子ちゃんが見えた。どこかその手はぷるぷると震えていた。偶に生徒会の会議の時に繋いでくるのに恥ずかしがるのは何故だろう。
そして、シャッターが切られて顔が茹でダコみたいに赤い栞子ちゃんが写った。
『最後は腕に抱き着いて頬にキス!!』
流石、恋人にオススメと書かれていただけのことはある。本当にこれを何故選んだかのか謎だけれど。
「あ、あのえっと、これはちょっと……」
顔を赤くして分かりやすく慌てふためく栞子ちゃん。
僕はついからかいたくなった。
「……実はこれに従わないと酷い罰ゲームがあるんだ」
「え!?」
どうせ栞子ちゃんだしやらないだろうと鷹をくくって、僕は揶揄った。アタフタとしている栞子ちゃんを見るのはとても楽しい。
そろそろ嘘だよと言おうと思った時にぎゅっと腕に抱きつかれて、頬に柔らかい感触があった。
そして、カシャとタイミングを測った様にシャッターが切られた。
顔を真っ赤にして腕を抱きしめて頬にキスをする栞子ちゃんと間抜けな顔を晒している僕の写真が残った。
暫く僕達のところだけ時間が止まったように二人とも動かなかった。
ふぅーと僕は長く息を吐いた。
「あの……ごめん、嘘だったんだけど」
「なぁっ!?」
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僕は帰り道、怒っている栞子ちゃんを宥めながら歩いていた。
「まさか、やるとは思ってなかったんだよ」
「それでもです!私がせっかく勇気を出したというのに……まさか、嘘だなんて……!」
「ごめんね」
「でも優木さんと宮下さんと行った時より思い出に残りましたか?」
「ま、まぁ、確かに驚きもあったし思い出に残るだろうね……」
僕がそう言うと栞子ちゃんは機嫌を直したようににっこりと笑った。
「なら、許します」
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私は一人、彼と別れた後自分のやったことに対してつい顔が赤くなった。
「何故あんなことを……」
それは声に出しても分かるはずもなく、より一層先程の行為を思い出して恥ずかしくなる。
しかし、彼も悪い。あれは命令だって私を揶揄うから。
でも、私の心を弄ばれた感じがして怒ってしまったけれど、私にとっては役得みたいなものだった。
彼と腕を組んだ時に感じた少しばかり男の子ということを感じさせる筋肉質の腕、そして爽やかなミントのような匂い。そして頬にと言えどキス。
私をおかしくするには十分すぎるものだ。
今まで録にクラスの男の人と関わったことの無い私にとっては。
「あんな風に見えても男の子なのでしょうね、腕は筋肉が付いていて逞しいと感じましたし、所々拙い私をリードしてくれました。前に他の人と、特に優木さんと行ったということは少しばかり、いや、ほんの少しだけ不満ですが。」
私はここにはいない彼に向かって不貞腐れる。
なので、帰った時に彼と触れ合った手を洗うのを少し躊躇してしまったり、唇に何回も触れたり、枕に向かって叫んだのも私は悪くないと思うんです。
彼のせいです、全て。
せめて、これが私と彼との関係を進める第1歩になればいいんですが
ポケモン楽しいです、キョジオーン可愛いなぁ!