展開が遅くなってしまい、誠に申し訳ありません。
けれども、その変わりとして、今回の話しでは一部主人公の秘密が明かされております。
察しの良い方なら、もしかしたら主人公の目的が分かるかもしれませんね!!
「そういや聞いたか?あの話し……」
「あの話し?」
「ホラ、アレだよ!彷徨う錆の騎士の!」
「ああ~!あの錆び付いた鎧を着こんだって言う、ユウレイ騎士の事かー!」
いつもの賑わいを取り戻した酒場内で、二人組の男達が、最近巷で噂されている話しで盛り上がっていた。
「そうそう!そのユウレイ騎士の事だけど、最近ここらで目撃されたって噂だぜ!」
「げぇ!?それ、マジかよ!?」
「マジもマジも大マジよ!!しかも、その錆の騎士だけど、うわ言のように何かを呟きながら歩いてるらしいぜ」
「あ!おれ、それ知ってるぜ!確か、なな……え〜とーっ……」
男が指で額をつつきながら、酔っぱらった頭で必死に記憶を探っていると……
「【七つの大罪】……だろ?」
「!!」
その会話が聞こえてきたデオノクスが、運んできた料理を木製の机に置きながら、彼らの話しに横から割って入った。
そして、メリオダスはその聞き覚えのありすぎる単語に反応し、彼らの会話に耳を傾けた。
「そうそう!【七つの大罪】だよ!ありがとな、
「良く知ってたな~店主さん。まだ若いのに……!」
しかし男達は、突然会話に割り込んできたデオノクスに気を悪くしたりはせず、むしろまだ若いのに世の中の情報に詳しい事にさえ感心していた。
「まぁ、有名だからな……(つーか、若いは関係ねえだろ)」
デオノクスは男達に苦笑を漏らしつつ、内心ではツッコミを入れていた。
「お前、知ってたのか?錆の騎士についての噂を……」
「ん?ああ。買い出しに行ったときに、チラッと小耳に挟んだんだよ」
デオノクスはメリオダスの問いかけに答えつつ、彼と心の中で会話する。それは、彼らが今から話す事が、他の客たちに知られるとまずい会話だからだった。
(気になるか?その錆の騎士について……)
(ああ。そいつが何もんかは知らねえが、【七つの大罪】を捜し回ってるって聞くとな。今の情報が確かなら、ここにたどり着くのも時間の問題だろ)
(……そうだな)
(気になるのは、そいつが何故一人でいるのかってことだ。【
(……いや、分からねえ)
(そっか……)
(まあ、そこまで気にする事でもねえだろ。俺とお前が揃ってて、負けるとは考えられねえしな。それに、【聖騎士】共も一枚岩じゃねえし、近頃は王都にいる奴らがきな臭えしな。案外、錆の騎士とやらも王国から追われた奴が、正体を隠すために着てるだけかも知れねえぜ?)
そう締めくくると、デオノクスはメリオダスとのテレパシーを切った。
そして、男達の会話に戻っていった。
「それで、あんた達はその【七つの大罪】の事について、何か知ってんのか?知ってたら教えてくれよ」
「お!やっぱり、若い店主さんでも気になるか?」
「まあな。噂じゃあそいつら、嘗てこの国を乗っ取ろうとしたって話しだからな。そんな危ねえ連中が居るっていうのに、何の情報も持ってねえのは危険すぎるからな」
「ほえ〜若いのにしっかりしてんなーっ!!」
男達は感慨深そうなため息をつき、そんな若者の期待に応えるために、酔っぱらった頭をフル回転させて、デオノクスやメリオダスに自分達の知る知識を全て教えていった。
ちなみにだが、先程のテレパシーに費やした時間は、現実世界ではほんの一秒程であり、周囲の客達には何の違和感も持たれてはいなかった。
「……とまあ、おれらが知ってる【七つの大罪】に関しての情報はこんなところだ」
「なるほどな……(大方は予想通りだったが、幾つか気になる部分があったな……)ありがとな、おっさん達」
「お、お、お、おっさんじゃねえし!?まだ、バリバリの若手だし!!?」
「ハッ!そういうところが、おっさんって言われんだよ」
「ガハッ……!」
デオノクスの胸を抉る一撃を受け、男は机に突っ伏した。
デオノクスが男達から齎された情報は、大体は彼らの予想した通りだったが、その中にはデオノクス(とバルトラ)しか知らない情報もあった。
男達から齎された情報は……
曰く、【七つの大罪】は十年前に国家転覆を測ろうとした罪で、現在も行方を追われている
曰く、彼らは元々は国王直属の騎士団だった
曰く、彼らは最強にして最悪の騎士団と呼ばれていた
曰く、【七つの大罪】のメンバーは元々は九人だった
曰く、その内の二人の行方は、一人は仲間内で殺し合いを演じて団長メリオダスに追放され、もう一人は既にこの世には居ない
曰く、そいつを殺したのは追放された者だった
曰く、【七つの大罪】は団長メリオダスと、八人目の大罪人が一番やばい
曰く、八人目の罪はこの世に生まれてきた事そのものだった
と、このような情報が得られた。
特に問題があるのは、三つ目からだろう。
メンバーの事だけならともかく、仲間内で殺し合いがあった事も、その時の責任を背負って【七つの大罪】から抜け出した事も、デオノクスとメリオダス(バルトラ)以外は
(嘘だろ……今はまだあの時の事件の詳細は(メリオダスにも)判明してねえけど、それも時間の問題だろうな。俺と長い付き合いの
デオノクスにはそれを断言出来る根拠があった。
何故なら彼は、既にこの世界の仕組みを完全に理解していたから。そいつが自分という存在を好ましく思っていないと知っていたから。
だから自分に関する事は、この十年で自分とメリオダス、バルトラ以外は把握していないと知っていたし、そう高を括ってもいた。
(何でわざわざ【
心の中で憤慨し、思わず下を強く睨みつけるデオノクス。
あまりの怒り具合に無意識に殺気と魔力が漏れ出てしまい、拳からは血が垂れる程、強く握りしめられていた。そしてそれが、デオノクスの怒りが深刻であるという事を、何よりも証明していた。
「コラ!」
デオノクスは突如頭にやって来た衝撃により思考をとめ、いきなり叩いて来た人物へと視線をやる。
先程の名残があるからか、振り向く際に殺気を浴びせてしまったのは、彼が目付きを鋭くしている事を見れば一目瞭然だろう。
「今の話しでお前が何を気にしたのかは分からねえけど、とりあえずはその殺気と魔力は閉まっとけ。
口調こそ軽いが、メリオダスの瞳は真剣味を帯びていて、何時でも対応出来るように、背中に背負った剣に手をやっていた。
「ふぅ……悪い、ちょっと動揺しちまってな。思わず、魔力が漏れちまったみてえだ」
デオノクスもメリオダスの臨戦態勢を見て、頭に溜まった熱を冷ますかのように口から空気を吐き出すと、無意識に漏れ出ていた殺気と魔力を閉まった。
「気にすんなよ。それよりも、今はこの状況をどうするかが先決だろ?」
そう言うと、メリオダスはデオノクスの殺気に当てられ、泡を吹いて倒れている二人組の男達に目をやる。
顔は死人のように青白く染まり、目は白目を向いていて、重症である事が一目で窺えた。
「……どうする?道端にでも、捨てて来るか?」
「ああ……そうしよう。ついでに土にでも埋めてやりゃ、後は自然に還るだろう」
「いや、介抱しろよ!!?デオノクス、特にてめーは!?」
メリオダスとデオノクスがこれはもう(事態を収めるのが)手遅れだと判断し、コソコソと冗談を混じえながら話しあっていると、今までデオノクスに美味い飯を食わせてもらっていたホークが、店の奥から顔を出してツッコミを入れた。
「おいおい、ホーク。な〜に、マジになってんだよ?」
「そうだぜ、ホーク。自分で客を気絶させといて、そんな無責任な事……俺がすると思うか?」
「いやてめーら、マジで捨てて来るつもりだったろ!?」
しかし、常日頃からメリオダスやデオノクスの、冗談や揶揄いに付き合わされているホークは見抜いていた。この二人なら、本気でやりかねないと。あの瞳は絶対、証拠隠滅を測ろうとする時の瞳だったと……。
「そんな訳ねえだろ?半分は……」
「半分!?」
「さっきのは冗談だよ。二割は……」
「二割!?!」
やべぇ奴ら。ホークが率直に抱いた感想はそれだった。
こんな奴らが、大陸中にあちこちファンが出来る酒場を経営しているというのだから、世も末である。
(ちっ、やっぱりこいつらじゃダメだな。デオノクスも普段はまともだけど、偶にこういう事をやらかすからな。やっぱ、この店の未来は俺様の肩にかかってるな)
ホークが内心でデオノクス達への愚痴を吐き、自分の役割(勘違い)を再確認した時……
「?(何だ、この錆びくせえニオイは?)」
プゴッ!という鼻を鳴らす音と共に、彼の嗅覚が、酒場から少し離れた位置から漂ってくる臭いを感知した。
「?おいホーク、どうかしたか?」
そんなホークの異変に気がついたデオノクスが声をかける
「いや、何か臭うんだよ……錆びた鉄のようなニオイが……」
そう言うとまた鼻を鳴らして、ドアの向こう側から漂って来る臭いを確かめる
「!!おい、メリオダス」
「?どうかしたか?」
「もしかしたら、その臭いの正体っていうのは、彷徨う錆びの騎士の亡霊かもしれねえ」
「!そういやさっき、ここらで目撃されたって言ってたな……」
「あぁ……もし仮に、そいつが【七つの大罪】の誰かだった場合、客達に俺たちの正体がバレるのはマズい。ここらで店を閉めよう」
デオノクス達は他の客達に聞こえないように、小声でやり取りする。
一見、デオノクスの意見は筋の通った話しに思える。
しかし、メリオダスにはデオノクスが何かを焦っているという事を肌で感じとっていた。
先程までの彼は、彷徨う錆びの騎士についての噂を聞かされても、どこか余裕を持っていた。それは、自分達が負ける訳ないという確固たる自信と、【聖騎士】ならば近づいて来るだけで魔力が感知出来るからだった。
だから彼は、ここに戻って来た時に魔力を感じ取れなかったという理由もあり、彷徨う錆びの騎士が【聖騎士】でも【七つの大罪】でもないという確信があった。
けれども、その余裕は、【
何故なら、【九人目の大罪人】は
それでも、その人物の記憶を一部でも覚えている者がいるのは、そこにデオノクスという男が関わっているからだった。
だから有り得ないのだ。デオノクスの預かり知らぬところで、【九人目の大罪人】が存在していたという事実が出回るなど。
(クソがッ!全く想定してなかったぞ!!アイツがこんな大胆に介入して来るなんてよーっ!!)
故に今の彼は危機している。有り得ないと思っていた現象が起きてしまったため、【九人目の大罪人】が蘇ったのではないかと。死者の蘇生なぞ、本来の力を引き出した彼でも無理なのだ。そんな事を出来る者がいるとすれば、彼が知る中ではこの世に一人しか存在していない。
(他でもねえ、
焦りに駆られるデオノクス。
しかし彼は別に、【混沌の母】に負けるとは
では何故、彼が焦っているのか。
それは、彼の目的及び秘密がメリオダスにバレる恐れがあるという事に起因していた。彼の目的のためには、今はまだ絶対にメリオダスには秘密がバレてはいけないのだ。
(あの計画を遂行するためには、今はまだコイツに悟られる訳にはいかねえ……。コイツが【魔神王】を倒すまでは、俺はまだコイツの傍から離れられねえんだよ!!)
デオノクスが必死でこの状況の打開策を思案している時、一方のメリオダスは……
(デオノクス……お前がオレや他の奴らに、何か知られたくねえ秘密があるのは知ってんだ……。それをオレが聴いちゃならねえって事も……)
メリオダスには分かっていた。デオノクスが自分に隠れて何かをしてるという事も、自分に秘密がバレるのを恐れているという事も。例え、その秘密が何なのかは知らなくても、それを自分が聴いてはならないという事も理解していた。
でなければ、彼が突然【七つの大罪】を抜けるとは言い出さないし、自分の『魔力』を覚醒させようともしないだろうから。
(オレの目的はエリザベスとオレに掛けられた呪いを解くこと。そのために、三千年もの間ずっと旅をしてきた。奴らに掛けられた呪いを解くこと、それがオレの今の生きる原動力だ……。けど、お前は違うんだろ?何でか知らねえが、お前はオレの
メリオダスも【魔神王】や【最高神】に掛けられた呪いを解くためには、それらに匹敵する強さがいる事は理解していた。だから、デオノクスとの特訓にも付き合ったし、今の状態では駄目だという事も理解していた。
(けどよ、ときどきふと思うんだ。お前は本当にオレ達の味方なのかって。そんな事ねえって分かってるのに、それでもときたま感じる事があるんだ。オレはお前を、
メリオダスは彼と初めてあった時から、デオノクスという名前にどこか聞き覚えがあった。同じ【魔神族】という意味ではなく、もっと根本的な部分を。例えるなら、自分達は兄弟だったのではないかと。
そんな事はないと頭では分かっている。
自分達は三人兄弟で、デオノクスという人物は存在しないという事を。けれども、彼に特訓してもらう時や、何かの相談に乗って貰う時には、どこか心を満たされる居心地良さがあった。
(だからさ、デオノクス。教えてくれよ、お前がオレ達に隠している秘密を……。他の奴らには無理かもしれねえけど、オレとお前は、共にエリザベスの呪いを解くって約束しただろ?そんなオレにすら、その秘密は明かせねえのかよ)
メリオダスが彼の秘密を知りたい理由は、もし彼が自分の兄弟である場合、裏切り者である自分を恨んでいるのではないかという不安があったからだ。
ゼルドリスやエスタロッサ、他の【魔神族】達と同じように、本当は自分を恨んでいて、虎視眈々と復習の機会が訪れるのを待っているのでは、という不安があったからだった。
「ふぅ……。分かった、とにかく店は閉めるか」
メリオダスは思考の海から帰還すると、ゆっくりと息を吐き出し、今はデオノクスの指示に従う事にした。
「あぁ、サンキューな」
「気にすんなよ。オレとお前の仲だろ?」
メリオダスはそう言うとにししと笑い、手をパンと叩いた。
「はーい、注目!」
「ん?何だ?」
「どうしたんだよ?小僧の店員さん」
「小僧じゃねえーよ、メリオダス!それと、あんたらさっきからデオノクスを店主店主って言ってるけど、
(あんの馬鹿ッ!!)
「え?」
客達は大人な対応もでき、メリオダスと違って情報収集も怠らないデオノクスが店主だとずっと思っていた。
しかし、それが実はメリオダスが店主であったという事実を聞かされ、その事実が衝撃的過ぎるあまり、酔っ払ていた者達の酔いが一瞬にして覚めた。そのため、デオノクスが内心毒づいた【七つの大罪団長】の名前と同じという情報を聞き流し、何とか彼の努力は無駄にならずに済んだのだった。
メリオダスの衝撃的過ぎるカミングアウトに、客達は一瞬頭の思考がストップし、次の瞬間店を震わせる程の大音響が響き渡った。
「「「「え、えぇぇぇ〜〜ーーー!!?!」」」」
「嘘だろ!?!あのチビが店主ゥゥーー!!!?」
「あの背の高けぇ兄ちゃんじゃなくて、あのチビが!?」
「あのチビ、どうみたって子どもだろ!!?」
「私、今までずっとデオノクス様が店主さんだと思ってたのに〜〜!!?!」
「私も〜!!」
「私も同じだよ〜!!だってどこからどうみても、デオノクス様とあの子じゃ、親子か兄弟にしか見えないよ!?!」
客達の反応は、先程のデオノクスのお詫び以上に強く反応し、中には酒場に来る者が初めてでもない者までいる。
当然、自分が店主であると思われていないどころか、散々チビだの小僧だの言われたメリオダスが不満に思わない筈もなく……
「……デオノクス、ちょっと待っててくれ」
デオノクスに一言断りを入れると、厨房内へと入って行き、戻って来た時には、彼の等身程のサイズはある袋を抱えていた。
「あちゃ〜」
それを見たデオノクスは、額に手を当てながら天井を仰いだ。彼らがこれからどんな目に合うのかを悟ってしまったのだ。
「よ〜し、みんな。今から店はもう閉めるけど、その前にこれは全員土産として持って帰ってくれ」
「え?」
「店を閉める?」
「どういう事だよ?小僧の店主さん」
(あっ、また言った)
デオノクスは、火に油を注ぐ客に憐憫の眼差しを送る。きっと彼には、メリオダスから更なるサプライズが追加される事となるだろう……。
「店を閉めるのは、どうやら今、この近くに彷徨う錆びの騎士がうろついているらしくてな。あんたらの安全を考慮するためには、早めに店を閉めた方が良いと判断したんだ」
「「「……ッ!?」」」
「ホーク、ここらそいつの位置まで、だいたいの距離は掴めるか?」
ホークは鼻をクンクンと鳴らして動かす。
「あぁ……ここからそいつまでかなり近けぇぜ!急がねえと、すぐ近くまで来ちまう!」
「……つーう訳で、わりぃけど今日のところはこれでお開きだ」
「まぁ……それなら、仕方ないな」
「あぁ。せっかく店主さん達がおれたちの安全を考慮してくれてるんだからな……」
客達は飲みかけの酒や、食べかけの料理をそのままにすると、渋々とだが腰を上げていった。
そして、扉へと向かおうとした時、メリオダスから声を掛けられた。
「ちょっと待て。あんたら、まだ土産を持ち帰ってねえだろ」
そう言うと、メリオダスはいつのまに全員分の袋を用意したのかは分からないが、さっさと客全員に彼の作った【特製ミートパイ】の入った袋を渡していく。
「店主さん、これは?」
「オレが作った【豚の帽子亭】名物【特製ミートパイ】だ。帰ったら、ゆっくり味わって食べてくれ」
「ウェッ?」
客達は全員、一瞬己の耳を疑った。それ程までに、自分達が渡された袋の中身を信じたくなかった。
客の一人が顔を青く染めながらも、引き攣った笑顔で、再度メリオダスに袋の中身を問う。
「悪い、耳が遠くなっちまったみたいだ。もう一度、言ってくれるか……?」
小声でまだそんな歳をとった覚えはねえんだけど、おっかしいな〜?と言う客に、メリオダスではなくデオノクスが彼らに無常の現実を叩きつける。
「現実逃避したい気持ちは分かるけど、何度聞いても同じだぜ?その袋の中身に入っているのは、メリオダスが失敗しまくったミートパイだ」
「…………嘘だろ?」
「マジだ。あんたらさっきから散々、メリオダスにチビだの小僧だのって言ってたからな。挙げ句の果てには、見た目だけで俺を店主と勘違いしてしまったしよ。自業自得だと思って、諦めてくれ」
デオノクスの表情は無で、彼がこの状況をどうしようも出来ないんだと、それを見た客達は察した。
そして、一人また一人と肩を落としながら店の外へと出て行き、最後の一人を見送ると、デオノクスは掌を合わせて黙祷を捧げた。
その後、錆びの騎士が店に入って来たものの、彼らが何かを言う暇もなく倒れ、デオノクス達は鎧を着込んだ銀髪の少女を介抱するのだった……。