にしても、漫画やアニメだと本の数コマで終わっている筈のシーンに、まさか4000文字近くも文字数を使うとは思いませんでした!
早く戦闘シーン描けよ!と思われる方には申し訳ないですが、もう暫くお待ち下さい。
客達を見送った後、店を閉める準備をしていた時に、その女の子は店に入って来た。
その子は、噂にあった彷徨う錆びの騎士の鎧を着用していて、デオノクス達が声を掛ける前に、歩き疲れたのかすぐに倒れてしまった。その際に、頭に被っていた兜も脱げ、メリオダス達はそこでようやく、彷徨う錆びの騎士の正体が二十にも満たぬ、まだ歳の若い女の子だと知ったのだった……。
メリオダス達は、とりあえず彼女を介抱するために、酒場に備え付けられた寝室へと運び、彼女が起きるのをじっと待つ事にした……。
「おい……この子、どう見ても女の子だよな……?」
ホークが自分の見ている現実を確かめるためのセリフを吐いた。それもそうだろう。デオノクスもメリオダスも、彷徨う錆びの騎士の正体を確かめるまではずっと、【七つの大罪】か【聖騎士】であると思っていたのに、鎧から出て来たのは、戦いとは無縁そうな銀髪の美少女だったのだから。
「…………うんにゃ!!」
「えっ!?」
しかしメリオダスは、絶対に見た目から少女であると判別出来るにもかかわらず、それを否定した。
そのためホークは驚き、少女の方へと目線をやる。
彼女の外見は、絹糸のような腰まで伸ばされた銀髪の頭髪に、鎧を着ていた事が窺画える黒色の肌着を身につけていた。そのため、彼女の身体のラインや形が浮き彫りになっており、キュッと括れた腰に、寝ながらでも上下に運動する二つの大きな山が、如何にもその子が女の子であると物語っているのだが……。
「この寝顔にこの
次々と寝ている彼女に変態的な行動を取るメリオダスが、次の
「この弾力……」
彼女が女の子でもあると証明出来る、年齢の割に発達しすぎている大きな胸だった。
メリオダスは彼女の胸を掴み、何度もその感触を確かめる。
「……やっぱり女だな!」
「見りゃ分かんだろ!!」
(ん〜、アイツっていつも同じ事やってるなー)
メリオダスの事情を知るデオノクスは、彼がいつも同じ相手に、同じ対応をしている事を知っている。そのため、ホークと違って慌てる素振りもなく、静かに静観していた。
すると……彼女は自分の身に起きた異変を感じたのか、ムクッと起き上がり、自分の胸が知らない男に捕まれている事を確認する。普通なら、盛大な悲鳴を上げて当人をおもいっきり引っぱたくか、ぶん殴るかして、恥じらいの表情で自分の胸を両腕で隠すだろうが……。
「あ……あの…………?」
「…………」
彼女の行動はそのどれでもなく、染み一つない白い肌をリンゴのように赤く染め上げ、困ったような表情をしている。
それに対して、メリオダスは彼女が起きたにもかかわらず、尚もその胸の感触を楽しむかのように触っている。ここまでくると呆れを通り越して関心するだろう。
(ん〜、恥じらいのある表情が初々しいなー)
デオノクスはそんなメリオダスの行為を止める事はせず、寧ろ彼女の恥じらいのある表情を見て楽しんでいた。
まさか、彼もメリオダスに匹敵する程の変態だとでも言うのだろうか。そうなれば、ホークの身体的疲労はピークに達してしまうかもしれない。
「……動悸にも異常なし!!」
「あ……ありがとうございます……?」
「このヤロ〜〜飄々としやがって〜!!」
そして、十分に楽しんだのか、メリオダスはようやく彼女の胸から手を離した。けれども、その際にも謝罪はせず、あくまでも『これは仕方なくやっていたのですよ〜』と装う。
「こ、ここは……あの……私はなぜ……?」
彼女は自分の身に何が起きたのか分からず、辺りをキョロキョロと見渡す。
「フラ〜〜ッと店に入って来て、いきなりぶっ倒れたんだぞ?お前」
「その後に、頭に被っていた兜が脱げて、お前が女の子だと分かったから、とりあえず寝室に運んで、こうして介抱してたってわけだ」
「店……?」
「【豚の帽子亭】つって、オレ達二人で経営してる酒場なんだぞ!」
「酒場……?じゃ、じゃあ……あなたが……
彼女はメリオダスではなく、デオノクスへと目を向けて問いかける。まぁ、初見でメリオダスを酒場の店主だと見抜ける者は、そうそういないだろうから、彼女の反応も当たり前と言える。
「違うぜ?俺は店主じゃなくて、【
「え?じゃ、じゃあ……あなたが……
彼女は今度はメリオダスへと視線を向ける。その表情からは、あなたが店主とは信じられないという心理が読み取れた。
「おかしいか?」
「い、いえ!その……背中に剣が見えたものですから……てっきり剣士さんかと……」
どうやら彼女はメリオダスが子供の容姿をしていたから疑った訳ではなく、メリオダスが背中に剣を吊るしていたから疑ったようだ。
「ああ!これか」
メリオダスは背中から飛び出ている、竜(ドラゴン)をあしらったような剣の柄を左手で掴むと、勢いよく引き抜いた。
「キャッ!」
彼女はメリオダスのいきなりな行為にびっくりし、思わず目を閉じた。
そして、彼女が恐る恐る目を開けると……
「……え?……刀身が……折れてる……?」
彼女の視界に映り込んだのは、刃の折れた剣を上へと掲げる、得意げな表情でこちらを見るメリオダスの姿だった。
「へへーっ、びびった?柄だけでもチラつかせてりゃ、それなりに見えんだろ?これぞ、店で問題を起こさせないための抑止力ってやつだ!!」
メリオダスは剣を背中の鞘に仕舞うと、自分の苦労話しを語る。
「酒場には色んな客が来るからなー……それらを対処するのに、
「ほとんど被害に遭ってるのは、てめーの飯を食わされた連中だがな」
「それに、問題を起こすのは大概がメリオダスだしな」
しかし、それは長年共に酒場を経営してきた相棒と、メリオダスの出された料理を客達が残し、そのほとんどを残飯処理させられているホークに一蹴された。
彼らの言い分的には、寧ろ苦労しているのは、いつもその後始末をさせられている自分達だと言外に告げていた。
斜め下と背後からの無言の重圧に耐えきれなくなったメリオダスは、視線をあさっての方向へと向け、口笛をふく。
「わあ〜〜っ!!喋る豚さんだぁ!!」
「ホークだぜ、ヨロシクな!」
彼女はホークが喋るところを見た瞬間、表情をパァァァァっ!と輝かせて、そのまま小走りでホークの方へと向かって行った。
そして、艶のあるピンク色の身体を撫で回す。
「この前、父上に誕生日プレゼントとしておねだりしたんです!!」
「へぇー……で、その豚もらったのか?」
「!……いえ」
すると、先程までの笑顔が嘘だったかのように、目に宿していた光が消え、表情はズーンと擬音が聴こえてきそうなぐらいに落ちこんでいた。
「……そだ、腹減ってないか?よけりゃ食わしてやるよ」
「ひぃ!!」
ホークは自分が食べられると思ったのか、顔を真っ青に染め上げる。
「ポークちゃんを?」
「ポークじゃねえ!!ホーク!!」
「……誠に残念ながら、店の飯だ」
メリオダスは、その豚焼いたら脂がのってて美味そうだよな、というニュアンスで言う。
「こんのクソがッ!紛らわしい言い方すんなよ!!」
「にヒヒ」
「……メリオダス。その飯を作るのは、誰がするんだ?」
デオノクスはあえて聞いた。
彼は彼女にだけはメリオダスが作ると察していたのに、それでもあえて聞いたのは、確認のためと誰が作るのかを周りに理解させるためでもあった。
「そんなの、デオノクスが作るんじゃねえのか?」
「うんにゃ、ここはオレが作る!」
「はぁ!?てめーが作んのかよ!!その子に!?」
「あったり前だろ?オレ以外に誰が作るんだよ?」
「いや、デオノクスにやらせれば良いだろ!!?起きてすぐに、てめーの不味い飯を食わされるその子の身にもなってみろ!!?」
メリオダスはいつまでも喧しいホークの口を物理的に黙らせると、デオノクスへと確認を取る。
「良いよな?デオノクス」
「はぁ……好きにしろよ」
「やありぃ!」
メリオダスは了承を得ると、すぐに扉を開けて店の厨房へと向かった。
「いてて……おい、良いのかよデオノクス?アイツに飯なんか作らせて、もし何かあったら……」
メリオダスの絶望的なまでの料理の腕前を知るホークは、デオノクスが許可した事に疑問を持っていた。
いつもいつもは、メリオダスが料理をする事に断固たる拒絶の意を示していたのに、何故彼女の時だけは許可したのか。デオノクスは彼女の事が嫌いなのだろうかと、心配していた。
「心配すんなよ。俺が見張ってる限り、彼女の安全は保証する。それに……」
「?」
「他の奴ならともかく……彼女(エリザベス)にだけは、自分が作った
ホークはその時に見たデオノクスの表情をきっと忘れないと言えた。何故ならその時に浮かべていたデオノクスの表情は、十年以上も共に過ごして、初めて見た表情だったから。
それは、子の成長を見守る親のような優しい眼差しで、慈愛のある笑顔だった。
それは、彼が初めてみせた