バカとウチと本当の気持ち   作:mos

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バカとデートと繋がる気持ち
part A


 僕は美波のお母さんから如月ハイランドのチケットを貰った。

 すっかり手玉に取られてしまった僕は美波と如月ハイランドに行くことになってしまった。

 

 なんてね。

 本当は僕がそうしたい気持ちになったんだ。

 一日、美波と一緒に遊びたいって気持ちにね。

 

 今は自宅に戻り、その準備をしている。

 

 約束の時間までまだ余裕がある。

 今日は一日如月ハイランドで遊ぶことになるから昼ご飯が要るだろう。

 よし。サンドイッチを作って行こう。

 現地で何か買って食べるかもしれないからちょっと小さめにしておこうかな。

 

 入れ物は……現地で捨てられるように紙製のサンドイッチバッグがいいな。

 確かあったはずだ。

 あとは着替えて……財布も持たないとね。

 

 僕は青いスラックスと白のシャツ。

 それにベージュのジャケットを羽織った。

 

 おっと。チケットを忘れるところだった。これを忘れたら全てが台なしだよ。

 

 よし、準備OK。

 と言ってもまだ待ち合わせの時間にはちょっと早いか。

 

 う~ん……。でも時間を潰す気にもなれないな……。

 よし、それじゃあ現地で美波を待つことにしよう。

 

 僕は如月ハイランドに向かった。

 

 

 

          ☆

 

 

 

 僕は正面ゲート前に着いた。

 約束の時間にはまだ三十分くらいある。やっぱりちょっと早過ぎたかな。

 

「アキ~っ!」

 

 ん? あの声は……美波だ。

 もう着いたんだ。まだ約束の時間には早いのに。

 って、人のことは言えないか。

 

 手を振りながら元気に走ってくる美波の姿が見えてくる。

 あれ? なんだろう。このシーンに見覚えがあるような……?

 

 そうだ……停学明けのあの時と同じだ。

 あの時はこの後、目を瞑るように言われて────

 

 って! 何を思い出しているんだ僕は!?

 

「ハァ……ハァ……ごめんね。待った?」

 

 息を切らせながら言う美波。

 

 ま、まずい! 顔を赤くしてる場合じゃない!

 

「い、いやぁ! 僕もちょうど今来たところさ!」

 

 動揺していた僕はお決まりの台詞を恥ずかしげもなく言ってしまった。

 まぁ本当に今来たばっかりなんだけどさ。

 

 でも美波は僕の動揺に気付いたようで、顔を覗き込んできた。

 

「? どうかした?」

「な、何でもないよ! ちょっと思い出してただけ!」

「何を?」

「い、いや! 何でもないって!」

 

 聞かないでっ! 恥ずかしいから!

 そ、そうだ! 話題を! 話題を変えるんだ!

 考えるんだ! 何か話題を……えぇと………えぇと……。

 

 こういう時ってまず服装から話題を作るんだっけ?

 

 えっと、今日の美波の服装は……。

 

 膝丈の白いワンピースに、丈の短めのピンクのジャケット。

 髪はいつものポニーテールにリボン。

 手には手提げ鞄を両手で持っていて、それから……。

 走って来たからだろうか。

 高揚して赤みを帯びた顔をしていて、小首を傾げながら僕を不思議そうに見ている。

 

 さて、ここから作る話題は……。

 

 

 ──── 可愛い ────

 

 

 って、僕の感想はこれだけか!? これじゃ話題にならないじゃないか!

 

 こんな僕の様子をじーっと見ていた美波は目を細めて疑いの言葉を掛けてきた。

 

「何か隠してるでしょ」

「い、いやっ! その! 可愛いなって思って! ────あ」

「なっ!? い、いきなり何言ってるのよ! バカ! ………………えっと……その……あ、ありがと……」

 

 バカっ! 僕のバカっ!

 余計に気まずくなっちゃったじゃないか! どうするんだよこの状況!

 

 美波を直視できなかった僕は俯いて目を逸らす。

 

 ──か、顔が熱い……!

 

 どうしよう……どうしたらいいんだろう……。

 美波は『ありがとう』なんて言ってるけど……。

 

 僕は美波の反応が気になり、ほんの少しだけ顔を上げてその様子を伺ってみた。

 すると美波も僕と同じように顔を赤くし、その顔を隠すように俯いていた。

 

 こんな状況になったのは僕の責任だ。

 失敗したなぁ……いきなりなんてことを言ってしまったんだ……。

 とにかく何か別の話題を……。

 

 えっと、簡単に思いつくのは天気の話だけど……そんなの一瞬で会話が終わっちゃうじゃないか。

 それじゃ、今日も胸が小さ────全てを台なしにする気か!? バカか僕は! いやバカなんだけど!

 あぁもうっ! ダメだ思いつかない! どうしたらいんだ!

 

 と、僕が別の話題を探して考え込んでいると、袖を引っ張られる感じがした。

 正面を見ると、美波が赤い顔をして俯いたまま僕の袖を握っていた。

 

「アキ……入ろ」

「そ、そう……だね」

 

 結局、僕は何も考え付かなかった。

 美波から話してくれてよかった……。

 こんな調子で今日一日大丈夫なんだろうか僕は……。

 

 僕はポケットからチケットを取り出し、受付を済ませた。

 このチケットは一日周遊券。

 アトラクションはすべて無料だ。

 

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