それでは前回のあらすじ
昼休み、教室から逃げて陽真は中庭で弁当を食べ始めると柊先輩と遭遇した。
柊先輩に散々からかわれて弁当を食べ終わった陽真は午後の授業に戻るのだった。
それではどうぞ!
side陽真
午後の授業、やはり高校生の集団の中に一人いる小学生は小さいものの、存在感はかなり大きく、チラチラと他の生徒たちがこっちの方を見てきている。
もちろん俺の方ではなく小崎の方を見ているのだろうが、なんだか見られているような感じがして落ち着かない。
ただ、適応力だけは高いので段々と慣れては来ている。
こうして居眠りをすることが出来る程度には。
「おい、春日部ぇ」
「あ、先生」
「居眠りはするなよォ、お前は一年の頃から教師の中でブラックリスト入りしてるんだからな」
社会の教科担任、
この表情はガチでキレている表情だ。
そう言えば蓮井先生には完全に目をつけられていたのを忘れていた。
「次は無いと思え。次寝たら宿題を増やすぞ」
「はい! すみませんでした!」
勉強嫌いの俺にとっては宿題増やすぞは死刑宣告に近い。
蓮井先生が宿題を増やすのとほかの先生が宿題を増やすことではレベルが違うって話だ。そんなとてつもない量の宿題はやりたくない。
とはいえ、蓮井先生の声は眠くなるのだ。催眠効果があるに違いない。
そんなこんなで何とか無事、社会を乗りきった。
今のが六時限目だった為、これで帰ることが出来る。そう考えて帰り支度をして未だにクラスのやつらに絡まれている小崎を後目に教室を去る。
校門前に着くと、俺は柊先輩へ校門前に着いたという旨のメッセージを送った。
すると三秒くらいで既読が着いて了解と送られてきた。
その直後だった。俺の視界が誰かの手によって塞がれてしまった。
「だーれだ」
正直声で丸わかりである。だけど、少しからかいたいという悪戯心が芽生えてしまったので少し泳がすことにした。
「誰だ? うーん……あ、もしかして隣のクラスのレイス・ハルバトナー?」
「本当に誰!?」
俺が予想外の名前を上げたせいで声の主が混乱しているのが丸わかりである。
ちなみに、この名前は実在しない架空の人物の名前である。今考えた。
「もう……分かっているくせに」
「はいはい、早かったですね先輩」
「うん、掃除当番は今日はなかったからね」
「そう言っていつも引き受けるのが先輩じゃないですか」
「そ、そうだったっけ?」
そう、この柊先輩はちょろいもので、直ぐに他人の掃除を引き受けてしまうのだ。
そのため、一部の生徒からはちょろい人と認識され、なにか理由をつけてよく掃除を押し付けられているのだ。
だが、俺はただそいつらがサボりたいだけだと知っている。この前、偶然聞いてしまったのだ。
『おい、柊のやつちょろかったわ。バイトに行くって言ったら簡単に代ってくれた』
『おいおい、お前はバイトないじゃねぇか』
『ははは、ウケるだろ? お前も今度押し付けたらどうだ?』
『お、それはいいな!』
これが目撃者の気持ちなのだろうか。
これをバカ正直に柊先輩に伝えるべきなのか、それともこのお人好しを辞めるように説得するべきなのか。
柊先輩は心がガラス細工のようにもろいから、この話を伝えたらきっと人間不信になるに違いない。
これが俺の最近の悩みである。
「と、とりあえず早く行こう? 久しぶりに春日部くんとゲーセンに行くから楽しみなんだ」
「俺も楽しみですよ。先輩の動き、面白いですから」
「もう、酷いよ後輩くん」
俺の冗談交じりの言葉を聞いて柊先輩は俺の頬をつんつんとつついてくる。
俺は前髪も目までかかっており、誰が見てもくらい陰キャだ。それに対し先輩は誰が見ても超絶美人という程の女性。ただでさえ、隣同士で歩いているだけで異質なコンビなのに、そんなことをされたら周囲の生徒たちに怪訝な目を向けられてしまう。
俺は注目を浴びたくないのだ。
「先に行きますよ」
「あ、春日部くんのいけずぅ」
「いけずでもなんでもいいですから」
俺は早足でその場を後にする。
その後を柊先輩が小走りで追いかけてきた。
少し歩いたところで直ぐに行きつけのゲーセンが見えてきた。だが、そんなにゲーセンに来ることは無いけどな。
ゆきや柊先輩と来る時しかゲーセンは来ない。俺の格ゲーの腕前は家庭用ゲーム機で鍛えたのだ。
「それじゃあ、早速対戦しよう! 本当に練習してきたんだから」
「はい、それじゃあ始めましょう」
俺たちは対面に並んでいる格ゲーのゲーム機の椅子に座って対戦を始める。
柊先輩が使えるキャラクターは余りいないので、結構動きを読むことが出来る。俺の方はほとんどのキャラを満遍なく使いこなすことが出来る。
ちなみにゆきは全てのキャラを使ってくる。だから動きが読みにくいのだ。それに、そのキャラじゃ厳しいだろという予想外の動きをするから苦戦するのだ。
さて、今回柊先輩が使ってくるキャラはいつも使ってくるキャラと同じだ。果たして、先輩はどれほど強くなっているか。
「覚悟してよ〜私、強くなったんだから」
「はい、楽しみです」
そうして対戦を開始したのはいいのだが――
「待って待って、それは反則!」
「……」
「ちょっと、それ弱いんだから!」
「…………」
「あぁんちょっと!」
「………………」
「やめてぇぇぇっ!」
「……………………」
さっきからずっとこの状態である。
確かに柊先輩は成長していただろう。これまで俺の繰り出したコンボに為す術もなかった柊先輩が一度はコンボを抜け出したのだ。
だけど、次に違うコンボを使ったらこの状況になった。
なんだか、柊先輩の悲鳴がエロい。
周りにいる客の視線が痛い。
「あぁ……また勝てなかった……」
「また相手しますよ」
「今度は負けないわ!」
「はい、またよろしくお願いします」
そして俺と柊先輩はゲーセンの前で解散して各々、家に帰ることとなった。
だが、俺は直ぐに家に帰ることはなく、スーパーにたちよることにした。
はい!第3話終了
次回、タグにもある通り、妹が登場します。その予定です。
それでは!
さようなら