真依廻戦   作:ヴィヴィオ

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第10話

 

 

 伏黒甚爾、叔父様を彼の肉体情報をオガミ婆の術式で作り替え、私の構築術式でDNA構造を再現して改変した黒い兎の特別に作り上げた生体呪骸に降ろす事に成功した。

 これにより、悟パパとの契約が一部終わったので、パパは高専へと向かった。

 私も師匠から技術を貰ったのでこれ以上、師匠の下に居るわけにもいかない。私はあくまでも禪院家を乗っ取る事が目的であり、鍛冶師として一生を過ごすつもりはない。もちろん、関わりを断つわけではなく自分の工房に戻る独立といった感じで取引や交流は続ける。

 連絡先も交換しているので、何時でも情報や意見の交換、素材の発注など行うので問題なし。と、いうか……ここ二年ほどお姉ちゃんと少ししか会っていないしね。

 そんなわけで私は工房へと戻る。黒い兎のぬいぐるみを抱きながら、久しぶりの山道を進み、滝がある場所にやってきた。そこはほとんど変わっていない。いや、そこに満ちていた呪力は感じられなくなっている。

 

「懐かしい場所だな……」

「来たことあるの?」

「食べもんの確保に使ってた」

「同じだね」

 

 歩くのが面倒だと言って私の頭に乗っている叔父様を連れ、隠してある場所を掘り起こしてトランクケースを取り出す。

 中身は二年前に作ったドライスーツだ。中身を取り出したら、叔父様を突っ込む。

 

「おい、何をしやがる!」

「これから水の中に入るから、その中に入ってないと濡れる。それでもいいなら、構わないけど……」

「……よし、任せる」

 

 大人しく仕舞われた。流石に濡れるのはもふもふの毛並みでは大変なのだろう。ちゃんと鍵もかけてから、ドライスーツに着替える。叔父様とはいえ、男に肌を見せるのは問題だから丁度いい。

 

「……ピッタリ、だと……?」

 

 二年前のドライスーツはサイズがほとんど誤差の範囲にしか変わっていなかった。つまり、ほとんど成長していない。肉体を改造しまくっている弊害かもしれない。呪霊を食料に変えて体内に取り込み、一部を撤去して肉体に取り込んで再構築することでこの身に宿る呪力を増やしている。そのせいかもしれない。まあ、やめない。大人の体が必要ならそれこそ構築すればいいだけだし。

 

「よし、行こう」

 

 トランクケースには入りきらないので、リュックサックも作ってそちらに入れて一気に滝壺に潜る。肌を突き刺すような冷たさもドライスーツのお陰で無事……ではない。流石に二年間も放置してたら劣化しているようで、ちょっと冷たい。

 急いで覚えているルートを泳ぎきり、出口に到着……したら出入口がなかった。そこは植物に覆われている。仕方がないのでナイフを構築して切り裂く。

 スパッと植物の蔦を切り裂いて中に入ると、鍾乳洞の至る所に蔦が伸びていて周りを覆いつくしていた。大量に存在する黒色の苺と蔦が蛇のようになって蠢いている。

 

「……やば、放置しすぎた……」

 

 黒苺はその特性上、呪力を吸い取って成長していく。それはつまり呪霊が発生するメカニズムと変わらない。元から受肉しているか、していないかの違いでしかない。

 

「叔父様、叔父様、早速お仕事です」

 

 トランクケースを開けて地面の部分に中の叔父様を放り出す。叔父様は不機嫌な状態で周りを見てから……呆れていた。

 

「なんだこれ?」

「倒して」

「お前もやれよ」

「もちろんです。創造理念を設定、基本骨子、構成材質を設定、製作技術、作り手の意思、蓄積年月を設定。其に至るは数多の研鑽。千の刀、万の刀を象り、築きに築いた刀塚。此処に辿るはあらゆる収斂(しゅうれん)。此処に示すはあらゆる宿願。

 此処に積もるはあらゆる非業。我が人生の全ては、ただこの一振りに至るために……剣の鼓動、此処にあり────」

 

 生み出すのは私と師匠が作り上げた()()()()()()()()()()()()の刀達。銘無き刀剣(ネームレス)

 

「叔父様。構築時間は十分。好きに使って暴れてください」

「あいよ」

 

 叔父様が人間のように掴めるように作られたうさぎのぬいぐるみの手で刀を取り、植物の蛇を切り裂く。刀は砕け散り、霧散する。だけど、その代わりに蛇は一刀両断されて倒れる。

 私が作り上げた刀は壊れる事が前提として構築されている。その身に宿る呪力をただの一撃に全てを込めて自壊する。自爆の縛りを与えて威力を強化している。Fateの衛宮士郎が使う壊れた幻想(ブロークンファンタズム)や冥冥さんが使うカラスを自壊させて使うことと同じだ。

 これらの技術は師匠に教えてもらった。もっとも、師匠はこれを見せたら激怒して無茶苦茶殴られたけどね! そりゃそうだ。失敗作とはいえ自分達の作品に自爆機能をつけて使い捨ての弾丸にしているわけだしね。まあ、私の知ったことではない。

 

「えい」

 

 手に持って型も何もない適当に呪力で強化した力で適当にふるって蛇を撃退する。複数の蛇を二人で撃退しながら神社へと進んでいく。こうなった原因の核を見に行く。

 

「アレが原因かな?」

「だろうな」

 

 見覚えがある男性器の形をした石像と何かの木片。それが核となっているみたい。だったらやることは一つだ。

 

「破壊するぞ」

「駄目。アレは使うから確保して」

「お前な……」

「よろしく」

「高いぞ」

「後でおやつあげるから」

 

 叔父様が突撃していく中で無数の蛇達を見ながら、呪力を見る。そこでふと思い出した。男性器、蛇、石、木片……これらに多く合致する物があることに。

 

「まさかミシャグジさま?」

 

 禪院家は遥か昔から続く呪術師の家系だ。諏訪神社か洩矢神社に祀られている物の一部が流れてきていても不思議ではない。盗まれたか、呪霊として暴走したか、なんらかの時に退治して封印を理由に持ち帰っていても禪院家ならば不思議ではない。

 

「叔父様、領域展開とかされないよね?」

「そこまでじゃねえな。生まれたてだ」

「良かった」

 

 まあ、そもそも黒苺は私の呪力に変換するので、私がコントロールできるはずだ。でも、こいつらは石像などが介入して変質しているので完全なコントロールは難しい。

 

「ん~よし、決めた」

 

 術式反転で今着ている服を撤去し、構築術式で巫女服を作り上げる。それを身に纏いながら二拍一礼を行う。そして、蔦を掴んで構築術式を発動する。

 

「右、謹んで旧貫を検ずるに、当砌は守屋大臣の所領なり。大神天降り御ふの刻、大臣は明神の居住を禦ぎ奉り、制止の方法を励ます。明神は御敷地と為すべきの秘計を廻らし、或は諍論を致し、或は合戦に及ぶの処、両者雌雄を決し難し。

 爰に明神は藤鎰を持ち、大臣は鉄鎰を以て、此の処に懸けて之を引く。明神即ち藤鎰を以て、軍陣の諍論に勝得せしめ給ふ。 而る間、守屋大臣を追罰せしめ、居所を当社に卜して以来、遙かに数百歳の星霜を送り、久しく我が神の称誉を天下に施し給ふ。応跡の方々是新なり。

 明神、彼の藤鎰を以て当社の前に植ゑしめ給ふ。藤は枝葉を栄え藤諏訪の森と号す。毎年二ヶ度の御神事之を勤む。爾より以来、当郡を以て諏方と名づく」

 

 諏訪信重解状の一部をそらんじながら、蔦を私の手ごと杭を構築して貫き、一つに繋げる。

 

「創造理念を設定、基本骨子、構成材質を設定、製作技術、作りての意思、蓄積年月を設定。鉄の輪」

 

 黒苺の呪力を奪い取り、鉄の輪を構築する。これが本物だろうとそうでなかろうと関係ない。どうせなら、纏めて呪核にしてくれるわ! 

 

「叔父様」

「ああ」

 

 叔父様が鉄の輪を掴み、それで次々と切断していく。大量の鉄の輪を生み出しながら、しばらく待つと高速で動く叔父様が男性器の石像の周りの蔦を全て切り落としてこちらに投げてくれた。

 それを鉄の輪を潜らせて改めて構築する。呪核を構築するために私の呪力を更に流し込み、強烈なイメージとして構築術式を叩き込む。

 

「ミシャグジさま、ミシャグジさま」

 

 出来た小さな白石で出来た呪核を半分にして片方を鎖骨の辺りに押し付けて体内に取り込む。もう片方の方には私の腕に取り入れ、腕を鉄の輪で切り落とす。止血だけして構築術式で止血だけしておく。

 

「何をやってる?」

「ごめん、叔父様……ちょっと寝る。呪力がもうない」

「ちっ」

 

 倒れるように眠ってしまう。

 

 

 


 

 

 

 気が付けば寝袋の中だった。胸元には叔父様が居て私を温めてくれている。どうせ言っても否定されるだろうから言わない。

 

「さむっ」

「起きたか」

「うん、起きた」

「なら、この寒さをどうにかしろ」

「ちょっと待っててね」

 

 とりあえず、腕を構築する。ついでに悟パパに頼んで買ってもらい、分解して構造を理解していた発電機と炬燵を構築する。叔父様は即座に炬燵に入って丸まってしまった。

 なので、私は私で周りを確認する。植物の蔦が壁を浸食して不味い事になっている。神社も崩壊しかけている。仕方ないのでこちらも作り直しだ。

 更に奥の壁も崩れて通路の先が出来ている。正確には水溜りが出来ているので、潜ったら先に行けるかもしれない。

 

「まずは家の再建かな」

 

 呪力を巡回させながら確認すると、一部で変な事が起こっていた。取り込んで呪核の半分を通して、私の腕に入っている半分に繋がっている。これは計画(プラン)通りなので大丈夫だ。

 私の戦力は低すぎるので、どうせならミシャグジさまを作ろうと思う。本物ではないし、呪骸になるからそこまで強くはならないだろう。それでも……ミシャグジさまをコントロールできるとは思えないので、私と繋がりを作って崇め奉ることで荒魂を和魂にしてそのお力を借りようと思う。失敗したら失敗しただ。本物じゃないからきっと大丈夫。後は守矢神社に行って信仰をパク……利用させてもらおう。

 

「ん」

 

 呪核の半分を取り込んで斬り落とした腕を構築術式で白石で出来た蛇にする。それを更に作った杖に絡ませる。イメージはグラブルのカリオストロが持つウロボロス・オリジン。

 

「やっぱり、錬金術師には杖だよね~」

 

 尾を咥える蛇は無限を象徴する。まあ、ウロボロス・オリジンは咥えてないのでそこは改造する。二匹の蛇を絡めせて無限のようにしておく。二匹にすることで私とお姉ちゃんを表している。

 

「てりゃー」

 

 黒苺の飴を大量に噛み砕き、食べて呪力を回復してから杖を地面に突いて構築術式を発動する。まずは壊れかけている洞窟の修復だ。

 古木の根元に石棒を祀るのが最も典型的なミシャグジ様信仰のあり方なので植物である木を利用する。木の根で周りを補強しつつ外の山に繋げていく。

 木の構造を細工し、根と木の中に小型の換気ファンをつけた偽装したパイプを通して空気を確保する。木の上の方に空気を入れ替えする場所を作ることで偽装する。もちろん、一本などではなく複数の場所に取り付けることで見つかりにくくする。木を隠すのなら森の中という奴だ。

 ついでなので監視カメラも木に仕込んでおく。これで中に居ながら外が確認できるしね。

 ここまでで呪力が切れたので次の日に作業するためにお弁当を食べて叔父様を抱きしめて炬燵の中で寝る。嫌がる叔父様は無視する。

 

 二日目。回復した呪力を使って神社を再建する。とりあえず一部屋だけの社になったけれど問題ない。そこに炬燵を動かして、発電機は外に置いておく。

 

 三日目。

 

「暇だ。なんか暇つぶしを用意しろ」

「はい、叔父様。どーん、どーん」

 

 適当な掛け声で4kの有機ELテレビとプレステ4プロを作る。なに? 未来だろって? 知らん。何もこの時代に合わせる必要はない。未来の技術を再現したらいいだけだ。呪力が馬鹿食いだけど後悔も反省もしていない。だって、積みゲーとかやってないのがいっぱいあるんだもん。またやりたいのだってある。それにどうせなら綺麗な画面でやりたいしね

 

「あ、そうだ……絶対にばれないインサイダー取引やろ」

 

 携帯で悟パパに作ってもらった呪具師としての偽造口座とかを利用して株式を購入しておく。未来の一大企業とかわかるし。あれ、でも日本の株価が暴落するか。まあ、その前に売ればいいだけだ。

 

「なにやってんだ?」

「投資」

「俺にもやらせろ」

「駄目。だって叔父様は向いてないし」

「おい」

「事実じゃん。競馬で失敗しまくってるし」

「あ、やめて、痛い」

 

 ぺちぺちと叩かれるので、大人しくテレビとプレステを発電機にセットしてゲームディスクも入れておく。ちなみに作ったのは前世で持っていた私の奴なのでダウンロードした奴なら普通にプレイできる。

 とりあえず叔父様がゲームしだしたので、私は炬燵の中でそれを確認しながら収穫した黒苺を食べながらぼ~と見詰める。

 だって、黒い兎のぬいぐるみが床に置いたコントローラーをポチポチして四苦八苦しながら遊んでいるんだ。とっても可愛い。思わず写真を撮って悟パパに送ってしまった私は悪くない。あと、黒苺は糞不味い。

 

 四日目。炬燵で寝ていた。起きたら叔父様はゲームをしている。おかしい。もう半分以上ストーリーが進んでいる。休まずやってやがる。

 

「食事、どうする?」

「食べるもんって黒苺だけだろ。糞不味いからいらん」

「まあ、そうか。うぅ、寒い……」

 

 さて、寒いので本日はエアコンと発電機を追加する。後、呪力で作ったガソリンも入れておく。エアコンは文明の利器である。昨日、作った方が良かったんだけど、叔父様の機嫌を損ねるのも面倒だから仕方がない。

 

 五日目。今日は家である社を拡張する。流石にお風呂に入りたいからね。トイレと風呂場、炊事場を作る。火は厳禁なのでIHの物を用意した。後、冷蔵庫も用意した。まだ使わないけど。

 

 六日目。本日も拡張。廊下を一つ追加して部屋を一つ追加した。

 

 七日目。ベッドとエアコン、タンスを制作。叔父様がずっとゲームしているのでうるさくて眠れないから仕方がない。

 

 八日目。渡り廊下を作成。離れに工房を作る。ついでにエアコンと発電機も追加。

 

 九日目。反射炉を作成……しようと思って止めた。流石にバレる可能性があるので火は使わないでおこう。代わりに大釜と温度設定を改造したIHの奴とエアコンを用意する。室外機と発電機も三機追加した。

 

 十日目。倉庫を作る。量産した呪具を保管しておくための場所として使う。

 

「おい、もうゲームがねえ。次の寄越せ」

「え、いや、待って。流石にそろそろ手伝って?」

「あ?」

「週休四日どころか、もう六日も追加で休んでるからね?」

「なにすんだよ?」

「壁、ぶち壊して」

 

 叔父様に壁をぶち壊してもらって内部空間を拡張する。流石に手狭なってきたからね。ぶち壊してもらった先を補強する。壊したところは呪力が結構あったので、畑にしておく。

 

 十二日目から十五日目。地下と貯水槽を作った。出入口ではない方の水がある場所に新しく作ったドライスーツを着て潜ったら、広めの空間だったのでそこをコンクリートで埋めてポンプで水を貯水槽に移した。

 

 十六日目。地下の上に社を拡張した。リビングになっている場所の壁をぶち破り、大きくしたので広々とした。

 

 十七日目。地下室をワインセラーみたいにして神便鬼毒酒を貯蓄しておく。

 

 十八日目。広くしたリビングに祠を作ってミシャグジさまを祀る場所を作る。お供え物はお酒とかにしておこう。

 

 十九日目。流石に黒苺で我慢できなくなってきたので買い出しに出掛けることにする。

 

「叔父様、買い出しに行くよ」

「俺はパスだ」

「却下。護衛だからね」

 

 冷めた瞳で見つめながら、抱き上げてトランクケースに入れる。巫女服から普通の服に着替えてお出かけだ。

 

 山を下りて正月になっている街並みを確認する。銀行に行ってお金を降ろすと……なぜか師匠と悟パパから百万円ずつが振り込まれていた。怖くなって聞いてみたら、お年玉らしい。

 

「高過ぎない?」

『平気平気。あ、それと街に出てきてるならちょっと呪霊狩ってきてよ。仕事があるんだよね~』

「別にいいけど、報酬は別だよ?」

『それでいいよ。報酬は五十万。出てくる呪霊に希望はある?』

「炎系がいいかな」

『炎系だと……君には因縁があるのがあるね』

「ん?」

『鬼火だってさ。まあ、本当かどうかわからないけど』

「じゃあ行ってみる」

『よろしくね~』

 

 悟パパの依頼でそこに行ってみたら……ヤバイのが居た。念の為に双眼鏡で確認していて良かった。バレる前に即逃げたのでセーフ。これには叔父様も同意してくれた。

 

「パパ、パパ」

『どうしたのかな?』

「アレ、無理。特級呪霊が居た」

『は? マジで?』

「マジ。この依頼、降りるね」

『了解。ちょっと待ってね』

 

 叔父様が即座に私の腕から抜け出して後方に移動して蹴りを叩き込む。するとそこには悟パパが居た。掌でしっかりと受け止めている。

 

「で、何処?」

「あの火山にある山小屋」

「OK。見てくる」

 

 悟パパが消えて、少しすると戻ってきた。

 

「狩れた?」

「いや、既にもぬけの空だったよ。残穢はあったけどね。本当に特級だった?」

「間違いない」

 

 何せ原作の特級呪霊だ。こんなところで会うなんて思ってもみなかった。

 

「未確認の特級か。火山に向かって行ってたからそっちも確認したけど、マグマで死んだ……とは特級なら思えないね」

「うん。えっと、こんな感じかな?」

 

 絵を書いて見せておく。

 

「了解。上にも伝えておくよ。一応、特級の可能性があるとだけね。戦ってもいないと確認できない」

「相変わらずか」

「だね。上の連中は腐ってるから。それより真依ちゃん。ちゃんと食べてる?」

「黒苺なら」

「それは食べてるとは言わないよ。よし、パパが奢ってあげるから美味しい物を食べに行こうか」

「じゃあ、お姉ちゃんも呼んでいい?」

「いいよ。何が食べたい?」

「焼肉」

「お前には聞いてねぇ。というか、食えるのか?」

「食えるわ」

「じゃあ、焼肉で。松阪牛食べたい」

「何処がいいか調べるね」

 

 久しぶりにお姉ちゃんに会ったので、抱きついて思いっきり甘えた。だけどお姉ちゃんの背が伸びていて、私を撫でてくるのは解せぬ。

 あ、松阪牛はとても美味しかった。お姉ちゃんと一緒にたらふく食べてお土産に冷凍したのをキロ単位で購入してくれて持たせてくれた。お姉ちゃんはお菓子の類をこっそりともらった。

 お姉ちゃんと別れてから保存のきく食料と調味料、それに種や地図とかも買って帰った。その地図を見ながら地下を掘り進んで禪院家とは反対方向に伸ばし、麓に繋げる場所を作ることにした。だって、一々山を下りるのが面倒だし。隠し通路を作ったらパパも来やすいし、補給部品を頼める上に構築した素材の取引がやりやすい。

 いっそ移動のためにドルオタを見つけて引き込みたいとすら思ったけど、下手に介入してドルオタに好かれると厄介なので止めておく。

 とりあえず九ヶ月で地面を撤去し、補強してトンネルを掘り進める事ができた。トロッコをも設置しながらだったのでとても大変だった。あと、監視カメラと侵入者用の撃退に呪骸を設置しておく予定。

 この九ヶ月の間、雪が解けたらお姉ちゃんがやってきて叔父様に訓練をつけてもらうようになった。悟パパも水を潜ってやってきてくれるので取引してお金がいっぱいになった。稼いだお金は参考資料として呪具などの購入に使う。裏オークションなどでも散財している。こちらからは裏には呪具を流さないけれど、表には流しているのでそれなりに有名になってきている。

 もちろん、ネームレスの名前でだ。ただ悟パパを通してなので五条家がバックに居る事はみんな知っている。

 もちろん、呪骸の研究も進めて人形にされた人達を一応はもどすことがきた。生体パーツを構築してそれを組み立てて人形に肉付けする形でほぼ人と変わらないようにした。皮膚スキンが壊れない限りはバレることはないだろう。ご両親などには説明し、ちゃんと相談もして政府のサポートも受けられるようにしてくれたらしい。何かあれば呼んでくれたら治療することにはしているので呼んでもらう。それと実験も兼ねてオガミ婆にも協力してもらって悟パパに二人の呪骸をプレゼント(?)したら呆れられて返品された。

 

「解せぬ」

「当たり前だ」

「儂は感謝しているがな!」

「その口調、必要ないのでは?」

「呪骸だしね」

 

 人形化の術式を真似て作ったのは単純だ。天内理子とそのメイドである黒井美里だ。彼女達はすでに死んでいるし、問題も解決している。なので戸籍さえ作れば人としての生活に戻れる。だというのに……何故か、私の工房に住む事になった。殺した張本人である叔父様も居るのに悟パパが何を考えているかわからない。お姉ちゃんも賛成してくるし、解せぬ。

 

「いや、だって真依ちゃんさ……ほっといたらろくな物を食べないし、結構危険な事を平気でやるよね?」

「うっ」

「監視は当然である……だね」

「ですね」

 

 まあいいや。買い出しに行く必要がなくなるから、好きにしてもらおう。私は戦力を強化する。ミシャグジさまを作って、更に私自身の強化を行う。

 ドラグノフとヘカートⅡ、それに加えて身体能力を爆上げするために私が撤去し、構築して血肉とした物も利用する。ちょっとトラウマだけど構わない。トラウマが何するものぞ! 勝てば良かろうなのだ! 

 

 

 

 

 

 




ミシャクジ様は東方の奴にする予定です。普通の蛇ちゃん。天内ちゃん達は多分遺灰ぐらいは残ってるだろうしね。採取したDNAから適当な肉体……それこそ肉と骨、脳を構築した後はオガミ婆が魂の情報と肉体の情報を降ろせばいいわけですしね。流石に生きてない人だし、脳の事とかもあるから、脳は呪骸の技術で作った呪核を脳として利用している感じです。ほぼクローンです。
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