真依廻戦   作:ヴィヴィオ

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第13話

 

 工房(アトリエ)の中にお姉ちゃんの悲鳴が轟く。お姉ちゃんと戦い、すぐに悟パパと力の調整をしてもらった。だいたい操れるのは10%ぐらいまでで、最高で20%ぐらい。それを超えると暴走することがわかったので戻ってきた。

 戻って来た私はお姉ちゃんと一緒に即座に工房(アトリエ)へと籠った。理由は簡単だ。

 

「ふざけんなっ!? やめろっ! やめるんだ!」

 

 両手を鎖がついた手枷に拘束され、天井にある滑車によって吊るされている愛しい、愛しいお姉ちゃん。

 お姉ちゃんは恐怖に震えながら体を揺らすけれど、足も私がつけているのと同じ枷を取り付けて足を開いた状態で拘束してある。

 

「やだ」

 

 お姉ちゃんの服を掴み、無理矢理破り捨てる。既に私との戦いでボロボロだしね。服から下着まで全部剥ぎ取る。

 

「真依! なにしやがんだっ!」

「綺麗だよお姉ちゃん。それにすべすべでぷにぷにだね」

「ひゃっ!? こそばゆっ」

 

 お姉ちゃんの肌に指を這わした後、採血を行う。それが終わればすぐに後ろを向いて引き出しの一つから道具を取り出す。

 

「や、やめろっ! それで何をする気だっ!」

「決まってるよ。こないだの仕返し……徹底的に調べてあげる♪」

「いやぁぁぁぁっ!!」

 

 お姉ちゃんの体を隅々までメジャーを使って計測し、触診していく。それらを全てノートに書く。

 書き終わったら、高品質な土蜘蛛の糸で作られたランジェリーをお姉ちゃんに着せていく。これは五条家で保管されていた土蜘蛛の呪物から糸を貰い、分解してデータを収集して私の呪力を合わせて構築した。もちろん品質を向上させてある。

 

「あ、もう拘束しておく必要もないか」

 

 ランジェリーの次に普通のゴスロリ服をお姉ちゃんに着せたのでもう問題はない。なので指を鳴らして拘束を解除する。

 拘束具がドロリと溶けて鎖を辿って私の所に戻ってくる。この拘束具は自由に動かすことができるし、形も変えられる。

 イメージとしてはFateに出てくる月霊髄液(ゔぉーるめんはいどらぐらむ)だ。と、いってもあそこまで自由度もない。できるのは勝手に動いて防御したり、神便鬼毒を投入してくれたりする。ぶっちゃけると、体に繋げてるだけのただの呪骸だしね。

 

「ま~い~!」

「似合ってるよ、お姉ちゃん」

「お前……」

 

 ちなみに私はジーンズとTシャツだけの簡単な姿だ。シャツは半袖でジーンズは普通の一般的な奴。どちらも私の呪力で構築してあるのでそれなりの一品……などではなく、こちらも土蜘蛛の糸が使われている。完成品ではなく、試作品なので品質はだいたい999まであるとしたら600ぐらいだ。お姉ちゃんのランジェリーは933くらいの奴。

 

「気持ちいい肌触りでしょ?」

「それはそうだけど……と、いうか、なんで拘束した!」

「だって嫌がって正確に測らせてくれないだろうし……?」

 

 小首を傾げてから、お姉ちゃんにお茶とお菓子を提供する。私は一人で工房(アトリエ)に入ることは禁止されたから、仕方ない。なのでお姉ちゃんを放置してお姉ちゃん用の武器を作るために鬼化して作業をする。鬼の呪力を使うことで色々と楽に作業ができる。

 私が頭部に使っている鬼の角を鬼の呪力を使って新たに構築し、それと鉄を大釜で煮込んで液体にして固体へと変化させる。その固体を熱して冷やして叩いていく。

 槌も金床も鬼の角を使って作った特別製なので出来上がった金属はたっぷりと鬼の呪力が取り込まれた金属になる。金属の名前は鬼神鋼と名付ける。

 これを使ってお姉ちゃんの新しい武器を作る。作るのは刀で私が師匠に習った鋼の神髄を全て込める。ついでに私の骨とお姉ちゃんの血も混ぜておく。後はひたすら心を込めて鍛錬するだけ。

 

「1にお姉ちゃんのため、2にお姉ちゃんのため、3にお姉ちゃんのため……」

「重いぞ」

 

 ひたすら鍛錬して鍛え上げた刀身を分解し、素材に戻して打ち直す。ひらすら繰り返して品質が上がったところをお姉ちゃんに握ってもらって修正し、また鍛錬する。完成した刀を分解し、複製したら今度は重ねて更に磨きをかける。最後は焼入れをして波紋を入れたら怪しい赤いオーラを出す刀の完成。

 

「可愛くないな」

「おい」

 

 刀身を少し掘って蝶々を入れていく。掘った部分には鬼の角と黒苺の種を粉末にしてから塗料と土蜘蛛の糸にある粘着成分を利用して埋め込んでおく。呪力を斬って力に変えるようにすれば問題ないだろう。

 

「どう、可愛くなったでしょ?」

「いや、刀に可愛さとか求めてねーから」

「むぅ」

 

 とりあえず、出来た刀を振るってもらう。重心とかも調整してお姉ちゃん専用武器として鍛え上げた。もちろん、重量も圧縮してあるので普通に重い。

 

「とりあえず、これで素振りでもしておいて」

「わかった」

 

 お姉ちゃんに適当な訓練用の重い金属を渡してから次に鞘を作る。こちらは神便鬼毒を吸って育てた木々と混ぜ合わせて鞘を作り上げる。これにより、神便鬼毒の効果で暴走した鬼の力を封じることができるだろう。鞘として刀の暴走を抑えるのならこれほどの物はない。

 

 


 

 

 本用は鞘に抜刀する時に加速させたりする機構を取り付けたかったけれど、そこまでの機械技術はないので今は諦める。代わりに鞘にも花の細工を施し、刀が収められている時は蝶々も映し出されるようにしておく。女の子が持つのにふさわしい一品だね! (なお、引き抜いた場合やお姉ちゃんと私以外が使った場合は考えないものとする)

 

「すいません、真依様」

「ん?」

 

 振り向くと、お姉ちゃんではなく美里さんが居た。いつの間にか交代していたみたい。それはそれとして、自分の腕をかかえている。

 

「取れました。メンテナンスをお願いします」

「わかった」

 

 死者の霊を用意した肉体に降ろしている関係上、呪力が切れたら体が崩壊する。依代である体が崩壊すれば魂も肉体に留まる事ができずに消滅することになる。この対策として、呪骸と同じく呪核を搭載してそこから呪力を消費することにしている。そのせいで定期的に呪核を入れ替えなくてはいけない。死人を維持するだけでコストが馬鹿みたいにかかってしまう。それこそ常に術式を使っているようなものだしね。

 

「そこに寝て」

「わかりました」

 

 美里さんに診察台の上に乗ってもらってから壊れている部分を再構築していく。

 

「あの、戦う力を手に入れることはできますか?」

「肉体の情報と魂の情報によって蘇生できているから、難しいけれど強化は可能かも。込める呪力を増やせばいいだけだから。でも、術式は使えないと思う」

「それでも構いません。今度こそお嬢様を守れれば……」

「ん。それじゃあ、少し改造しようか」

「お願いします」

 

 骨と筋肉を私が使っている物を彼女の肉体と同じ成分になるように構築し、心臓も構築した呪核を複数混ぜ合わせて作る。これで呪力がかなり増えるけれど、やっぱり戦闘はお勧めできない。消費と回復が絶対に釣り合わないからだ。

 

「出来る限り、戦わないようにね」

「わかっています。緊急事態の時だけです」

「それなら大丈夫かも?」

 

 護衛の戦力を作った方がいいかもしれない。呪骸を増やしていくのも手だと思う。機神兵ならぬ鬼神兵とかね。でも、呪該は呪核をやられたらそれで終わりだし……パンダ君みたいに呪核を複数搭載すればいいけどそんな簡単にはできない。普通は反発するしね。

 いや、私が作る呪核なら同一個体として作り出せばいけるかもしれない。どちらにしろ、データがたりない。やっぱり、パンダ君に会いにいくか。夜蛾先生には人形にされた女の子を人に戻すために技術提供をしあっているし、大丈夫だろう。

 

「はい、完成。メンテナンスも終わったけど、やばくなったら悟パパを呼んで降ろしてもらってね」

「わかりました。ありがとうございます。それと休憩なさいますか?」

「そうしようかな。もう呪力がほとんどないし」

 

 鬼の呪力を使っていたけれど、流石にもうない。だから、今日はここまでにして工房(アトリエ)から出る。工房(アトリエ)から出て、リビングに移動すると皆がすでにくつろいでいた。

 

「今日は私が用意したぞ。感謝して食べるがいい」

「理子お姉さんが……大丈夫?」

「大丈夫に決まってる。ちゃんとレシピ通りだし」

「私も手伝ったしな」

 

 今日の夕飯は理子お姉さんとお姉ちゃんが作ってくれたみたいだ。お姉ちゃんの晩御飯は自分で用意しないと家では用意されていないので、食べて帰るみたい。ちなみに今日の晩御飯はハンバーグカレーだった。もちろん、甘口である。

 

「真依。私、禪院家を出ようと思う」

「はい?」

「よし、了承が取れたな。私もここに住む」

「いやいや、待って。今、出られたら困る」

 

 そもそもお姉ちゃんが家を出たのって、中学を卒業する時だったはず。多分、あってるよね? 

 

「なんでだ?」

「私の人形はどうするの? ここに住むのは構わないけど……」

 

 すでに帳を使って禪院家の関係者に限定して認識阻害を行っている。それ以外の人は普通に入れる。もちろん、複数の帳を段階的に使う事で見つからないようにしてあるし、防衛力も高めてあるから他の人からみつかる可能性は低い。だからお姉ちゃんがここに住むのは別に構わないのだけれど……私としてはもう少しあちらに居てほしい。こちらの受け入れ準備が整っていないし。

 

「一緒に出たらいいだろ」

「そうしたら探されない?」

「それは……」

「お姉ちゃんの気持ちもわかる。私もお姉ちゃんと一緒に住みたい。だから、後一年から二年だけ我慢して欲しい。その間に大丈夫なようにするから」

 

 これは本当に思う。お姉ちゃんをあんな家にいつまでも置いておくつもりはないし、私としても一緒に住みたい。だから、準備期間の間に呪骸をもっと極めて遠隔操作で出来る私の偽物を作り出す。これにより、禪院家の連中をだまくらかす。

 

「一年から二年か……何をするつもりだ?」

「まず一年は別の場所で修行する。それと並行して呪具師として本格的に活動する。そうすれば禪院家の影響力が強いところから出て活動すればいいし、バレる可能性があるここに住む必要はない」

「……ここを出るのか?」

「一応、使うけれどあまり居ることにはならないかも。トラックを改造してキャンピングカーみたいにして、移動式の工房(アトリエ)にするよ。呪霊との戦闘で手足を失った呪術師も居るだろうから、その人達に新しい手足をあげてお金を稼ぐつもり」

 

 私の力で稼ぐのなら何がいいか。そう考えると呪具を売る事。でも、それだけなら他の人でもできる。そう思って思いついたのが呪術師は人数が少なくて殉職率が高い事。殺し合いをしているので怪我はとても多い。家入さんが治療できるので引っ張りだこだから、私も一部その仕事を代用しても客の取り合いにはならない。過剰供給されているわけだしね。

 つまり、私の目的はキャンピングカーで日本中を回って配置されている呪物を分解して再構築し、構造と構成物質を理解して量産すること。これなら呪物もちゃんと置かれているし、問題ないよね! 後、ミシャグジさまを完成させるための修行をしに洩矢神社に行こうと思う。ミシャグジさまへの信仰を私が作ったミシャグジさまへも信仰を貰っちゃうのだ。

 

「真依、本当に大丈夫なのか?」

「平気だよ。一応、五条家の後ろ盾を得てやる予定だし。それに特級クラスが来ない限り平気平気」

「なんだかフラグくせーな」

「叔父様も居るしね」

「俺をあてにするな」

「護衛だから残念でした」

「ちっ」

 

 叔父様の強化も考えておこう。新しいボディを作ろう。叔父様なら鬼の力だって普通に使いこなせるだろうし。叔父様が使う装備も考えておかなきゃ。ん~巨大化させる方法は呪力で構築すればいいし……そもそも私が鬼の力を使うより、才能がある叔父様が使った方がいい。よし、戦闘になったら鬼の呪力は叔父様に供給して巨大化させよう。武器もそれ用のを用意すればいい。やっぱり巨大な大鎌は鉄板だよね。

 

「なんだか嫌な予感がしやがるぜ」

「気のせいではないな! ところで私達はどうするのだ?」

「理子お姉さんと美里さんはついてきて。ぶっちゃけると、美里さんじゃないと運転できないしね。年齢的にアウトですし」

「あ~」

「で、美里さんが居ないと理子お姉さんはここで生活できる?」

「できる! と、言いたいがきついかも」

「一年くらい洩矢神社を中心に活動すると思うから、学校に入りなおしたらいいと思うよ」

「可能、なのか?」

「その辺の面倒なことは悟パパに丸投げ!」

「うむ。よきにはからえ」

「はは~」

 

 理子お姉さんと小芝居しながら、予定をくみ上げていく。お姉ちゃんにはお金を渡して色々な道場を巡ってもらうことにする。特に柔術や合気道なんかを中心に覚えてもらえばいいだろう。

 

「遺物とかあれば回収しておいてね。後で返すから」

「いいのか? まあ、返すからいいか」

 

 その場で借りるだけだしね。英雄達を召喚して師事するのもいいかもしれない。イタコが居ればそれができる。お姉ちゃんの英才教育を徹底的に施したらどうなるか、楽しみだ。とりあえず、大型トラックを改造を依頼しよう。

 お金は絶対にばれないインサイダーでいっぱいある。それに呪具の売り上げも多い。億単位のお金が転がりこんできてるしね。まあ、出費も億単位だけど。裏で取引されている呪物が高過ぎるのだ。裏ルートで流れているのを買い取って、分解して再構築してから高専に買い取ってもらっているけれど……出費が痛い。まあ、未来への投資と考えて今は諦めます。

 

 

 

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