真依廻戦   作:ヴィヴィオ

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第4話

 

 

お姉ちゃんが修業に良い場所を探してくれている間に私は自分の武器を用意する。私の武器はやはり、原作通りに銃器だ。術師を殺すのに呪いの武器なんて必要ない。狙撃して射殺してしまえばいい。

続いて私の武器その2は構築術式を術式反転すること。これにより、構築の反対である撤去術式になる。撤去は取り除くこと。つまり、物質を取り除いて無に返すことがことができる。

まあ、色々と実験して試していかないといけない。呪力を増やす方法も考えたけれど、実現できるかわからないしね。

 

「はやくこれを持っていけ」

「……はい……」

 

巫女服を着た人に荷物が入った箱を受け取ったので、目的の場所に持っていく。禪院家では禪院家相伝の術式を継いでいないと、六歳になると子供でもお雑用をしないとご飯が食べられない。だから、私も雑用して食料を貰う。お姉ちゃんの分も貰うために頑張らないといけない。

そんなわけで呪力を使って運動能力を強化して荷物を目的地へと届けていく。雑用が終われば雑用の間に見つけた低級呪霊、蠅頭(ようとう)の下へとやってきた。蠅頭(ようとう)は胎児みたいな姿をしている。

 

『……GIGI……』

 

視線を合わせずに近づき、手の届く距離になったら腕を呪霊に突っ込んで呪力と呪力を掛け合わせて反転させる。生み出した聖のエネルギーを流し込む。

 

『GIGAGAA!!』

 

流し込んでいると、抵抗みたいな薄い膜を感じる。それを突き破ると、蠅頭(ようとう)は体を溶けさせて消えていった。

 

「ん」

 

どうやら、負のエネルギーと聖のエネルギーが対消滅したみたい。おそらく、膜のような抵抗が消えるか、消えないかの状態を維持することが、五条悟がやった術式と術式反転を合わせる虚式を作り出すことができるのかもしれない。まあ、私にはまだまだ無理だから、これから頑張ってできるようになろう! 目指せ五条悟!

 

「……次の実験体……」

 

別の蠅頭(ようとう)の下へと向かう。いや、今度は三級のようで蠅頭(ようとう)とはまた別の呪霊だ。

黒い木の枝で出来た化物。アニメで出た奴だね。今度は三級呪霊だね。まあ、実験する内容は変わらない。

 

「構築術式、術式反転」

 

呪霊を見て分解しようと構築術式の術式反転を使う。でも、何も起きなかった。呪力が減っただけで、何も無い。それどころか、こちらに気付いた呪霊が襲い掛かってきた。

 

「ひっ!?」

 

怖くて後ろに飛び退ろうとして、転んだ。呪霊は私に襲い掛かってこようとしたので、無我夢中でポコポコと手を振り回す。すると呪霊は消滅した。

はずかしいっ!?

 

「なにやってんねん。馬鹿やろ」

「っ!?」

 

振り向くと、そこにはやや吊り目で整った顔立ちを持つ、若い金髪の少年が居た。常に薄笑いを浮かべている気持ち悪い奴。偽ギン野郎の親戚だ。

 

「やっぱり、扇の娘もたいしたことあらへんね。まあ、術式ももっとらんようやから仕方がないんやろうけど」

 

起き上がって直哉の方を見る。彼はニヤニヤと笑いながら何かを言おうとするが、無視して次の実験体に向けて移動する。

 

「待ちぃ……」

「……なに?」

「何って……」

「用が無いなら邪魔しないで。時間がないから簡潔に一行で」

「何ふざけて……」

「終わり。じゃ」

 

走って次の所に向かう。そこは既に祓われていたのでまた別の所に。息が切れてるけど、気にしない。

次の実験体である低級呪霊をみつけた。その近くで先程の術式反転が効かなかったことを考える。

何故効かなかったか……まあ、わかる。呪霊はあくまでも恨みや後悔、恥辱など、人間の身体から流れた負の感情が具現し意思をもった異形の存在。二級以上でないと壁をすり抜ける。

これはつまり、言ってしまえば体が存在しないということで、物質ではない状況と言える。魂とか呪力とか、わけわかんない状態ってこと。実体がないのに撤去や分解しても意味ねーのです。はい、私が馬鹿でした。

 

「つまり、やるべきは構築術式……構想理念を制定。形は球体。効果は呪霊を取り込んで実体化させる。呪力の結晶体」

 

構築術式を発動し、口の中と鼻から血が出る。低級呪霊の体内に手を入れて作りだした物は呪霊を巻き込んで球体へと変化した。真っ黒なまっくろくろすけな球体は小さな飴玉だ。

これは私の体に入れてある呪力と親和性の高い細胞で強制的に呪霊を受肉させた物でもある。イメージとしては夏油傑が呪霊を球体にして飲んでいたので、それと同じ感じ。もしくはドラゴンボールの魔神ブゥがやっていたお菓子になっちゃえと言った感じかな。

 

「いただきます」

 

食べてみる。すぐに気持ち悪くなって吐いた。まるでゲロや生ゴミを水に入れて煮詰め、シュールストレミングの臭いとババネロとかのデスソースを混ぜ込んで球体にしたような物だ。こんなのを食べてたら、そりゃ夏油傑もイカレるのは間違いない。

 

「うぷっ……うぇ……」

 

口を手で拭ってから、吐いた中身から呪力の飴玉を回収して水道があるところに移動する。そこで洗った後、飴玉も綺麗にしてから一時的においておく。

 

「テッテレー! 私の強い味方、フェンタニル~!」

 

不味くて喰えないのであれば舌を麻痺させて何も感じないようにして食べればいいじゃん!

っと、いうわけで飴玉を入れて噛み砕き、水で流し込んだ。吐いた。吐いた。吐きまくった。気持ち悪すぎる。私の呪力と呪霊の呪力がぶつかり合って拒絶反応を起こしているみたい。

やっぱり、呪霊は食べる物じゃない。でも、これぐらいしか考えられない。夏油傑も頑張ったのだからやるしかない。ただ味と私の呪力と親和性を上げて……そうか、そうなるように構築すればいい。

呪力が私のと適合せず、副作用や拒絶反応が起こる? ならばろ過して無色透明な呪力に変えてしまえ。いくつもフィルターを通して、私の呪力へと変換してしまえばいい。味に関しては苺を再現しよう。

しかし、そうなるとイメージの修正が必要になる。参考にするのはろ過の方法……あるじゃん。というか、居るじゃん。呪力を餌にして花を咲かせた特級呪霊が。

それと同じ事をすればいい。作成した弾丸を呪霊に打ち込み、対象の呪力を養分として成長し、私と同じ呪力へと変換して苺の飴を作り出す。これならば受肉にした感じでも可能。吸収できるかはわからないけれど、明日にでもやってみよう。

 

 

 


 

 

 

次の日。お姉ちゃんを見送ってから、私は低級呪霊を見つけて実験する。私のほぼ全ての呪力が持っていかれたけれど出来た。黒苺の飴を食べる。不味い。不味いけれど、食べれないわけじゃない。

食べてからしばらくしたけれどなんの変化も起きない。いや、一時的に呪力が回復したように感じただけでたいしたことはない。おそらく普通に胃で溶けただけでは呪力の絶対量を増やすことはできない。

ここで諦める訳にはいかない。なので、私は更なる手を考えた。作った黒苺の飴を食べて術式反転で胃ごと実体部分を分解、撤去して呪力だけにする。その状態で構築術式を使って胃を再構築する。こうすることで肉体に呪力を取り込んでいく。何、主人公君も呪力はなかったけれど、両面宿儺の指を食べて呪力を得たんだから、似たようなことになるだろう。

 

 

一週間かけてやってみた。黒苺の飴を複数個用意して、それを食べて纏めて術式反転を行い、続いて構築術式を行う。もちろん、血を吐くけれどもフェンタニルをキメてるので術式を維持はできる。

うん、ちょっとは呪力が増えた。実験は成功だ。だから、今度は呪力を制御してミルフィーユのように自らの体に層を作るようにしていく。外側を一定にして、体内に行くほどどんどん呪力が圧縮されて質が高くなるイメージ。外部に呪力量を知られないための対策だ。

 

 

 

 


 

 

 

 

 実験の成功から数日。お姉ちゃんと一緒に山登りの日がやってきた。お姉ちゃんと八角棒一緒に向かう。

 

「まずはこっちだ」

「うん」

 

 森を進み、何ヶ所かを回るもキャンプに良い場所はないみたいで、次は山に入る。獣道を通っている間に呪霊が襲ってきたけれど、お姉ちゃんが瞬殺してくれる。

 

「大丈夫か真依?」

「大丈夫だよ」

「疲れたら言えよ。おぶってやるから」

「そこまでやわじゃ……やわかも」

「全然運動してないもんな」

「あははは」

 

 呪力で体を強化しているので、そこまでではないけれど一般的な術師よりも私は非力だ。筋肉をつけないと。しかし、筋力量が足りないから、構築術式を使って肉体改造をすることも考えよう。

 

「もうちょっと行けば景色がいい所だ。そこで休憩にしよう」

「は~い」

 

 深い山を登って行くと、開けた場所についた。禪院家が所有する山は幾つかあり、そのうちの一つがここだ。

 

「一応、ここだが……どうだ?」

「ん~別のところがいいかな。水場とかも欲しいし」

「だったら、あそこか」

 

 お姉ちゃんが指差したのはこの山から見える別の山だ。微かに朽ちた建物が見えるけど、それだけだ。

 

「アレ、何があるの?」

「廃墟」

「なるほど、呪霊が棲んでそうだね」

「呪力も溜まってるみたいだな。掃除したはずなんだが……」

「とりあえず行ってみよう」

「ああ」

 

 山を下りて廃墟の場所を目指していく。降りた先にある川を渡り、別の山へと登って行く。

 

「遅いぞ~」

「はぁ……はぁ……」

 

 こちとら呪力で強化しているのにお姉ちゃんがやばすぎる。道なき道を平気で突き進んでいくのだ。岩から岩へ、木から木へと飛ぶなんて当たり前にやっている。

 

「もうちょっと運動しろよな~」

「くっ……」

「ん?」

「お、おんぶして……」

 

 屈辱にまみれたような感じになりつつ、お願いするとお姉ちゃんは仕方がないと言いたげな表情で、私の前にしゃがんでくれるので抱き着く。

 

「んじゃ、行くぞ~」

「うん」

 

 お姉ちゃんが足を踏み込むと、一気に加速していく。木々がどんどん迫ってきて、ものすごく怖い。しかもめっちゃ揺れる。体感だけど時速40キロは絶対に出ている。

 

「怖いなら目を瞑ってていいぞ」

「こ、怖くないし!」

 

 ギュッと抱き着いておく。本当に怖くはない……ちびったりもしていない。本当だよ? 

 

 

 

恐怖のジェットコースター体験を終えた私は廃墟にやってきた。近くには滝と川があり、その川の畔に建てられた廃墟がある。と、言っても、崩れかけた木造の建物があるだけだ。

 

「ここは調べた限りだと、神社があったみたいだな」

「神社?」

「ほれ」

 

 お姉ちゃんが指差した先には鳥居だったであろう物も存在している。

 

「禪院家が所有する呪具の保管場所だったみたいだが、移転させて放置されているってところかな」

「呪具が残ってたりするかな?」

「さあな……で、どうだ?」

「ちょっと調べてみる」

 

 地面に手をついて呪力を流し、様子を確認してみる。確かにここは呪力のたまり場になっているし、低級呪霊が発生しやすいみたい。

 おそらく封印もかねた呪具の保管庫として使っていたみたいだから、呪いに汚染されたので移転したという感じだろう。

 

「ここにしょう」

「オッケー。それでどうすればいい?」

「まずはこの辺りの呪霊を祓ってきて。その間に生活できる準備をしておくから」

「了解」

「じゃあ、行くよ。闇より出でて、闇より黒くその穢を禊ぎ祓え」

 

 結界術の(とばり)を行使する。これは外から見えなくして呪いをあぶり出す漆黒の結界であり、非術師には認識できない。また、条件をつけることで色々と効果をつけることも可能。今回は呪霊の炙り出しがメイン。

 

「初めてだけど、なんとかできた♪」

「みたいだな。じゃ、私は片付けてくる。ついでに食料を穫ってくるからな」

「うん」

 

 お姉ちゃんが呪霊狩りに出たので、私は生活するためのスペースを作ろうとしたところで、何か変な気配を感じて思わず振り返る。でも、そこには廃墟しかない。

 

「?」

 

 気のせいか。小首をかしげて別の角度から見てみるけれど、やはり何も感じない。やはり何も無いのかもしれない。

 

「まあ、やるだけやっておこうか」

 

 廃墟となっている神社に近づいて姿勢を正し、深いお辞儀を二回行う。胸の高さで、右手を少し引いて手を合わせる。 肩幅程度に両手を開き、二回打って手をきちんと合わせ、心を込めて祈る。内容はここを使わせてもらう事と社を再建し、祀る事。祈りを終えれば深いお辞儀をする。

 二礼二拍手一礼を終えたら、改めて準備する。場所は河原を避けて木々があるところにする。河原は痛いし嫌だ。

 まず、木々の間にタープと呼ばれる日差しや雨、風などを防いだり、テーブルやチェアを置いて食事をしたりくつろいだりする場所を作れる布状の屋根を設置する。順番が違うかもしれないけれどキニシナイ。それと、今回はポールを立てるのではなく、木に結び付けて使うので、高い位置に登って設置していく。

 

「構成材質をナノカーボンに定義。構成材質を呪力による補強。完成理念を定義、鍛造技法を設置──全行程完了。構築術式」

 

 呪力で出来たタープを複数枚構築し、木々に縛り付けて一角を完全に覆ってしまう。雨水が逃げる道もしっかりと用意し、邪魔な枝は切り落す。これは乾かして薪にするので無駄にはならない。

 続いて大型のドーム型テントを設置する。写真に撮っておいた説明書通りに組み立てる。ポールを立ててペグを打ち込むのは一人では苦労したけれど、以外に楽しい。

 呪力で運動能力を強化しているのでしっかりと組み上げる。テントの中はグランドシートの上に柔らかさ重視にインナーマットを三枚重ねておく。普通のマットも全面に敷くことで問題なく痛みがなくなった。

 続いて広いテント内にレジャーベッドを二つ用意し、その上にエアーマットを設置。寝袋も出したのでこれで快適に寝れる。

 テントの中はこれぐらいにしてタープの下にアウトドア用のテーブルとイスを取り出す。椅子は軽量タイプの奴としっかりした奴を両方だしておく。しっかりとした奴は食事用で、軽量タイプは寛ぎ用として持ち運ぶためだ。

 

「よし、こんな物でいいか」

 

 見渡す限り、これで問題ない。なので次は食事を作るために大き目の焚き火台とバーベキューコンロとメッシュテーブルがセットを作って配置。バーベキューコンロに炭と成型備長炭を入れて着火。焚き火台の方にも火を入れておく。

 リュックサックの中から予め切って持って来ておいた野菜とお肉を取り出して準備しておく。焚き火台の方にはアルミホイルに包んだサツマイモを入れておく。

 飲み物とかは川で冷やすようにするから、今はいいとして、他に……。

 

「あ、トイレ……」

 

 とりあえずトイレ用に少し離れたところに穴を掘る。ここはなんもないからね。囲いだけは作っておこう。まあ、トイレの前にスープを作るために鍋に水を入れて沸騰させておこう。

 

 

 

「ただいま~」

「お帰り、お姉ちゃん。どうだった?」

「呪霊は全部狩った。それとほれ」

 

 スープをオタマでかき混ぜながらお姉ちゃんの方を向くと、お姉ちゃんは片手で猪を引きずりながらやってきていた。

 

「血抜きからだね」

「ああ、そうだ。夜はぼたん鍋をするぞ」

 

 少し離れた場所で足にロープを結んで吊るしてから頭を切断して血抜きする。皮を剥いで内蔵などを取り出して埋めておく。

 

「下処理は終わったし、手を洗って食べるか」

「うん」

 

 持ってきた食材でバーベキューを楽しんでいく。あ、一応、焼いたお肉と野菜、お酒を廃墟の神社前にお供えしておく。お酒は構築術式で出した。

 お姉ちゃんと食事を楽しんだら、次にろ過機を構築術式で作成し、川の水を入れておく。安全な水の確保は大事だから。

 

「風呂はどうする?」

「川の水を使おう」

「んじゃ、そっちは私がやる」

「お願い」

 

 お姉ちゃんと二人で小学生二人のゆるゆるなキャンプを楽しんでいく。夜は星空が綺麗だし、空気もいい。何より静かで蛍も出てきていい感じだ。

 明日は川に魚を穫る仕掛けを作る。それから神社の再建と鍛冶道具も……その前にデリンジャーでも作ろうかな。流石に武器が欲しいし。あ、そうだ。ここに黒苺の飴を作る植物を植えたらいいんだ。呪力を吸い取って作るようにすれば、何も呪霊から作る必要なんてないしね!

 

 

 

 

 

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