縛りも命に関するものに変更しました。身長系統は四歳で止めるのは流石にアレなのでなくしました。また基本的な開始を六歳スタートに変更しております。
「……ん……」
目が覚めると……知らない天井があった。いや、知っている天井だ。昨日、作ったテントだ。
「んん……真依……」
隣を見れば私を抱きしめて眠っているお姉ちゃんの顔がすぐ近くにあった。お姉ちゃんの息がかかる。つまり、私はお姉ちゃんに抱き枕にされている。それも二つをくっつけた広いレジャーベッドの上に引いた一つの寝袋の中でだ。
大人用のを用意したから、大きすぎたし少し寒かったから二人で一つの寝袋で寝ている。六歳の私達では余裕だからね。
「お姉ちゃん、朝だよ」
「……真依……」
可愛らしいお姉ちゃんの頭を撫でていく。幼いお姉ちゃんはかぁいいなー! ぷにぷにの頬っぺたをムニムニする。
「……おはよう……」
「はい、おはよう」
起きたようなので、二人で寝袋から出て着替える。寝間着から来た時の服に変えてテントを出る。
「さむっ」
「焚き火も消えてるからね」
「さっさとつけようぜ」
「うん」
とりあえず、ろ過機から水を取って鍋に入れてコンロの火をつける。お姉ちゃんにはその辺りにあるまつぼっくりを拾って、そこに火をつけて焚き火台の上に置いてもらう。そこに小さな枝から大きな枝、薪の順番で乗せていくことで火が大きくなっていく。
その間に私は昨日、適当に解体してテントの中に入れておいた猪のお肉を鍋に入れる。この肉は保存のために燻製にしないといけない。いや、今日中に食べきる?
「んで、今日はどうするんだ?」
お姉ちゃんが猪のお肉を串に刺して焚き火で焼いていく。私はスープをお椀に入れてお姉ちゃんに渡す。
「私が魚を取れるようにするから、お姉ちゃんは鳴子を設置してきて」
「おう、お姉ちゃんに任せとけ」
お姉ちゃんにはとりあえず鳴子を設置してもらう。猪とか普通に襲ってきそうだからね。寝ている時に襲われたら困る。テントが壊されちゃうしね。
そんなわけで、お姉ちゃんと別れて川に仕掛けを施す。構築術式で地獄網を作り上げて川の半分に仕掛けておく。それなりに多いけれど、取れる量は少なくていいので問題はない。
「真依~って、流されそうじゃないかよ!」
「助けて!」
命綱はちゃんとつけたけれど、流されていく。普通に腰より上はあるしね。呪力で体を強化していないと流されておわる。
「まったく……真依は私が居ないと駄目だな」
「うん」
お姉ちゃんと一緒にしっかりと川に設置した。ほとんどお姉ちゃんがしてくれました、はい。
「ほいっと」
「……」
そんなお姉ちゃんは……仕掛け終わった後、川に一人で入って素早く素手を水の中に入れて魚をすくい上げて河原にあげます。罠なんていらなくないですかねー!
「コイツで昼と夜の飯は確実にいけるな」
「串で刺して塩焼きだね。山菜もあったから、それを使えば山賊焼きも可能かな」
「野菜とか苦いから要らないんだが……」
「ちゃんと食べないと大きくなれないから駄目」
「うっ……」
まあ、私も山菜は苦くて嫌だ。玉葱とか焼いたのは美味しいけどね。構築術式で作るか。
「イートミー」
「あ?」
「なんでもないよ」
私を食べて。私の呪力で作った物だし、そんな感じになるかもしれない。まあ、とりあえずは色々と準備してからかな。一ヶ月くらい、川魚と肉、野菜でいいしね。
「そっか。じゃあ、真依はご飯の用意を頼む。私は風呂の用意でもするからさ」
「わかった。任せて」
「頼むぞ」
お姉ちゃんが河原にある石を使ってお風呂を作っていく。石を重ねて川の水が溜まるようにするみたい。熱い焼けた石を入れればできるって感じだね。
「~♪」
私はまな板を出して、お姉ちゃんが取った魚を捌いていく。腸を取り出して川で洗い、串に刺して塩をふって焚き火で焼いていく。山菜は後で取りにいかないとね。
「出来たよー」
「おう」
朝の残りのスープを温め、暖を取りながら食べる。流石に同じスープは飽きてくる。それでもお姉ちゃんは大人しく食べてくれている。まあ、魚は初めてだからかも。
「あ、骨は置いておいてね。出汁を取るから」
「わかった」
捨てそうにしていた骨を回収しておく。魚介スープと豚骨(イノシシ)スープを作ればまだいいしね。
「お風呂は?」
「ありゃ、すぐには無理だな」
「まあ、そうだよね」
「ああ。だからゆっくりやろうか」
「うん。じゃあ、神社を片付ける?」
「それもそうだな。何かあるかもしれないしな」
呪物や呪具が残っていたら、それはそれでお宝さがしとして面白いかもしれないけれど……かなり危険だしね。
と、言うわけでお昼からは潰れた神社の後片付けをします。まず、お姉ちゃんと一緒に屋根に使われていた瓦や木材を退かしていきます。
「呪力はどうだ?」
「あるから気を付けてねー」
「見えないけどな」
「眼鏡があるから大丈夫」
三日ほど午後の時間を使って全てを退けることが出来た。並べてみると腐り落ちた木材がほとんどで、呪具なんて存在していなかった。ただ呪物と言えるような、言えないような微妙な物はあった。
「動物とかはまだわかるんだが……これ、なんだ? 男の奴か?」
根本から折れている石で出来た欠けた男性器みたいなのがあった。他にも石像であろう蛇の頭とかもある。狐とか、鬼とか、犬とかの石像もあるので本当に節操がない。
「わかんねぇけど、こんなのを祀っていたのか?」
「ある程度の形は構築術式で復元したのがこれだからねー。多分、そうだと思うよ?」
「確かに呪力の残穢は感じられるな」
長い年月で抜けているか、この石自体が欠片か。それとも呪物を封印する入物として使われていたか……わかんない!
「どっちにしろ、もう呪力は微かにしかないな」
「やっぱり根こそぎ持ってかれてたか」
「当たり前だよなー」
特級呪具とか残っていたら儲け物だったけど、そう上手くはいかないよね。わかりきっていたことなので、それほど悲しくはない。
「再建するのか?」
「うん。やっぱり、神社の社だからね」
「そっか。でも、ここに作るのは微妙だよな。また崩れてくるかもしれないし……」
「そうだよね……」
この神社が潰れたのは腐敗もあるけれど、一番の原因は落石だ。大きな岩が転がり落ちてきて、社を押しつぶしたことだ。そこから雨水が入って腐っていったみたい。滝の上から流れ落ちたのかもしれないけれど、そんなに強くはないし……わかんねー。
「なあ、本で読んだんだが……こういう滝の後ろには秘密の洞窟とか、秘密基地があるんじゃないのか?」
「あ~行ってみる?」
「行こう!」
「うん」
お姉ちゃんが手を引いて連れていってくれる。滝の裏への通路は……存在しない。普通に岩肌があるだけだった。呪術で隠されているところなんかもないように感じる。
「無いね」
「無いな~。でも、水中から行けるかもしれないぞ」
「それは確かにあり得るかも……」
「んじゃ、見てくるから待ってろ」
「気を付けてね」
「ああ」
お姉ちゃんが服を脱いで滝壺に飛び込んで行ったので、私は服を回収してからお湯を沸かしておく。それとこれからの事を考えると、水着を用意しておこう。
お姉ちゃんと私のも含めて……どうせなら旧スク水にするか。紺色と白にしておこう。まともに小学校に通えるかもわからないし、六歳は過ぎているので年齢的には問題ないから大丈夫。
お姉ちゃんと私の体型は同じなのでこちらも問題なし。と、いうわけで水中で活動し易いイメージをしながら、構築術式を使う。
「構造理念を設定……」
出来た旧スクール水着にはしっかりと真依と真希の名前を平仮名で書いておいた。どうせなら完璧にしあげないとね。後はゴーグルも作っておこう。
「ただいま~!」
「お帰りなさい。はい、タオル」
「おう」
「あったかい物」
「ありがとう」
お姉ちゃんが体をバスタオルで覆ったので、私のバスタオルで頭を拭いてあげる。お姉ちゃんはコップに入った白湯を飲んでいく。
「それでどうだったの?」
「ああ、洞窟があったぞ」
「マジで?」
「マジだ。暗かったから奥は見れていない。眼鏡をつけていけなかったからな。行くか?」
「よし、行こう」
ワクワクしながら二人でスクール水着に着替えて、ゴーグルをつけて潜る。一人じゃ不安なのでお姉ちゃんに手を掴んで誘導してもらう。
「到着したぞ」
「ぷはぁっ……ここは……ちょっと待ってね。ライトを作るから。懐中電灯でいいか。鍾乳洞?」
たどり着いた場所は鍾乳洞だった。灯りは一切ないので、ライトを作って確認したから間違いない。空気がちょっと怖いので、こちらも構築術式で酸素を作っておく。酸素も物質だから、普通に作れる。
「どうだ?」
二人で水の中から外に出て周りを確認していく。壁を叩いたり、脆いところを探して隠し通路などがないのかを入念に調べた。
「呪力は……うん、結構感じるけどそこまでじゃないかな。確かに外よりは高いけど、それだけ。それに人の手が入っているようには見えないよ」
「ちっ、外れか」
「ううん。秘密基地には持ってこいかな」
「秘密基地か……いいな!」
「だね!」
まあ、補強とかは必要だ。それにひょっとしたら水中からまたいける穴があるかもしれないし、この先に穴を開けたらそこから進めるかもしれない。どちらにしろ、空気が心配になる。
「ここで生活するか?」
「今すぐにすると死ぬよ」
「死ぬのか」
「うん、死ぬ。空気の確保ができないし、体が冷えて終わるかな」
「……駄目じゃん」
「だから色々と準備が必要」
「わかんねーから真依に任せるわ」
「任せて、お姉ちゃん!」
まずは空気を確保するために構築術式を使って壁に取り付けるパイプを作る。パイプの中にはトンネルなどで見掛けるファンを取り付けて外へと通す。水中の壁を真似てカモフラージュも行う。
呪力が切れることが確実なので、回復手段として周りに呪力を吸ってろ過して私の体に馴染む呪力へと変換する黒苺の苗をそこら中に構築しては埋めておけばいい。とりあず、本日は帰宅する。呪力が足りないので戻ってごはんにする。
四日で水中の壁に周りの壁と同じように擬態させたパイプを三本ほど設置し、地上側からも術式反転で開けた穴に三本のパイプを通して空気を取り込むようにした。
もちろん、呪力は足りないので、お姉ちゃんに呪霊を取って来てもらって、黒苺の飴へと変えて呪力を補給しての作業だ。
「お前、よくそんな糞不味いの食えるよな……」
「食べたくないけどね……それに味は後で作りかえるから」
「そっか。まあ、頑張れ」
「他人事だね……うぇ……」
「まあな。私が食っても意味ないし」
「そもそも数が足りないから食べないで」
口に飴を放り込んでから構築術式を使う。畑にする区画には黒苺の苗を複数作り出して埋めておく。これだけで今日の呪力は切れたので、すごい眠くなる。
「寝るから……適当に起こして」
「わかった。私は木材を運び込んどく」
「お願い……」
私が寝ている間にお姉ちゃんが神社の木材をこっちに運んできてくれるので、大人しく呪力が回復するまでゆっくりしておく。
起きたら周りの壁を構築術式で補強していく。不味い黒苺と黒苺の飴を食べながらただひたすら補強する。お姉ちゃんには神社を組み立ててもらう。屋根に関しては接着剤がないのでどうしようもない。だからタープの屋根を使う。後程、作ればいい。
また、お姉ちゃんには三日に一度、家に戻ってもらっている。私のふりもしてくれているので誤魔化せていると思う。そんなに気にもされていないしね。
こんな感じで二週間が経ち、どうにか神社の再建が終わった。木材を削ってあるところをパズルのように組み合わせるだけなので、私達でもできた。もちろん、運動能力を強化しているからこそできる裏技ともいえる。
復元した石像なども運び込んでしっかりと祀っておいたし、鳥居も設置した。祀っているのは荒魂だったら困るからね。
「まあ、流石に武器を作らないと不味いか」
残り一週間で二級呪霊とバトることになるからね。そろそろデリンジャーを作ろう。
作るのはレミントン・デリンジャー。アメリカ合衆国で作られた41口径の
護身用に作られた拳銃。使用の上下二連の中折式シングルアクション拳銃
だ。上方を支点にしてバレルが解放され、発砲は撃発機構のラチェットによって自動的に上下いずれかの順から発射されるので、散弾銃のように装弾を意図的に撃ち分けることは出来ない。全長が12.38cmで重量312gという軽い拳銃になるので、私の体系でも普通に使える。
デリンジャーのパーツを一つずつ、全力の呪力を込めながら作る。素材は石像の欠片と神社の木材を一部利用し、構築する。
五日かけて黒苺を食べながら、作り上げたパーツを組み合わせて一つの銃が完成した。呪力もたっぷりと籠っているので間違いなく呪具になっている。
低級呪霊に試射してみたけど、問題なく殺せた。弾丸は普通に作った奴だったけれど、試射が終われば黒苺を作り出す特別な植物弾頭を作成してセットしておいた。予備として十発の弾丸を作成して隠し持っておく。
切り札として袖口に隠す武器としてはこれでいいので、次は保険として簡単なクロスボウを作る。非力な私でも使える強力な武器だ。こちらはお姉ちゃんの物も作っておく。銃であるデリンジャーと違って、原始的で簡素な作りをしているので簡単に作れた。
複数作り、両足と両腕にセットして、連射機構も再現。これで一つ三本まで攻撃可能。お姉ちゃんにも渡しておいたので遠距離も対応できる……はず。
「真依、山を下りるぞ」
「は~い」
久しぶりにお姉ちゃんと一緒に下山する。秘密基地はちゃんと封鎖しておいたし、帳も解除した。それにテント道具などは全部、秘密基地に入れておいたので大丈夫だ。
目標は二級呪霊を特殊弾頭でぶち殺し、奴の呪力を手に入れること。それによって私はより一層強くなれる。