口下手なオタクがヒソカの兄に   作:黒田らい

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今回は、一次試験からのスタートです。
よろしくお願いします。


一次試験が始まりますよ?

 見上げた通路の天井には首から上を飲み込まれた人が居た。

 

(わぁお、流石ハンター試験……デンジャラス。)

 

 

 

※※※※※※※※※※※

 

 渡されたプラカードを付けて、試験の開始を待つ。

 降りた小屋の先は黄土色の土壁に囲まれたワンルームだった。チラホラと人がいる中で、試験に思いを馳せながら棒立ちしていたジールは、周りを観察する。

 

 ドレッドヘアーのイカついお兄さんや、風が吹いたら飛んでいきそうな爺さん、あとは偶に女の子もいた。各々が開始のベルを待っているようだ。

 

(何個くらい試験があるんだろうか…、たくさんあると良いなぁ。)

 

 降りてきた階段の反対側の壁には九個の扉が並んでいる。この先に試験の何かがあるのかと思うと胸が躍るものだ。

 

 途中話しかけてきたチンピラ君は、楽しみなのかなと眺めていたらどこかへ行ってしまった。姿が見えなくなってから、返事を忘れたことに気づいたジールは一人ひっそり反省をしたりもした。

 

(…次からはちゃんとプラカード出そ。)

 

 試験の中で仲良くなる。という経験をしてみたいジールは絶賛お友達募集中である。

 

 そして地下に降りてきてから15時間が経った頃、ジールが脳内シミュレーションで自己紹介を300回程終わらせた時のことであった。

 

 

 

 

 ジリジリジリジリジリジリと鳴るベルと共に一人の男性が扉のひとつから出てきた。

 

「やぁ、諸君?準備はいいかね?」

 

 タンクトップにツナギとヘルメット、ツルハシの刺さったリュックを背負っている男はどこから見ても遺跡探検家である。

 

 先程まではザワザワと騒がしかった室内も、シンと静まり前に立つ男に注目していた。

 

「ふむ、これから一次試験を開始するぞ?俺の事はザック団長と呼んでくれよ?」

 

 軍手をはめた手で顎を撫でながら受験者を見渡す男にはプロハンターという自負があった。

 

(ザック団長……!!かっけぇ。)

 

 IQが3まで落ちたジールは初っ端からザ・ハンターらしい人物が出てきたことに感動している。

 

 麻袋を被り少しだけ遠慮が無くなったのか、興奮のままに握り拳を上下に振りながら試験の説明を聞く。身バレ防止というのは時に人の枷を外すようだ。

 

「これから、君たちにはこの迷路に挑戦してもらうからな?」

 

 そう言って触れたのは、ザックが出てきた扉だった。どうやら一次試験は迷路を攻略することらしい。

 

 ザックは、昔この場所が複数の村から選ばれた戦士達が互いに栄誉をかけて戦った競技場だということを説明した。

 1000年以上前の娯楽施設だという話だ。ジールは街の下に遺跡があるという話にはしゃぎつつ、しっかりルールを聞いていた。

 ちなみにジールの好きな言葉のひとつに地下都市というものがある、地下に存在する大きなものは総じて好物というわけだ。

 

「制限時間は24時間、扉は好きなものを選んでくれよ?」

 

 

 その言葉を聞くと、受験者は一斉に扉の前に集まってきた。九個ある扉にそれぞれ並んでいるが、ザックが出てきた一番右の扉の前は他より人数が多かった。何があるか分からない中で少しでも安全なものを選ぼうとしたのだろう。

 

 扉はどれも同じデザインでこれといった決め手になるものはないのだ、適当に選ぶ者や何となくで選ぶ者も多かった。

 

(どっ、れーに、し、よ、う、か、な。)

 

 指で扉を順番に指しながら歩いていく。

 ジールは比較的前の方に立っていたので、周りよりも早く扉の前についた。

 左から二番目の扉である。ウキウキするジールの横で、周りよりも並んだ人が少なかったのは言うまでもないだろう。

 

 「よし選んだな?健闘を祈っているぞ?」

 

 『第一次試験 迷路攻略』

 

 九個の扉が同時に開く、待ち構えていた受験者達は我先にと走り込んでいった。

 ジールの選んだ扉も、10人程の男達がジールを追い越して走っていく。

 

「「「「「「「ぎゃーーーーっ!!!!」」」」」」」

 

 意気揚々と足を踏み出したジールも思わず足を止めた。視界の先は特に変化が無い。

 どうやら他の扉の先で何かあったらしい。

 

(わぁーお、くわばらくわばら。)

 

 気を取り直して、ジールは初めの1歩を踏み出した。

 

 

 

 

 

 迷路の中は至ってシンプルなものだった。目に映るのは先程まで居た部屋の壁と同じ黄土色で、通路の形をとっている。今まで通ってきたところも、偶に分かれ道がある普通の等身大迷路そのものだ。

 

 まあ概ねと言った方が正しいだろう。壁から槍が出てきたり、足元の床が割れて落とし穴になったりするちょっとした仕掛けがある道もあった。

 

 偶に命を刈り取ろうとする罠もあったが、そこら辺は想定内である。むしろハンター試験っぽい仕掛けの数々にジールのテンションは上がるばかりだ。

 

 

 (とりあえず地図を書きながら右手戦法をしてるけど……壁画がカッコよすぎる以外は特に問題もないかな。)

 

 歩き始めてから約3時間、右手を壁につけたまま歩き続けるジールは他より多くの罠を引っ掛けながらも、傷一つない状態で立っていた。

 

「「わぁー!!!!!」」

 

 そろそろ朝食を取ろうかとジールが鞄を漁っていると、目の前の十字路を左から右へ駆け抜ける受験者が二人、少しの間の後それを追いかける特大の鉄球が転がっていった。

 

(俺とは別の扉の人達だな、なるほど繋がっているらしい。)

 

 心の中で応援しながらも冷静に状況を判断する。

 止めていた手も動かしサンドイッチを見つけると、それを咥えながら十字路を右に曲がった。

 別に駆けて行った受験者を見に行ったわけではない、右手戦法をしているので右に曲がるしか無かったのだ。

 

 

 

 

 さらに進んで試験開始から約7時間後、ジールは三つ目の広間に出ていた。

 

(うーんあんまり進まないなぁ、まっ迷路の大きさも分からないから何とも言えないけど。)

 

 明らかな行き止まりの道も全て通ってきたジールは、方角的には東西へ振り回されながら北に進んでいるようだ。

 他の受験者の進捗は分からないが、多分ジールは遅れている部類に入るのでは無いかと考えている。

 

 まあ、事実ジールより早く進んでいる者も居るが、半数程は罠に翻弄され思うようにすすめていなかった。全体の順位では中の上といったところだ。

 

 ここまで右手戦法でやってきたジールだったが、麻袋の上から後頭部を掻いてなにやら思案しているようだった。

 

(俺のメンタルが24時間で折れるとは思わないけど、間に合わないのは困るからなぁ。)

 

 今まで書いてきた道順や罠があった場所を眺めながら座り込む、どうやら本格的に考えるようだ。

 

 そう、この試験は規模の分からない迷路を如何にして攻略するかを問われているのだ。

 それに必要なのは歩き続ける体力や、攻略に必要な頭脳、罠を回避する身体能力など基本的な部分は勿論のこと、一番はゴールを諦めない気持ちである。

 

 今はまだ、元気な悲鳴が聞こえているがそのうち気づくだろう、自分が何処にいるか分からない事に。どんなに頑張っても正解の道で無ければ辿り着けない非情さに。

 

 罠に翻弄され現在地が分からなくなった受験者は刻々と過ぎていく時間を前に足掻き方を忘れるかもしれない。

 

(……とりあえず試さない事には分からないか。)

 

 ペンでなにやら地図に書き込んでいたジールはよっこらせと立ち上がった。

 

 そして広場の中心に嵌め込まれた文様を確認すると、右手を壁に着くのを辞めて歩き出す。

 

 麻袋の下でワクワクと目を輝かせながら道を選び、地図を見て部屋の端にある通路へ踏み出すとそのまま半歩身体を捻った。

 

 その数拍後ジールの横に刺さったのは毒が塗られた弓矢だ、それを見たジールは満足気に頷くと迷いなく通路を進み始めた。

 

(ははっ、パズルゲームが得意な俺に死角なし!)

 

 

 直後、分かっていたにも関わらず片足が落とし穴に嵌った。少々恥ずかしそうに引き抜くと、ジールはひっそり移動を始めた。

 

 

 

 

 その後も、誰かが落ちたらしい落とし穴や、壁に飛び散った血痕を見つけたり、床、壁、はたまた天井にめり込んでいる受験者を引っこ抜いたりしながらもジールは着々と進んで行った。

 

 そして試験開始から約10時間後、ジールは6っ目の広間に到着していた。

 

 

(…………会話無くて寂しい、ぐすん。)

 

 麻袋の口から手を突っ込みもぐもぐとパンを食べながら、ジールは心の中で泣いていた。

 

(何故だろう、全然人に出会わないし会ったとしても凄い勢いで走って行くし、助けた人も気絶して話せる感じじゃなかったし。)

 

 自身の仮説があっているかを検証すると共に、ジールは少し遠回りをしてでも人と接触していた。

 結果は……ボッチでご飯を食べている姿をご覧いただければ分かるだろう。何がいけなかったのかって?麻袋である。

 

 

 昼食も食べ終わったジールが手馴れた手つきで麻袋の口を締め立ち上がった時のことだ。

 

「やったぁ!!!広間が見えたぞ!!」

 

 反対側の通路から入ってきた男はそのまま一直線に駆けていき、中央にある文様を見るとガッツポーズをして見せた。

 

「おっしゃゃゃやあ!違うやつだ、進んだぞ!!」

 

 

 そうして嬉しさのままに叫んだ男はハタと動きを止めてジールの方を見た。

 ジールは足音が聞こえてきた段階で、フリップを取り出し挨拶を書いていたのだ。

 

『やぁ。』

 

 ジールと男の間に僅かな時間が流れる。

 

「失礼しましたぁ!!!!」

 

 男は、ジールの頭部と手元のフリップを確認するとそのまま来た道を走って行った。

 

(おっと、避けられた。……まあ当たりの道に行けたみたいだしいっか。)

 

 内心では次に期待しようなどと考えていたが、その手元はフリップの角をコネコネといじっていた。

 

 

 

 それからも、ジールはゴールを目指しながら人を探していくが、だんだんと出会う人の数は減っていった。

 

 最後に会った人も、7つ目の広間を出た後にすれ違っただけだ。結局、誰かと友情を育む前にジールはゴールの扉にやってきていた。

 

 所要時間13時間21分。一番目のゴールである。

 

(あー、俺が一番か。)

 

 まだ誰も居ない部屋を見てジールはポツリと呟いた。

 

 勿論、最初にゴール出来た嬉しさは半端じゃないが、ゴールした後に誰かと話して待っていようと考えていた作戦はおじゃんになった。

 

「君が一番かな?おめでとう、いいセンスを持っているようだな?」

 

 扉の前で突っ立っていたジールの元に、この試験の試験官がやってきた。

 

(おぉ!ザック団長だ!サインください!)

 

 すっかりミーハーと化したジールは心の中で色紙を取り出しながら声の方に振り向いた。

 

「…っ。そうだな、暇になっただろう?どうだ答え合わせでもしないか?」

 

(おっとこれはファンサ?先輩ハンターからのご教授が?)

『是非』

 

「ははっ、ユニークな話し方だな?」

 

 最初に見せた動揺もなんのその、直ぐに元の調子に戻ったザックはジールの横に腰掛け、その隣に座る様に促した。

 

 ジールは久しぶりの会話に感動しながらも、鞄から攻略中に使った地図を取り出す。それを渡すようにザックの方に向けるとジェスチャーで見るように示した。

 

「ほぅ?ここまで正確だとは…君全部の罠に引っかかってきたのかな?」

 

 ジールは慌てて首を振った。全部引っかかっていたのは最初だけである。

 

『最初』

 

「なるほど、最初に全部を試したと……脳筋か?」

 

 地図を見ていた目がジールの方を向く、誤解だと言いたいところだが否定しきれないジールはぐぬぬと悔しそうな表情を作るに終わった。

 

「まぁ脳筋でも構わないけどな?この時間でクリア出来るのはどちらかと言えば頭脳派だろう?」

 

 

 ありがとうと返された地図には九つのブロックに分けられた迷路が書かれていた。

 

 簡単な説明をすると、迷路がある競技場は大きな正方形だった。その中を3×3のブロックに分けそれぞれの中央には広間が用意されているという構造だ。

 ではそれに気づくと何が分かるのか、実はそれぞれのブロックは全て同じ位置に罠が置かれており、尚且つ迷路の形も全て同じものとなっていたのだ。

 

 つまり、ひとつのブロックさえ分かってしまえばあとは安全な道を選んでゴールまで行くだけである。

 逆に言えば安全な道以外を通ってもゴールに辿り着けなくもない少々変わった迷路となっていた。

 

 気づいてしまえば簡単なものだが、罠に翻弄されている中では冷静に場所を照らし合わせることなどしないだろうし、道をある程度覚えておかなければ気づくことも難しいだろう。

 

 ジールは入口から最初の3ブロックを文字通り全て通ってきた。メモをする余裕もあったためサンプルが充分にある中で考えることが出来たのだ。

 その後は書いた地図が合っているかを確認しながら進むだけである。

 

「よく気づいたな?広間も通ってきただろう、文様の意味も分かるか?」

 

『村の紋』

 

 壁画を舐めるように見ていたジールはそれぞれの村には代表するマークがあることに途中で気づいた、まぁその後はそれぞれのブロックが村に割り当てられてたのかなぐらいにしか思わなかったが。

 

「……本当にいいセンスをしているぞ?この文様はそれぞれの陣地を示すマークになっていてな?最初に戦士が戦ったと言っただろう?各々の戦士に平等な陣地を割り当てる為に全て同じ作りとなっているらしいぞ?」

 

 爛々と目を輝かせ楽しそうに語るザックの言葉を、ジールも頷きながら聞いていた。

 熱中するものの素晴らしさを語りたくなるのは全人類共通だと思っているジールは、その内容の凄さも去ることながら、それに夢中になっているザックのことを楽しそうに見ていた。

 

 

 それから約10時間後、話終わったザックの姿は消えており一人で夕食を食べ、地面にラクガキをしながらジールは暇を潰していた。

 

「24時間が経過した、一次試験は終了だからな?この場にいる者は合格だから遅れないようにしろよ?」

 

 

 そう言って移動のために連れられていく受験者はざっと160人、丁度開始の時から半数が減った形となる。

 

(まだまだ沢山いるし、お友達を作るチャンスもあるだろう!多分!)

 

 

 最初のジールのペースを見ていれば気づくことだが、実はこの迷路は全ての道を通ってきても時間内にゴール出来る脳筋仕様であった。

 3ブロック進むのに必要なのが約7時間、単純計算で21時間あればゴールに辿り着けることになる。

 もちろん、全ての罠を回避して21時間進み続けられる体力ゴリラでなければ無理な話だが、不可能では無いとだけ言っておこう。

 最初に言った通り、諦めない気持ちが重要だということだ。

 

 とまあ、一次試験を通過した者は意外にも多様な才能に別れていた。

 そうしてバスに詰め込まれた受験者達は遺跡から次の試験会場に運ばれていく。

 

 

(面白いやつだったな?後で他の奴にも教えてやろうか?)

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※

 

 

 次に到着したのは、ダーグン街の中心にある巨大なビルの一室であった。

 

 バスの中で配られたお弁当に、ハンター協会が配っているお弁当!レア!とまたしてもIQの低い感想を述べながら貪っていたジールも、生産地のラベルを剥がしながら会議室のような一室に通される。

 

 

 

 

 全員が入り切った直後、部屋のライトが消され正面に座っていた10歳程の少女にスポットライトが当たった。

 

(……会議室にスポットライト、うん。)

 

 クルッとキャスター付きの椅子に座りながらこちらを向いた少女は、前髪をパッツンに切った黒髪の美少女であった。

 ふたつに結ばれた黒髪を揺らしながら暗い室内に立ち並ぶ受験者の顔を見ると、パサりとその長い髪に手を通しフンッと鼻を鳴らた。

 

「どれもこれも間抜けな顔をしているわね。」

 

 ため息を吐きながら、両肩を竦めるとその手に持っていた分厚い本を目の前のテーブルに叩きつけた。

 

「あんた達のお粗末な頭に合格は出せないわよ。」

 

 

 張り上げた綺麗な声には棘しか詰まっていない。初めは暗転した部屋に何が起こったのか分からなかった受験者達も、その言葉の意味を理解して盛大な野次を飛ばし始めた。

 

「おいふざけんじゃねーぞ!ガキが!」

 

「あぁ!?ナマ言ってんじゃねえよ!!」

 

「おいチビ!礼儀ってやつを教えてやる!」

 

 身を乗り出す勢いで吠える、なんならそのまま掴みかかろうとする者もいた。

 

(…さっすがプロハンター、性格もダイナミックだなぁ。)

 

 野次の内容が馬鹿っぽいなと思っても口に出さなかったジールは、開放的な動物園と化した会議室の中で遠い目をしながらラベルを鞄に仕舞っていた。

 

「ほんっとに馬鹿ね、あんた達を全員不合格にしてもいいのよ。」

 

 少女はうるさい声に眉を顰めながら、嫌々と言葉を吐き捨てる。

 そこで、相手が試験官だということを思い出した受験者はちょっとだけ静かになった。

 まぁ、精々が檻の中に大人しく入ったレベルで、まだまだうるさいことに変わりはない。

 

「ふんっ、分かればいいのよ。リリー持ってきて頂戴。」

 

 煽る姿勢を辞めない試験官殿は横に立っていた丸メガネの女性に何かを持ってくように指示を出した。

 檻の中からその様子を見ていた受験者は持ってこられた箱に視線が釘付けである。リリーと呼ばれた女性が箱を2つ置いたかと思うと、少女は慣れた様子で積まれた箱の上に立った。

 受験者達よりも高くなった視線に満足したのか、さらに蔑みを含んだ視線で受験者達を見下ろす。

 

「わたくしは、ロッサ・ブルーメ。気安くは呼ばないでちょうだい。二次試験の担当試験官よ。」

 

 手で髪を跳ねさせながらされた自己紹介に、ジールは段々慣れてきていた。

 

(オーラ見てるとめっちゃ強いの分かるし、貫禄のあるロリだと思えば……)

 

「言っておくけど、わたくしは成人を迎えてますから“チビ”とか言う脳の無い発言は謹んで欲しいわね。」

 

 先程チビだなんだと野次を飛ばしていた野郎は睨まれて竦み上がっていた。

 

(……あるあるな禁句を持ってきたなぁ、書かないようにしよ。)

 

 ジールは数秒前の思考は抹殺し、貫禄のある“女性”だと認識を改めたようだ。

 

「さて、言いたいことは言い終わったし、試験を始めるわよ。」

 

 その言葉と同時に、後ろのスクリーンがなにやら文字を写し出した。それを見た受験者達はまた檻から出たように騒ぎ出す。

 暗い部屋で光るスクリーンは綺麗な字体で、次の試練を示した。

 

 

『第二次試験 古文書暗号解読』

 

「プロハンターに馬鹿はいらないわ!!」

 

 

 

 

 一癖では収まらない筆記試験の開始である。

 

 

 




次回は二次試験からスタートです。

読んでくださりありがとうございました。
感想、ここすき等励みになります。
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