口下手なオタクがヒソカの兄に   作:黒田らい

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ヒソカサイドでイベントが起こる回です。

よろしくお願いします。


披露した。【前】

 ヨルビアン大陸の北、賑やかな都から離れた場所にある何の特徴もない町では、数時間前に奇妙な出会いが起こっていた。

 

 舗装された道の上で大破した携帯を前に咽び泣く少女と、それを困ったように見つめる青年は人通りが少なくない道の端で注目を集めている。

 

(うーん、このまま置いていこうかな♠︎)

 

 くるりと向きを変え、歩きだそうとしたところでヒソカは進行を阻害された。原因がズボンを掴む顔面びしょびしょの少女だというのは見なくても分かっている。

 

 ヒソカが仕方なしに背後を見下ろせば、ボサボサになった黒髪の間から離すまいとする瞳がこちらを向いているのが見えた。

 

「……本当に連れてってくれるのかな♣」

 

「も”ち”ろ”んんん!!」

 

 とりあえず、新しく携帯を買いに行こうと少女は本日4度目のケータイショップに向かった。

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※

 

 気ままに旅をしていく中で、ヒソカはネットカフェやパソコンが使える役場などに適当に立ち寄ることがある。

 

 そこまで熱心だという訳でもない。数ヶ月に一回というペースでだが、次の目的地だったり何か目立つニュースなどを調べるためにヒソカは適当なサイトをめくって情報収集をしているのだ。

 

 その日も、いつもと同じように見かけたネカフェに入り、頬杖を付きながらスクロールをして画面を見つめていた。そしてそこでヒソカは普段とはちょっと違う面白いものを見つけた。

 

 そこはいわゆるお尋ね者を探すサイトで、その首にはお小遣いのような額から、何をしたらそのような値が付くのかと思うような金額の者まで幅広く載っている。

 

 基本は表に出ない人達が使っているサイトであるが、ヒソカも色々な意味で良さそうな人を探すのによく覗いているところだった。

 そんなページの写真の欄には、この前撮られたのであろうヒソカの写真が載っていた。どうやら名前までは明示されていないようだが、かなりの金額が写真の横に書かれている。

 

 面白い事になったものだと、そのまま掲載者の欄を見れば聞きなれない何処かのマフィアの名前が表示されていた。

 

(…これに載ってれば誰かしらが遊びに来てくれるってことだろう♥)

 

 サイトの中でも上位の金額を見て、これから訪れる正当防衛の機会に胸を踊らせたヒソカは、意気揚々とネカフェから出てくる。

 

 スキップでもしそうな軽い足取りで自動ドアを潜ったヒソカは、少し離れたところから熱い視線を向けられていることに気がついた。

 

「あ、いたよ!見つけた!みつけ……ベフッ」

 

 何やら電話をしながらヒソカを探していたらしい少女は、ヒソカと目が合うとそのまま勢いよく走り出し、そして転んだ。

 来客が増えそうなサイトを見たあとで、遭遇した不審な人物にヒソカは驚きながらもそのままその様子を観察する。

 

 見られている少女は、転んだ衝撃でヒビが入り、これ以上は使えないであろう携帯を掴み何事も無かったかのようにこちらへ早歩きでやってくる。

 

「ねぇ!お兄ちゃんは、ヒソカですか!」

 

 大きい鞄を背負い込み、ひっくり返りそうな角度で見上げてきたのは黒髪黒目で見た目10歳くらいの少女であった。

 

「そうだよ♦」

 

 少々、ファーストコンタクトは間抜けな様子だったが、近くで見ると中々に身のこなしが出来ている少女だ。子供が小遣い稼ぎに来たのかもしれないとヒソカが次の言葉を待っていると、少女は落ち着く暇もなく早々と捲し立てた。

 

「あのね!私、頼まれてて、ヒソカって人を連れてかなきゃいけないんだけどお兄ちゃん着いてきてくれる?」

 

 どうやら、彼女は遣いのようだ。少々勿体なく思いながらもヒソカは少女の誘いに乗るかを考える。

 普通に聞いている分には十分怪しい内容だが、先程の賞金の事を知っていると更に怪しく聞こえる。

 つまりめっちゃ怪しい。

 

 3秒程真剣に悩んだヒソカは結論を出した。

 

「いいよ♥行こうか♦」

 

 幼いながらに強そうな少女を遣いに出すところなど、更に強いに違いない。楽しそうな舞台のチケットをせっかく持ってきてくれたのだ、着いていくしかあるまいと笑顔で返事を返したヒソカを見て少女は嬉しそうに笑った。

 

「ありがとう!私、頑張るね!」

 

 一体何を頑張るのだろうかと、珍しく不安に駆られたヒソカの目の前で少女は大きな鞄の中を漁っている。どうやら予備の携帯を出そうとしているようだが、中から出てきたのは水没した携帯であった。

 

 よく見ると、鞄の端から水が滴り落ちている。一緒に入れていた水筒の蓋が緩み中身が出てしまっているようだ。ショックを受けたように固まった少女はトボトボとケータイショップに向かっていった。

 

(初めて見るタイプの人間だ♠︎)

 

 普段関わらないタイプの人種に一抹の不安を感じながら、ヒソカはケータイショップから笑顔で出てきた少女を眺めていた。

 

 

 

 

 

「キミにボクのことを頼んだのはどんな人なんだい♠︎」

 

「私はボスって呼んでる!めっちゃ凄い!」

 

 

 町の中をさっさと歩いていくヒソカの横で、少し小走り気味に歩いている少女は偶に「こっち!」だとか「そこ曲がる!」とナビをしながらヒソカの質問に答えてくれている。それがヒソカの求めた情報と合っているかは微妙であるが、本人的には精一杯の回答らしい。

 

「へぇ〜 ♦じゃあボクはそのボスって人に会いに行くのかな?」

 

「違うよ!」

 

 ヒソカの後ろを追いかけながら、バッサリ切り捨てた少女はそのまま右に曲がるように言った。

 なんだ違うのか、と少々落ち込みながら曲がったヒソカの横で、地図を見ながら曲がった少女はゴミ箱にぶつかり尻もちを着いた。その拍子にポケットから落ちた携帯は重い鞄の下敷きになり、砕けた。

 

「……それ、もう少し頑丈なの買ったらどう♣」

 

 ヒソカは携帯など買ったことも無いため何とも言えないが、そんなに頻繁に壊れるものではないと思っていた。

 

 まあ、少女はちょっとの段差で躓いたり、お釣りだけ貰って買った昼食を置いてきたり、先程も3台目の携帯で報告の連絡を入れようとして手を滑らせ、見事に液晶を割っていた。昔、何処かで聞いたドジっ子というのはこれの事かと深く納得したヒソカは、4台目を砕いた少女をケータイショップに見送った。

 

 

 

 

 

「それで、ボクは何処に連れていかれるのかな♠︎」

 

 今までのものより頑丈な機種を買ってきた少女は、寂しそうに財布の中を覗いていた。今度は丸い携帯のようだ。

 ヒソカが今更な質問をすれば、そういえば言ってなかったかと目をパチクリと瞬かせ、少女は鞄の中から引っ張り出した書類をヒソカに見せてきた。

 

「これ!私がボスから渡されたやつ!」

 

 水筒の蓋が緩むのは日常茶飯事なのか、明らかに防水加工をされた紙には先程見た名前のマフィアからの依頼が書かれている。

 

 つまり、この少女やそのボスとやらは外部からの依頼を受ける人達のようだ。

 

(このマフィアも気になるけど、今はどちらかと言うとこっちの方が気になるなぁ♦)

 

 見せても良かったものなのか、依頼書をざっと見たヒソカは先程まで楽しみにしていた来客よりも、目の前にいる少女の方に気が向いていた。

 

「ねぇ、キミのボスには会えないのかい?」

 

 返された書類を大切そうに鞄に仕舞った少女は、ヒソカの発言を聞いて目を丸くした。

 

「えっ!私に付いてきてくれるんじゃないの!?」

 

「キミについて行ってもいいけど、ボクそのボスに会ってみたいんだよね♥」

 

「こ、困るよ!任務なのに!」

 

 先程快く了承してくれたのはなんだったのかと、慌て始めた少女は何とかヒソカをマフィアの元に連れて行こうとする。

 

「大丈夫だよ、あとちょっとで着くし!あ、あと向こうも頑張って探してるみたいだし!ボコボコにしてやるーとか言って……あれ、これバラしたら付いてこなくなる?あっ、きっと優しく出迎えてくれるから!」

 

 全部ヒソカに丸聞こえである。ここまで微妙な説得の言葉も中々に聞かないなと、珍しいものを見る目で見ていたヒソカはボコボコという言葉を聞いて相手がどれくらいなのかを聞いてからでもいいかと、身振り手振りを加えながら話す少女に口を開いた。

 

「そのボコボコって、どれくらいやる気なのかな♣」

 

 少女はそこに反応するのかと驚きながらも、食いついてくれるのなら頑張るしかないと更に身振りを大きくしながら説明する。

 

「たっくさん!面子潰されたからって!だから私、依頼主のところまでヒソカを連れてかないとダメなの!」

 

 いっぱいいるだとか、本拠地だからと純粋に相手を危ないところに送ろうとする少女は、普通の人からすればヤバいやつのレッテルを貼られるだろう。

 

「んー、じゃあついて行こうかな♣」

 

 まあ、それを気にするような相手では無いのが幸いした。多人数を相手にした事は無かったなと考えながら了承の意を返せば、少女は大袈裟に喜んだ。

 

「やったー!ありがとう!じゃあ早く行こう!」

 

 気が変わらないうちに急ごうと少女がヒソカの手を引こうとした瞬間マンホールの穴に引っかかりそのまますっ転ぶ。

 

 買い換えたばかりの頑丈な携帯はコロコロと転がっていき、車道まで飛び出たかと思えばそのまま通過した車に轢かれて大破したようだ。

 

 それを見て流石に堪えたらしい、今までは涙目で何とか踏ん張っていた少女は遂に泣き出した。

 

「あ”ぁ、やっちゃったー!もう経費で落ちないのにぃぃぃぃ!!」

 

 道の真ん中だというのも気にならないらしい、見た目的には相応に泣き喚いている少女を見て、ヒソカはそもそも辿り着けるのかも不安になってきた。

 

 もういいかと、ヒソカが置いていこうとしたところで引き止められる。

 

「……本当に連れてってくれるのかな♣」

 

「も”ち”ろ”んんん!!」

 

 とりあえず少女をケータイショップへ見送ったヒソカは、人とはこんなに手間が掛かる生き物だったかと寂しそうな背中を眺めていた。

 

 

 

 

 

「着いた!ここだよ!」

 

 道中の紆余曲折を経て、少女が示したのは大きな屋敷の前にある広場だ。私有地なのか人っ子一人見当たらない様子に、ヒソカはこれからどうするのかと隣に並ぶ少女を見下ろした。

 

 ヒソカは、ここまで来るのに大層疲れきっていた。道を間違えることはなかったが、途中のトラブルはいつもの旅より多かった。三日目にして郊外の屋敷に到着した時は、暫く一人旅で十分だと強く心に決める程には面倒だったのだ。

 

 そして、相手が手のかかる奴だと思っているのはヒソカだけでは無い。少女もまた面白そうなものを見つけては道を外れようとするヒソカに手を妬いていた。

 ボスのことが気になるらしく、あれこれと質問されて答えていると、数時間に一回は行先の変更を提案してくる。

 少女はボスについて薬草の扱いが上手いだとか、愉快な人だとか道中色々な情報をバラしていた。

 その中で戦闘力がそこまで高くない事を答えた時のヒソカのリアクションを見てから、少女はボスは頭脳派だということを全力でプッシュしていたわけだが、ここ来て晴れて無事に任務を達成出来たことに安堵のため息を吐いている。

 

 

「それじゃあ、私はこれで!」

 

 指定された場所かをもう一度確認した少女は、元気よく手を振りながらその場を去っていく。置き去りにされたヒソカは本当に連れて来るだけなのかと思いながら少女の背を暫く見ていた。

 

(あっ、転んだ♠︎)

 

 あの少女が、後ろを向きながら走れば転ぶだろうと納得したところで、ヒソカは広場の至るところから感じられる人の気配に油断することなく気を引き締める。

 

 

(ああ♥いいね、素晴らしい舞台のお礼に今回は見逃してあげる♠︎)

 

 

 

 一斉に飛び出してきたマフィアの組員はその手に持った銃を撃ちだした。

 

 

 

 

 

 

 中央の銅像を盾にして、拳銃の弾が切れた瞬間を狙い確実に人数を減らしていく。途中、一々遮蔽物の元まで戻るのが面倒になったヒソカは大きく蛇行しながら、組員に迫っていった。

 

 銃を持つ人間に迫る者など滅多にいないからか、途中から組員の命中率は格段に下がっていた。腕や太ももなど何ヶ所か撃ち抜かれたが、動けない程ではない。

 

 整えられた植木を赤く塗りながら広場を駆け巡るヒソカの目には眼前の獲物しか写っていなかった。

 

 個々の実力はそこまで高いものでは無いが、数だけは無駄に厄介で戦闘としては中々に新鮮なものだった。

 しかし強者との戦いという点ではイマイチである。微妙に違うかなと思いながら、オモチャになった銃を振り回す相手を蹴り倒し、振り向きざまに裏拳で後ろの顔面を潰す。

 

 大部分を沈めたヒソカは、返り血を拭いながら屋敷に逃げ込んだ残りの組員を追いかけた。

 

(折角の機会なんだから、満足いくまでやらなきゃ♦)

 

 滑りやすくなっている地面をしっかり踏みしめたヒソカは正面の扉の前にいる組員の首を一瞬で折った。

 

 そこで、ヒソカは首と一緒に胸元のバッジが落ちるのを見つけた。そういえば全員こんなものを付けていたなと転がるそれをよく見れば、何処かで見たことがある……気がしてきた。

 

 数ヶ月前にカツアゲしてきた輩が自慢していたバッジと似ている気もする。いや、そもそもバッジなんて付けていただろうかと記憶を漁れば似たような物があったかなと思い出すレベルであった。

 などと、すっかり忘れてしまっているヒソカであったが、そのカツアゲの野郎だけでは無い。支部のビルを崩壊させていたりとまあまあお世話になっているマフィアさんだ。

 まあ本人は名前も覚えてないような所だ、ヒソカにとっては初めての大人数の舞台を用意してくれた親切な人達でしかない。

 

 

(もっと、もっと♣ボクを楽しませてくれよ♥)

 

 

 外にいた人よりも心地よい気配がする屋敷の中へ足を踏み入れたヒソカの表情はとても良いものだった。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 トゥルルルルルル、トゥルルルルルル……トゥッ。

 

 

「あっ!もしもしボスー?」

 

『――!――――。』

 

 ヒソカが屋敷に入る前に、契約金をがっぽり貰った少女は、離れた所から報告の電話をしていた。

 

「うん、そうそう!ちゃんと出来たから!…だから経費もう少しくれない?――えぇ、ケチ。」

 

 

 目にオーラを集めた少女は、バタバタと倒れていくマフィアの組員を眺めながら6台目の携帯に向かって文句を垂れる。

 

「うひゃぁ、あれでまだなんでしょ?あっ、そうなの?――えぇ、ボスがそっちに来るダーリン捕まえるって私に任務持ってきた癖に。」

 

 

『……!!――――!――!!!!』

 

 

「はいはい。……いいじゃん、ボスもヒソカに会ったことあるんでしょ?」

 

 高い塀の上でブラブラと足を揺らす少女は、設定音量よりも数倍大きい声に思わず片耳を塞いだ。

 

『――、――――!!』

 

「はーい!じゃ、また何かあったら呼んでねー!」

 

 大量に貰えた給料にニッコリ笑った少女は、塀から飛び降りようとして、――服の襟を引っ掛けた。

 

「えっ、え?……これお気に入りだから、辞めてよ!?」

 

 柵の部分に引っかかった布は、少女の願いも虚しくビリビリと音を立て裂けていく。

 

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙。」

 

 落ちた少女は体に傷ひとつついていなかったが、心の中ではしくしくと泣いていた。

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 廊下の横道から飛び出してくる組員を、見飽きたと言わんばかりに目も向けず蹴り倒すと、適当に銃を拾い上げて正面から走ってくる他の組員に投げつけた。

 

 ヒソカはボロボロの体で屋敷の残党を狩っていく。脱臼した左肩は、最深部のドアを開けた時に横から殴られたものだ。適当にはめ直したが、未だにビリビリと痛む気がする。

 

 こめかみを掠った銃弾のせいで、視界も明瞭とは言えないが分かりやすい足音のおかげで戦うのに支障は無い。

 

 うち漏らしが追いかけてくるのを右で殴り飛ばし駆け込むフリをして入った部屋の入口で数人を騙し討ちにしたヒソカは音が無くなった屋敷をゆっくり出てきた。

 

 久しぶりにこんなに大怪我をしたなと、呑気に考えながら、次の面白いものを見つけるためにその足は街に向いている。

 

 大半は返り血だとしても、抉れている脇腹は本物であるし、いつもよりフラフラした足取りはヒソカが満身創痍であることを示している。マフィアとの戦いはそれだけ激しいものだった。

 

(今度の街は、――あぁ、魔女のお姉さんが言っていたあそこかな♥)

 

 しかし、素敵な舞台も終わればそれまでだ。ヒソカは多少の歩きづらさに困りながらも、お楽しみが近くにあることに浮かれていた。

 

 赤い靴跡を残すヒソカが向かう先は、

 

 ――享楽の都・グラムガスランド――

 

 ヒソカにトランプを教えたユーリンいち押しの街である。

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※

 

 

 ヒソカは倒れていた。それはもう虫のように。

 ヒソカはボロかった。それはもう雑巾だった。

 

 ゴミ山を歩いていたヒソカは足を滑らせ見事、地面に激突した。普段ならばこんな間抜けな事などしないだろうが、流石に怪我をした状態で約半日歩き続けば身体にガタがくる。

 

 目的のグラムガスランドには到着したものの、まともに歩ける状態ではなかったヒソカは街の外れで野垂れ死にかけていた。正確に言うと死にかけでは無かったが、体力を回復する為に地面の上で気絶するように目を瞑っている。

 

 

 遠い意識の先では、大道芸が披露されているのか賑やかな街の声が聞こえてくる。回復したらこの愉快な場所を是非とも満喫したいと考えながら、ヒソカは固い土の上で眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――。」

 

「――――野盗―、――かな。」

 

「――、――準備が。」

 

 

 そろそろ体も動きそうだと、騒がしくなった周りに意識を向けると数人がヒソカを囲んでいることに気づいた。

 

「少年、喋れるかい。私はモリトニオ。キミは?」

 

 

 その中でも一段と気配の強い男が声をかけてくる。薄目で見上げればそこには髭を生やした眼鏡の男がこちらを興味深く覗き込んでいた。

 

 

「―――ヒソカ」

 

 周りがヒソカの怪我を見て不審がっている中で、臆することなく話しかけてきたモリトニオに短く返す。

 意外としっかり出た声を聞きとったモリトニオはマントの中に仕舞っていたガーゼや包帯等をヒソカの横に置き、その場を立ち去った。

 

 

 他の人達がモリトニオの後に続いて歩いていくのを見送った後、ヒソカはゆっくりと立ち上がると固まった体を解すように伸びをする。

 

 十分に動けることを確認した後は、置かれていった品で応急手当を済ませ、垂れてきた前髪をかきあげた。

 そして、いつもと同じように歩き出したヒソカは

楽しみにしていたグラムガスランドの街を満喫し始めたのだ。

 

 

 

 




後半に続きます。
グラムガスランドの話が好きなのでガッツリ入ってます。


ここまで読んで下さりありがとうございました。
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