口下手なオタクがヒソカの兄に   作:黒田らい

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日常回です。よろしくお願いします。


オタクは突然の供給に固まるものです。

どうも、幽霊に会ったことある系男子のジールです。

最近はトマトも食べられるようになりました。

 

ちょっと前から学校にも通い始めて、クラスの女子にモテモテなのだ。…いや、ホントだよ?

 

母似の俺は、黒髪に白い肌でパッチリとまではいかなくとも、クリっとしたキュートなお目目なのだ。

オマケに運動も出来る。むしろココよ。

運動出来る男子の需要の高さ!偶に聞こえてくる女子の会話でかっこいいの単語が出た時は嬉しかった。…そこ、盗み聞きとか言わないで。

 

「…にーぃ?」

 

まぁ、そこから色恋には発展しない。むしろ精神年齢的に犯罪チックな感じさえする。

本当、手を繋ぐ時とかドキドキよ。いつも、心の中で警察に弁明しながら手を繋いでいる。

 

「ねぇ!にい!」

 

はい!なんでしょう!?

くるりと振り返った先には、ボールを持ってブスくれたひー君がいた。

 

「なんで、呼んでるのにこっち向いてくれないのさ!」

 

「ごめん、…気づかなかった。」

 

読んでいた新聞を置いて、ひー君の方に向き直る。

 

「どうした?」

 

「今日、にぃがお休みだっていうから、一緒に遊びたいと思って。」

 

なるほど、ボールをこちらに見せつつ言われた言葉に納得する。

ひー君は、俺とは対照的によく喋る。まだ学校には行ってないものの、頭が良いのか物覚えも良くて、俺が勉強をしているとよく覗き込んでくる。

 

そして、一緒に遊ぼうといつも誘って来るのだ。

可愛い赤ちゃんから成長して、生意気なガキになるかと思ったのだが、弟はまだまだ可愛げのある性格のようだ。

 

「わかった。…裏庭でいいか?」

 

「うん!勝負の続きしようね!」

 

準備してくる!と言いながら奥へ走っていった弟を後目に新聞を片付ける。

 

毎日、欠かさず読んでいる新聞だが、これがほんとに面白い。気分的には漫画の巻末にある番外編を読んでる気分だ。

それに、情報収集にも役立つ。大きくなったら行きたい所を今からピックアップしておくのだ。

今日の記事には気になる事も書かれていた。

 

「にいー!準備できたよー!」

 

よく通る大きな声だな。寝室に居た母にも聞こえていたようで、こちらの様子を見て微笑んでいた。

 

「あら、今日は遊んであげるのね。」

 

「…うん。」

 

「怪我はしないように、気をつけるのよ。」

 

「わかってる。」

 

「ふふ、そうねジールちゃんは頼りにな「にいー!」あらあら。」

 

「行ってきます。」

 

せっかちなひー君だ。もう少し我慢を覚えた方がいいのでは?

裏口からこっちを見ているひー君の元に行き、ボールを受け取る。

 

ひー君はサッカーモドキを気に入っている。今回もそれだろう、地面にはコートの線が引かれていた。

(ちなみに、モドキなのは俺がルールを全部覚えていなかったからだ。インドア派の俺が知ってるのは某超次元モノくらいだからな!)

 

1ヶ月くらい前に、覚えている範囲でサッカーのルールを教えてから、かなりの頻度で誘われるのだ。

まあ、1人だと試合も出来ないだろうし、仕方ないだろう。それにお兄ちゃん風を吹かせるのに、うってつけだからな。かっこいい姿を見せるのだ。

 

「今日は、おとといの続きだから、にぃが攻撃ね!」

 

「わかった。」

 

ひー君がゴール前に構えたのを確認して、俺もポジションにつく。

そして真中のラインから、ボールを蹴る。

 

それを合図に、こちらへ掛けてきたひー君と向かい合いボールを奪い合う形になった。

 

「ボールは、僕がもらうからね!」

 

足元を狙って出された足を、ボールを上に蹴りあげる事で回避し、そのままジャンプして頭上を越えようとした。が、それを察知したひー君が足を高く上げ回し蹴りの要領でボールを奪いに来る。

 

「…!!」

 

相手の踵が近づいてくる中で、俺はボールを足で挟みバク転しながら距離をとる。

 

「えー!」

 

足を高く振り上げた事で体勢を崩したひー君を大きく迂回するように、ドリブルで横を抜いていく。

直ぐに俺を追いかけて来るが、1度抜いてしまえばこちらのものだ。

足の速さでは、たとえボールがあったとしてもひー君に負けることは無い。そのままゴール代わりの枠の中へボールを蹴れば俺の得点だ。

 

「あーぁ!」

 

ははははは!どうだ見たか!!

…大人気ないとかではないのだ。いや、大人気ないかもしれないけど。

始めた頃に、あまり勝てないのは楽しくないかと思って、一度少しだけ手を抜いた時に猛烈に怒られのだ。お詫びに夕飯のデザートを渡すくらいには、ひー君の機嫌は悪かった。

ひー君が、ちゃんと勝負したいと言ってきたので、“じゃあ、いっか”とそれからは構うことなく勝つ事にしている。

 

流石に、7歳と4歳の年の差で負けるつもりは無い。

それこそ兄の威厳に関わるぞ。

 

大人になったら3歳差などあってないようなものだが、子供は違う。

ひー君なんて、まだ頭が大きくてバランスの取りづらい等身だ。むしろ、それでよく回し蹴りなんてできたよな。

おにーちゃん、びっくりだわ。

 

俺?俺は、『ヒソカの兄』って字面に納得出来る身体能力だな。体育の時間とかヒーローだよ。

おかげで、ひー君に今日も兄貴風吹かせてます。

まぁ、万能って訳でもないし、ひー君との勝負は油断してるとやられかねない。

 

 

「…最初の反応は良かった。次は体勢を崩さないようにするといい。」

 

「うん!わかった!でも、楽しかったよ!」

 

「…そうか。」

 

「やっぱり、にぃは凄いね!もう一回やろ!」

 

呼吸をするように再戦を申し込まれた。

いい感じにアドバイスできたんじゃないか!?とか、考えてる場合じゃない。

 

はい!気合い入れてー!

ひー君は守備よりも攻撃の方が好きらしく、俺が守備をしていると偶にヒヤッとする事もあるのだ。

 

それから、何度か攻守を入れ替え試合を行う。

昼食の時間になるまで、ひー君からボールを守りながら裏庭を駆ける回ることになった。

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※

 

今日の新聞には、NGL(ネオグリーンライフ)についての記事があった。

まだ自治国にはなってないが、数年前に設立されたものが大きくなった事から、こんな離れた所までその名が届くようになったのだろう。

 

聖地巡礼を掲げる身としては、当然NGLもその対象なのだが、見たいものは蟻の巣と製造工場だ。

あとコムギちゃん、見るぐらいならいけそうな気がする。遠目でチラッとしたい。

あれ?コムギちゃんは東ゴルトーだったか?

 

 

まあ、ハンター世界に生まれた以上、ここが現実なので何処を観光するのも勝手だが、ぽっくり死ぬのは困るのだ。

あと周りに迷惑をかけるのも、如何なものかと思うので暗黒大陸に行ったりもしない。(そもそも行けないが。)

 

さて、ではそんな俺に必要なものは何か、そう!武力だ。

おい、脳筋とか思っただろう。……俺も思った。

 

しょうがないじゃないか、ひー君とも遜色無い身体能力やセンスは多分ある。多分。

期待していた通り、前世よりも逞しく育っているので、プロテインin空気説も正しいと思うのだ。

 

なら後は、原石を磨いていけばハンター世界を散歩するくらいにはなれる気がする!

 

…なんで曖昧な表現に留めるのかって?

言い切った瞬間、フラグが立ちそうな気がするからだよ。オタクはフラグには敏感なんだ。

 

前世でもよくやった。合格発表前とか、レアドロ周回中とか。

 

ハッ、言い訳したせいでフラグが立った気がする!

 

 

とまあ、おふざけはこの位にして。どうやって武力を身につけるかだ。

 

手っ取り早いのは、何処かの武術道場に入門することなのだが、両親の許可が降りるのだろうか?

 

 

「いいわよ!」

 

は、母!?

急に出てきたから驚いたが。それ以上に、習い事をしたいことが既にバレていることに驚きだ。

 

「ジールちゃんがやりたいと思ったことだもの、全力で応援するわ!それに、出来る事は沢山あった方があなたの為になると思うの。」

 

まぁ、確かに母は芸達者だし、その身のこなしも何処か気品がある。そんな人に言われると説得力も増すものだ。

 

「ふふ、最近はずっと武芸を習いたいって顔に書いてあったもの。」

 

「…ありがとう、母さん。」

 

「どういたしまして!頑張るのよ!」

 

最近は、考えを読まれるのにも慣れてしまった。

 

「うん。」

 

 

 

 

これで少し進歩できた。

ハンター世界を散歩したいのもあるが、もう一つ理由があるのだ。

 

それはひー君である。

 

将来、ひー君は強くなるだろう。原作のヒソカが激強なのもあるが、今の身体能力を見るだけでも十分わかる。

 

だが、そうすると兄が弟より弱いなんてこともありえるのだ。

無論、努力はするがずっと優位に立てると驕るつもりもない。なら、兄の威厳を捨てるのか。否!

格好良いお兄ちゃんムーブをしたいのだ。

諦める訳がなかろう。

 

そこで、考えたのがズバリ“頼りになる兄作戦”である。

 

ずっと甲斐甲斐しく世話をするのはお兄ちゃんっぽいが、格好良いかと言われると微妙である。

それに、俺は気になることがあれば遊びの誘いを普通に断る。

ひー君も成長するのだ、俺も対応していかなくてはならないのだよ、ワトソン君。

 

現に、ひー君は1人でつみきをしている。

またサッカーモドキに誘われたが、新聞をじっくり読みたかったので断って、つみきを渡しておいたのだ。

 

あっ、ひー君が若干つまらなさそうにこっちを見てる。

すまんな、俺は将来設計をするのに忙しいんだ。

 

 

 

ひー君はきっと将来強くなるだろう。お兄ちゃんとしても弟の成長は喜ばしい。

そして、俺はそんなひー君が困っている時にサッと助けてやれる兄になるのだ。

その為には弱いままではいけない。

 

難しい目標かもしれないが、お兄ちゃんを辞めるつもりはないし、何より可愛い弟に頼りにされたい。紛うことなき本音である。

 

まあ、原作のヒソカを思い浮かべると誰かを頼るなんて想像出来ないのだが。せいぜいが利用するくらいでは?

…本当に難しい目標だな。

 

 

 

 

夢と目標に一歩近づきわくわくしていた俺は、後日母が持ってきたチラシを見て固まる事になる。

 

『今日から、あなたも心源流拳法の門下生!』

 

緩いイラストと、近所の住所が書かれた地図が載っていた。

 




次回は、ジールの成長とヒソカのヤキモチ回です。

感想、お気に入り、評価等ありがとうございます。
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