口下手なオタクがヒソカの兄に   作:黒田らい

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ジールとヒソカが遊ぶ回です。
よろしくお願いします。


その後の鑑賞会は4時間ありました。

やぁ!最近の飛行機は言わない所もあるらしいね。

それでも俺は言うけどな!

レディースエーンドジェントルメーン!ご機嫌いかが?

 

おれ?アイム、ソーファインだ!

 

 

…………うそ、別にそこまで元気じゃない。中身はいいおっさんだよ?無理だって。

 

まあ外見は10歳になりましたけど。はい、どんどんパフパフ〜。

 

そして、明日はひー君のお誕生日です。はい、どんパフどんパフ。

…なんでそんなにテンションが低いのかって?

 

最近ね、ひー君が俺のこと“にぃ”って呼んでくれなくなったんだよね。

今年からひー君も学校に行ってるんだが、どうやらクラスで兄のことをにぃって呼ぶのがガキっぽいと言われたらしく気にしてるらしい。

 

だぁーれだ!ひー君に要らんことを吹き込んだ輩は!!にぃって呼び方が子供っぽいだと!?

…正直、俺もそう思う。

 

けどな!?それが可愛いんだよ!

なのに、なのにぃ……。ひー君が呼んでくれなくなったではないか。どう落とし前つけてくれるんだおらぁ!

 

と、数日間心の中で叫んでたら、ココロのエネルギー全部消えた。俺の元気は品切れ中です。

 

そして、元気0%の俺には大舞台が待ち受けている。

そう、ひー君のお誕生日プレゼントだ。

何がいいか聞いてみたところ、ヤバヤバな返答がきた。

 

『にいさんと、組手がやりたいな!』

 

ガクブルである。数年前に始まったこの組手は、組手という名の戦闘である。

 

流石に、まだひー君にコロコロされる程ではない。

1ヶ月前の組手も、俺の勝利で終わった。

だがしかし、だからこそ危ないのだ。ひー君は俺の実力が自分よりも高いことを分かっている。

なので、何をやっても平気と思っている節があるのだ。

 

 

断じて違う!!!!

 

無理だよ?せめて目潰しまででしょ?この前の足元のトラップはヤバかった。ワイヤーじゃなくて良かったと心の底から安心した。

そうでなければ、今頃俺の足首は体とバイバイしていたぞ。

 

そして、やってくるのが誕プレの組手。

 

プレゼント要素として、試合終了の宣言はひー君が言うことになっている。つまり、ひー君が満足するまでエンドレスなのだ。

 

……早まったかなぁ、遊べなかったお詫びに喜ぶかなって組手(なんでもアリ)を教えた事を後悔しそうだよ。

 

「にいさん!楽しみだね!」

 

そうですねー!!はぁ、可愛いな。おい。

今さら無しとか言えないんだが。

 

「……そうだな。」

 

 

 

 

 

 

 

そうしてやってきたお誕生日当日。夜ご飯は豪華なお肉とケーキが用意されるらしい。(ひー君のリクエストだ。)

 

朝から、母がテキパキと台所で作業をしている。

父も早めに帰って来るつもりらしく、いつもより早い時間に家を出ていった。

 

そして残されたのが、俺とひー君である。

ひー君は早起きをして、顔を洗ったりと身だしなみを整える俺の後ろをずっと付いてくる。なんなら、タオルを渡してきたりもする。あれ?今日は君の誕生日だよね?

 

「……どうした。」

 

「にいさんの準備を早く終わらせるお手伝い!」

 

さいですか。

ここまでされると、お兄ちゃんも腹を括らなければなるまい。

 

装飾の無いシンプルなシャツと黒い短パンに着替えて、中庭に行く。

 

靴紐を締め直してから、軽いストレッチをする。身体が温まってきたところで構えると、ひー君も距離をとって緩く構えた。

今日は、手に何も持っていないようだ。

 

そこから、ひー君の蹴りで組手が始まった。

 

右側から迫る足を、腕でガードする。右手を中心に左腕を支えにすると、そこで下がった肩を狙ってパンチが入る。

 

重心がズレたことにより軽くなった足を押し返し、同時に片手は拳を止めるように動かす。

距離が近いのと、狙いが肩だったこともあり防御が半分間に合わない。掴むことは諦めて、ひー君の腕ごと上に払うように流すと、その勢いを使ってひー君が頭上に飛んだ。

 

相変わらず身軽なことで。

 

空中の動きずらさを狙い、振り向き際に片足を振り上げる。ちょうど踵が首元に入るよう狙うと、それを棒で防がれた。

 

おいおい、隠し武器かよ。

ひー君と俺ではリーチの長さが違う。その為ひー君は棒などの長物をよく使う。

 

「あーぁ、仕留める時までとっておきたかったのに。」

 

そう言いながら棒を手のひらで弄ぶ。

どうやら、最後の一撃用だったらしい。よしよし、早めに手札を削り取っておきたいからな。この調子でいこう。

 

「……空中は仕留め易くなるぞ。」

 

「うん、わかった。」

 

ああ!この口を止めたい。しかし、お兄ちゃんムーブが癖になっている今、弟にアドバイスをする絶好の機会を逃せない。

 

また閉口してからは、蹴りやパンチの応酬に棒での殴打が加わった。

それを捌きながらひー君の様子を観察していると、距離がとられ小休憩になる。

 

「…ねぇにぃ、さん。攻撃してきてよ。」

 

「……機会があったらな。」

 

善処させていただきますね!こんな何時間あるかも分からない試合だから体力は温存しておきたいのだ。

 

「チャンスだらけのくせにィ!」

 

いやいや、俺は持久戦に向いて無いんだよ。

精々が中期(?)戦だぞ。ひー君は持久戦もバッチリそうだけどね!

 

なんだ?若さか?中身の若さなのか?

 

 

そうは言っても、今日はひー君が満足してくれないと終わらないのだ。頑張って攻撃もしよう。

 

どんどんフェイントが上手くなっているひー君に時々ヒヤッとなりながらも、やり返す。

 

腕をクロスして拳を受けたと思わせて、そのまま後ろに重心を落とす。

勢いに引っ張られてきたひー君の腹を、下に潜り込んだ姿勢から拳を突き出し殴った。

 

 

殴る瞬間は、一度衝撃を逃してから力を込めるので痣にはならないだろう。

 

両親も、流血沙汰にならないからか、子供のやんちゃで済ませてくれる。これがやんちゃで収まるかは知らないが。

 

それからは、ひー君が味を占めた紐トラップ(足首にプラスで脹脛の高さにも貼られてた)も躱しながら、適度に攻撃を入れていく。

 

途中、投げ技を決めようとしたところで、後ろから2本目の棒が出てきた時はほんとにやばかった。最初のやつで終わりじゃないのかよ!?

 

慌てたせいで、加減することなくひー君を地面に叩きつけてしまった。肺の空気を吐き出し土に汚れたところを、逃さず押さえ込んだことで組手は終了となった。

 

 

「…痛みは?」

 

「背中がちょっとだけ…、でも大丈夫!」

 

「そうか。」

 

腕を掴み引き上げながら声をかけると、悔しそうにしながらも笑顔で礼を言ってきた。

 

「……上達したな。最後は危なかった。」

 

道場に通うこともなく、ほぼ我流の動きでこちらを追い詰めようとする。

その上達速度には毎度驚かされ、次が楽しみになるほどだ。

 

「次こそにいさんに勝つからね!」

 

ブツブツと反省会でもしているのか、偶に手を動かしながら何かを考えているようだった。

 

3時間はやっていたらしい。おかげでクタクタである。情けない所は見せたくないし、早めに部屋へ戻ることにしようか。

 

「……ひー君は強くなるだろう。楽しみにしてる。」

 

言い逃げるように家の中に入っていく。汚れた靴を脱ぎさっさと洗面所へいってしまおう。

そう考えて弟に背を向けた時ーーー。

 

 

 

「待ってて♥」

 

バッと振り返った時には、こちらを不思議そうに見るひー君が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※

 

 

びっっっくりした。

幻聴か?ひー君の語尾にハートが付いていた気がする。

しかし、その後の夕食の時もいつも通りだったし……疲れてるのかな、早めに寝よ。

 

 

そう思いながらコレクションの切り抜きを眺める。

約8年程かけて集めている新聞の記事達だ。

 

面白そうな魔獣や、新しく出たゲームに本。ハンター協会のものもある。

 

ベッドに腰掛けながら手に取ったのはスクラップ本最新版だ。

なんと!昨年のハンター試験は単独合格なのだ!!名前までは載って無かったけど、ここ一年の動きを見るに多分ジン=フリークスじゃないかと思う。

 

思考の端に外からの足音がしたと思ったら、ひー君が滑り込んできた。

 

「にいさん!お絵描きしよ!」

 

「……んー、忙しい。」

 

一瞥して直ぐにスクラップへ視線を落とす。

確か、俺の記憶が正しければジンは11歳で単独合格だったはず。

その後電脳ネットで同志を探してたはずだから、そのサイトもリアタイで見たい。

まだ、世界を周れる歳でも無いのでちょっとくらいオタ活させて欲しいと、俺の中のオタクが言っている……それ、ただの俺やん。

 

「じゃあ、後で見せにくるから!」

 

「あぁ。」

 

流石に、サイト上で動向を見るのはストーカーか?と悩みつつ今日の分の新聞を開く。

 

ふむ、植物の特徴を持った魔獣が……結構近い場所で発見されたな。あとは…、お金持ちを狙った事件が頻繁してますな。くわばらくわばら。

あっ、新しいステーキ屋さんがオープンしたらしい、今度行きたい。

 

一通り目を通し顔を上げると、俺の周りを囲うように画用紙が並べられている。えっ?

 

「やっと気づいた!これ、僕が描いた恐竜ね。」

 

そうして、新たに一枚並べる。

あの…身動き取れないんだけど。両親からのプレゼントであるクレヨンを使って描いたらしい。一枚一枚の解説が入る。

 

一緒に遊ばなかった仕返しか?

ごめんって、意地悪しないで…寝かせてくれ。

 

俺の心の声は届かず、ベッドの上は画用紙で埋まっていった。

 

 




そろそろ幼少期編が終わります。
次回は、家族回です。
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