口下手なオタクがヒソカの兄に   作:黒田らい

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前後編では収まりきりませんでした。すみません。

今回は、ジール君が色々考える回です。よろしくお願いします。


コミュ障はよく一人反省会をします。【中】

 

「……知らない天井だ。」

 

目が覚めると、視界に入ってきたのは見しらぬ白い天井だった。

ベッドに寝かされているようで、目だけで周りを見るとカーテンで囲まれているらしい。個性的な天蓋でなければ、ここは病院だろうか。

入院したことなんてないからわからんけど。

 

……頭が痛い。こう、休日に調子こいて夕方まで寝た時の痛さだ。つまり、寝すぎて頭痛がするやつだな。

とりあえず起き上がるか、と手を着き上体を支えると想像とは違ったものが目に入った。

 

なんと、俺の身体が膜のようなもので覆われているのだ。……まさか、オーラ?

 

イャー!ナンデ!?オーラナンデ!?!?

 

歪ながらも身体の回りにまとわりつくオーラを見た瞬間。眠る…いや、気絶する前の事を思い出した。

 

俺は、皆で飛行船のパーティーに参加し、そこで爆発に巻き込まれたのだ。

あれが事故なのか、意図的なものなのか気になるところはあるが、それよりもひー君と両親の安否が知りたい。

 

俺の腕は包帯でぐるぐる巻きにされているし、少し身動ぎした時に左脚がガッチリ固定されているのにも気づいた。まさに、ボロボロの身体といったところだ。

 

そうなると、ひー君を庇いきれたのか正直不安になってくる。

……なにより、会場に居たであろう両親が無事なのか、出来れば会って確かめたい。

 

そういえば、起きたらナースコールを押すんだったか、と枕元を探そうとした所で、引き戸が開けられる音がした。

 

数人の人の気配がこちらに近づいてきたかと思ったら、シャッと音を立てながらカーテンが開けられた。

 

そこに立っていたのは、おっさんといって差し支えない、黒髪に白髪混じりの男性とボディガードらしき男が2人。おっさんは、俺が起きていることに気づくと分かりやすく笑みを浮かべてきた。

 

「やあ、目が覚めたようだね。私は君の叔父にあたる、ジブット=ラケルススという。今回は運が無かったようだ。」

 

ベッド脇に立ったまま、ペラペラと喋りだした。

 

「君の乗っていた飛行船が緊急着陸をした後、この病院まで手配したのは私でね、いやぁ目覚めてくれて良かった。」

 

ハハハと、笑いながらあれこれ説明してくれる。

それにしても、寝起きの頭に響くのだもう少し静かに喋ってくれないだろうか。

 

「そうだ、何か気になることはあるかい?私が何でも答えてあげよう。」

 

目じりに皺を作りながらこちらを見てくる。

なんかこのおっさんと話しているとモヤモヤするのだが……。

それよりもだ、知りたいこと?勿論ひー君と両親の安否だ。怪我をしてないか、傷に痛がってないか是非とも教えて欲しい。

 

「……。」

 

「…喉を痛めたのかな?水でも持ってこさせようか。」

 

おっさんは、振り返りボディガードの一人に水差しを持ってくるように伝えている。その姿を見ながら、そういえば言葉を待ってくれる人は少ないんだったと、思い出した。

 

これは……、あれか、対社会人用の対応が必要なやつか。約10年ほどやってこなかったぞ、出来るかなぁ。いや、やるしかないんだけど。

 

「いえ、ありがとうございます。あの、両親と弟がどうなったのかご存知でしたら教えて頂きたいのですが…。」

 

ニッコリと効果音が付きそうな笑顔(たぶん出来てる)を披露しながら一定のテンポで話す。俺が会社の業務連絡を伝える時にやってた技()だ。

次、次なんて言おう。というか相手の返答次第だよな。そうなんですねとかでいいのか。えっ、変なこと言ってないよな?

 

 

 

俺が話し出すと、少し上機嫌になったおっさんが鷹揚に頷いていた。

 

 

「君の両親は、残念ながら死んでしまった。一番被害が大きいメイン会場にいたからね。仕方がないことだ。あぁ、赤髪の弟君は軽傷だよ。君が庇うようにーー…」

 

 

そうして伝えられた内容は俺の頭を鈍器で殴るようなものだった。

なんで、まさか、と思う中で笑顔のまま残念だと言ってきたおっさんにも不信感が募る。

 

 

 

 

「…そう、なんですか。すみません、少しひとりにして頂いてもよろしいですか?病み上がりで疲れてしまったようで。」

 

「そうなのかい?では今日は帰るとしよう。また明日来るよ。」

 

なんとか振り絞った声で、当たり障りない言葉を選ぶ。おっさんがボディガードを連れて退出するのを見送ってからベッドに倒れ込んだ。

 

 

 

 

ーーー信じられない。いや、信じたくない。

何かの手違いでした!とか、そういうのは無いだろうか。

 

ひとまず、ひー君が無事なのは良かった。最後気を失ったからどうなったのか不安だったのだ、傷も少なく済んだのなら、回復も早いだろう。

 

 

 

……父さんと母さんが死んだ。もう会えないということだ。一緒にお出かけしたくても出来ない。伝えたい事も伝わらない?あぁ、気持ちの整理がつかない。なんなら、未だに何かの間違いじゃないかと疑ってすらいる。

 

 

こういう時は、寝るに限る。

 

1度考えるのをやめて掛け布団を頭まで被った。

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※

 

 

チュンチュンとベタな鳴き声に起こされる。

 

この世界にも雀がいるのかなんて考える余裕も出てきたらしい。

 

最初に目覚めてから1週間たった。身体に巻かれていた包帯の数も減って、順調に回復しているようだった。

 

あの胡散臭いおっさんは、宣言通り目覚めた次の日にまたやって来た。そこで言われた事が胡散臭すぎてこんな呼び方をしているのだが、その内容も後で整理し直そうか。

 

 

1週間。俺はほとんどボーッとしながら窓の外を見ていた。正に病人って感じだ。

 

そこで色々考えた。自分の不甲斐なさとか、もっと上手く動けたんじゃないかとか、船の点検くらいしっかりしろよとか、犯人がいるならタコ殴りにしてやるとか、自分の行動を振り返っては落ち込み、八つ当たりみたいなことも考えた。

 

実際、この飛行船の爆発は事故として広まっている。お金持ちがたくさん参加していたパーティーだったため、電報局の新聞にもデカデカと記事が載っていた。

 

世間では、飛行船の不備による不幸な事故。失われた命も多く、出来事を知っている人も多いだろう。

 

だが、会場に居た身としては納得出来ない。

エンジンルームとか操縦室など、機械がたくさんある場所なら爆発するものもあるだろう。

しかし、実際に爆発したのは広いホールと廊下だ、何をどうしたら爆発するのだ。何か仕掛けられていたとしか思えない。

それに、事件当時会場の関係者と出会わなかったのも気になる。普通、爆発なんて起きたら避難指示を出すためにも現場へ行くだろう。そもそも、メイン会場の警備員は何処に行ったんだ。あらかじめ逃げておいたんじゃないかと考えてしまう。

 

考えが悪い方へ傾いているのは分かっているが、これでも客観的なものだけだ。多分。

主観を入れるなら、この事故()を起こしてしまったツバメの会が非難されてないのも気に入らない。普通、開催側が不備を見落としやらかしたらバッシングのひとつやふたつあるものだろう。今回は死人も出ているのだ。

 

 

 

父さんと母さんのことも。まだ地に足が着かないような感覚もあるが、受け入れることは出来た。

 

昨日、教会の墓地に会いに行ったのだ。

5日目にナントカススのおっさんが葬式を開いたらしい。身内の集まりでひっそりと。

俺はその時知らされておらず、次の日に花だけ置きに行った。

 

2つ並んだ墓石には母さんと父さんの名前が彫られていて、そこで初めてもう会えない事を理解した。

 

それから帰ってきて今日。1度家に行って遺品の整理をするそうだ。といっても、ほとんど処分してしまうらしく、必要なものだけでも事前に取りに行きたいとおっさんに伝えて連れてって貰うことになった。

 

 

「やぁ、準備はできているかい?……大丈夫そうだね行こうか。」

 

「はい。」

 

ニッコリと笑いながら、ベッドから降りる。

気分は電話対応の人だ、おっさんの話に合わせて円滑な会話を心がける。……ま、会社で受話器を取ることなんてなかったけど。

 

 

「私も忙しくてね、外に一人立たせておくから私が戻るまでに…そうだね1時間程度で荷物はまとめておいてくれ。」

 

「はい。今日は僕の為にお時間頂きありがとうございます。」

 

なに猫被ってるんだって?しょうがねえじゃん。

俺、敬語ならまだ喋れるだよ。心の距離はどんどん開いていくがな!

 

「なに、構わないよ。新しい所へ行くのにそんなモノ要らないとは思うけどね。」

 

「……いえ。」

 

黒いリムジンみたいな車に乗り、大通りを通っていく。懐かしの我が家に着いたと思ったら、おっさんを載せたリムジンは直ぐに出発していった。

 

俺ともう1人、外に立ってる要員のお兄さんが取り残され、気まずくなった俺はそそくさと家の中へ入る。

 

1週間経った室内はうっすらと埃が積もっていて、誰もここに居ないことが分かってしまう。

 

俺は、とりあえず絵本や小説を大きめのカバンに詰め、今まで貰った誕生日プレゼントも集めて仕舞い込む。

 

淡々と作業をこなしていると、ふと両親の形見になりそうなものがないか、2人の部屋が気になった。

 

ちらりと横目で時計を見る。

まだ40分はある。時間が大丈夫なことを確認してから両親の部屋へ向かう、短い廊下をトボトボ歩いていくと扉の向こうに2人の気配を感じた。

 

ーーー!!

 

驚いて勢いよく扉を開けるが、そこに人影はなく閑散とした部屋が広がっていた。

少し悲しい気持ちが大きくなった。やっぱりもう会えないんだ。

 

ベッドは綺麗に整えられていて、クローゼットにドレッサー、母の机も変わらずそこにあった。

ベッドに近づくと思い出すのはひー君が産まれた時のことだ。弟に馴れない俺を、ゆっくり見守ってくれていた。

 

ずっと笑顔で俺のことを見守ってくれていたんだ。

 

ズビッと、鼻をすする。感傷に浸っているのか、この部屋が埃っぽいからなのか。

 

母の机の方に近づくと、隅に積まれた手紙が目に入る。……これは、ここ最近母へ送られてきていた怪しい手紙だ。

 

実はこの手紙、あの胡散臭いおっさんが送ってきていたものなのだ。なんで知ってるのかって?

2日目に俺の所へ来た時、例のごとくペラペラ喋ってきたんだが、その中に母へ手紙を送っていたことも含まれていた。時期的にもこのおっさんが送り主だろう。

 

勝手に読むのはしのびないが、おっさんが言っていた事が本当なのかも知りたい。

 

ごめん母さん、読むね。

幾つかある中から消印が古い封筒を取り、ガサゴソと数枚の手紙を取り出した。

 

最初の挨拶なんかは飛ばして大事そうな部分に目を通す。

 

 

『……元気にしているかね?お前が家を出てから10年以上は経っただろう。あの男と今でも一緒にいるようだな。

 まぁ、それはもういい。今回わざわざ手紙を書いたのは、お前の子供のことだ。

 我が家は今、後継者がいない。残念なことに私の妻が子宝に恵まれなくてな、長いこと待っていたが医師にも難しいと言われてしまった。全く贅沢をさせてやっているんだ、己の役目ぐらい果たして欲しいものだ。

 そこで、お前の子供を私の後継者として育ててやろうと思ってな。確か、黒髪の奴がいただろう。ラケルスス家の血を濃く継いでいるそうではないか、これならば体面も保てる。お前も生家に恩を返せる又とない機会だ、迎えをやってもいい。……』

 

そこで俺は1度紙面から顔を上げる。

なるほど、なるほど。

 

確かにおっさんの言っていたことは間違い無いようだ。

“君には、名門ラケルスス家の血が流れている。とても名誉なことだよ。君のお母さん、あれは私の姉でね。その子供である君を是非うちで引き取ろうと思っているんだ。”

 

めっちゃ胡散臭かった。おっさんの妄想じゃないかとも思ったが、母がいい所の出であるのは納得がいくことだ。

 

母の所作はいつも綺麗だった。それにい小さい頃習い事を沢山やってたの?ってくらいには色々な事ができた。

俺が道場に通うことになった時も、それっぽいこと言ってたし。パーティーの馴れた感じも……、あのおっさんは信用ならんが、母のことを考えれば頷けなくもない。

 

それにしても酷い手紙だ、書き方が下手なのもあるが何より内容が無理。なんだこの手紙、やっぱり燃やした方が良かったのでは?

こんなの届いたらそりゃ母も嫌な顔するわ。

 

残りもパラパラと読んでいく。

大まかな内容はどれも同じだ。

 

『……名誉なことだお前の子が後継者に選ばれたんだぞ。……何を渋っている、子が惜しいのか?もう1人いるだろう。……なぜ喜ばない?……分かった、子供の代わりに金をやろう、生活が苦しいなら言えばいい。……』

 

クソか?いや、口が悪くなってしまった。

おっさんの相手のことを考えないで押し付けてくるスタンスが凄いのだが、お前はガキ大将か?

 

そうして最後の封筒を開けて中身を見る。

だいたい同じ内容で来てたのでハイハイと流しながら読もうとして、俺は固まった。

 

『……わかった。お前は子を手離したくないようだ。私も悪人ではないさ、無理に寄越せとは言わない。今まで不快な思いをさせてしまったな。詫びにお前が好きそうな団体のパーティーチケットを入れておいた。家族皆で行くといい。』

 

うっっっわ。胡散臭い、ゲロ以下の匂いがプンプンするぜ。

 

母はこれを信じたのだろうか、それとも行かなきゃ行けない理由でもあったのだろうか。

母の好きそうな団体……ツバメの会のことか。確かに慈善団体だしその活動内容も好意的なものだ。

 

事故があった後だからこそ、俺はツバメの会も疑っているが、行く前なら何とも思わなかっただろう。

手紙の内容は胡散臭いが、パーティー自体は白そう。そんなところか。

 

 

とりあえず、気になることは確認し終えた。

この手紙を見る限り、この事故の黒幕があのおっさんでも全く驚かないが、証拠がある訳でもない。決めつけは良くないだろう。黒よりのグレーだ。

 

 

俺としてはこんな胸糞悪い手紙を持っていきたくないのだが、後々証拠になるかもしれないし、鞄の下の方に詰め込んでおいた。

 

 

 

 

そして、小さく深呼吸してから机の引き出しを開ける。ここからが本命だ。

何か、ペンダントとか持っていきやすそうな物をひとつ持っていきたい。あっ、写真はもう入れといたよ、持っていくに決まってるじゃないか。

 

それから、中にあった小箱をあける。するとその中には品のいい封筒が二通入っていた。

裏を見ると、それぞれ俺とひー君宛になっている。

 

……今日は、手紙をよく読む日だな。いや、あんなのと母からの手紙を同列にしたくないな。

 

わーい!今日初めて読む手紙だぁ!

 

 

心のなかでふざけているが、自分でも手が震えているのが分かる。何が書かれているんだろう……。

 

丁寧に蝋を剥がし、2つに折られた便箋を取り出した。

 

『ジールちゃんへ

 

 これを読んでいるということは、きっと私はあなたの隣には居ないのでしょう。寂しい思いをさせてごめんなさい。

 

 私は裕福な家の子供だったわ、けどあなたのお父さんに出会って、この人とずっと一緒に居たいと思ったから家出してきたの。

 それからは、二人で生きてきたのだけれど、ちょっと危ないこともあったわ。もし私がジールちゃんに会えなくなるような事があった時のために、伝えたいことをちゃんと言えるように手紙を書いたのよ。……』

 

 

ははっ、母は意外とおちゃめらしい。それは家出じゃなくて駆け落ちって言うんだぞ。

ちょっと危ない目は、絶対ちょっとじゃないだろう。身代金目当ての誘拐とかにも会ってそうだ。

 

……うん、母さんが居ないと寂しいよ。

 

 

『 私は、言葉を選ぶのが上手くないから彼と一緒に考えたの。しっかりあなたに伝わると嬉しいわ。

 

 ジールちゃん、あなたに会えて嬉しかったわ。いつもお利口さんでヒソカちゃんの面倒を見てくれてありがとう。

 お喋りは苦手なようだけど、そんな所も素敵よ。それに、待ってたらしっかり言葉をくれるでしょう?

 本を読むのが好きなジールちゃんは、これからも読み続けるのかしら?気をつけないとご飯を食べ忘れるときもあるんだから、程々にしなさい。

 将来の夢は、ずっと変わっていないわね。冒険する時は怪我に気をつけるのよ、応援してるわ。…』

 

ふふっ、長いなぁ。まだ便箋が4枚もあるぞ。

たくさん褒められて、感謝されて、大好きだって伝わってくるよ母さん、父さん。

じっくり、噛み締めるように文字をなぞる。

 

『 …あなたの人生が素晴らしいものでありますように。

 後悔しないように生きなさい。愛しているわ。』

 

最後には、両親の名前と日付けが書かれている。

それは、今年の俺の誕生日で……。もしかして、毎年書いてくれてたんだろうか。

 

 

涙は出なかった。

悲しい気持ちよりも、嬉しさの方が大きい。

 

いつかは来る別れだった。ただ、思っていたより随分早いものになった。

 

しかし、最後に母さん達と話せた気がした。たくさん言葉を貰えたから。

 

悔やむべきは、この手紙の返事が出来ない事だろう。

 

ーーありがとう。手紙とっても嬉しかったよ。

 

母さんと父さんは、天国で幸せに暮らしているだろうか。それとも、俺みたいに転生してるのだろうか。

どちらでも、二人が幸せならそれでいい。

 

 

ここ数日、地に足が着かないような感覚だった。

それが、手紙を読んで最後に両親に会えたと思ったからか、しっかり立って前を見れるようになった。

 

 

心機一転、手紙を小箱に仕舞い直していると、家の前に黒い車が止まった。どうやらお迎えが来たようだ。

 

それなりの大荷物になった鞄を背負い込んで玄関まで行くと、立っていたお兄さんが鞄を持ち上げてくれた。見上げると無表情にそのままトランクに積み始める。

 

「あっ、ありがとうございます。」

 

お礼を言うと、手を止めこちらに一礼しまたトランクをゴソゴソしている。

やべっ、手止めさせてしまった。もう少しお礼を言うタイミングを考えればよかった。

 

ウィーンと、助手席の窓が開いたかと思ったらおっさんが中からこちらを見ていた。

 

「やあ、荷物はまとめ終わったかい?そしたら、車に乗り込りこんでしまいなさい。」

 

言い終わって顔を引っ込めたかと思ったら、トランクに積み終わったお兄さんがドアーを開けてくれた。

 

「ありがとうございます。」

 

乗り込む時に、お礼を言う。

今回!今回はタイミングもバッチリでしょ!

お兄さんは一礼して反対の扉へ回っていった。よしよし。

 

偶におっさんが話しかけてくるのに相槌を打ちながら、病院へ戻る。

話の内容?返事をどうするか考えるのに忙しくて最初の方なんか全然覚えてないや。

 

あと2日入院することになっているので、大人しくベッドに潜り込む。おっさんとは病院に着いた時に別れた。

明日は来るらしいが、出来れば会いたくない。でも、野放しにして動向が分からなくなるのも嫌なので、わがままも言ってられないな。

 

どうやら明日は、俺をナントカススの家に迎えるための書類を持ってくるらしい。いや、行くって言ってないんだが……。

 

おっさんの中では決定事項なの?そうなの?

 

 

 

 

それにしても、ひー君に会ってない。

もう1週間だぞ!?ひー君欠乏症で死んでしまいそうだ!……嘘です。そこまででは無い。

 

けど、全然会えてないので怪我の具合とか気になるよ。

 

ひー君、お兄ちゃんに会えなくて泣いてたりして!なんちゃって!

……それは無いか。

 

うっ、自分で言っててダメージ受けた。

 

 

 

 

 

あーぁ、ひー君に会いたいでござる。




次回で、今度こそ幼少期編が終わります。

事故の答えは長編の終盤までしばらく出ませんが、次回はジールなりの事故の答えと、子供二人の今後についてのお話です。

ここまで読んで頂きありがとうございます。
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