もしBanG Dream!のヒロインと付き合っていたら… 作:エノキノコ
雲ひとつない空で唯一浮かぶ太陽は、直視するのが不可能なほど
夏真っただ中の
周囲が暑さに
そして、
「さ~、君の後ろにいるのはだれでしょ~か♪」
その問いに頭に浮かんでいた人物の名前を即時に答えてやると、眩い光が瞼越しに押し寄せてくる。
またもや急な出来事に軽く
「お~、流石、大正解☆」
細く開いていた目を徐々に
「う~ん、そりゃそうかもしれないけどさ~…もうちょっと違う言い方がよかったな」
違う言い方とはいったい、そう訊ねたこちらに、彼女はいたずらな笑みを浮かべる。
「オレのリサの声を間違えるわけないだろ、とかだったらドキドキしちゃったかもな~」
作った低い声で挙げられた例を、熱に
そんなキザなセリフを口にできるのは、よほどな天然かイケメンくらいだろう。少なくとも、容姿も能力も平凡な自分にはどちらにも当てはまらない。
「はははっ!そんな顔しなくても、キミがそういう性格じゃないことくらい知ってるから。ただ、ちょっと言ってみただけ」
自分の考えは全て筒抜けかのように、彼女はすぐさま先の発言を取り下げたが、
不確かな直感でしかないそれが本当なのか確かめるべく、彼女の笑顔を
「すごい汗かいてるし、水分
差し出された水筒をお礼を言ってから受け取り、一気に
遅いとわかっていても謝罪しようとしたこちらに、なぜかリサはにこにこと笑みを浮かべて視線を送っていた。
「美味しかった?」
こんな
「じゃあもうあんまり残ってないと思うけど、それいる?」
その提案に、こちらは瞬時にかぶりを振った。半分飲んでおいてなにをいまさらと思うが、さすがにこれ以上、彼女の
しかし彼女は、こちらよりもさらに大きく首を振り、
「平気平気!駅のホームに自販機あるから、そこでいいなにか買えばいいだけだし」
・・・確かに、今返しても水筒の中には大した量が残っているわけでもないし、結局どこかで飲み物を購入しなくてはならない状況に陥るはずだ。彼女もこう言っているし、早いうちに新しいものを用意したほうが、
ならばせめてその飲み物代はこちらが出そうと決め、改めてお礼を言うと、彼女は優しく
「どういたしまして。さっ、そろそろ行こっか」
くるりと回り、早い
あまりの面影のなさに違和感を様々と感じてしまうが、見間違いだったのならそれに越したことはないだろうと自身の納得させてから、少し離れた場所でこちらを急かす彼女のもとへと走った。
それから、出発時間ぎりぎりで滑り込めた電車の中で、隣に座るリサは最近のバンド活動のことなり作ったお菓子のことを楽しそうに話していた。
特に彼女の幼馴染である湊さんのことについては相変わらず細かい仕草まで詳しく話すので、よく見てるんだなぁという、いつも心の中で抱いている感想が、今日はうっかり口から零れる。
耳に入ったこちらのぼやきに彼女は
「まあ友希那とは付き合い長いからね~。でも」
そこで彼女はいったん言葉を区切り、遅れて腰を上げたこちらと腕を
「今は友希那と同じくらい、キミのことも見てるよ☆」
いきなりの不意打ちに
どう返答すべきか困って硬直してしまったこちらを開いたドアの先に連行した彼女は、外へ踏み出した途端、あまりの温度差に眉を
そのまま改札を抜け、続く道の先に広がっていたのは、終わりを知らない深い青だった。
「じゃあアタシ着替えてくるね。待ち合わせ場所は…あそこの海の家でいい?」
彼女の提案に遠くなっていた意識が呼び戻され、ぎこちない
束ねた
すっきりとしたライチの味も、少し痛いくらいの冷たさもさっきとまるで変わらないのに、身体に
あまり混雑していなかった更衣室で、丈の長めのサーフパンツとパーカーに着替えて訪れた海の家は、ちょうどお昼時だということもあり、更衣室とは真逆の賑わいを誇っていた。
栗色の髪を持つ少女の姿を探すが、外から覗ったばかりでは店内はもちろん、かなりの全長がある
おそらくここで昼食を取るのだろうから、彼女が来る前に列に並んで席を確保しておこうか考えたが、それまでテーブルひとつを占領するのは、この
そう結論付け、邪魔にならないような場所で昼食になにをを食べようか考えようと辺りを見渡した際、1人の少女が視界に映った。
赤みの強い
多くの人に
しかし、彼女がこちらの方向へ足を踏み出そうとした時、突然現れた男がリサの目の前に立ちふさがった。筋肉質の両手で彼女の手をしっかりホールドしている状況に、どう動けばいいか無駄に考えてしまい、足が砂に埋まっているかのように動かない。どう動くべきかなど、考えずとも決まっているのに、自己保身の思考がいつまで経っても足を
胸に込み上げてきた、あまりにも情けない自分への
困った表情を浮かべた彼女を見た途端、
—人の彼女に手出しするな—
腹の底から
あっさり過ぎる反応に
重苦しい陽光のせいではない汗が背に流れるのを感じながら、
・・・これはあとから聞いた話なのだが、この男性は待ち合わせ場所に指定した海の家、[see cafe]の店長で、リサは以前see cafeのヘルプに入ったことがあるらしい。
今日はただでさえ忙しい期間中に病欠の人が出たせいで人手が足りず、てんやわんやしていた時に、以前凄まじい仕事ぶりを見せたリサを見かけたので、
しかし、その背景を知っていようが知らまいが、自分が盛大な勘違いをしたということに気づくのには少しのタイムラグがあるのみで、時差に思考が追いついた瞬間、間違いなく人生で一番の
日中多くの人々を苦しめた熱源は空から姿を消し、代わりを務めている満月は
さざ波の音色だけが
あれから、2人で楽しんでという店長さんを無理やり丸め込み、海の家の手助けをした。
元々店長さんは本気で困って頼んできているので、彼を説得させることはそこまで難しくないと見込んでいたが、リサまでこちらの意見に同調してくれたのは嬉しい誤算もあり、想像以上に早く話を進めることができた。
依頼主の店長さんが一番納得していないという奇妙な終着点だったが、あの雰囲気ではリサと恋人らしく過ごすどころか、目を合わせることすらできる気がしなかったので、彼女と関わるには少し時間が欲しかった。
そういう意味では彼女がキッチン担当で、こちらが裏方の力仕事だったのは助かったのだが、今度は逆にどう話しかければいいかわからず、夕食をふるまってくれると
いつの間にか
声のしたほうへ顔を持ち上げると、そこには今一番顔を合わせづらく、一番言葉を
「もう料理できたって。一緒に戻ろ」
彼女の言葉に対してはなにも返さず、なんでここに自分がいるのがわかったのか
この場は海の家からそれなりに距離があるので、話題逸らしの意図がなくとも
「う~ん…キミの彼女だから、かな」
その発言にしっかり頬が発熱するのを感じながら、視線を彼女からできる限り遠ざけると、僅かな笑い声のあとに、くすぐったいほど優しい声が
「お昼の時は、助けてくれようとしてありがとね。カッコよかったよ」
にこりと笑っているだろう彼女のお礼を、
だから、喉を
だが、彼女は最後まで聞き終えたあとも、
そっと手を伸ばし、こちらの頭を自身の胸に預けさせた彼女は、
「・・・それでも、アタシは知ってるよ。キミが困ってる人のために動ける人だって。周りの人が、キミがどれだけ自分を
彼女の言葉は、心にじんわりと
彼女の評価は
でも、今日は、今だけは、弱い自分を受け止めてほしい。
温かさ伝わる胸の中で小刻みに震え、短い
波が静かに寄り添いあう音が、辺りにゆっくりと流れていた。
こんにちはエノキノコです。まずはこの小説を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
またもや大きく期間が空いてしまいましたが、とりあえず1話の後書きで掲げた《Roselia全員を書く》という目標をようやく達成できました。これもこの作品に目を通してくださる読者のみなさんのおかげです!ありがとうございます!
次は各バンド1人ずつ書くことを目標にしようと思っていますが(そうは言っても、あと書いていないバンドは3バンドのみですが)、実はPoppin‘Party以外のバンドは、誰を書くかなんとなく決まってたりします。次の投稿までにポピパのキャラでリクエストがなかった場合、アンケートをやってみたいと考えていますので、その時はご協力してもらえると幸いです。
次回は近々誕生日で、リクエストもあった花音ちゃんがヒロインの話になる予定ですが、千聖さんや蘭ちゃんのように、誕生日に上げられる確率はかなり低いです…。作者も可能な限り頑張りますので、気長に待ってもらえると助かります…!
最後に、お気に入り登録をしてくださったみなさん(おかげさまで200人を突破することができました!)、星4をつけてくださった桜咲く季節♪さん、(もっといい作品を書けるよう頑張ります…!)、リサ姉のリクエストをくださった栗おこわさん(少しでも楽しんでもらえたなら嬉しいです)、そして後書きを最後まで読んでくださったみなさん、本当にありがとうございました!!