お客様!困ります!あーっ!トリガーはいけません! 作:クロアブースト
本作の主人公である白亜はチートで強いし、喰われてるとはいえ肉食系ボーダー女子達に凄いモテる(本人の意思はガン無視)。
けど強過ぎるからといって一番幸せな未来を掴めるわけではないというのがコンセプト。
迅以上に優秀過ぎて闇を抱え込んでたりしてるのが今回の話で出てきます。
今回はシリアスなので彼が肉食系女子に喰われるのが見たいならスルーしてもOK。こんなシリアスの過去味わったのに今では一日一回喰われるノルマがあるのでまあ幸せでしょう(目そらし)
喰われる幸せの為には割と地獄を乗り越えなきゃいけないと乗り越えさせる設定なので(震え)
感想がモチベーションなのでどんどん書いてくれると幸いです。
シリアスなので注意。
かつて旧ボーダーの頃。白亜は初恋の人に振り向かせる為にという理由で入隊して、理由に呆れていたメンバーを実力で認めさせた。
理由が愛の戦士(笑)というしょうもない割には誰よりも実績を出してたし、かつてのアリステラの王子亡命の殿では強過ぎて敵対国を潰走させるとかいう奇跡すら引き起こした。
迅からは今生の別れ的なやり取りしたのに何で生きてるの……
と死ぬ未来の確率が高いにも関わらず無傷で生存して呆れさせた位である。
だが彼の人生は順風満帆では無かった。『平行世界』という漫画作品では無双出来る程のチートを持ってしても救えなかったものがある。
別に近界民に市民が殺されようが落ち込む彼ではない。寧ろ仇は絶対に取るぜ!とやる気を出すくらいには市民の命には当時の白亜は無頓着だったまである。仲間と市民なら躊躇わず仲間を取る位には割り切っていた白亜だ。
そんな彼だが今のボーダー設立までに彼は二つの絶望を経験していた。
その一つが師匠を失ったこと。近界とは何も関係のない不治の病による病死であり、当時の旧ボーダーとしては悲しい出来事の一つでしかなかった。
しかし白亜にとっては違った。迅が『白亜が自殺する未来』を見る程に彼への絶望は大きかったのだ。
もし仮に引き籠もり塞ぎ込んでた白亜に小南が慰めに向かわなければ自殺していた程である。
白亜の絶望のその1
師匠の死は自分のやるべき努力を怠ったが故の見殺しだった。
ああ、神様!お願いします!師匠を……師匠を助けてください……
医者は不治の病なんて診断してたけど不治の病なんかじゃなかった……
パラレルワールドにはあらゆる世界が存在する。この世界線ではまだ見ぬ治療法であっても、中には偶然から生まれて数々の実証実験の成功から確立された治療法だって存在する。
当時100を超えるパラレルワールドに存在する自分と情報を共有して探し回り何とか見つける事が出来た。
そして彼は医者にその治療法をまとめた紙を持っていって頭を下げてお願いした。けどその医者は取り合わなかった。
所詮は子供の机上の空論でしかなく、本当に成功するかも分からない治療法など試す選択肢は医者には無かった。
白亜は手術なんて出来なかったから病院へ直接行って医者に縋って何度もお願いした。
しかし何度お願いしようが受け入れられることはない。
その医者が駄目ならとその治療法を実行出来そうな他の外科医にひたすら頭を下げたし、後が無いからと土下座までした。
しかし全員が断るばかりか傲慢だった医者の一人は土下座する少年だった白亜を無視するばかりか、その紙を踏み付けたのである。彼が頼んだ医者達は未知の技術など見る気すら無いのだと白亜は痛感させられた。
嫌だ嫌だ……
弱らないで……苦しまないで……
俺を置いていかないで……
誰よりも強い彼は誰よりも大切な人の損失を恐れていた。恐れていたから助ける為の行動は最後までやめなかった。分かっていたのだ。立ち止まったらきっと自分は師匠が死ぬまで立ち上がれなくなるからと……
そうして師匠を助ける為に寝食削ってまでずっと動いていた白亜に待っていたのは……
師匠の死に際に立ち会うことだけだった……
甘かった。幾ら画期的な治療法とはいえ、提供者は幼い子供。平行世界では有力な治療法でも子供が書いたものでは机上の空論だと切り捨てられた。
知識も方法もあった。唯一手段だけが無力な子供だったせいで実行に移せず、本来なら救えるはずの師匠を死なせることになってしまった。
死亡後に一時期引きこもってしまった程である。まあ僅か1日したら元気よく飛び出して来たから鋼のメンタル術師とか言われているのだが……
死に際のやり取りは今でも覚えている。
「私の唯一の心残りは君だ」
ベッドに横たわる余命宣告を受けた師匠が自分に話す。
「君はきっと誰にも負けない位強い。近界でも君に勝てる者は黒トリガー使いだろうと殆どいないし、君は成長期だから遠くない内に国すら一人で相手に出来るだろう。けれど強過ぎるが故に人は寄り添えない。君の脆さを感じ取れないからだ」
「……」
「だから私の死を悲しむなと言っても思い詰めるのが君だ。それは良い。悲しむのも必要だ」
「師匠……お願い……死なないで……」
白亜は懇願する。もう既にパラレルワールドで得た治療法が役立たない程に病は侵攻していたのである。情けないと思いながらも白亜は懇願することしか出来なかった。
「すまない……君を残して先に死んでしまうことを……私を許さなくても構わない。寧ろ憎んでくれたほうが良いまである」
「そんな……師匠を憎むなんて……できないよ……」
「そうだね……君は優しいから……仲間を憎んだりは……しないだろう。だからお願いがある」
「なぁに……師匠……」
師匠は白亜の頬に手を触れて言う。
「君を支えてくれる人を拒まないでくれ……きっとそうすれば……一人で抱え込まなきゃいけない闇もきっと……支えてくれる人達が現れるはずだから……」
そして師匠は最後まで弟子であった白亜を案じて息を引き取る。
「ああ……あああああ……」
師匠が死んだ事実が彼を苦しめる。
心の中で彼は言葉が駆け巡る……
努力はしたんだ。自分一人じゃ助けられないから大人や医者にも頼った。
本当に?
その言葉が頭をよぎる……
情報をパラレルワールドを探し回って見つけたし、医者にも何度も頼み込んだ。
本当に?
自分一人じゃ良い方法が分からなかったから周りの大人達に相談して救う方法を探したんだ。
本当に?
幾度と言葉を重ねても疑問の言葉が胸から消えない。そして人なき声は白亜に尋ねる。
医者を脅せばやったかもしれない……
違う……
無免許の闇医者に金を積めばやってくれたかもしれない
違う……
自分が手術をすれば助けられたかもしれない
違う!違う!
違わない!
!?
手段を選ばなければ助ける方法は幾らでもあった!ただ綺麗事を言い訳にしてその手段だけは選ばなかったんだ!頭を下げて土下座した?
何度も医者に縋って頼み込んだ?
親を見てみろ、我が身を顧みたりせずに救った人達は数多くいる!例え命を落とすことになったとしても彼等はやり遂げたんだ!
それに比べてお前は何だ!
確かにお前は動いた。
だが……中途半端だった!本当に救いたいなら自分が犯罪者の汚名を被ったって行動しただろう!でもお前はそうしなかった……
ああ……
自分の身を守る為に正規の方法ばかり選んだ結果がこれだ!邪道を……犯罪を犯してでも動けば師匠は救えたかもしれない!仮に救えなくてもここまで無力感に味わうことは無かった。
ああ……
他人に縋ったという言い訳をしてまでお前は努力を怠った。やるべき努力すら怠って師匠を見殺しにしたんだ!
あああああああああああ!
誰に言われたわけでも無い。責め立てる声は彼の妄想でしかない。でも彼は賢かった。その事実を無視できなかったのだ。
そして彼はほんの一瞬だけだが、一日で立ち直る鋼のメンタルすら持つ彼はその日一日だけだが壊れてしまった……
小南桐絵は引き篭もった白亜の部屋に向かう。動かなければならなかった。大人達は悲しみを受け入れる時間が必要だからそっとしておこうと言ったが彼女は直感していた。ここで動かなければ、白亜は自殺すると小南は幼いながらに直感していたのだ。
(あいつは仲間が死んだからって塞ぎこむ奴じゃない!)
小南は分かっていた。
(ちゃんと人目も憚らず泣いて、その上でその悲しみを糧に頑張ろうと奮起する奴なのよ!それがあんな弱々しそうな目をしてたんだから普通じゃない!)
小南が白亜の師匠が臨終したと駆け付けた時に見たのは医者と事切れた白亜の師匠、そして……
目が虚ろになって無気力になっていた白亜だった。今まで白亜は一度たりとも現実逃避なんてしない位に前向きだった彼の弱々しい姿だけが小南には印象に残っていた。旧ボーダーの仲間が死んで悲しむよりも自身がライバル認定した相手の豹変した姿が今動かなきゃ手遅れになると小南を突き動かす。
誰もが目を逸らしていた事実に小南だけが分かっていたのだ。白亜は所属した切欠こそ呆れる内容だったが誰よりも努力家で前向きだった。失敗なんて恐れずにひたすら挑戦しては分析して次はもっと良くしようと突き進む人間だったのだ。
仮に師匠が白亜の手の届かない場所で死んだなら、例えば戦死だったり、白亜が近くにいない中での病死だったのならば彼は涙を流して泣いただろうが引き篭もったりなんか絶対しなかったのだ。
(それでも白亜が引き籠もるなんて、絶対に普通じゃない!)
今の白亜に必要なのは一人にすることじゃなくて側にいてあげること。それを誰よりも感だけで理解していたのである。
「開けなさい!白亜!話があるわ!」
扉をドンドンと叩きながら小南は言うが、返事はない。そして扉のドアノブを引っ張ると鍵が掛かっておらず容易に開いた。
そして電気も付けずに暗闇の中で布団に包まって虚空を見つめる白亜がそこにいた。
「小南……?」
弱々しい瞳で白亜は来客した小南を見つめて呟く。
「何してんのよ……」
「悪い……今は一人に……」
「出来るわけないじゃない!」
「!?」
「だってアンタ今にも助けを求めてる顔をしてるもの!」
小南は直感を正しいと確信した。白亜は今悩みを抱えており他人を頼らずに考えをまとめようとしていた。そしてネガティブ思考になってた白亜は自分が存在してはいけないのではないかと頭に浮かぶ直前だったのだ。
「俺が助けを求めてる……?」
「そうよ!アンタは答えが欲しいんでしょ!」
「そうだ……凄いな小南……」
「当然じゃない!」
胸を張る小南。しかし当時の彼女の胸はA級なので実力不足だったりするのだが白亜にとっては自信満々に言う小南は輝いて見えた。だから尋ねてしまった……
「質問に答えて欲しいんだ……」
「良いわよ答えてあげるわ」
「俺は師匠を助ける為に努力していた……」
「そうね。あの中でアンタだけが師匠が死ぬのを恐れて抗ってたわ」
誰もが不治の病だからと諦める中で白亜だけがずっと助ける為に行動していた。その姿に小南は凄いなぁと幼いながらに思った程である。
「でも師匠が死んで気付いたんだ……」
「何よ?」
「法律なんて守らなければ救う方法なんてもっとあったのにって……」
「……」
言葉を失う小南。まさかそこまで白亜が考えていたとは思ってなかったのだ。そこまで追い詰められた白亜の闇は深かったのだ。
「医者を脅しても良かったし、闇医者に金を摘んで頼んでも良かった、最悪自分で手術する方法もあった……成功するかどうかの話じゃないんだ……」
「……」
「やるべき努力を怠って師匠を見殺しにした事実が否定できないんだ……」
「……」
「こんな俺が生きてて良いのかなぁ……」
「……!」
バチン!
小南は白亜に近付いて頬を叩いた。
「ふざけるんじゃないわよ!」
小南は怒る。その言葉は絶対に否定しなくちゃいけないからだ。
「アンタが手を汚してまで救わなきゃいけなかったなんて誰にも言わせない!」
「……」
「何をしても良いなんて絶対にありえない!そんなのアンタの師匠だって望んでない!」
「……」
正論だ。でもそれは白亜には響かない。法を犯そうとまで考える人間に正論なんて邪魔でしかないからだ。
「例えそんなことしたってアンタが救われないじゃない……」
小南はボロボロと涙を流す。白亜は目を見開く、言葉が通り抜けていた中で今の言葉は小南の気持ちが籠もっていたからだ。
「アンタが師匠を大切にしてるように私だってアンタが大切なの……だからそんなこと言わないでよ……」
それは懇願でもあった。そんなに傷付かないでと上手く言葉に出来ないなりに小南はその気持ちを白亜へぶつけたのだ。
白亜は小南に尋ねる。
「俺は生きてて良いの?」
「うん……」
「師匠を見殺しにした俺なんかを大切だと言ってくれるの?」
「見殺しになんてしてないし、なんかなんて言うな……馬鹿……」
「ルールを守ろうとする臆病者だよ?」
「臆病者なんかじゃない……それは超えちゃいけない一線……アンタを大切に思う私が大切に思う為に必要なの……」
自分が大切に思うから……だからその一線を越えないでと小南は告げる。ただルールは大事だからと言われるよりも胸に響いた。
「小南……」
「何よ……」
「ありがとう……」
白亜は涙を流しながら笑顔で答えた。
そして一つ目の絶望と二つ目の絶望を乗り越えた白亜はボーダーを大きくすることに人生を注いだ。彼にとってボーダーとは一つの城だ。ネイバーから守る為の城。
城には兵がいる。だから彼は自身のサイドエフェクト『平行世界』を駆使して人材を集めた。
パラレルワールドではボーダーに所属していても、運や何らかの要因によっては恵まれず、ボーダーに所属しないかもしれない。
だから彼は見込みさえあれば、持てる限りの方法で人材を集めた。
貧乏ならば資金援助を、事件に巻き込まれて命を落とすならトリガーを使ってでも自ら赴いて救えば良い。
病気や怪我なら平行世界の技術を駆使した医療技術で治せる。
世間には公表してないトリオンで重症を治す治療マシンやこの世界だと不治の病とされているものに対する特効薬を書いた医学書、医学界に所属させず彼のパラレルワールドの治療法を実現出来るようにひたすら研究する医療部門まで存在している。
現に白亜はボーダーに所属する多くの隊員や職員達を救って感謝されている。
そして彼が存在しない世界線……諸侯ワールドトリガーの原作と比べた時にボーダーの規模は3倍まで拡大していた。
彼が存在する限り、常に平行世界の技術発展の恩恵を彼を通して受けられる。その貢献度と有用性は事前に危機を察知出来る実力派エリートの迅に匹敵する程である。
そしてまだ情報は不足しているが今回は語らない。彼の根幹に関わる二度目の絶望はまだ先のお話……
大丈夫、今は白亜幸せだから……
まだ二つ目の絶望出てないけど無事に乗り越えたから(震え)
〜ここからは補足情報〜
因みに白亜は当時の医者を滅茶苦茶憎んでいます。事前に未来で不幸に遭うと知っていても助けるつもりはなかったので第一次大規模侵攻とかでくたばってたりしています。
迅さんは割と白亜の破天荒っぷりに振り回されています。
一度目の絶望後に白亜が自殺する未来が発生
迅「やべぇ、どうしよう…」
↓
小南が慰めた事で白亜が自殺する未来回避
迅「助かった……」
↓
アリステラの王子亡命での殿で白亜含めた旧ボーダーの半数が死ぬ未来
白亜「後は任せた!」
迅「ああ……必ず亡命させる(今生の別れ感)」
↓
王子亡命成功、未来が突如変わり白亜が大将頸取って敵対国潰走して生還してくる
↓
迅「えぇ…何で生きてるの?」
白亜「大将頸片手に弧月振り回してたら潰走してた」
↓
二度目の絶望が起こる第一次大規模侵攻へ。しかもまた白亜が自殺する未来発生
こんな感じで迅は白亜に振り回されています。因みに小南ちゃんはマジで白亜にとってのファインプレーを連発。白亜的には小南から抱かせろと言われたら拒めない位に滅茶苦茶恩があったりします。