お客様!困ります!あーっ!トリガーはいけません! 作:クロアブースト
ヤンデレにモテるってこういうことだと思います。
白亜は女子にモテる。黒トリガーじゃないのにも関わらず殿堂入りの形でS級昇格させられた強さに加えて誠実さが女子にモテるのだ。
普通なら男子隊員からモテるが故に嫌われそうだが、この世界線では例外なく同情されている。
何故かって?
それはボーダー女子隊員が肉食系ではなく、ヤンデレだからである。
白亜が訓練室に向かっていると正面に木虎がいた。白亜に気付いた木虎は笑顔でこちらに駆け寄ってくる。
「白亜先輩!おはようございます」
「ああ、おはよ…う!?」
スッ!ヒュン!
瞬時に頭を下げる白亜。先程まで頸があった場所にスコーピオンの刃が横薙に振るわれて空を斬る。恐ろしいのは笑顔で挨拶した木虎が表情一つ変えることなくスコーピオンを振るったことである。
「ああ……やっぱり白亜先輩は最高です!不意打ちも難なく対処してみせるなんて格好良いです!」
木虎 藍……気に入った異性には出逢い頭に不意打ちで刃物を振るう。しかも避けると恍惚とした顔で喜ぶヤンデレ系だ。そんな物騒な相手から格好良いとか言われても全然嬉しくない。
誰だよ…
木虎の好みを常在戦場にした奴は……
親密になると出会い頭に刃物を振るってくるとか絶対にヤベー女認定待ったなしである。
因みに普通なら規定違反なのだが、木虎は俺以外には絶対にやらず、俺が容易く避けるからか厳罰を受けていない。
周囲にはコミュニケーションと思われてるらしい。
以前モテるのが羨ましいとか言ってた非リア充隊員に木虎を紹介しようかと言ったらヤンデレはノーセンキューと言われたのを思い出す。
「今度一緒に買い物に付き合ってくれませんか?」
「買い物に付き合うのは構わないが、荷物持ちしてる状態でナイフ刺そうとするのは無しだからな」
「えぇーー」
「不満そうな顔するなよ……」
以前買い物に付き合ったら試してみたかったんですとか供述してナイフを突き刺そうとしてきたのである。蹴りでナイフを落としたけど冷や汗出るくらいに焦ったのは今でも覚えているのだ。
「仕方ないですね。特別ですよ……」
「ナイフで突き刺すのは普通じゃないからな……」
ため息を吐く木虎に突っ込む白亜。こいつ嫁の貰い手絶対困るだろうなぁと不謹慎に思ってた白亜だが、突如背中から殺意を感じた白亜はトリガーを起動して振り向くことなく、背後から韋駄天による高速駆動での奇襲を仕掛けて来た斬撃を弾く。その女性は双葉であった。
「背後からの韋駄天奇襲にも容易く対処出来るなんて……やっぱり白亜先輩は素晴らしいです!」
「双葉、お前もか……」
背後を振り向くとやはり恍惚の表情で白亜を見つめる双葉がいた。
黒江 双葉……山育ちだからなのか、背後からの奇襲を防げるかどうかで対応を変えるヤバいヤンデレ女である。
初めはただの実力主義だったらしいのだが、いつの間にか好みの相手には奇襲を仕掛けるようになったらしい。
そして何故か自分から倒れて地面に仰向けで大の字になる双葉。
「何をしてるんだ双葉」
「実力で劣る私が奇襲に失敗したんです!だから煮るなり焼くなり抱くなりしてください!」
「取り敢えず立とうか……」
大の字だと周囲の邪魔になるので双葉を立たせる白亜。奇襲を防ぐ度に大の字降伏をすることから野生児なんだなぁと思わされたのである。そして背後から奇襲を仕掛けるヤンデレを抱こうなど思わないのは当然である。
「貴女、背後から奇襲なんてふざけてるの?普通そんなことしたら死んじゃうじゃない」
「笑顔で不意打ち仕掛ける貴女に言われたくありません。最初からではなく、わざわざ相手の隙を突くように仕掛けるなんて悪趣味です。普通はそんなことしたら油断して死にますよ」
相手が死ぬから奇襲は止めろと言いながら睨み合う二人。同族嫌悪という言葉があるが、人より優れたセンスのある二人は好みが似通っている。格好良いと思えるのと自分が奇襲しても絶対に勝てないことが条件なのだ。
強いだけなら白亜以外にもボーダーにはいるのだが、一応美少女である彼女達の不意打ちを防げるかと言えば難しい。戦闘時の不意打ちならばともかく、日常でも躊躇なく奇襲を仕掛ける彼女達はボーダーが誇る奇襲系ヤンデレなのである。白亜が常在戦場じゃなければ今頃流血沙汰だっただろう。
因みにそれぞれ奇襲に美学があるらしく、互いを尊重するスポーツマンシップなど無いので、反発していがみ合うのが日常茶飯事である。
「どちらが白亜先輩に相応しいか決着をつけましょうか?」
「良いですよ。今度こそぶちのめしてあげますから」
そうして白亜の意思を無視して二人は個人ランク戦のブースに向かった。そして白亜は残ると面倒になるからと個人ランク戦のブースに回れ右をしたのである。
そして個室で奇襲系ヤンデレ女達から身を隠そうと思った白亜は扉を開けると……
「おはようございます!白亜様」
「………おはよう香取、相変わらず俺の個室で待ち構えるのはびっくりするからやめようか」
扉を開けた先にはメイド服を来た香取がいた。白亜に無許可で個室の合鍵を手に入れてまでお世話をしたがるのだ。
「紅茶をどうぞ」
「ありがとう、いただくよ」
白亜は香取がいれた紅茶を飲む。
「私の入れた紅茶が白亜様の体内に……ああ……なんて素晴らしいのでしょうか……」
これがなければ世話好きの可愛い娘なんだけどなぁと思う白亜。
香取 葉子……自分の行動で作った食事とか世話が白亜の生活の一部になれるのに喜ぶ尽くし系ヤンデレだ。
因みに以前は血や髪の毛を入れたりしてきた時もあるのだが、白亜が不衛生だから次やったら無視するからと言ったら、納得して献身による私生活の一部化を狙ってきたのである。
何がいけなかったのだろうか……
第一次大規模侵攻で家族や友人が殺されて、彼女が近界民に殺されそうになったところを助けたことだろうか?
それとも身寄りのない彼女に自立するまではと資金援助や親身になって手助けしたからだろうか?
少なくとも資金援助の条件としてボーダーに所属することを条件にしただけであり、チームも作らずに白亜に付き従うような条件にした覚えはないのである。
今では何故か白亜の自宅に押し掛けてまでお世話したがるヤンデレ女なのだ。
そして個室のドアが突然開く。
「あら、白亜様も既にいらしたのですね。香取さん、お茶請けを買って来たわ」
「那須さん、お使いありがとうね」
「いえ、全ては白亜様の為ですから……」
狂信者、那須 玲。白亜を神扱いして崇拝する依存系ヤンデレである。不治の病と病弱を治して以降、崇拝する白亜の為なら何でもやらかすという恐ろしい女である。
よく那須隊出来たなぁ…と白亜は思うが、白亜が絡まなければ那須は良い娘なのだ。因みに那須隊全員がヤンデレだったりするのだが、今回は関係ないので省くことにする。
那須曰く神の言うことは絶対らしい。因みに彼女に冗談でも悪いことは言ってはいけない。那須は白亜の命令なら犯罪だろうが実行するし、どんな酷い内容だろうと喜んで受け入れる。白亜は絶対に言わないが、死ねと言ったらやりかねないのが狂信者の恐ろしいところである。
依存系ヤンデレにとって捨てられるのは死を意味するらしい。知りたくもない事実を那須本人から聞かされた白亜はそれ以来、那須への対応を気を付ける必要があった。
幸いなのは香取も那須も恋人にしろと要求しないことだろうか?
寧ろ白亜は意中の相手がいるから絶対に恋人は断るつもりだったが、逆に彼女達は白亜に尽くせるポジションを狙っているのだ。
白亜のお世話がしたい香取と白亜の命令をこなしたい那須は、木虎と双葉とは違って同族意識から仲が良い。
一人で出来なくても二人なら出来ることが増えるからというスタンスらしい。
「本当はお茶請けも手作りにしたいのだけど、学業もあるから時間が取れないのよね」
「仕方ないわ。出来ないことよりも出来ることで尽くす方が大事…でしょ?」
「そうね。流石は那須さんね」
「ええ、私達のスペックは白亜様には及ばない。だからこそ自分達の出来る範囲で尽くすのが使命よ」
「使命……良いわね。そうよ!白亜様のお世話をするのが私の使命なのよ!」
勝手にお世話することを使命扱いする二人に白亜はどうしようかと悩む。勿論突っぱねると躊躇なく人生から自主退職はやらかす二人だからこそ何とか穏便に済ます方法を模索する白亜であった。
本部から移動した白亜は玉狛支部に来ていた。そしてとある女性隊員の部屋に強制的に連行されたのである。
というか玉狛支部に来ると大体が部屋に強制的に連行されるので嫌に慣れてしまったとも言う。
そして仁王立ちしている女性隊員は小南である。旧ボーダー時代からの仲間、そしてその頃から自称婚約者を名乗る恐ろしい人物だ。
「ねぇ…何で他の雌豚達と会話しているのよ!私ってそんなに魅力が無いの?」
小南が雌豚という汚い言葉を使うのは白亜にまとわりつく女に対してだけである。白亜が関わらなければ玉狛では純情騙されガールという可愛らしい個性で済んでいた。しかしそれは周囲を欺く為の振りでしか無かった。本当に恐ろしいのは目に見えるヤンデレよりも目に見えないヤンデレである。
だから白亜がいる前でいつものノリで俺達付き合いましたなんて冗談を言ってしまった烏丸は報いを受けた。
自称婚約者を名乗るヤンデレに意中の相手である白亜に浮気しました疑惑を持たせたことでガチギレした小南がハイライトの消えた目でトリガーを起動した瞬間に流血沙汰になるのではないかと戦慄した。
白亜が何とか小南を宥めなければ双月で斬られていただろう。それ以来、烏丸が小南を揶揄うことが無くなったのがヤバさを物語っているのである。
そして返答に間違えれば小南は取り返しのつかないことをやらかすので白亜は真摯に対応する。白亜は本心でヤンデレさえなければ小南を可愛いと思っているので嘘ではない。ヤンデレさえなければという言葉が付くが事実そう思っているからこそ説得力があるのである。
「小南に魅力が無いわけないだろ」
「そうよね。だって私達旧ボーダーの頃から結婚を約束した仲だものね!」
「おかしいな?身に覚えのない約束をしたかのように言われてるんだが……」
白亜は言うはずが無いのだ。何せ初恋の人という意中の相手がいるのに他の女性と結婚の約束などするはずがないのである。
つまりその約束は小南の妄想である。
「だから雌豚達への牽制の為に結婚式を挙げましょう!詩音の言い分も分かるわ!まだ成人もしてないのに赤ちゃん産んだら確実に不幸になるのは分かってる。本当はもう詩音の赤ちゃん産みたくて疼いてるけど、詩音が私を大事にしてくれるのが嬉しいから我慢出来るの。だからきちんと安定した収入を得られるようになったら子作りしましょう!子供は男の子と女の子が良いわね。だって二人に似て良い子に育つのは確定だもの!一軒家で夫婦仲睦まじく過ごすのも良いわね。子供は欲しいけど詩音は私を子供に独占されたくないって嫉妬の気持ちも分かるわ。だって私も娘とはいえ、詩音を独占されたりしたら確実に気分が良くないもの。そういう意味では子供って不要っていう夫婦の気持ちも分かるわ。だって独占出来る愛が減っちゃうんだもの。でもでもやっぱり子供って愛の証でもあるから欲しい気持ちはあるの。あ、勿論子供目的じゃなくたって私は何時でもウェルカムよ!お互い気持ち良くなる為にするのだって愛の証よね!」
「俺は……まだ未熟……」
何て答えるべきか見当たらない白亜。少なくとも結婚式を挙げる選択肢をしたら最後、人生が終了するのは分かっていた。そもそも付き合ってすらいないのに結婚式を挙げるとかぶっ飛んでいるのは分かりきっていた。
小南 桐絵、典型的な独占欲の強い空想語り系女子だ。そして理性あるヤンデレである。だから小南では実力でどうにも出来ない白亜に対して力尽くでどうこうしようなど考えずに、原因である雌豚達を証拠一つ残さず排除しようとする危険度大なヤンデレだ。
ヤンデレは上記の女子達以外にも劇物炒飯を喰わせてくる加古だったり、嵐山隊に行くと監禁でしまっちゃおうとする綾辻とか、ヤンデレゲーム好きな国近とかいるが小南は白亜の対峙する中で一番ヤバいヤンデレなのだ。
こうして本人の望まないにも関わらず白亜はヤンデレからモテていたのであった。
ヤンデレの話は対岸の火事なら面白いんだけど、実際に起こると怖いなぁと思う。
まあ自分はヤンデレ女子より肉食系女子の方が読んでて好きだったりします。楽しいのと好きは別物だったりするんですよねぇ……
R18版に出すヒロインは?
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木虎
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香取
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綾辻
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宇佐美
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瑠花
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小南