お客様!困ります!あーっ!トリガーはいけません!   作:クロアブースト

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本当は一話でまとめたかったけど、文章量が多すぎて分けました。
風間さんが弱いんじゃない!
人越拳が約20歳位の若人相手に負けるのが想像出来ないだけなんだ(言い訳)


番外編〜人越拳と風間①〜

これはかつて在りし日の修行だった。

修は知っている。自分には才能の類は存在しないのだと……いや、白亜曰く努力で覆せないレベルの才能は稀有なのだと教わった。

 

「才能じゃ無いんですか?」

「言っておくがボーダーの連中程度だと殆どが凡才だ。サイドエフェクト除くと本当の意味で天才なのは小南位だろうな」

「小南先輩……確か師匠のライバルでしたよね」

「ああ、俺が意図的に才能を開花させた。まあ元々努力家だったんだけど俺が過保護なのかもしれんな」

 

この世界線においては白亜がいるからこそ本来の原作ならば開花することが無かった才能を目覚めさせている。故にボーダーで唯一白亜と単独で渡り合える可能性が僅かにだが存在しているのだ。太刀川や迅、忍田本部長ですら今の白亜には手も足も出ないのにも関わらずである。

 

そんな中で修が知り得る天才は二人。一人は自身の師匠である白亜。自身に受けた技や性質を瞬時に理解する天才である。一度でも剣技を受ければその流派の奥義すら極めてしまうし、サイドエフェクトである平行世界は暴走する度に自身で制御方法を自力で会得してしまうからこそ天才なのだ。

 

もう一人は小南 桐絵。以前師匠から天才を体験しておけと言われて手合わせした天才だ。何故天才かと言えば一度見ただけで原理を理解して会得してしまうのである。

 

『まさかスラスターをそんな風に使うなんて流石は詩音の弟子ね。その超絶技巧は私の双月とは合わないのが残念ね』

 

かつて小南と模擬戦をした際に自分が心血注いで会得した超絶技巧を一度手合わせしただけで理解し、自分に合わないと判断して会得しなかったのである。つまりその気になれば会得出来たということである。流石は師匠のライバルを自称するだけの天才だと痛感させられたのである。

 

「天才は確かにいる。だが俺の持論はこうだ。才能なんてのはスタートラインが違うだけに過ぎないと……凡人だろうが天才だろうが同じ壁に辿り着く。その壁を乗り越えられるかは当人の頑張り次第だがな」

 

白亜は笑って言う。壁にぶつかった時こそ真価が問われると言っても良いだろう。そうして修は強くなる為に努力をし続けたのである……

 

 

 

 

 

開始早々風間はカメレオンで姿を消す。それに対して修は威圧殲滅の天地上下の構えをする。

 

周りは何をしてるんだと困惑したのが多数。カメレオンで位置が分からないなら普通は動くか当てずっぽうでも攻撃するなどするはずだからだ。

しかし修は違った。カメレオンで姿を消した風間を仕留める為の攻撃態勢に入ったのである。

そして修は突如左方向を向いて虚空へ向けて貫手を仕掛ける。

 

「ッ!?」

 

風間は瞬時にカメレオンを解除してスコーピオンを展開して防御しようとするが、修の方が一手速かった。

 

「人越拳・ねじり貫手」

 

スラスターと回転を加えた貫手は腕ごと風間を貫通する。トリオン供給器官を破壊された風間はトリオン体が破壊される。

 

「もっと殺す気で掛かって来い」

 

修は風間に向けて威圧感を込めて言う。様子見なのは分かりきっていた。だからこそ言うのだ。殺す気で来なければ手も足も出ないのだと。

 

そして二戦目では、カメレオンをもう一度使うも奇襲に対して修は完璧に対処する。

 

「やはりお前には俺の居場所が見えているのか……」

「目で見えないならば他の五感で補えば良いだけの話だ」

 

視界の見えない仮面を付けての訓練をしていた修にとって聴覚とレーダー反応さえあれば目を瞑っていても相手の行動すら容易く予想出来てしまうのである。実質カメレオンは封じられたものである。

 

 

そして修と風間の戦いは一方的な蹂躙が続く。

 

 

 

 

「二本指で掴んだ!?」

 

周りが驚愕する。修は指先だけを覆うようにレイガストのシールドを展開したのである。掴んだ指先を後ろに引きスコーピオンの剣を掴んでいた風間の腕から体勢を崩したところにねじり貫手で風間の胴体に風穴を開けた。

 

 

 

 

「スラスターON」

 

空中で右足でのライダーキックの姿勢になった修は急降下で風間に激突する。

風間はフルガードで防御し、一枚割れるがもう一枚のシールドに貫通するものの防ぎ切ると思われた瞬間に修は右足のブレードを花が開くように内部で固定して左足を後退させる。

 

「前蹴り!」

 

スラスターで強化された左足での前蹴りで残ったシールド諸共風間の上半身が消し飛ぶ。

 

 

 

 

距離を置いた風間に修は右手からアステロイドのトリオンキューブを展開しながら口にする。

 

「良いのか?……そこは俺の射程圏内だぞ」

「!?」

 

ドドドドド

 

 

修は分割したアステロイドを拳で殴打して射出し、射出音が鳴る時には弾丸が風間を穿っていた。咄嗟に風間はシールドを張っていたが、弾丸はシールドを容易く貫通していた。

 

(目で負えない程の弾速にシールドを貫通する程の威力だと!?どんな仕組みだ……)

 

ボーダーには射程と弾数を切り詰める代わりに近距離での火力と弾速に特化した銃手がいる。修の拳によるアステロイドは目で負えない程の弾速とシールドを貫通する程の火力という明らかに通常の射手達が持つ火力不足という面を超越していた。

 

 

 

 

 

 

修と風間の模擬戦を観戦していた木虎は烏丸や遊真に拳での弾丸射出のからくりを説明していた。

 

「あの篭手は白亜先輩が平行世界で得た知識の一つよ。あの篭手で弾丸を射出することで弾丸に弾速を上乗せ出来るのよ」

「つまり後付で弾速を上乗せ出来るから最初の弾丸自体に弾速を割り振る必要が無いということか」

「そういうことです」

 

烏丸の言葉に木虎は答える。射手の弱点であるトリオンの割り振り要素の一つを廃することで火力を維持出来るようになったのである。

 

「確かに便利だけどボーダーで普及していないのはどうしてなんだ?」

「あれは射手の火力不足は補えるけれど、根本的なデメリットは克服出来ていないのよ」

「根本的なデメリット?」

「射手の弱点は火力不足と工程の多さから近距離に弱いこと。通常の弾丸を放つだけでも弾丸設定→キューブ展開→キューブ分割→狙う→撃つと5つの工程があるわ。そして拳で撃つのは5つ目の工程なんだけど、拳で撃つのはそのまま撃つより確実にタイムラグが起きて近付かれるリスクを増やすわ」

 

火力自体は弾速に割り振らないことで解決するが、近距離に弱いことが変わらなければ近付けば良いという対策で事足りてしまうのである。そして攻撃手に近付かれれば拳で射出する前に斬られてしまう。

それが理由で平行世界では生み出されてもお蔵入りした技術である。

 

「けれど三雲君みたいに近距離でも戦えるなら話は別よ。攻撃手であっても返り討ち遭う位に強かったら攻撃手は不容易に近付かない」

「だから修は拳で撃ち出す余裕があるわけだ」

「そうよ。そして中距離で撃ち合うなら弾丸一つのトリオン量を多く割り振れる三雲君の方が射手や銃手との撃ち合いでは有利になるわ。まあ昔よりもトリオン量を増やせたとはいえ、トリオン量が特別多い方じゃ無いからアステロイドでの撃ち合いになるのが唯一の欠点かしら」

 

木虎が遊真に説明した通り、近距離でのレイガスト空手と中距離での殴打による弾丸射出により射手としての強さはボーダー屈指である。

 

「因みにトリオン量を増やしたってのは?」

「実はトリオン量を後天的に増やす方法は存在するのよ……」

「ふむふむそれは気になりますな」

「枯渇したトリオンの超回復による上限値上昇よ。白亜先輩が見つけたトリオン超回復薬で瞬時に回復するからトリオン量を上げたいだけなら枯渇するまで使ってトリオン超回復薬を飲むのを繰り返せば理論上は増やせるわ……」

「そんな方法が……」

「だがボーダー本部でそんな話は聞いたことがないぞ。木虎は理由を知っているのか?」

 

烏丸は尋ねる。何せトリオン量を増やせる方法などボーダー隊員の殆どが喉から手が出る程望むレベルだからである。

 

「味の不味さだけでボーダーから承認されなかった曰く付きだからです。失神した人に数滴垂らしたら魚のように身体を大きく飛び跳ねる姿からボーダーでは承認されませんでした。それこそ志願でもしない限りは用意すらしないレベルですよ……」

 

木虎は遠い目をしながら呟く。何せ木虎と香取は数滴飲んだだけで泡を吹いて失神したのだ。この世のものとは思えない不味さで吐かなかった自分を褒めたいレベルである。

そして一番その苦行を乗り越えたのが修である。トリオンの枯渇で失神した状態に口元へトリオン超回復薬を数滴垂らしたらバタンバタンと魚のように身体を大きく飛び跳ねる姿にはドン引きしたものである。しかも修は何事も無かったかのように鍛錬を再開するだけでなく、トリオン不足を解消するまでは自ら進んで志願するという鋼のメンタルを備えていた。

失神から強制的に覚醒する劇薬を躊躇なく常用する狂気の努力家故に木虎と香取は三弟子の中で一番ヤベー奴と聞かれたら満場一致で修を言う。自分のことに無頓着な人間はどんな苦行も平気という恐ろしさを思い知らされたのだ。

 

「まあそんな劇薬は置いておいて、三雲君が努力してるのは白亜先輩曰く愛した女の為らしいわ……」

「ふむ千佳の為か……熱々ですな……」

「修と千佳が付き合っているのは知っているが意外だな……修がそんなロマンチストだったとは……」

「あれだけの努力をするんだもの。何か強い動機があるんだと思ってたけど白亜先輩から聞いて納得したわ。愛の為にそこまで本気でやれるのは尊敬してすらいるわ!」

 

遊真と烏丸は木虎から聞いた修の動機に意外だと驚く。

因みに今でこそ既成事実が出来ているが当時の修本人が千佳を助けたいと思ったのは善意であって恋が動機ではない。

だから当時の修が愛した女の為だとは一言も言ってない。ただ千佳が玉狛支部でトリガーという避妊具を手に入れてしまい夜戦の怪獣と化して喰われただけである。

そして白亜は致命的な勘違いをしていた。以前聞いた動機を聞いて千佳の兄を連れ戻したいのは千佳を愛しているから彼女の悲しみを解いてやりたいという愛情なのだという勘違いをだ。まあ家庭教師でお世話になったからとはいえ普通はその程度の関係性で命を賭ける無茶をするなど結び付かないというのもあるのだが……

そして既成事実を爆発的に広めた原因は千佳もである。

千佳は他の女が修に近付かないようにしょっちゅう押し倒して自分の匂いをマーキングし、学校でも白昼堂々イチャラブを周りの生徒達に見せ付けることで学校の女子達に修君は私のだと牽制することを徹底したからである。

因みに千佳の手により両親公認になってるのは余談である。修は既に本人の預かり知らぬところで既成事実が固まっているのであった。




三雲修の現時点の戦闘データ
・真地念源流空手
・拳による弾丸射出
・?(スラスターによる超絶技巧)

スラスターの超絶技巧は次回公開予定。

本部出禁の海峡支部に興味あるか?

  • ぜひ見たい
  • 必要ない
  • それより三弟子と原作世界へGO
  • 雨取覚醒の方が先だろ
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