お客様!困ります!あーっ!トリガーはいけません! 作:クロアブースト
これが肉食系女子隊員を指導する日常茶飯事だ!
ちょっと短いけどまあ良いか……
努力においての頂点はあの人だ。そう思わされる程の鍛錬を積んでいるのが私には分かる。確かに短期間で上達する姿は天才に見えるが、周りに教える際にはきちんと理論立てて説明を行うし、相手の感覚を把握した上での配慮も忘れない。
自身は天才なのだと驕っていた自分のプライドを粉々に打ち砕いたのが白亜先輩である。けれども今ではそれすら良かったと思っている。だってプライドの高かった私よりも今の私の方が強いのだと胸を張って言えるのだから……
因みにプライドを無くしたのは白亜の前でだけなので他の人に対してはこの限りではない。だから双葉からは変わらず嫌われているのは余談である。
そうして木虎 藍は彼の弟子になって指導を受ける事になる。そして師弟愛が【乙女新書】のせいで肉食系女子に開花するのは時間がかからなかった。
木虎は訓練室で師匠である白亜と一対一で対峙する。武器は自分と同じ拳銃とスコーピオン、そしてトリオン量も自分と同じレベルまで下げた上での模擬戦である。
バンバン!バンバン!
木虎の撃った弾丸を白亜は拳銃で全て撃ち落とすという神業を行っていた。確かにボーダーでは東さんという狙撃の弾を撃ち落とす天才は存在しているがこの近中距離でそれを平然とこなす白亜は技量の化け物だった。
そして木虎がモールクローで地面から生やしたのを白亜は察知して瞬時に足裏をずらして回避する。そしてズレた切先の側面から足で蹴り上げスコーピオンをへし折る。伸縮自在のスコーピオンではあるが欠けた場合は斬れるように再構成しないといけないラグが生じる。そのラグを持って木虎のスコーピオンを一瞬だけ弱体化させた。
そして白亜は木虎へ向けてスコーピオンをしならせて振るう。その軌道からマンティスを疑い、咄嗟にシールドでガードした瞬間……
バン!
拳銃で頭を撃ち抜かれる。白亜先輩はスコーピオンとアステロイドの二つを使った以上はマンティスでは無いのだろう。このスコーピオンの原理は分からないのだが、完敗だった。
「さて反省会だ」
「はい」
「木虎……」
「何でしょうか?」
「膝から降りろ」
「嫌です」
反省会で椅子に座りながら行う予定だったのだが、木虎は白亜の膝の上に突如座って来たのである。
そして木虎は臀部を押し当て白亜の欲情を促す意図を確率で理解した白亜は降りろと言ったのだが、木虎は聞き入れなかった。隙あらば師を喰らう気満々の弟子がそこにいた。
「じゃあ解説を始めるぞ」
「ん……初めてください……」
押し当てた臀部を動かしながら木虎は答える。明らかに集中出来ないだろうと思う白亜なのだが、肉食系女子の中では比較的大人しい方な木虎なのでスルーすることにした。
中には解説だと言ってるのにそっちのけで椅子に座ったら自分のズボンを脱がして奉仕しようとする馬鹿と比べればまだマシなのだ……
「拳銃で牽制しながら視線を動かさずにモールクローを使うのは素晴らしい判断だ。俺は反応出来るが、銃手とかだとどうしても銃口を気にするから死角を付く手段としては良い」
「はい……はぁん……ありがとうございます……」
「マンティスだと思ったスコーピオンの仕組みは分かったか?」
「んぅ……分からなかった……です……」
明らかに艶声を滲ませながら答える木虎。こんな調子の中で解説しないといけないのかと頭を抱えたくなる白亜。因みに無理矢理どかしたら確実に押し倒して指導プレイを決行してくるので止めるのは悪手だ。
「あれはスコーピオンを鞭の原理で先端以外の切れ味を無くして射程を伸ばしたものだ。マンティスが広まってる分、二択を迫られる」
「はぁ……はぁ…二択ですか……選択を迫るのは良いですよね……」
「初見なら今みたいに銃で撃てばそれだけで決まる。二度目はマンティスだった場合は更に射程をあそこから伸ばせるし、スコーピオンだった場合は片方のサブトリガーがフリーになる。そして拳銃を持つ俺達の場合は、銃口を向ければ相手は条件反射で避けるか防ごうとさせるフェイントすらかけれる」
「相手を……はぁはぁ……焦らすんですね……今の私みたいに……」
「俺は焦らした覚えはないし、勝手に押し付けているのは木虎だろうに……トリオンが少ない以上はこういう駆け引きの手札は増やしておくんだ。多ければ多い程相手は思考に嵌って隙が生み出せるからな」
「そうですね……手札は多い方が良いですよね……戦闘も……指導プレイも……」
「やめてくれ……俺の心労に効く……」
「弟子として師匠を満足させる為にバリエーションを増やすのは当然ですから」
フンスと胸を張る木虎。原作以上に【乙女新書】の影響で胸囲を増やした今の木虎の破壊力は凄まじかった。他の男なら鼻の下を伸ばした事間違いなしだった。
白亜も意中の相手がいなかったら仕留められてたのかもしれない。
「あ、モールクローですね。何処から出す予定だったんですかぁ……白亜先輩♪」
「わざわざ言わなくて良いよ木虎」
白亜はこの肉食系女子からどうやって逃げ切ろうか思考する。まあ逃げ切れる程甘くないのは承知である。入口にスパイダーを使ってガチガチに縛る用意周到さを持つのが木虎である。そして戦闘後に木虎が白亜を押し倒すべく激しい攻防戦が繰り広げられたのは余談である。
人々はあの人を天才だと言っている。けれどあの人は天才にならざるを得なかっただけだと言っていた……
「人は死の淵に立つと二択を迫られる。乗り越える為に閉じられていた才能を開花するか、それとも乗り越えられず死ぬかの二つだ。だから俺が他の奴等より強いのはその死の淵に立つ機会がサイドエフェクトのせいで多かったんだ」
「私は師匠が羨ましいです。もっとトリオンがあればと思わなかったことはありません……」
トリオンさえあれば最初に希望していた銃手だけでやっていけたかもしれない。ないものねだりなのは承知しているが思うことはあるのだ。
「まあ無いものを求めるのは人間の性質だ。俺もかつては願っていたよ……もっと強くなれれば守れる。もっとトリオン量が増えれば出来ることが増えるんだってな」
「でも師匠は嬉しそうじゃありません」
「そうだ。一人でどんなに強くなっても出来る事が限られてることを俺は思い知らされた。救えたはずの師匠を見殺しにせざるを得ない絶望や強くなった果ての孤独感とかな……」
師匠は時々悲しそうな顔をする時がある。指導だけなら白亜先輩は気前良く指導した上で上達を喜ぶだけでそんな表情を見せることすらないのだが、以前決行したお持ち帰りプレイでお宅訪問からの押し倒してから私に対して色んな表情を隠さなくなってくれた。
やはり愛は待つのではなく、自分から掴み取るのだと忍田補佐官のアドバイスに改めて感謝したのである。こんなに白亜先輩と親しくなるには押し倒す行為は必要なことだったのだ。
「それにサイドエフェクトを呪いだと思ってるからな」
「え…?」
その言葉に木虎は呆然とする。サイドエフェクトは不便よりも便利な側面の方が強い。何せSランクを持つ白亜先輩や迅さんはサイドエフェクトによって多大な貢献をしているからだ。
「玉狛には絶対に言うなよ……10万を超える平行世界の記憶を共有出来る俺はボーダーの仲間が死ぬ光景を何度も見ている。特に一番酷かったのが迅だ」
「迅さんが…?」
「あいつの死因の二割は自殺。俺と同じくサイドエフェクトのせいで見てしまった自分の力では避けられない仲間の死を抱え込んでしまったんだ」
確かにあの人はのらりくらりとしているが本心を多く語らない。まあ白亜先輩も誠実なのだが、弱みは懐に入らない限りは絶対に見せない人間なので似た者同士だと木虎は思う。やはり押し倒したのは以下略……
「未来を見れるのは幸せか……
救えるなら幸せだ……
けど大切な人が死ぬ…
しかも自分の力では助ける事が出来ない無力感は大いに傷付ける」
それは迅さんだけでなく白亜先輩もそうなのだろう。平行世界とはもしもの世界らしい。だからこの世界線では死んでても他の世界線なら生きていることだってあるらしいのだ。
例えば私が白亜先輩と出会わないで別の先輩を慕う世界線もあると言われたことがある。
まあそんな世界線より白亜先輩を押し倒す方が大事なので私としては別に気にしてないのだが……
「だったら未来が明るくなるように……幸せになるように頑張れば良いってことですよね」
「ん?まあそうだが……」
「勿論、どうやってはまだ分かりません。けれど白亜先輩が一緒にいるなら……私は頑張れます!」
「ッフ、木虎は強いな……その通りだ。過去をどんなに振り返っても戻って来ない以上は頑張るしかないからな」
そう言って白亜先輩は私の頭を撫でる。私を褒めて撫でてくれるのが私は好きだった。
「ところでこのスパイダーを解いてくれない?」
「嫌です」
せっかく右腕以外の全身を縄で縛って拘束したのである。トリガーは解いた後に縛った上でトリガーは取り上げたので逃げる術は存在しない。
「弟子として先輩の身体に愛を教えるのも指導プレイですよね」
「やめろ!そんなことは望んでないから!舌舐めずりしながら迫るのはヤメロォォォォ」
嫌も嫌も好きのうちですよね。【乙女新書】に載ってたのだから間違いない。因みに白亜はそんなことは書いていない。
流出する中で忍田補佐官が男性の攻略法なるものを勝手に追加したのである。
そうして拘束された白亜は木虎に喰われた。肉食系女子と二人っきりなのは危険なのだ。
因みに白亜の弟子としての執着ヤバイので直弟子と聞いた修へ殺意にも近い嫉妬を向けるも人越拳の風貌にヤバイと感じて理不尽な嫉妬を向けるのをやめたりしています。虎だって怖いものは怖いんだ……
木虎「ガルルルル!(精一杯の威嚇)」
三雲「コオオオオォォォォ(無言の威圧)」
木虎「くう〜ん(これヤバイ奴だと判断して威嚇を辞める)」
因みに木虎は肉食系女子の中ではまだマシな部類。同じ肉食系女子でもランクが存在するのである。