お客様!困ります!あーっ!トリガーはいけません! 作:クロアブースト
ぶっちゃけマドンナの面影なんか無くなっちゃったけどまあ良いよね。
白亜にとって綾辻 遥はトップクラスにヤベー女である。
「初めまして、綾辻 遥です。よろしくお願いします」
「初めまして、白亜 詩音だ。こちらこそよろしく」
握手をする。初対面では礼儀正しい良い子だなぁと思った白亜。
「ではお近づきの印にこれをどうぞ」
ポケットから何かを取り出す綾辻。飴かなと思ってたが渡してきたのは最初は分からなかった。鍵状のものを渡して来る綾辻。
「これは何だ?綾辻……」
何かの鍵だったが何の意図か分からなかった。
「私が付けてる貞操帯の鍵です」
ピシィと空気が凍る音がした。何が恐ろしいかって二人きりではなくて嵐山隊の他のメンバーがいる中で堂々と言い切る度胸である。
「前々から白亜さんに禁欲管理してもらうのが夢だったんです。受け取ってください♪」
笑顔で言う綾辻。その言葉に白亜は固まったのを覚えている。
まず初対面で貞操帯の鍵を渡して禁欲管理させようとしてくるクレイジーな事が一つ。
そして一週間後、
「あ、白亜さん!逢いに来てくれたんですね。私ずっと待ってたんですよ?」
誤解である。白亜は綾辻に用も無いのにわざわざ逢いに行かない。ヤベー女というのもあるが多忙な為に意味もなく逢うのは迷惑だと思っているからだ。
「私、ずっと我慢してたんです……だからもう我慢しなくて……良いですよね……」
綾辻の禁欲は1週間が限界である。それ以降は暇を見つけては自分から逢いに来て禁欲発散を行う発情暴走娘である。
しかも彼女はオペレーターの強みを活かして、自身の発情発散の為なら人を使うのも惜しまない。
ある時はボーダーの女性職員へセクハラしようとした迅を脅して未来予知で白亜の先回りをしたり……
因みに迅はこの一件以降ボーダー内で女性隊員達へのセクハラをしなくなった。何故なら肉食系女子に手を出したら人生の墓場に連行される未来が見えてしまったかららしい。
ある時は他の肉食系女子隊員達と手を組んで白亜を多人数で追い詰めたり……
遠征選抜部隊合同訓練と称して白亜を呼び出し、肉食系女子オペレーター達による多人数でのS級隊員を床で倒す訓練を実施。なお、嵐山隊は遠征部隊ではないのに平然と綾辻は参加して白亜を押し倒した。
ある時は自身の壊滅的芸術を逆手にとってボーダーで宝具開帳するぞと白亜とのSNSを通して伝えて止めにやって来させて二人っきりになったり……
コイツ、自分の強みを理解している!と戦慄させたのは余談だ。もし仮に白亜が無視したとしても彼女の恐ろしさを知る上層部から勅命を受けて行かされたからである。
あらゆる手を使って白亜を貪ったのである。
数々の実績で発情発散を白亜の身体で行ったせいで白亜に綾辻はヤベー女認定されたのだ。
後はあの迷言が肉食系女子をヒートアップさせたのだろう。
「トリオン体でヤれば赤ちゃん出来ませんよね♪」
悪夢の一言だった。彼の生涯をかけて技術発展に尽力した成果物の一つであるトリガーをそんなことの為に使うのだと……
本人に悪気はないのだろう。流石に悪気があって言われたら白亜もキレていたかもしれない。綾辻の発情がそこまでの余裕を奪ったのではと配慮する辺りが白亜の甘さの要因だったりする。
まだ綾辻のターンは終わらない。白亜を押し倒して騎乗した綾辻は両手にそれぞれトリガーホルダーを持って悪夢の二択をしてきた。
「さて問題です。0.1mmと0.2mm、気持ち良いのはどちらでしょうか♪」
白亜は色々突っ込みたかった。
何故戦闘と関係のないトリオン体の一部の箇所の伸縮性をそんな微調整したものを持っているのか……
そもそもそんなトリオン体の調整を出来てしまったのか?鬼怒田さんは絶対に許可出さないだろうから確実に極秘の協力者がいるはずだ……
白亜は無知だった。数々の肉食系女子に押し倒されて百戦錬磨の経験を積んでいるが、トリオン体でのそんな伸縮性の違いなど分かるはずも無かった。というか白亜的にはやるべきでない努力だから絶対に知ろうともしなかっただろう。
「答えは私の身体で比べてくださいね♪」
そうしてトリガーを起動してトリオン体になった綾辻は白亜に跨って騎乗訓練を実施した。
因みに綾辻に解答させる気はサラサラない。何故ならどちらのトリガーで起動したのか伝えてないので今のトリオン体がどちらなのかも分からないからだ。
そして仮に正答だしても発情暴走娘が中断する事は絶対に無いのだ。
綾辻の迷言はボーダー肉食系女子達に瞬く間に広まった。
そうしてボーダー肉食系女子はいつでもトリガーを手放さない。何故なら学生妊娠などという高いハードルを登ることなく四六時中気軽に襲えるアイテムがあるのだから……
鬼怒田さんが聞いたら憤慨して血管がブチ切れること間違いなしだ。
尚、肉食系女子の中には香取を始めとした既成事実の為なら学生妊娠を辞さない豪の者も存在するのを忘れてはいけない。
いつでも肉食系ボーダー女子に押し倒される白亜はゴムを常備するエチケットを備えた紳士だ。
何故なら彼女達はゴムが無くなれば危険日だろうが本番を強行してくるので
『ゴム不足=学生妊娠からのゲームセット』
の方程式が出来ているからだ。
彼女達はゴムを用意しているから準備万端ですねと言ってくるが、白亜としてはやらなきゃ終わるからだと言いたかった。なお言ったところで彼女達が押し倒すのをやめたりはしないのである。
そして綾辻にも禁句は存在する。それは耳年増な女子達が興味本位で聞いた通う学校で生徒会副会長をやっている綾辻は同じ生徒会に所属する生徒会長である蔵内和紀と付き合ってるという噂だ。
「綾辻さんって蔵内さんと付き合ってるの?」
「は?」
その言葉に綾辻は笑顔のままブチ切れた。青筋一つない明るい笑顔は流石広報部隊のマドンナだが威圧感は溢れていた。
「誰ですか?そんな事実無根の話をしたのは……」
綾辻に尋ねた女子隊員達はガクガク震えながら答える。噂で聞いたのだと……
誰も悪くなかった。綾辻も蔵内も興味本位で尋ねた女子隊員も……
だけど綾辻の地雷を踏み抜いた。
「あ、私用事あるので失礼しますね」
「は、はい……」
女子隊員は安堵する。そして綾辻はポケットの中にハーモニカがあることを確認して徒歩を進める。
彼女はSNSで綾辻の禁欲管理している白亜を呼び出す手段として何時でも宝具解放するのに必要なハーモニカを備えている。もし白亜がそのSNSを既読スルーしたら何時でも宝具解放する為である。
今日はいつも通りに白亜を呼び出して発情を発散するつもりだったのだが、予定変更だ。
綾辻にとってこの噂は屈辱的だった。せっかく憧れだった白亜に自身の貞操帯の鍵を渡して禁欲管理してもらう順風満帆な日々を過ごしていたのに……
泥水を頭にぶっかけられたのと同レベルの侮辱だったのだ。何せ禁欲管理してもらってるにも関わらず他の男を作るなど酷い裏切り行為だ。綾辻の身体は心身共に白亜専用でなければならないのだから……
「元凶は根絶やしにしないと♪」
彼女は冷静さを欠いていた。王子隊へ直接赴いて携帯サイズのハーモニカによる宝具解放を行うつもりだったのである。
とんだ音響兵器でのテロだ。どれくらいヤバいかと言うとアフトクラトルの遠征艇に録音したラジカセをレプリカの代わりに投げて音響を流せば遠征艇がエラーを起こして強制帰還を実行するレベルである。
そして綾辻は王子隊の作戦室へ向かい、自動ドアを開けると予想外の存在がいた。
「は、白亜さん……」
「さて話を聞こうか綾辻」
王子隊のメンバーは誰一人おらず白亜が待ち構えていたのである。
勿論白亜がいるのには訳がある。
王子隊が盤外戦術によってランク戦前に病院送りになる未来を見た迅が白亜を呼び出したのは予定調和だった。
そして白亜は王子隊にやって来て事情を説明する。初めは綾辻が蔵内と付き合ってる噂に怒ってやって来ると聞いて微笑ましいなと聞いていた王子隊の面々だったが、白亜が王子隊の作戦室でハーモニカの宝具解放をすると言ったら全員血の気が引いた。何故なら綾辻の壊滅的な芸術性は周知の事実だからである。
何せ音楽や美術の教科の提出が彼女だけ免除されるレベルなのだ。教師だって命は惜しいのである。
そうして王子隊のメンバーは全員避難させてやって来る綾辻に白亜は一人待ち構えていたのだ。
とある世界線とかに生息してるだろう鬼の始祖が言うように押し倒されるのは大災に遭ったのだと思うべきであろうか?
いや、現在進行形で被害に遭っている白亜は目を逸らすべきではないと判断する。
だって現実逃避したって押し倒される現実は変わらないからである。
綾辻は香取程忠誠心にぶっ飛んでいるわけではないが貞操帯の鍵を渡す位に信頼しているのだろうと思う。
いや、貞操帯の鍵を渡す信頼って何だよ……と白亜は自問自答してしまった。
「ああ……白亜さん……違うんです……」
白亜は顔を蒼白にした綾辻が否定の言葉を述べるのを聞く。彼女にとっては進退が掛かっていたからこそ必死だったのだろう。
「あの噂は事実無根なんです……白亜さんに禁欲管理してもらっておきながら浮気なんて絶対にあり得ないんです」
まるで浮気を疑われた夫のような言い訳である。そして白亜もあの噂が嘘なのだと分かっていた。だって貞操帯の鍵を渡してくるヤベー女がまともな恋愛なんてする筈がないと分かっていた。
少なくとも鍵を回収しないでそんなことするはずが無い位には綾辻を理解しているのだ。
そもそも白亜は綾辻と付き合ってはいないので糾弾する権利は存在しない。
というか肉食系ボーダー女子達が全員白亜を押し倒しただけであって、恋人になってからという正当な手順を踏む気のない相手から事後に告白とかされたとしても絶対に聞くつもりもなかった。
まあ勿論肉食系ボーダー女子達は意中の相手がいる白亜に告白したら確実に振られると分かっているので告白するつもりなどなく、押し倒しているのだか……
怒るべきことはあるのだが、まずは……
「俺はね。綾辻がそんなことをしないのは分かっている」
「え……」
「色々振り回してくる綾辻だが、そんな不誠実なことはしないだろう」
まずは肯定する。信じていたのは真実だからだ。例えヤバイ奴認定だったとしても口にしてはいけないことはあるのだ。
「本当ですか……?」
「本当だ。信じているからこそ君を止めに来たんだよ」
白亜はその上で口にする。お前が暴走するつもりなのは知っているんだぞと……
「はい、ごめんなさい。白亜さん……」
「未然に止めたから許す」
冷静になった綾辻は自分がしようとしたことがとんでもないことだと理解したからこそ謝罪したのだ。そしてその暴走は未遂だからこそ許したのである。
そして白亜は綾辻を抱きしめる。
「ひゃ!?」
何時も押し倒してばかりなので白亜からのアプローチは意外だったからである。そしてそんな甘い展開だと勘違いするのも無理はないだろう。
「じゃあお仕置きしようか」
「え……お仕置き……?」
白亜は明るい笑顔で言う。勿論怒っていたのだ。
「押し倒していたとはいえ、甘やかし過ぎてたのかもしれないと思ったんだ。自分にならともかく周りに迷惑を掛けないならまあ良いかと思ってたんだ」
「あの……白亜さん?」
「なぁ知ってるか綾辻、トリオン量が多いと性欲が強いって諸説あるのを……」
「ひゃあん!?」
綾辻の耳を甘噛みする白亜。そして快感と期待にビクビク震える綾辻に白亜は悪魔の囁きをした。白亜のトリオン量はボーダー内でも有名だ。
第一次大規模侵攻で覚醒した白亜のトリオン量は黒トリガー数十個分と呼ばれる程の膨大なのだと……
そしてその日、王子隊の作戦室で一人の女性隊員が断続的な艶声が上がったと伝えられた。その日に限って本来なら喰うはずの肉食系ボーダー女子が喰われる現象が起こった事例である。
こうして綾辻の乱は未然に防がれたのだった。
〜玉狛のトリオン体説明の一幕〜
宇佐美「トリオン体は凄いんだよ。生身より頑丈だし、痛覚以外の感覚はそのままに出来るし、そして重要なのが何回ヤっても子供が出来る心配がないこと!」
千佳「子供が出来ない……」
宇佐美「まあそこは賛否両論なんだけど、女子の殆どは危険日気にせず何時でもヤれるって肯定的なのが多いね〜」
千佳「危険日気にせず……何時でも修くんとヤれる……」
修「……」ゾクッ
鳥丸「修、どうかしたのか?」
修「今何か凄い悪寒がした……」
玉狛のトリオンモンスターに危ない知識が伝わった瞬間である。
第二次大規模侵攻でのランバネイン戦のタイトルは?
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空飛ぶゴリラを撃ち落とす日
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雷の羽を撃ち落とす流星一条