お客様!困ります!あーっ!トリガーはいけません!   作:クロアブースト

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今回は原作が動いたよということで肉食系女子の押し倒し描写みたい方はスルーでOK。
まあこの二次創作はノリと勢いで書いてるから時系列バラバラなのもあるんだけど……

原作通りだとつまらないので原作1巻のエピソードをこの世界線で魔改造された彼らのやり取りをコンセプトに書いています。


間話〜遊真と修と木虎〜

「これは……凄いな……」

 

現着した嵐山隊は無数のトリオン兵の残骸の山にそう呟く。モールモッドだけでなくバムスターを含めたトリオン兵の残骸が30近く校庭に散らばっていた。コアに風穴が空いてるものが大半であり、中には一刀両断されているものもあった。

 

そして近くには教師に頭を下げて謝罪している生徒、三雲 修がいた。

 

「済まなかった……俺の実力ではこの数のトリオン兵相手に、一人で生徒達を全て守り切るには建物を気にする余裕は無かった」

「いえいえ、生徒を守ってくれただけで充分だ」

 

教師は修の謝罪にフォローを行う。何せたった一人で次々と現れるトリオン兵を片っ端から破壊していったのだ。しかも中には修から離れた相手もおり、ショートカットして向かうには侵攻方向の校舎を直接破壊しながら進むしか無かった。そうしなければ今頃生徒達に死者が出ていただろう。

 

 

三雲修と空閑遊真が出会ったのは転校生だった遊真へ絡んだ不良達から助けた時だった。しかし実際に助かったのは遊真ではない。放置してたら遊真に返り討ちに遭う不良であった。

何せ遊真は明らかに手慣れていたから返り討ちに出来るのは見た目からの観察で分かっていたが不良達の腐った性根を叩き直す必要があると修は判断したのである。

流石は面倒見の鬼、困っている人を助けるだけでなく、困った人間である不良達が二度と悪さが出来ないように矯正する為に動くなど普通は出来ない。

因みに修が強いのは三門中学校周知の事実である。貫手で金属板を貫通させただけで強さを証明した達人である。

 

そして今回のトリオン兵討伐には裏がある。実は今回のトリオン兵討伐は修一人だけの力では無かった。勿論実力不足などではなく、単純な人手不足が原因だった。何せ一体や二体ならともかく、次々とトリオン兵が出現し続けたせいで明らかに手が足りなかった。その数は残骸と同じ30体。一人で倒していたら確実に生徒達に死者が出ていただろう。修は奥の手である白亜から渡されていた二本目となる予備トリガーを遊真に渡して手伝って貰ったのである。この二本目は万が一ベイルアウトが出来ない状況や一本目のトリオン体が修復中にでも換装出来る様に白亜から渡されたものである。

遊真が本来使っている黒トリガーだとボーダーに気取られるリスクがあったが、本部のトリガーであればその心配はない。

 

そして修は嵐山隊の一人に見知った顔があったので声を掛ける。

 

「木虎か……久しぶりだな」

「やはり貴方ね、三雲くん。このトリオン兵の残骸の殆どにある風穴は貴方の貫手なら納得だわ」

 

修と木虎は白亜の直弟子同士で面識がある。因みに木虎が嫉妬で修に個人戦を挑んで返り討ちにあったのは余談である。

 

「二人は知り合いなのか?」

「嵐山隊長、三雲くんとは同じ師匠を持つ弟子なので面識があります。まあ彼ならこの数倍の数だろうが容易く残骸にしてたでしょうけど……」

「それは将来有望だな!」

 

嵐山は知らない。何故なら修はレイガストでマスターランクになった後はひたすら師匠と実戦式組手ばかりしていたのでランク戦に参加する事が殆ど無かったからである。

更にその時期に一点特化型の攻撃手、銃手、射手を狩り続けてポイントを荒稼ぎしていた香取の方が有名だったせいで修のレイガスト貫手の噂はあまり広がらなかったのも要因である。

 

修が本気で戦えば木虎を除いた嵐山隊の隊員達など瞬時にそこのトリオン兵の残骸と同じように殲滅出来る位に強いのだとは理解していないのだ。

 

「けれどこの斬撃は……」

「(済まない木虎、後で事情を話す。師匠案件だ)」

「(仕方ないわね…)間違いないです。三雲くんならこれくらい容易く出来ます」

 

修は師匠の名前を出すことで木虎と口裏合わせをする。もしこれが修個人からのお願いだったのなら木虎はこの斬撃が修のものではないと話していたが、木虎が慕っている師匠が関わると聞いたので口裏合わせをしたのである。因みに遊真は嘘だと見抜いたのだが、修が口裏合わせを行っていたので余計なことは言うべきではないと黙っていた。

 

後は報告の為にボーダーに来て欲しいと嵐山から伝えられて木虎が念の為に修に同行する為に残ることになった。

そして合流する予定の教室には木虎が先に来ており修、遊真の二人が着いたのである。

 

「では説明してもらおうかしら三雲くん」

「何でコイツはそんなに偉そうなんだ…」

 

遊真は突っ込む。現場でトリオン兵を倒したのは修と遊真の二人であり解決後にやって来た木虎は何もしていないからだろう。

 

「俺はB級隊員なのに対して木虎は更に階級が上のA級隊員。ボーダーで言うところのエリートだ」

「木虎は修より強いのか?」

「いや……個人戦績では俺が勝ち越しているな……」

「貴方が強すぎるのよ!個人ランク戦とチームランク戦に出てないから階級が上がってないだけで実力だけならA級上位レベルじゃない。とんだ階級詐欺よ」

「戦いには相性がある。確かに俺は木虎に勝ち越しているが、香取には全くと言っていい程歯が立たん。最近木虎は香取に勝ち越したんだろう?」

「ええ、漸く勝ち越せたわ。全く、三雲くんといい…香取先輩といい…私以外の直弟子は化け物ばかりで肩身が狭いわ」

「お前も人のことを言えんぞ…」

 

白亜の直弟子はそれぞれ指導方針が違う。修は近接戦闘特化、香取は万能性と優位性の押し付け、そして木虎は万能性と駆け引きだ。

確かに木虎は香取と同じく万能性を持つが、香取程に天性の優位性維持は出来ない。

寧ろ格上相手にも有利な間合いを常に維持し続けられる香取の方が異常なのだ。普通は格上になると不利な間合いをゴリ押しで有利な間合いに持ち込んで来るのだ。それを香取は天性の見極めで進んだ分だけ引き離し続けるのである。

 

そして木虎は優位性の押し付けの代わりに徹底した駆け引きの強さを学んだ。それにより相手との駆け引き戦に持ち込む事で格上殺しを可能にしたのである。

香取と違って九分九厘の勝率ではないものの、一点特化型キラーの香取と違って隙のない万能手などでも五分以上に勝率を持ち込めるのである。その強さは個人総合上位陣相手に互角へ持ち込める程だ。

そのせいで香取は木虎との相性が悪い。

ただでさえ万能手な為に近距離・中距離を両方こなせる上に駆け引きも上手いせいで得意な優位性の維持が出来ないからだ。トリオン量の少なさの欠点から初めの内は勝ち越せていたものの今では追い抜かれたのである。

 

因みに木虎が修に勝ち越せない理由は修が一点特化型によるゴリ押しで駆け引き戦にそもそも持ち込ませないからである。

こうして直弟子三人は三すくみになっていたのである。

 

「ところで彼は?部外者なら申し訳ないのだけど…」

「彼は今回の事情に関わる。同席させて欲しい」

 

修は遊真の同席を確認する。説明するには遊真について話す必要があるからだ。

 

「分かったわ。きちんと事情を話してくれるなら構わないわ」

「ありがとう木虎」

 

 

 

 

 

 

そして修は木虎に遊真が近界民であること、そして今回の三門中学校で師匠から渡されている二本目のトリガーを使って生徒達を守ったことを伝えたのだ。そして木虎は事情が事情過ぎて案の定頭を抱えたのである。

 

「ごめんなさい…取り乱したわ。まずはお礼を言わせてちょうだい。生徒を助けてくれてありがとう」

「いえいえ、殆どのトリオン兵は修が倒したし俺は少し倒しただけだから……」

「それでも助かったのは本当よ。誠意には感謝を伝えるのがポリシーだから素直に受け取ってちょうだい」

「うむ。分かった」

 

こうしてまずは感謝を伝え終わる。原作と違って木虎が遊真と揉めたりしないのが、木虎が修への嫉妬による対抗心が無いからである。本来木虎は承認欲求が強いので自分と同い年で自分より優秀な存在を基本的には認めないのだ。

だがこの世界線だとボーダー肉食系女子へと変貌した木虎は承認欲求が白亜へと全振りしてしまったせいで満たされており対抗心とかは無いのだ。

それに修が同年代で化け物染みているのは今更なのでわざわざ嫉妬したりはしないのだ。まあ最初こそは白亜の直弟子になったことで噛み付いたのだが、修に返り討ちにされた木虎は失敗から学んだのである。

 

「さて、助けてくれたこととは別に私達はいくつかの問題を抱えているわ。

一つ、トリガーの横流しは記憶封印措置も適用になる最高レベルの違反な点。

二つ、空閑くんが本来敵対しているはずの近界民な点

三つ、私達だけじゃ手に負えない点よ」

「トリガーを貸すのはそんなに不味いことなのか?」

 

遊真は尋ねる。

 

「ええ、過去に横流しした前例があった際に記憶封印措置が行われる予定だったらしいのよ。前例は未遂で終わったとはいえ、適用されないとは限らないから三雲くんは全力で隠蔽しなさい」

「分かった」

「木虎優等生っぽいのに悪だな」

「人を守れないルールに存在価値なんてないわ」

「ごもっとも」

 

遊真は頷く。実際にそうしなければ修の立場が悪くなるからだ。

 

「一つ目の問題は良いとして二つ目と三つ目は関連しているからまとめて話すわね。私達は隊員であっても組織運営の人間じゃないから個人レベルでは空閑くんを庇いきれないのよ。私が出来るのはせいぜいが私が所属する派閥の上司である忍田本部長に相談するくらいね」

「ふむ?派閥か……」

「ボーダーには派閥が三つある。近界敵対主義の城戸派、恨みはないが街の平和第一主義の忍田派、近界と仲良くしようとする主義の玉狛派。木虎は忍田派に該当する」

 

遊真の疑問に修は答える。つまり木虎が忍田本部長に掛け合う事で一派閥とのパイプを持つことだけは可能なのである。

 

「じゃあ修は俺を庇ってるから玉狛派なのか?」

「いや、俺は無所属だ。まだ未熟だから師匠の元で学んでいる段階だからな」

 

因みに修は言わなかったが城戸派、忍田派、玉狛派の他に白亜派が存在する。白亜派の人間は三派閥の中にもかなりいるので、もし白亜が動いた時点で三派閥は足並みを乱される。まぁ殆どがボーダー肉食系女子なんですけどね……

 

「ふむ、そうなると修と木虎の師匠ってどんな奴なんだ?」

「よくぞ聞いてくれたわ!」

「むむ!?」

 

遊真の疑問に木虎は嬉しそうに答えた。

 

「どうしたんだ木虎は?」

「木虎は師匠大好きだ……だから師匠語りがしたいんだ……」

 

修は溜息をつく。

 

「そう!私と三雲くんの師匠である白亜先輩は現ボーダー創設者メンバーの一人で今のボーダーがここまでの規模に拡大したのは白亜先輩の助力のお陰と言っても過言ではないわ!」

「ふむふむ」

「資金力、技術提供、人材発掘において貢献した上で私達の指導も行った。幹部としての経営力と指導力にも優れているわ。更に白亜先輩本人が何よりも強いのよ!数少ないS級でありながら私達弟子でも師匠の本気は見たことないけど、一人で数百人いるボーダーの全勢力を相手取れることは確信しているわ!まあ勿論、私は師匠がボーダーと戦うことになったら躊躇いなく師匠の元で戦うつもりなのだけれど……」

「修の言った通り、師匠語りの鬼だな……」

「木虎、本題から逸れてるからそれくらいにしてくれ」

「む、もっと語りたいけど確かにそうね。分かったわ」

 

そして木虎は話題を戻す。そして三人でまとめた話はこうである。取り敢えずは空閑の存在は本部に直接報告はしない。

木虎から忍田本部長に空閑のことを相談して派閥としての助力をお願いする。もしくは玉狛派の人間のいずれかに話をつけて味方になってもらうのだ。

そうすれば城戸派も安易には手が出せなくなるだろうと結論付けたのである。

 

そして本部への向かう途中……

 

 

「あれは!」

 

空に浮かぶ今まで見た事がないトリオン兵が出現したのである。

 

「あれはイルガーだな」

「知っているのか?」

「もし知っているなら、私達に教えてください」

 

木虎は頭を下げる。普段はプライドの高い木虎であるが頼む立場際は礼儀を忘れないのだ。

 

「素直で意外だな……イルガーは爆撃用トリオン兵で主には地上爆撃が主だな」

「主というからには追い詰めたらしたら何かあるのかしら?」

「そう。追い詰めると自爆モードになって最も大きい場所目掛けて落下し自爆する。しかもその時は防御力も上がるから壊すのが難しくなる」

「厄介なトリオン兵ね……」

「問題は自爆モードの防御力だな。生半可な攻撃で倒せないとなると選択肢が限られる」

「私も三雲くんもトリオン量が少ない方だから遠距離からは無理ね。三雲くんは貫手の貫通性があるからともかく、私は斬撃こそスコーピオンがあるけど防御力の高い敵だとダメージが通らない不安があるわ」

 

冷静に分析する木虎。今回出現したイルガーは二体。一体は修なら背中にさえ乗れれば破壊力がある為、壊せるだろう。だが木虎の方が火力不足なのが否めなかった。

 

「空閑くん。一つ尋ねたいけど、貴方なら壊せるかしら?」

「確かに壊せる。けど直接壊したらトリガー反応で本部に見つかるかもしれない……」

「それは不味いわね。いくら協力的とはいえ、後ろ盾なしのまま貴方を本部に伝えたら討伐隊が出されるリスクがあるもの」

「木虎も俺は近界民なのに庇うんだな…」

「これは白亜先輩からの受け入りだけど……

貴方は本来なら助ける必要のない三門中学校の生徒を守ってくれた。命をかけて近界民と戦い市民を守る者は誰が何と言おうとボーダーの一員よ。私はボーダーの一員である限りは貴方の味方になるわ」

「ッフ、そうだな」

 

修は木虎の言葉に納得して思い出す。かつて修も師匠から同じことを言われたからだ。

 

「木虎も修も面倒見の鬼だな」

「残念ながら私は違うわ。私は貴方が実績を出したからこそ動いただけ、無償で助けたりするのは三雲くんくらいよ」

「ほうほう、よく分かってますな……」

「妙なところで理解されても困るんだが…」

 

木虎と遊真の納得に修が突っ込んだ。そして遊真のお目付役だというレプリカという存在からの提案で自爆モードになったイルガーなら人のいない場所に落とせばトリガー反応を出さずに済むことを知る。

 

こうして役割分担は決まった。

修はグラスホッパーでイルガーの一体を担当して上空で破壊する。

そして木虎はもう一体のイルガーを攻撃して自爆モードまで追い込み、そのイルガーを遊真の黒トリガーで人のいない場所まで引っ張って落とすということになった。

 

そして三人が行動して無事にイルガー二体を難なく倒すことに成功したのだった。




ニュータイプの木虎と修のせいでスルスルいくなぁと感じました。

因みに白亜の三弟子は原作開始時点で全員がA級上位クラスです。木虎も修との相性が悪いだけで更に戦闘力に磨きかかっています。原作のラービットくらいなら無傷で倒せる程には成長しています。

第二次大規模侵攻でのランバネイン戦のタイトルは?

  • 空飛ぶゴリラを撃ち落とす日
  • 雷の羽を撃ち落とす流星一条
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