Mobile Suit Gundam MUV-LUV G-ALTERNATIVE 作:武者ジバニャン
それとですが、この作品にはマブラヴのストーリー内の原作時系列、設定などを無視したり改変したりする部分があります。人によってはかなり好き嫌いが分かれると思いますが、ご了承ください。
以前の作品であるMUV-LUV G-ALTERNATIVE Sad five of manから話を使い回したりしますので、それも含めてよろしくお願いいたします。
イメージOP「閉ざされた世界/劇場版機動戦士ガンダム00」
イメージED「signs ~朔月一夜~/マブラヴ オルタネイティヴ トータル・イクリプス
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前回、日本上陸をしたBETA。その奴らに対し日本帝国は徹底した防衛線を敢行。
しかしBETAの無限とも言える物量と、BETAと並走する台風のせいでまともな防衛準備が侭ならず、九州、四国、中国までもがことごくBETAに蹂躙され、一千万以上の人間が無残に皆殺しにされてしまった。
そしてBETAはそのまま北進。戦火は日本人の愛する古き良き都にして、日本帝国の中心である首都京都にまで迫った。
唯依たち訓練生たちはこれに合わせて早くに繰り上がりでの任官を果たして、嵐山の仮設補給基地に配備されることとなった。
しかしBETAの侵攻はとうとう唯依たちが居る嵐山仮設補給基地にまで迫ってきた。
そして彼女たちの初陣の時が幕を開け、彼女たちに死の8分が迫りつつある。
=
私たちは今、戦域に向かって高度を低く飛行している。
その途中、嵐山基地に撤退しようとしていた戦術機...撃震が火に包まれていた。恐らく、飛行中背後から光線級のレーザーを喰らってやられたのだろう。
唯依「...」
私は敬礼をし、哀悼の意を示した。志摩子たちも私と同じように敬礼を取っている。
今日一日だけでも数えきれない人々の命が奪われている。
なのに、自分の眼の前で亡くなった人にここまで感傷的になるのは身勝手だろう。それでもこうしなくてはいられない....。
でないとここまで戦っていた彼らに失礼であるし、その死を無碍にするものである。
私がそんな事を考えていると、網膜モニターに如月中尉からの通信が飛び込む。
如月中尉「突出した中隊規模のBETA郡は予測進路を進行中。総数約220。先頭は突撃級。後続に要撃級。光線級は最後尾だ」
見ていてください。父様、母様。お二人の想いに答えられるよう、全力を尽くします!
唯依「熱量が高い―――あの光線級が....あそこに!」
如月中尉「いいか、基本に忠実にやれ。目玉野郎は真っ先に潰す!熱源センサーだけじゃない、気象データーも重要だ。特に居場所を教えてくれる光線属種積乱雲は絶対に見逃すな!
奴らは味方撃ちをしないからな、敵を盾にして肉薄し、擂り潰してやれ!」
唯依「了解!!」
ファング中隊「了解!!」
如月中尉「隊形は扇三型。第三小隊、光線級の漸減に集中。山城少尉、砲撃支援の実力、証明してみせろっ!!」
上総「ファング3了解!!」
如月中尉「私の第一小隊はその直援。たかってくる小型種共を蹴散らす!!」
中隊衛士たち「「「「第一小隊了解!!」」」」
如月中尉「篁率いる第二小隊は前面に展開。大型種の掃討を主とし敵の死骸で防壁を構築、適宜遊撃!―――篁少尉ッ、突撃前衛長の名に泥を塗るなよっ!!」
唯依「ファング2了解!!」
如月中尉「後退する残存部隊と増援が防衛線を再構築するまでの辛抱だ。基地の支援砲撃に当たるな―――末代の恥だぞっ!!」
唯依「了解!!」
如月中尉「よし―――以降、各機兵器使用自由ッ!!」
ファング中隊「「「「了解!!」」」」」
辛抱か。如月中尉にとってはそれが本音だと思う。武家の中尉なのに新任中隊の指揮をさせられているんだから...。
それでも中尉は責任を果たそうとされている。私たちにあれこれ考えさせないように威勢が良い言い回しをしているのがその証拠。
そうしていると既に戦闘区域に入った。私は志摩子たちに指定座標に向かうべく指示を出した。
唯依「目標W-271、第二小隊、続けッ!!」
安芸「了解!!」
志摩子「了解!!」
和泉「了解!!」
私は、志摩子たちと共に指定座標にたどり着く。
唯依「第二小隊、指定座標に到達!兵装展開。別命あるまで現座標にて待機せよ!!」
安芸「了解!!」
志摩子「了解!!」
和泉「了解!!」
正面向こうを見ると、基地側からの砲撃を眼に映った。これが本物の面制圧...嵐山基地砲撃陣地からのだ。
来たんだ....とうとう来たんだ―――本物の戦場に....!私は操縦桿を握る力が籠っていく。
唯依「....」
安芸「....」
志摩子「....」
和泉「......」
無言になる私たち。まだ二分も経っていない。もう何十分も待機しているような気がするのに。安芸は落ち着かない。和泉はしきりに襟首を触ってるけど....暑い?いや強化装備を着ているのにそんなことはあり得ない。
私は彼女のバイタルチェックした、しかし彼女のバイタルは問題ない。だとしたらストレスが原因の反復行動...?だけど事前処置で感情の起伏は押さえられてるけど、受けるストレスが無くなるわけじゃない...。
なら何のなの?しかし直ぐにその原因に気づいた。
唯依「あれは!?」
和泉の首には恋人の顔写真が写っているペンダントがぶら下がっている。
唯依「(和泉!なんでそれを...!?)」
管制ユニット内への私物持ち込みは禁止、斯衛の軍規は知ってるはずじゃない!私は彼女に内心信じられないと言った気持ちを抱いてしまう。確かに彼女の境遇には同情する、けど....。
唯依「(どうしよう....。注意すべきなのか...?いや)」
今はやめておこう。和泉だって厳罰も覚悟の上で持ち込んでるはず。『死の8分』...そして斯衛の使命...今この瞬間、和泉たちに圧し掛かって重い現実だ。そしてそれはどっちも、和泉たちが本来背負うはずがないもの...。
戦うための理由を持たない彼女たちが、何処かでそれと折り合いを付けるためには何かが必要なんだろう。
唯依「....」
幸い私には篁の矜持...戦う理由がある。そして私にとって何も替えられない、子供の頃から掲げてきた揺るぎないもの。もしそれが私の心になかったとしたら、事前処置だけで私の精神はきっと保たないと思う。
仮に『死の8分』を超えてこの戦いから生還しても、処置が解除された瞬間、精神に変調を来す可能性だって十分あるんだ。
だったら小隊長として今は何も言うべきじゃない。言ったところでプラスにはならないから。
自分を鼓舞できるものなら、公でも私でも、戦う理由なんて何でもいいんだ。
内々に注意するにしろ、今やるべきことじゃない。生還出来たら基地に戻ってからでも十分なんだ。
集中すると共に、敵の接近を知らせる警報が鳴る。敵性移動体接近!!11時の方向!!数十秒後には有効射程内に侵入してくる!?
唯依「波形照合.....突撃級12、要撃級8。小型種不明!データリンク共有......!砲弾選択、装弾筒付翼安定徹甲弾!!」
安芸「砲弾選択完了!!」
唯依「こちらファング2、エンゲージオフェンシブ!!」
如月中尉「ファング1了解。近接戦闘は斯衛の本分ッ!!異星起源種どもを血祭りにあげろっ!!」
唯依「了解!!」
気づけば、志摩子たちが緊張している。こんな時、なんて声をかければいいのか....
安芸「ファング8よりファング2」
唯依「え?安芸?」
安芸は緊張の表情から打って変って、笑顔で言った。
安芸「いつものアレ、頼むよ。アレ、私たちの基本なんだからさ」
安芸に続き、志摩子や和泉までも微笑で私を見ていた。そうだ!私たちは何があっても私たちのやり方でこの戦場で戦えばきっと乗り越えていける。
彼女たちも私と同じ想いだと思う。確かに初の実戦は怖いと思う、けどここで私たちがやらなければならないんだ!私は一呼吸してから大きく声を発した。
唯依「第二小隊ッ、おかっちませえっ!!!」
安芸・志摩子・和泉「「「かしこまあッ!!」」」
これが私たちの基本、山百合魂だ。
その時....
新たに警報が鳴る。そう、突撃級が射程距離に来たのだ。
私は冷静に照準を合わせて....
唯依「――ファング2、フォックス1ッ!!」
志摩子「――ファング5、フォックス1ッ!!」
安芸「――ファング8、フォックス1ッ!!」
和泉「――ファング11、フォックス1ッ!!」
私たちの瑞鶴が装備している87式突撃砲の、120mm砲の砲撃で先頭の突撃級に命中した。しかし、後続から次々に出てくる。
今度は36mm突撃砲を使用する。
唯依「突撃級は構わないでッ!!敵を引き付けるのよっ!!」
安芸「そうそう、基本に忠実にね!」
突撃級の装甲殻を抜くのは、120mm一発じゃあ不可能。
でもその分、光線級の遮蔽物には使える。十分引き付けてから欄坐させて、積み上げるんだ....!
唯依「第二小隊、装弾っ!!」
弾薬補給の為、野営に設置されている弾薬補給コンテナに向かう。
如月中尉「了解、第一小隊前へッ!!」
私たちが補給の為、下がる代わりに如月中尉の第一小隊が前に出る。
すぐさまコンテナに着いて、補給を終わらせる。
唯依「第二小隊、補給完了っ!!」
如月中尉「よし!再び陣形を守れ!」
唯依「了解!!」
36mmで引き続きBETAを蹴散らす。
志摩子「うううう~~ッ!!」
安芸「てやああッ!!」
和泉「ハアアアア―――ッ!!」
唯依「第二小隊、装弾ッ!!」
距離が縮まっている。この弾倉を使い切ったら一度後方に距離をとって、陣形を組み直して...。
安芸「ファング8装弾完了!!」
和泉「ファング11装弾完了!!」
志摩子「ファング5ッ!ごめんなさいッ!街路樹がっ――副腕にっ!!」
唯依「慌てないでファング5、大丈―――っ!?」
突撃級接近っ!?彼我距離470―――10秒で接触する―――!!
志摩子「ファッ、ファング5装弾完―――」
如月中尉「第一小隊後退!!――第二小隊、前へッ!!」
唯依「了解!!」
被照射危険地帯確認....クリア!いける―――ッ!!
唯依「戦術高度50ッ!対突撃級戦闘ォ―――今ッ!!」
私たちは突っ込んできた突撃級の真上にジャンプし、そこから空中に留まりながら、
奴らの背後から36mmをお見舞いした。
唯依「はあああああああッ!!」
いけるっ!!
安芸「こちらファング8!二匹やった!」
その時、私たちは志摩子が取り残されてる事に気づかなかった。
志摩子「うっううううッ!!」
唯依「志摩子ッ!?」
志摩子は取り乱し、120mm砲を乱射、一匹仕留めたが後続から来る奴らにはカスリもしていない。
如月中尉「無駄弾を使うな馬鹿者ッ!!はやく跳べえッ!!」
志摩子「うっうっううううううっ....!!!」
しかし、冷静になれない志摩子は120mmを乱射するが、とうとう弾が底へ尽きた。
如月中尉「チッ!!」
志摩子「あううッ!!」
遠隔カウンターショック!?如月中尉か!
唯依「訓練を思い出して!志摩子っ!!」
志摩子「はっ!」
唯依「突撃級は?」
志摩子「わっ、分かってる!!」
跳躍ユニット起動させて突撃級を飛び越え、私と他の機体と共に、突撃級の弱点である装甲殻がない部分に36mm弾をお見舞いした。
助かった...!後続に届く前に始末できた....!
志摩子「やったっ!!」
だけど彼女は突撃級の撃破に気が緩み高度を上げてしまい.....。
如月中尉「高度を下げろッ!!馬鹿者ォ!!」
ッ!?――しまったッ!!!
唯依「高すぎる!志摩子!」
志摩子「えっ?....これ.....なんだ...っけ」
唯依「志摩子、はや―――ッ!?」
だが私の言葉よりも早く、志摩子の瑞鶴の胸部にレーザーが直撃し一瞬で彼女の機体は爆散した...。目の前で親友である志摩子が....。
安芸「志摩子おぉッ!!?」
上総「......」
和泉「そんな!!」
眼の前で志摩子が落とされた....眼の前で.....。
如月中尉「自分の眼で見て納得したなら、分かったかッ!?寝ぼけてなきゃ、初期照射受けてからでも十分回避出来るっ!!―――戦友が残した戦訓、無駄にするな!!」
唯依「.....」
私は目の前で親友が死んだことに動揺してしまうが、しかし今涙を流して嗚咽することはできない。
でなければ私も死んでしまうからだ。私は操縦桿を強く握りしめて涙を堪えた。志摩子の分まで戦い続けないといけないのだ。
その最中、如月中尉は、山城さんに対して光線級の狙撃を指示。
如月中尉「山城少尉!光線級を狙撃しろ!」
上総「了解!!―――ファング3、照射源補足!距離、約13000ッ!!」
如月中尉「第一・第二は全周囲警戒ッ!ファング3に敵を近づかせるなっ!!」
唯依「了解!!」
ファング中隊「「「「了解!!」」」」
その間、山城さんが狙撃態勢に入った。彼女の網膜投影によるロックオンマーカーに既に光線級を捉えている。
上総「モード選択――長距離狙撃....!!」
山城さんの瑞鶴が、光線級を捉えた。
上総「ファング3、フォックス1ッ!!」
和泉「凄い....13キロ先の小型種を....!?」
如月中尉「いちいち関心している場合か馬鹿者ッ――来るぞ!!第三小隊は目ん玉狩りを続けろっ!!」
上総「ファング3了解!!」
=
上総は黙々と光線級を仕留め続けた。彼女の狙撃によって既に十数体以上の光線級を殲滅できた。
これに最後の一匹が彼女の瑞鶴に狙いを定めていた。しかし...
上総「.....お生憎さま」
すかさず彼女は即座に引き金を引き、最後の光線級を撃ちぬいた。何とかこの周辺の光線級は駆逐できた。
だがここまでの戦いで、既に四機の瑞鶴がやられている。
突撃級の突進に潰された者、要撃級を仕留めたと勘違いし、近づいた瞬間にやられた者など、それらの者たちの命が儚く散らしている。
うら若き少女たちが次々に死んでいる中、如月中尉が声を発した。
如月中尉「ファング1より中隊各機ッ!敵第三波の掃討完了ッ―――後方3000、野戦補給場まで後退するぞっ!!」
中隊衛士たち「「「「了解!!」」」」
安芸「はあ、はあ、はあ....ッ!」
その中で安芸は未だBETAの駆逐に集中していた。すると彼女の眼の前に要撃級が現れる。
安芸「要撃級っ!!」
未だに戦場には大型種が6割を占めていた。安芸に唯衣が通信で呼びかける。
唯依「三機連携よファング8っ!二機じゃないことをもっと意識して!!」
安芸「了解!!」
安芸は74式長刀を用いて、近寄る要撃級を次々と切り裂いて行く。
安芸「くそぉ!!まだかよっ!!」
如月中尉「敵に引っ張られているぞ第二小隊ッ!――陣形の規定距離を忘れるなッ!!」
安芸「くそおっ!!基本から外れるっ!!あとちょっとなのにっ!!」
87式突撃砲に持ち替え、要撃級を撃ちぬく。しかし、両腕部の装甲殻に阻まれて直撃できなかった。
逆に装甲殻の一撃で安芸の瑞鶴が吹っ飛ばされた。
安芸「くうっ!!」
唯依「安芸っ!!」
安芸の瑞鶴に覆いかぶさる要撃級、その瞬間、彼女の口から血が噴き出る。
要撃級の装甲殻の再度の一撃が、管制ユニットに直撃。胸部装甲に押しつぶされ、安芸の内蔵が破裂した。
意識が朦朧とした中、彼女は呟いた。
安芸「はは....、やったんだ.....嬉し......そっか、こういう....気持ち....。制限されない......は...ははっ...」
そんな安芸に唯衣は呼びかける。
唯依「安芸っ!!しっかりしてっ!!」
安芸「唯衣........やったよ.....」
唯依「...え?」
安芸「...やったよ.....死の8分........生き残れ...た.......よ.....」
そのまま、彼女のバイタルが消えたのを、唯衣と和泉の網膜モニターで確認した。まとも親友を失ってしまった。
唯依「....安芸」
和泉「安芸ぃっ!!!!」
二人も大切な親友を失った彼女たちに突き付けられる非情な現実。しかし彼女の死を嘆く暇を与えてくれることはなく、非情な現実は彼女たちを追い込む。
中隊衛士「っ!?12時方向に新たなBETA郡確認!真っ直ぐこちらに進んで来ます!!」
如月中尉「なに!?く!!」
新たに出現したBETAの群れに、如月中尉は表情を苦虫をかみ締めたような表情を浮べ、彼女は嵐山基地に呼びかける。
如月中尉「こちらファング1!CP応答せよ!!―――ん!?どうした!?CP!!」
如月中尉の問いかけに返ってくるのは、ノイズのみであった。実は彼女たちが戦闘をしている最中、嵐山基地はBETAの奇襲を受けてしまい基地は全滅していたのだ。基地内部には既に大量のBETAがなだれ込み、基地内の職員たちは惨たらしく戦車級、兵士級に食い殺されてしまっていたのだ。
如月中尉「くっそ!!」
その事を察した如月中尉は、怒りを露にして操縦席を叩いた。そして一度冷静になって彼女は唯衣たちに命令を下す。
如月中尉「....全機、嵐山基地との通信が不通となった」
唯依「え!?」
上総「それって....」
如月中尉「恐らく既に嵐山基地は、敵によって全滅している可能性がある。故に我らは、これより撤退する」
苦渋の撤退命令...しかし現状それしかない、ここで戦闘をしても何の価値はなくなったのだ。この命令を聞いた唯衣たちは最早それを鵜呑みにするしかなかった。
唯依「.....了解!」
上総「了解!」
和泉「そんな...嫌よ!!」
和泉「和泉...」
上総「能登さん....」
和泉「私は....」
彼女は撤退を受け入れず涙を流していた。彼女は恋人を失っている、そればかりか親友までも亡くしたばかりだ。そんな中で基地が陥落したからここは撤退すると言われても今の彼女にそれを鵜吞みに出来る程の器量は持ち合わせていない、和泉はここに残って恋人と親友たちを殺した敵を一匹残らず倒すまで逃げないと頑固になってしまっている。
和泉「この!!この!!」
彼女の瑞鶴は長刀を振り回して一匹の要撃級をめった刺しにし続ける。最早冷静に物事を判断できない和泉、だがそんな彼女に唯衣が....。
唯依「仇は必ず、次討てるよ」
和泉「...ッ..唯衣...?」
唯依「必ず...きっと...だから和泉、今はその為にも退こう。ね?」
和泉「...ッ..グス....うん!!」
唯衣の言葉に彼女は涙を拭いて強く頷く。その様子を通信で聞いていた如月中尉は、唯衣に問いかける。
如月中尉「篁少尉、行けるか」
唯依「はい、行けます!」
如月中尉「うむ!ならば全機、
唯依たち「「「「「了解!!」」」」」
だがその瞬間.....。
上総「っ!!――光線警報!!」
如月中尉「何!?」
唯依「中尉!!」
やはり現実は、非情である...。
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唯衣たちが危機にいる中、前線となっている帝都では未だこちらでも戦闘は続いている。
此処、八幡防衛戦区でも何とか踏ん張って抵抗している部隊がある。しかしその防衛能力は最早風前の灯火と言っていいぐらいに脆弱で今にも崩れてしまう。
この場所には戦術機五個中隊が配備されてはいたが、圧倒的な物量の前に五個中隊の内四個中隊が既にBETAによって全滅してしまっている。
つまりこの戦線でまともに戦っているのは残り一個中隊のみなのである。
「くう!!」
「このままではあ!!」
「いやあ!!喰われたくないッ!!」
「取り乱さないでっ!!04!!しっかりしなさいっ!!」
「このままじゃあ食われる!!そんなの....」
一機が錯乱しながら36㎜突撃機関砲をBETAに目掛けて乱射しているが、死角から戦車級が数匹で襲いかかる。
「しまっ!!戦車級に取りつかれた!!助けてぇ―ッ!!!」
「04!!」
助けたくても他の部隊衛士たちも周りの要撃級などが行く手を阻んでいる所為で思うように助けにいけない。そうこうしていると戦車級が管制ユニットのハッチをこじ開け、中の女性衛士をその赤い大きな手で彼女を鷲掴んだ。
女性衛士はこれから自分が如何なる末路を辿るのか知っている所為か、泣き叫んで必死に戦車級の手を叩く。
「いやぁああああああああああああああーーーっ!!!!離してぇーーーっ!!!!食われるぅーーーっ!!!!!やああああああああああああああああああああああああああーーーっ!!!!」
戦車級が自身の戦術機の装甲すら噛み砕く強靭な口に女性衛士を持っていき、そして.....。
グシュ!グチャ...グチ..ムシャ...クチャクチャ...グシャッ...グシュ
怖気が走るこの世のものとは思えない程の咀嚼音が響く。目の前で仲間が食われたことに憤りを起こす者、次は自分だと思い震え恐怖に支配される者等々。このままではこの中隊も全滅してしまう。
一人の衛士が隊長に撤退を進言する。
「隊長ォ!!撤退命令をッ!!このままでは!!」
「ならんっ!!ここで護らねば帝都が滅びる。それだけは――「隊長ォ!!」――ッ!?」
部下に言い終わる前に、既に隊長機の目の前には要撃級が両腕の装甲殻を振り上げる所であった。
「(殺られるッ!!?)」
しかし...空から、一筋の閃光が要撃級の頭上から下までを撃ちぬいた。これに要撃級は焦げた肉の塊と成り果てる。
「何だ?何が?」
目の前で起きたことに理解できず、彼は混乱していた。
「ッ!!隊長ォ!!上を!!」
「ん!!あれは!?」
彼らが見上げたその先には....。
森羅「ヒュ~♪――命中ぅ♪」
宗陰「森羅、ふざけるな!」
睦城「これは...思っていたより酷いですね」
上空に居たのは...【Hi-ν】【ΞG】【FAZZ】【クロスボーンX1フルクロス】【ペーネロペー】....五体のガンダムのことであった。
宗陰「託未」
託未「分かっている。ハロ、ディーヴァから援護砲撃を掛けろ」
ハロ「ハロ!ハロ!発射準備!発射準備!」
託未の指示で、ディーヴァに居るハロが砲撃システムを起動させると共に強襲揚陸形態に変形し、甲板上の連装メガ粒子砲と船体上部のミサイルを発射態勢に入る。
その姿を地上から眼にした帝国軍衛士たちは驚愕する。
「空に、戦艦だとっ!!」
「凄い…」
託未「ハロ、撃て」
ハロ「了解!了解!発射!発射!」
ブリッジに居るハロの合図で、地上のBETAに一斉砲撃を開始した。この砲撃に対して光線級たちが一斉に反撃しようとディーヴァに向けて、レーザーを照射する。が……
ハロ「レーザー撹乱幕展開!レーザー撹乱幕展開!」
一斉に照射されたレーザーは、ディーヴァに直撃する事なく、新型装備であるレーザー撹乱幕に阻まれ無力化された。
この状況に只驚きしかない帝国軍衛士たち。
「何だ?―――いったい、あれは....」
「まさか...大陸での噂の....」
「うそ...じゃあアレが」
「謎の...戦術機たち...」
驚く帝国衛士たちを余所に、託未は宗陰たちに命令する。
託未「各機行くぞ、狩りの時間だ」
四人「「「「了解/分かった!/へいへい/分かりました」」」」
Hi-νが先頭を切り込んで早速BETAをビームサーベルで斬り捨てていく。その背後からΞガンダムとクロスボーンX1フルクロスが随伴し同じようにたたッ斬っていき、三機をフォローするかのようにFAZZとペーネロペーが火力で近寄るBETAの群れを消し炭にする。
彼らガンダムが現れたことで、戦況は一変した。
《推奨BGM:機動戦士ガンダムサンダーボルトBGM01 サンダーボルト・メインテーマ》
森羅「ヒャッハァ――ッ!!Let`s party―!!ハハハハハッ!!!オラオラオラオラァーッ!!!」
狂喜に溺れるかのように、森羅のフルクロスが荒ぶりながらムラマサブラスターを振りかざして、近くのBETAの群れを次々にバラバラしていく。次にシザーアンカーを用いて捕まえた突撃級を利用してそれをハンマー代わりに、横薙ぎに振るって要撃級の集団を磨り潰していく。
森羅「アハハハハハッ!!!チョーイイネェ!!たまんねぇなぁ!!こういう四面楚歌の中での戦いは大好きなんだよぉーッ!!!オラァ!!乱れ打つぜぇーッ!!」
ピーコックスマッシャーを乱れ打つ。その乱射で多くの戦車級がミンチになっていく。
蒼真「死ねよ!お前らッ!!!ハハッ♪」
ΞGの得意とする高速機動による戦いを展開していく。縦横無尽に動きまわりながらファンネル・ミサイルを発射。
対応など不可避といえる攻撃にあれよあれよと黒焦げた肉の破片がそこら中に散らばっていく。
蒼真「さぁ!もっと殺ろうかぁ!!ハハッ!!」
気づけば虚ろな目で語る蒼真は、腕部ミサイルランチャー、脚部ミサイルランチャー、膝部大型ミサイルランチャーで眼前の敵を一掃しながら直ぐ別の敵を潰して回る。
睦城「敵確認、これより殲滅に入ります」
既に近寄ってきた戦車級の群れに、ハイパー・ビームサーベルで横薙ぎに薙ぎ払い、そのままスプレーミサイルランチャーで後続の敵を粉砕する。
睦城「残敵を確認。一網打尽にする」
ハイメガ・キャノンとハイパー・メガ・カノンの一斉射で敵を全て屠った。
宗陰「駆逐する」
宗陰のペーネロペーがメガ粒子砲で射程に入ってきた突撃級や要撃級を消し炭にし、近づく戦車級の群れを本体であるオデュッセウスガンダムが装備している特殊なショットガン・サンドバレルで駆逐していく。
その時、光線級がレーザーを照射してくるが、フライト・フォームに変形して音速のスピードでこれを全て回避してからのファンネルミサイルで全滅にしてみせる。
この四機の活躍に隊長衛士は呆然として呟く。
「俺たちは、夢を見ているのか?」
だが彼らはもっと凄い物を垣間見ることになる。新たに要塞級の群れが現れる。
「要塞級!?しかも数が!!ん?!」
託未「フッ、楽しいな....戦争は」
託未のHi-νは左マニュピレーターにニューハイパーバズーカ、右マニュピレーターにビームサーベルを持って縦横無尽に吶喊し、現れた要塞級を次々と玉砕していく。
そのままフィンファンネルを飛ばして四方八方から要塞級たちのデカイ体を射抜き撃破する。
託未「死ね」
地面擦れ擦れで、高速飛行を行いながら要塞級たちの10本の足をビームサーベルで切り裂く。そのせいで奴らはバランスを保てずに次々に倒れてしまう。そこを止めとしてハイパー・メガ・バズーカー・ランチャーとフィンファンネルの一斉射で消滅させる。
そして気づけば辺りのBETA郡は全て全滅し、代わりにそこに立っていたのは紅蓮の炎に焼かれている帝都を背にして立つ、ギラギラとツインアイを輝かす五体のガンダムたちであった。
そのガンダムたちの姿を見て、衛士たちは恐る恐る口を開いた。
「こんな...あっさりと...」
「噓だろ...」
「夢なの...?」
目の前で起きたことに信じられなかったが、しかし現実にBETAを殲滅してみせたガンダムたちの姿を見てこれは現実だと自覚させられる。
目の前に居るのは紛れもない事実なのだ。
託未「ここの敵は殲滅したな。次行くぞ」
四人『『『『了解』』』』
五機のガンダムたちはそのまま別の戦線へと向かう為、飛翔していく。それをただ黙って見届けた衛士たちは啞然としている。その中で隊長衛士は呟いた。
「白い...悪魔」
この混乱と化してしまった京都内での生き残っている帝国軍の無線には「白い悪魔が現れた」と言う報告が多数上がるのだった。
今回はここまで。感想などありましたら、どうぞ。