Mobile Suit Gundam MUV-LUV G-ALTERNATIVE 作:武者ジバニャン
それとですが、この作品にはマブラヴのストーリー内の原作時系列、設定などを無視したり改変したりする部分があります。
それも含めてよろしくお願いいたします。
イメージOP1「閉ざされた世界/劇場版機動戦士ガンダム00」
イメージED1「signs ~朔月一夜~/マブラヴ オルタネイティヴ トータル・イクリプス
」
前回、親友である安芸と志摩子を失い、挙句自分たちが守るべき嵐山仮設補給基地すらBETAに陥落させられ撤退を余儀なくされた唯依たち。しかし撤退中に如月中尉やファング中隊の仲間たちが次々に死に絶え、残されたのは唯依と上総、和泉の三人のみ。
そんな彼女たちが二条城の本陣へと向かう為、京都市内を移動中BETAに襲われ命の危機に直面する。
そこへ山百合女子衛士訓練学校で唯依たちの教官を務めた真田 晃蔵と戦場で再会することに。
彼から京都駅にある物質集積場に向かい補給を受けるように言われ、彼女たちは京都駅に向かう、しかし途中9体の要塞級と遭遇して墜落されてしまい三人は離れ離れになる。
唯依はバラバラになった二人を見つけるべく半壊した瑞鶴から降りて二人を探し始めた、だがその道中、京都駅と集積場は既に小型種である兵士級によって制圧されてしまったことと、親友である能登和泉までもが兵士級に捕食されたことを知る。
目の前で和泉が捕食されてパニックになりかけたが、強化装備の自律圧力注射による戦術薬物に落ち着きを取り戻して彼女の死を静かに目を伏せた。
そんな時に山城上総からの通信が入り、彼女の生存を知ると唯依は上総の下へと向かうのだった。
一方、京都中のBETAというBETAを狩り回っていた託未たちは偶然BETAに追い詰められていた真田の不知火壱型丙を見つけこれを助けた。
すると京都駅にもBETAの反応があると知ると、真田は頼みとばかりに唯依たちの救出を托未たちに依頼する。
これを彼は受け入れると満足そうに真田は息を引き取った。そうして救出のために京都駅に託未たち五人は向かう。
残酷な現実に苦しむ少女、篁 唯衣。
残酷な現実でしか生きられない男、新月 託未。
2人の再会が間もなくである。
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『たか...むら.....さん』
私のインカムに響く山城さんの掠れた声。それを聞いて彼女はきっと身動きができないのではと思い、急いで駆け走る。
唯依「はぁ...はぁ...はぁ...!」
すると聞きなれた音が辺りに響いてきた。
唯依「....この音!」
アイドリング・モードのジェットだ!山城さんの機体の跳躍ユニットが生きている!
唯依「待っていて山城さん!今行くから!」
私は逸る気持ちを落ち着かせる余裕などなく急いで彼女の下へひた走る。このままでは彼女も小型種の餌食になる――それだけは絶対にさせないっ!!
目の前に東広場に通じる階段が見えてきた、あれを登れば山城さんが...!
唯依「東広場...!」
ここも志摩子たちとの楽しかった思い出の場所...くっ!!私は...誰も助けられなかった....。
だからこそ――山城さんだけは....!!私は階段を登り始めた、一段一段と確実に踏みしめる。
上総『きて....は.....ダメ....たか...むら..さん』
唯依「直ぐ近くにいるから!もう少し待っ....」
その時ここで漸くデータリンクが繋がった!距離が近くなって――
唯依「え...?」
私のモニターに彼女の状態を示すステータスデータが流れてきた。それを見て私は驚愕し、目を大きく開く。
右頭頂部:挫傷、左前腕:粉砕骨折、左大腿部:骨折、右肩:脱臼、生命維持装置:作動中、作戦継続:不可、状態:生命に危険性在り
どうして...?機体は健在なのに...強化装備を着ているのに!?なんで....なんでこんなに――ッ!?
更に山城さんの機体ステータスの情報もこっちに転送された。右跳躍ユニット:基部破損:機能低下、右跳躍ユニット:制御機構破損:作戦遂行不適切、左主脚:破損、右主脚:破損、左主椀:破損、胸部管制ブロック:破損:兵装担架埋没圧壊。
兵装担架が....機体がめり込んで...?!まさか――墜落の衝撃で....!?
上総『.....かむ...ら....さん....こ..な....で....』
唯依「――今助けに行くからッ!!」
私は一気に階段を走り上る。
唯依「――ッ!?」
駆けあがった私の視界に映りこんだものに愕然とした。
唯依「タ...戦車級....ッ!?」
彼女の瑞鶴に貪るように戦車級が取り囲んでいた。
唯依「なんで...?今まで....居なかったのに....」
ここまでの道のりで戦車級が居た痕跡なんて一つもなかった...!なのにそれがどうしてこんな...!何処から...!!
唯依「どうし...て...?」
私は目の前の光景を見て信じられない気持ちと、ここで漸く恐怖心が自身の身体から動く力を奪って行くのが分かる。そんな一歩も前に出ることが出来なくなった私に山城さんからの通信が聞こえる。
上総『....たか...む...ら...さん.....』
唯依「山...城.....さん.....』
恐怖で思うように彼女の名をハッキリと言えなかった。そんな私に彼女は――
上総『.....逃げ......て.....来ては........ダメ.......』
私はもうどうしていいか分からず、彼女に機体を動かすよう促した。先ほど流れてきた機体情報を見て知っているのに私は声を張り上げる。
唯依「早く....早く....そいつらを振り払ってッ!!」
そんなこと出来るわけない...そんなの....分かってるのにッ――!でも!片腕さえ使えれば....とっくに拳銃で自決してもおかしくない状況なのに....。
そんな絶望的状況なのに――山城さんは...ずっと私を遠ざけようとして...!?
唯依「なんで....なんでそんなことが...?」
山城さん....その冷静さは....事前処置や戦術薬物のせいなの...?それとも....生まれ持った....!?
上総『あなたはッ....生き延びて...戦うのよ......篁.....さん...ッ』
唯依「山城....さん.....」
上総『はや.....く....なにを......やってますのッ......』
唯依「っ!?....や.....ま...しろ.....さ......」
彼女は苦痛に塗れながらも私の方をしっかりと見据えて見つめていた。私は目の焦点が定まらず、震えてしまっていた。
上総「どうして....きて...しまったの....?」
最早もう、冷静な判断など無理だった。パニックを引き起こしかねなかった私に強化装備が再び自律圧力注射を投与する。でも...いやだ!これ以上は――っ!!!
唯依「ぁ....ぁあ....ぁああ.....」
もうこれ以上――遠くから眺めるのは――いや、だっ...。
唯依「....ぅ....ぅう....ッ!!」
圧力注射を打たれても私の憤りは収まらなかった。
唯依「――うぅぅぅぅぅうううぅぅぅ.....ッ!!!!」
私は怒りに任せて91式騎兵銃を戦車級に乱射した。そんなのハッキリ言って無駄なのは頭では理解しても感情では納得はせず、ただ山城さんまでもが危ないと思うと居ても立っても居られなかった。
上総「.....ばか.....ッ.....やめ...なさい.....篁..さ...ッ....!」
彼女は私の行為に辞めるよう苦し気に訴えるが、それでも私は止まらない。
上総「.....お願い.....やめ.....て.....ッ.....!」
唯依「――ッ!!」
私はそれでも止まらず撃ち続けたが91式騎兵銃の弾が切れたので、残った96式拳銃で撃とうしたその時――
上総「やめてよおっ!!!!」
唯依「ッ!?」
上総「弾を....無駄にしないで.....」
唯依「.....え......ッ?」
彼女の言っている意味が分からなかった....。
上総「お願い....撃って.....」
唯依「山城さん...?」
上総「私を....撃って......」
唯依「――ッ....!!」
彼女のその言葉に私は躊躇い震えてしまう。それでも彼女は私に必死に訴える。
上総「.....撃ってよ.....お願い.....だから.....!」
もう圧力注射を打たれても私の思考は定まらない...。
上総「.....餌になる前に.....ッ.......殺してよぉッ!!!」
唯依「あ.....ああ......あ....あああ......ッ......!」
上総「――ッ....お願い撃って、早くッ!!撃ってよぉぉッッ!!!こいつらに食われる前に――ッ!!!!
撃ってよぉッッ!!!唯依いいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!」
唯依「――ッ!!」
彼女の言葉に私はどうしたらいいか分からず、銃口を山城さんに向けた....。
唯依「――うわあああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁッッッ!!!!」
私は何度も...何度も...何度も...何度も...銃を撃った。
唯依「――うわああっ!!うわああっ!!!うわああああああっ!!!」
一発一発撃つ度に、死んでしまった者たちの顔が思い浮かぶ。
唯依「あああああああああ.....ああ.....あ......あ.......」
でもそれら全て山城さんに当たることはなかった。
唯依「うあああぁぁ.....ああ...ぁ....」
最後の弾を無くなり、もう何も出来なくなった私に....山城さんは穏やかに笑っていた。だがそんな彼女に戦車級が手を伸ばして鷲掴み――
上総「きゃあ!」
唯依「山城さん!!...ッ!は、離せ!!!」
私にも戦車級の一体が近寄りその大きな手で鷲掴んできた。山城さんは身体が重傷な為に満足に抵抗出来ず、私も何とか抵抗しようとするが何分相手が小型種とは言え、人間より大きいことには変わらない程の存在だ。
そしてそれぞれが今にも戦車級の大きな口が迫りつつある瞬間――
上総「ゆ...唯依いいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
唯依「山城さん...か、上総ぁ...上総ああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
こんな時に私はようやく彼女の名前を呼べた。彼女もそれに嬉しく思っているようで、こんな時でなければもっと嬉しかった...。ゆっくりとじわじわと私たちを食い殺そうとその大きな口が迫りつつある。
それを見て私の涙は悔し涙へと変わっていた。
唯依「ッ....ぅ....ッ!」
悔しい....。本当に悔しい....。
誰一人救うことも出来ず、帝都防衛に何も貢献できないまま....。自決もできずに、半端な死に様を晒すしかないなんて....。
唯依「私は....一体何の為に.....」
何の為に生まれてきたのか....。やっと彼女の名前を呼べたのに...。己の矜持すら...!私は....貫けないんだ....!
唯依「お許しください...父様...母様...お二人の想いに....応えられないんばかりか....次期当主でありながら....篁の名を軽んじた者に....何ら示すこともなく果てる無能を....お詫び申し上げます....」
戦車級の全てを噛み砕く歯が迫ってきた。もうダメなんだ――
唯依「......さようなら..」
その時だった。轟音と共に天上が突如崩れ落ち、激しい土煙が漂う。いきなりのことに私は動揺して何が起きたのか分からず怯えてしまう。
だが妙なことはそれだけではなかった。先ほどまで私たちを食おうとしていた戦車級が突如その土煙がする方へと身体を向けて、私と上総を地面に落とした。
上総「きゃあ!」
唯依「ウゥッッ!!...ッ!上総!大丈夫!?」
私は痛みを我慢して上総のそばまで駆け寄り、無事を安んじる。
上総「ぇ...えぇ、大丈夫ですわ...ありがとう」
唯依「でも一体なにが....」
他の戦車級たちもその大きな土煙の方向一点に集中し、しかも後ずさりを始めていた。
唯依「ぇ...な....なに?」
上総「な、なんですの...?」
私もその土煙の方へ目を向ける。すると薄々と土煙の中に“何か”居ることに気づいた。大きさからして戦術機っぽく見える。でも――
上総「せ、戦術機...?」
唯依「――違う....何か違う...何かが....」
そしてその煙が晴れた瞬間、私は驚愕する。そこには...そこに居たのは――
唯依「ぁ....あれは....?」
そこには、見たこともない
あの姿...まるで――
唯依「白い....悪魔....」
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唯依「アレは...一体...」
突然現れたHi-νガンダムに唯衣と上総は言葉を無くしてしまう。そんな二人を託未はコクピット内から見下ろす。
託未「....」
しかし何故彼が彼女たちを見つけられることが出来たのか、時間は遡る。
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託未は今、宗陰たちと共に京都駅に向かっている。そしてその目的地である駅に近づきつつあった。
宗陰「託未、目的地が見えた。通信で呼びかけるか?」
託未「――そうだな宗陰。京都駅駐留部隊きこえるか?繰り返す....」
しかし彼のオープン回線には一切応答せず、返ってくるのはノイズのみである。
蒼真「全然返事がないね?」
森羅「もう全員、今頃小型種どものディナーになってんじゃあねぇの?」
睦城「そうですね。正直もう手遅れですよ、無駄です」
確かに二人の言うとおりだ。だが何故か、京都駅に近づきつつあるにつれて何か捨て置くには駄目だと感じる。
これは彼らの強化人間としてのニュータイプ能力がそう感じさせているのだ。
森羅「まぁでも正直捨て置くってのも、感覚的に気持ち悪いんだよな」
蒼真「森羅も?」
森羅「お前もか。陸城もか?」
睦城「ええ。こういう時、自分が強化人間なのが嫌なんですよ」
託未「....」
彼らの気持ちは良く分かるであろう。宗陰も口にはしないが恐らく感じていると托未自身も気づいている。
その時、託未の通信に声が入ってきた。
??『山城さん、待ってて!直ぐに行くから!』
托未「ん?」
宗陰「託未」
託未「ああ。陸城、通信の周波数を探知し居所を見つけろ」
睦城「了解です」
聞こえてきた少女の声、これを耳にした際托未は何処かで聞いたと感じた。彼がそう思考している中、睦城が先ほど流れた通信周波数の出所を調べていたがその結果が直ぐに出た。
睦城「託未、周波数の元の居所が分かりました。そちらにマップを送ります」
託未「ああ。宗陰、俺と来い」
宗陰「わかった」
託未「三人は外で待機してろ、敵が来たら知らせろ」
三人「「「へいへい/了解です/わかった」」」
そのまま彼は機体を飛ばしていく。そして周波数の元の奴が居る場所の天井を破壊して突入すると、そこには多くの戦車級と、二人の人間が居た。
託未「――宗陰、生存者を確認した、早くこっちに来い。戦車級が密集してて、まるでゴキブリがウロチョロしているみたいだ」
宗陰「......行く気削ぐような事を言うな」
若干おふざけを入れながら托未は宗陰を呼ぶ、その後直ぐに彼のペーネロペーが降りてきた。
託未「時間を無駄にしたくない。直ぐに蹴散らすぞ!」
宗陰「了解だ、託未」
次の瞬間、Hi-νガンダムは迫りくる戦車級の群れの間合いに入り込んでビームサーベルを振りかざし斬りつぶし、ペーネロペーはメガ粒子砲で次々に殲滅していく。
その托未たちの攻撃に多くの戦車級どもの肉片が吹き飛ぶ。そんな中一体の戦車級が俺のHi-νの背後から襲いかかる、っがその前に宗陰のペーネロペーがビームサーベルで真っ二つにするのだった。
宗陰「託未の背後を取れると思うな、虫けらどもが」
託未「流石だ宗陰。俺の背中をお前に任せると安心するな」
宗陰「フッ。まぁ、無茶をする大将のお陰でこっちは大変だかな」
託未「よし数は減った。宗陰、俺は救出行動に入る。雑魚の相手は暫く頼む」
宗陰「了解」
託未は2人の方の元へ近寄りオープンチャンネルで呼びかけながら、Hi-νの右のマニピュレーターを近づける。
託未「乗れっ!!」
唯依「っ!!」
唯依は動揺していたが急ぎ上総を背負いHi-νの手の上に乗る。
Hi-νのコクピット内に入り込んだ唯依は全天周囲モニターに驚き、戸惑いながら託未に声を掛ける。
唯依「あ、あの!」
託未「いいか!!その怪我人を後ろのサブシートに座らせろ!それが終わったら、俺の膝の上で大人しくしてろ。あと騒ぐな。いいな!?」
唯依「え!?膝の上!?で、でも...わ、分かりました!」
彼女は託未の言葉に動揺したが、言われた通りに彼女は上総を托未が座ってるリニアシートの背後に設営されたサブシートに座らせ、自身は彼の膝の上に乗る。終始頬を赤くしてはいたのだが託未はそんなことなど無視した。
しかし彼の機体のコクピットに簡易シートを一つしか設営できない。戦闘中頭を打つ可能性があるなので、やむを得なしと彼女には我慢してもらうしかないと判断する。
などと考えている託未を余所に、先ほどまでずっと托未の膝の上に乗って顔を赤くしていた唯依が、コクピットの周囲の景色に驚きながら辺りを見渡していた。
唯依「周りの景色が全て見えるなんて...網膜投影を無しで...」
託未「ここから脱出する。口を閉じていろ」
唯依「は、はい!!」
などと託未が注意を促している所、宗陰が通信で準備オッケーだと知らせてきた。
宗陰「託未、雑魚の掃除は終わったぞ」
託未「了解だ」
そこへ睦城からの知らせが舞い込んでくる。
睦城「託未、要塞級が10体、ゆっくりとこっちへ接近中」
託未「了解だ!ではこれから接近しつつある要塞級を殲滅すると同時に、この戦域を脱出する」
宗陰「了解だ!」
そのまま駅構内の天上から抜け出したHi-νとペーネロペーはそのままFAZZやフルクロス、ΞGと合流する。
森羅「お!来たなぁ?早くコイツらを潰そうぜ」
託未「ああ!行くぞ!」
四人「「「「了解!!」」」」
五体のガンダムは目の前に居るBETAを駆逐すべく迎撃行動に入る。唯依は目の前に複数の要塞級を見て顔を青くする。あの巨大で一体だけでも脅威である要塞級が複数で襲いくることに戦慄してしまう。
唯依「要塞級っ!?」
託未「迂闊に口を開くな!!舌を噛み千切る事になるぞ!死にたくなかったらしっかり俺の首にしがみついてろッ!」
唯依「は、はい!」
彼女は託未に言われるがまま彼の首に腕を回して必死にしがみついている。その際に強化装備越しではあるが彼女の発育した胸が托未の身体に密着してしまうが、彼はそれを無視して要塞級の集団に攻撃をかける。
彼のHI-νはそれぞれ要塞級の触角を回避しながら、ビームサーベルとフィンファンネルで翻弄し、終いにはハイパー・メガ・バズーカー・ランチャーを最大出力で5匹の要塞級と小型種が巣くっていた京都駅目掛けて発射し、物の見事に京都駅があった場所は塵一つも残らず、跡形もなく全て消え去った。
唯依「す、凄い...あれだけの要塞級を」
彼女が何やら驚いているがそんなの気にせず宗陰たちの方へ目を向けると、あちらも既に終わらせていた。彼らが対した要塞級たちも物言わぬ屍となり果てていた。
宗陰「託未、こちらも終わらせた」
託未「了解だ。離脱するぞ」
四人「「「「了解」」」」
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私は現在助けてくれた人の膝の上で横抱きの形で座っている。
唯依「あ、あの...その...」
託未「どうした」
唯依「い、いえ///その///」
自分を助けてくれた人の姿をチラチラと見てしまう。何故だか、この人の事を何処かで会った気がする...そう思えた。
唯依「――あ、あの!」
託未「....ん?」
彼が私の声に反応してくれた。
唯依「あの!助けてくださって、ありがとうございます!」
ヘルメットの所為か顔が見えないけど、やっぱり初めて会った気がしない。
託未「――ああ」
それにこの声...やっぱり何処かで...私は恐る恐る聞いてみた。
唯依「あの!」
託未「今度は何だ」
唯依「――あの、以前何処かでお会いしませんでしたか?」
託未「....」
彼は黙ってしまった、聞いてはいけなかったかなぁ...。
すると彼が喋り出す。
託未「...もしかしたら、以前京都で、俺とぶつかった娘か?」
ッ!!?、やっぱり!!
唯依「は、はいっ!そうです!あ、あの時は、ごめんなさい!」
私は驚きとそして嬉しさが湧きあがっていた。あの時の男の人が、今、私の眼の前にいるんだ!
託未「別に、あれはもう終わったことだろう。俺は気にしていないし、どうでもいい」
唯依「そう、ですか...」
どうでもいい、か。何かかなしいなあ....。
託未「――だが...」
唯依「え?」
託未「だが...今回、無事でなによりだ」
唯依「ッ///」
託未「どうした」
唯依「い、いえ!ありがとうございます!」
無事でなによりだ、か....嬉しい///
託未「?」
私は恥ずかしくなり、話を変えることにした。
唯依「あの!貴方たちは、もしかしたら大陸でBETA相手に猛威を奮っていた白い悪魔と呼ばれる方々ですか?」
私の問いにあの人は何食わぬ顔で答えてくれた。
託未「大陸で暴れ回っていたのは確かだし、そして白い悪魔たちと呼ばれていることも事実だ」
唯依「....ッ」
やっぱり本当に居たんだ...白い悪魔。先ほどの圧倒的な機体性能――あんなの戦術機では絶対に無理だ。たった五機であれだけの敵を数分で蹴散らすなんて...。
これ程の機体...どうやって作られたんだろう。まさかアメリカの新兵器?でもそれにしてはこの方の仲間と思われる人が「托未」って呼んでた。
名前からして私たちと同じ日本人、だよね....。米国が新型に自分たちが嫌いな日本人を乗せるだろうか...?なら帝国軍が極秘で?それなら九州での戦いで投入されてないのは可笑しい、なら国連の?でもそれも違うかも...国連の実態は米国の傀儡だと以前父様や巌谷のおじ様が言っていた。そんな国連がこれ程の機体を作ったしても米国に強制で接収されてるに違いないし、やはり日本人であるのも米国は決して許容しないと思う。なら国連でもない...?じゃあ何なの?これ程の機体を持っているこの人たちは...この人は、何者なの...?
私は彼の事が凄く気になる...。あの時、彼とぶつかって際に見た彼の何処か悲しげな瞳がずっと気になっていた。私はこの人が知りたい...!
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ガンダム五機は現在燃え広がっている京都上空を飛行している。その最中、宗陰から通信で話しかけてくる。
宗陰『そっちの怪我人はどうだ?悪いのか...?』
託未「早急に治療が必要のようだ」
宗陰『じゃあどうする?』
託未「ディーヴァで治療させる」
宗陰『いいのか?』
託未「近くに帝国軍は居ないし、何処かに降ろしてBETAの残留個体に遭遇しないとも限らないからな」
宗陰『了解』
冷静に話す託未の後ろで上総は仮設シートで朦朧としながらも意識を保っている。怪我の為にまだハッキリとはしてないが、目の前に居る男が自分を助けてくれたということは認識していた。
彼女は頭がぼんやりした様子でありながらも、托未にゆっくりと話しかける。
上総「あの....ありがと..う...ございます...」
託未「気にするな。とりあえず今は休め。今から君を俺たちの船に連れていき、そこで治療する」
上総「ゆ...い..は...ッ?」
唯依「上総!」
上総「よか...った...無事なの...ね...?」
彼女の顔を見てか、上総は安心した気持ちを抱く。彼女はゆっくりと仮設シートの背凭れに身を預けて休むのだった。
一方、宗陰にディーヴァに戻ると伝えた託未は唯依にも一緒に来て貰う旨を伝える。
託未「すまないが、君たちには一緒に来て貰う。怪我しているようだしな」
唯依「え?何処にですか...?」
託未「俺たちの....船だ」
上総「ふ..ね...?」
すると彼女はモニターに映るある大きな物体が見える。最初あれが何のか分からなかったが、それに近づきづつあるとその大きさに唯依は驚愕する。
唯依「えっ!?あれ...戦艦...ッ!?空に浮いて――ッ!!」
彼女が驚くのも束の間、ディーヴァのカタパルトハッチが開く。五体のガンダムは一機づつハッチに入り、次々にハンガーに機体を固定する。
するとコクピットハッチが開いた。
託未「...降りるぞ」
唯依「えっ!?あ...は、はいっ!」
彼に促されるまま唯依は彼の手に引かれてゆっくりとコクピットから出ると、そこは見たこともない場所...自分たちが知っている格納庫とは違って綺麗な出来で作られた格納庫に見とれる。
彼女は託未に抱きかかえられたまま、降機用の自動フットロープで降りてきた。そんな彼女と託未が降りたのを確認して、モビルスーツのメンテナンス用のサブロボットに搭載したペットロボットのハロたちが現れ、唯依は再び動揺する。
唯依「な、なに!?」
託未「ハロ、ガンダムの整備を頼む」
ハロたち「「「「「了解!了解!」」」」」
唯依「.....す、凄い...」
サブロボットに搭載されたハロたちは速やかに五体のガンダムの整備に取り掛かった。唯依は機械が機械を整備している光景を見て啞然としてしまっている。
今の人類でこれ程の技術はきっと不可能と彼女は思う、こんなテクノロジーを彼らはどうやって手に入れてるのか全く分からないと内心嘆く。
そんな彼女を放って託未はもう一度Hi-νガンダムのコクピットに戻って上総を背負って降りてくる。それを待機していた別のハロたち――医療専門のチームであるメディカルハロたちに、移動用医療ベッドに寝かせた上総の治療を命じる。
託未「お前たちはその娘の治療を頼むぞ」
ハロたち「「「「「了解!了解!」」」」」
上総が連れてかれるのを気付いた唯依は託未に彼女をどうする気なのか問い詰める。
唯依「あの!上総をどうするんですか!?」
託未「彼女は重傷の身だ。だからこの艦の医務室で治療することにする」
宗陰「安心しろ、ここの医療設備はどの国の物よりもハイテクだ」
唯依「そう、ですか....」
彼女はそれを聞いて肩の力が抜けて顔を下へと向いた。そこへ自分の肩に誰かの手が乗った感触がし、誰かと見るとそれは託未だった。彼は無表情であったが手の温もりはとても暖かいものであった。そんな彼が唯依にこう言ったのだ。
託未「...お前たちは、あの地獄から無事に生還できた。死の8分を...超えることが出来たんだ...だから――
もう、泣いていい」
唯依「......ッ」
その無表情であるにもかかわらず、その言葉は手の温もり以上に暖かい。それによって彼女の心の中で張りつめていた何かが切れる音がした。すると彼女の瞳から一粒の雫が流れ、それが次第に大粒の涙へと変わり―――
唯依「....ッぅ...ウウッ....ぁ..ああああ...あ゛あ゛ああああああああああぁぁぁぁぁぁーーーっ...ッ!!」
膝が崩れ落ち、流してしまった涙をもう止められない、彼女はもうただ大声で泣くしか出来なかった。これを見て宗陰たち四人の誰も鬱陶しそうにはせず只々憐れみのような感情で、唯依を見つめるしかなかった。
託未「....」
唯依「あ゛ああああっ!!!.....あ゛ぁッ!!....ヒグッ!....あ..ぅ...ぁうあああー!!」
自分の目の前で未だ泣き続ける唯依。託未は静かに身を屈めて彼女を抱きしめて、無表情で優しく彼女の背中を摩ってやった。彼に抱きしめられていることに泣いてる所為で認識してないが、彼女は無意識に彼の背中に手を回して抱きつき泣き続けた....。
託未「....」
唯依「...すぅ....すぅ....」
宗陰「寝たのか...」
託未「ああ...そうみたいだ」
蒼真「緊張の糸が切れたのかもかな?」
森羅「多分な....」
泣き終えた彼女は直ぐに眠りについた、これまでの想像絶する出来事に本来なら精神を病んでも仕方ない程のものだった。しかし彼女はここまで戦術薬物のおかげでそれを何とか耐え抜いてやっとのことで生き抜くことが出来たのだ。だがもうこれ以上は流石に同じようには無理だろう。
その彼女の様子を見ていて蒼真は口を開いた。
蒼真「学徒兵である彼女があそこまでの地獄を味わって、よく精神を壊れずにすんだもんだねぇ」
睦城「戦術薬物のお陰でしょう。しかし...」
託未「どうした?」
睦城「恐らくあの様子では過剰摂取した可能性があります。暫し彼女もここで療養させるべきでは?」
睦城の話に托未は静かに頷いてこれに賛成した。
託未「そうだな....分かった」
すると託未は床に寝てしまっている唯依をお姫様抱っこみたく抱き上げる。
託未「医務室に運ぶ。何かあったら呼べ」
宗陰「分かった」
託未は自身の腕の中で静かに眠りつく唯依をそのまま医務室へと運んでいく。この帝都の戦いももうすぐ佳境に迫りつつある。
そして次回、この地獄のような帝都防衛の戦いはいよいよ終局へと向かっていく...。
今回はここまで。感想などありましたら、どうぞ。読んで頂きありがとうございます。