Mobile Suit Gundam MUV-LUV G-ALTERNATIVE   作:武者ジバニャン

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この作品は台本形式で進行します。台本形式が嫌いな人はブラウザバックを推奨します。

それとですが、この作品にはマブラヴのストーリー内の原作時系列、設定などを無視したり改変したり、ご都合主義な部分があります。

それも含めてよろしくお願いいたします。


イメージOP1「閉ざされた世界/劇場版機動戦士ガンダム00」

イメージED1「signs ~朔月一夜~/マブラヴ オルタネイティヴ トータル・イクリプス



第十四話 横浜防衛戦

《あらすじ》

 

托未たちに保護された唯依は医務室で目を覚ます。彼女はそこで自分の知る今の人類が持つ技術とはかけ離れたテクノロジーに啞然とする。

戦場から帰還した托未を出迎えた彼女は彼らと共に食事することに、その中で彼らの正体を知りたいと唯依は尋ね、返ってきた答えが異世界から来たという彼女からすれば非現実的なものであった。

余りの返答に最初受け入れることが出来ず、反論するが彼らが持つ異常なテクノロジーの差に全て否定することが出来なかった。

突然すぎることにどう受け入れるべきか悩む唯依に、托未が彼なりに気遣ってから互いに名前を教え合った。

 

今回の話はあの帝都の戦いから二週間が過ぎた頃から始まる。

 

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帝都・新首都東京・篁邸

 

ここ第二首都として機能を始めた東京。その新たな帝都に建てられた篁邸に一台の車が置かれている。

その車の持ち主は今、篁邸の客間で難しい顔で家主を待っていた。その人物は日本帝国陸軍技術廠・第一開発局副部長・巌谷榮二中佐である、彼は今回私用で篁邸に訪れていた。

 

巌谷「....」

 

彼が居る客間の襖が開き、誰か入ってきた。

 

「遅くなってすまない、榮二」

 

巌谷「いや気にするな――裕唯」

 

彼は篁裕唯――篁家の現当主であり、82式戦術歩行戦闘機 (TSF-TYPE82/F-4J改)瑞鶴と

74式近接戦闘長刀の開発に携わって帝国に貢献し続けてきた斯衛軍第一兵器開発局局長を務める技術士官で、唯依の母栴納の夫、榮二の親友で、そして唯依の実の父親である。

 

榮二「それで....どうなんだ?捜索の結果は」

 

裕唯「....」

 

榮二の問いに裕唯は静かにゆっくりと首を横に振りながら、沈痛な面持ちで答えた。

 

裕唯「....いや」

 

榮二「そう、か....」

 

親友からの返答に榮二もまた重苦しさを漂わせる顔を見せる。二人が居る客間に重い空気が漂い、2人とも押し黙ってしまう。

榮二の問いの中身は紛れもなく裕唯と栴納の娘――唯依の安否のことである。帝国軍や斯衛軍では現在彼女の扱いはMIA――戦闘中行方不明の意味である。だがBETA大戦下での行方不明は戦死扱いと同義であり、まともに戦場から単独で帰って来れる可能性など万に一つもない。

それ故に捜索しても無惨な姿で見つけることがあるくらいで、残された者たちもそれに対して希望を抱くことはしない。

BETAとの戦いは正に地獄、絶望しかない。恐らく唯依も――っと内心一瞬抱いてしまう時もある。

しかしそれでも裕唯と栴納、そして榮二は尚も彼女の生還を信じている。

 

裕唯「....だが諦めてはいけない」

 

巌谷「そうだな」

 

裕唯「それに...」

 

巌谷「ん?」

 

裕唯「もしかしたら――きっと“誰かに”救われてるかもしれない」

 

そう希望を諦めない意思を表して言葉に乗せた。そんな裕唯の姿に自分も諦めないと意思を固め巌谷は頷く。

すると巌谷はある話をし始める。

 

巌谷「“彼らが”...もしかしたら」

 

裕唯「“彼ら”――それはもしや...」

 

巌谷「嗚呼、例の白い悪魔たちだ」

 

裕唯「彼らか...」

 

裕唯も白い悪魔たち――つまり五体のガンダムを知っていた。圧倒的な力を有するガンダムの性能を映像で垣間見た裕唯は、その実態を調べたいとも思ったくらいだ。

 

巌谷「嗚呼、京都の戦いで彼らに助けられた将兵は数え切れない。もしかしたら唯依ちゃんも....」

 

裕唯「保護、されている...か」

 

巌谷「かもな」

 

裕唯「....」

 

すると裕唯は腕を組んで何か考えこみ始めた。巌谷は気になり問い掛ける。

 

巌谷「どうした?裕唯」

 

裕唯「――彼らは、一体何が目的で戦っているのだろうなぁ...」

 

巌谷「それは...」

 

裕唯の言葉に巌谷は口を噤んでしまう。托未たちが何を以て戦ってかなど全く知る由もない....。

 

 

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一方、こちらでは....。

 

第2首都東京・新帝都城江戸城

 

謁見の間に政威大将軍である煌武院悠陽と、彼女の他に斯衛軍最高司令官・紅蓮醒三郎、斯衛に属する斑鳩崇継、月詠真耶。更に崇継と同じ五摂家の一つである崇宰家のうら若き女性当主であり、斯衛の鬼姫とも呼ばれる程の実力を持つ青い髪の女性――崇宰恭子がその場に座していた。

その他にも斯衛の上層部の人間が多数居り、今回将軍である悠陽に呼ばれ参集したが未だにその内容は知らない。だが紅蓮と真耶の二人はそれが何であるかは知っている。真耶は崇継と共に京都にてガンダムチームと接触している為、紅蓮は悠陽共に崇継から前以てガンダムたちと接触したとの報告を受けているからなのである。

 

悠陽「皆さん、今日集まってくださってありがとうございます。今回崇継殿から重要なお話があります」

 

恭子「(崇継から...?)」

 

恭子は訝しげに崇継を見据え、その他の者たちも彼を見つめる。周囲の視線が己に刺さる中、崇継は座したまま礼をしてその話をし始めた。

 

崇継「私は京都で殿を務めた際、あるものたちと接触をしました」

 

恭子「(あるものたち...?)」

 

崇継は徐に顔を上げて告げる。

 

崇継「それは大陸でBETAで相手に猛威を奮い、此度BETAの日本蹂躙の魔の手から我らを救ってくれた5体の白い悪魔たちです!」

 

恭子「なっ?!」

 

崇継の発言に恭子だけでなくこの場に参列している斯衛の主な者たちも、これには驚き場はざわざわと波立てて騒ぎ出した。

確かに帝国を彼ら白い悪魔ことガンダムたちが救ってくれたことは周知している。しかしまさか五摂家の人間である崇継自らが彼らと接触していたなどとは露も知らなかった。

騒ぐ者たちにその場を一瞬で静める程の怒号が響く...。

 

紅蓮「渇っ!!!!静まらんかぁーっ!!!」

 

紅蓮の一喝で騒ぎ立てていた周囲の者たちは口を閉じて押し黙る。紅蓮は周りを睨むようにしながら部屋全てを見渡して「うむ、続けよ」と言って崇継に話の続きをするよう促して、崇継は紅蓮に礼をしてから再び話し始める。

 

崇継「私は彼らのリーダーとおぼしき男と話しました。その男は我らと同じ日本人だったのです」

 

「なんと!?日本人!?」

 

「しかしあれほどの機体、一体どうやって...」

 

崇継「それにつきましては深く聞けませんでした...しかしですが、彼らが操る機体ーーーあれは戦術機ではないようです」

 

紅蓮「して、あれが戦術機ではないとしたら何と呼ぶのだ?」

 

崇継「はっ!彼らが申すに...モビルスーツと呼ばれるものらしいのです」

 

恭子「モビルスーツ...」

 

崇継「モビルスーツ...彼らが操る機体の総称で、固有名はガンダムと言っておりました」

 

恭子「ガンダム....」

 

崇継の説明に出てきたガンダムの名を口ずさむ恭子。そんな中紅蓮は崇継に尋ねる。

 

紅蓮「崇継よ。お主彼奴らのリーダーの男と話したならば、その男の名ーー聞いているのか?」

 

紅蓮の問いに誰もが息を飲む。これに崇継は笑みを浮かべて真耶の方へと視線を向けて言う。

 

崇継「それに関して、月詠大尉が聞いております」

 

悠陽「真耶が?」

 

真耶「ハッ!私がその男の名を聞きました」

 

彼女は深々と頭を下げ、ゆっくりと顔を上げてから皆に教える。

 

真耶「その男の名はーー新月託未。この男が恐らく白い悪魔たちのリーダーだと思われます」

 

恭子「新月....」

 

悠陽「託未....」

 

その名前を聞いて口ずさむ恭子と悠陽、二人とも何かを感じたのかその名前の人物が気になった。そんな中崇継は立ち上げり、部屋全体に聞こえるように声を大にして伝える。

 

崇継「必ずや!彼らは再び我らに接触してくれるでしょう!!彼らと袂を共にすることが今後の日本の為と思われます!!」

 

大々的に嘯く崇継。しかし彼の姿勢に誰も否と言わず、それぞれ顔を見合わしてヒソヒソと話している。

紅蓮が咳き込み場の雑音を描き消して崇継に言う。

 

紅蓮「崇継よ。熱くなる気持ちわからんでもない、ないがーー殿下の御前だと言うことを忘れてはならんぞ」

 

紅蓮の言葉にハッとなり面目もありませんと謝罪して座るのだった。

そのようなやり取りを見て悠陽はクスクスと笑みを溢す。すると表情が変わり口を開いた。

 

悠陽「崇継殿のお申したいこと、私は理解しております。かの方々のお力ーー是非とも必要だと言うこと分かっております」

 

悠陽の言葉に皆誰もが耳を傾けて悠然と語る彼女の姿に「おお」と口に漏らし看取れてしまう。しかし彼女の心の底からの願いはこの先、もうすぐ叶う。

 

 

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その頃、彼らはと言うと....。

 

強襲揚陸艦ディーヴァ・艦内食堂

 

唯依「あとはこれを....」

 

現在託未たちに保護されている篁唯依は、すこしでも彼らにお礼がしたいと黒ハロに食堂内の厨房機器の扱い方を教わりながら、今ガンダムのメンテナンスをしている彼らの為の昼食を用意しているところである。因みにエゥーゴ女性士官服の上に、黒ハロが作成したピンクのエプロンを身体に掛けて料理している。

真新しい環境で何かをするのは大変ではあるが、しかし新鮮でもあって苦に感じず生き生きとして、笑みを浮かべて取り組んでいる。

 

唯依「よし!出来た!黒ハロ、託未さんたちにご飯出来たって伝えて」

 

黒ハロ「リョウカイ リョウカイ」

 

彼女のお願いを聞いて黒ハロの目が光り、艦内音声のシステムに使い格納庫に居る託未たちに知らせる。

 

黒ハロ『メシ メシ デキタ デキタ ハヤクコイ ハヤクシロ』

 

託未「ん?時間か。おいお前ら、飯だぞ」

 

四人「「「「分かった|へいへーい|おー!昼飯!りょーかい|分かりました」」」」

 

ツナギ姿の五人はそのまま食堂に向かう。食堂に入った彼らはその美味しそうな匂いを鼻で嗅ぐといい顔をし、頬を緩めていく。

 

蒼真「おー!美味そうな匂いー」

 

森羅「何作ったんだぁ?」

 

唯依「皆さんお疲れ様です!お昼ご飯は、豚バラ丼です!これで作業も頑張ってください!」

 

蒼真・森羅「「おー!」」

 

テーブルに用意された献立に蒼真と森羅は歓喜していた。睦城は静かに笑みを溢して彼女が作った料理の匂いを堪能し、宗陰は目の前の料理を見て彼女を称賛する。

 

宗陰「凄いな。ここまでやるとは....」

 

唯依「ふふ、よく家で母や婆やに料理を教わっていたので....」

 

宗陰にそう説明してはいるが、彼女の視線は託未に向けられている。

自分が作った料理を彼はお気に召すか気になっている様子。

当の本人は何も意に介さず静かに席に着き、箸を持ちながら手を合わせて四人に席に座るよう促す。

 

託未「突っ立てないで喰うぞ、飯を」

 

彼の言葉に四人は座る。そして唯依には"在ること"を言う。

 

託未「医務室の"友達"が待ってるだろ、早く飯を持って行ってやるといい」

 

唯依「はい!託未さん!行ってきます!」

 

彼女は別に作った料理と自分が食べる料理をキッチン用のカートに乗せて、そのまま食堂を後にして医務室に向かう。

部屋にたどり着いた彼女はそのまま扉をくぐり、笑顔で中にいる人物に話しかける。

 

唯依「上総!今食事を持ってきたわ!」

 

上総「ありがとう、唯依」

 

出迎えたのは今まで医療用ポッドの中で眠っていた山城上総、彼女はようやくポッドから解放されて今では医療用ベッドで安静にしている身だ。

そんな彼女に唯依は持ってきた料理を用意するため、ベッドテーブルを用意する。

テーブルの準備もオッケーと彼女はカートから料理を移していく。

 

上総「ありがとう唯依」

 

唯依「気にしないで。それより一緒に食べましょ!」

 

上総「えぇ、そうね。ではいただきますわ」

 

彼女に用意された料理は鶏だし卵おかゆ...ご飯に鶏ガラスープが染みて後入れ溶き卵がふわふわの簡単お粥だ。その美味しさが溢れる料理に上総は見とれてしまうのだった。

 

上総「美味しそうですわね」

 

唯依「食べてみて!」

 

上総「ええ...はむ」

 

唯依「どう?」

 

彼女が味を伺うと上総は笑顔で美味しいと答えてくれた。

 

上総「美味しいですわ」

 

唯依「良かったぁ。じゃあ私もいただきます!」

 

二人は楽しい食事の時間を満喫する。そして互いに料理を食べ終わり唯依が食器をカートに戻していく中、上総は真剣な面持ちで彼女に話しかける。

 

上総「唯依」

 

唯依「ん?なに?」

 

上総「ここは...この船は、本当に異世界から来たものなんですの?」

 

唯依は手に持っていた頷き答えた。

 

唯依「うん。ここは、と言うかあの人たちは本当に異世界からの来訪者みたい...」

 

上総「そう....」

 

上総は視線を下に向けて、静かに黙ってしまった。彼女がこのディーヴァとそして託未たち五人が異世界から来たと知ったのは、上総がポッドから解放されてから2日が経った時のことである。

その時はあまりに突飛なことだった為に理解出来ず、彼女は託未と宗陰に食い掛かってしまった。

だがその時、まだポッドから出たばかりで体力もまだ戻ってないにも関わらず無理に起き上がったが、自分の身体を支えることが出来ずそのままベッドから落ちてしまう所だった。

だがそこを宗陰が颯爽と動き、彼女を抱き止めたと言う事があった。

余談だが、その時上総は自分を抱き止めた宗陰を見て頬を赤くしたという。

 

唯依「あの人たちは本当に凄い...機体もそうだけど――」

 

上総「衛士としての力量も...?」

 

唯依「うん。私たちを救ってくれた時、要塞級十体をたった五機で難なく倒したの」

 

唯依の話に上総は驚く。その時彼女の意識は朦朧としていたのでハッキリとしていなかったのだ無理もない。

 

上総「それほどの実力なのね」

 

唯依「ええ、彼らは凄いわ」

 

その時だった、艦内に警報がけたたましく鳴り響く。突然のことに2人は何事か動揺してしまう。

 

上総「これはっ!?」

 

唯依「な、なに!?」

 

唯依は医務室から出て状況を確かめる、するとハロたちが騒ぎながら何処かに向かっていた。唯依はハロたちに何事かを尋ねる。

 

唯依「何があったの!?」

 

ハロたちは一斉に唯依に振り向き答えた。

 

ハロ「「「「BETA!BETA!出現!出現!」」」」

 

唯依「え!?」

 

BETA出現の報――またも再び日本が奴らに蹂躙されようとしていた。彼女は居ても立っても居られない、その気持ちで走り出してブリッジに向かった。

 

 

 

 

 

 

ディーヴァのブリッジで託未たちは大型モニターに映るアプロディアの話を聞いていた、その内容は当然今回のBETA出現の報である。

 

アプロディア『今回現れたのは建設された佐渡島ハイヴからのBETA群です。南下し本土上陸を果たして速い速度で、今は横浜を侵攻しています』

 

託未「規模は?」

 

アプロディア『個体数は――三万』

 

宗陰「帝国軍もヤバいな」

 

睦城「この個体数では流石に...」

 

蒼真「戦力も再編してる最中だもんなぁ、帝国」

 

森羅「っで?どうする?これ」

 

っとその時だった、五人の頭の中に多くの人の感情が雪崩れこんできたのだ。余りの多さに託未たちは苦し気に顔を顰める。

 

宗陰「こ、これは...!」

 

蒼真「人の断末魔――阿鼻叫喚、している....」

 

森羅「逃げ惑って....」

 

睦城「喰われている....」

 

託未「....」

 

 

 

 

助けてくれぇ...!

 

いやぁっ!!こっちに来ないでぇ――ッ!!!!

 

お母さんっ!!助けてぇ!!

 

やめてぇ!!この子だけはぁーっ!!!

 

死にたくないよぉーーーーっ!!!!!!!!

 

託未・宗陰・睦城・蒼真・森羅「「「「「......」」」」」

 

彼らの慟哭――その悲痛な叫びは強化人間たる五人の頭に響き、訴えるかのように聞こえる。このままでは横浜の人々は確実にBETAに食われる――これは確実にそうなる、それを彼らは瞬時に頭で理解する。しかし彼らの包む空気が氷のように冷たい。誰だってこのようなものを感じて気持ちが良いなどとある筈がない。

その時、ブリッジの扉が唯依が声を荒げて入ってきたのだ。

 

唯依「BETAがっ!来たって本当ですか!?」

 

現れた彼女の声に振り向き五人の視線が突き刺さる。今までこの艦で過ごしてきた中で、彼らのこんな眼をするのを初めて見た唯依はたじろいでしまう。

そんなでも彼女は何とか五人のプレッシャーに怯えながらも、今回のBETA出現の報を確かめる。

 

唯依「べ、BETAが――」

 

託未「...嗚呼、出現した。俺たちはこれより出撃する為に横浜に艦を向ける」

 

唯依「....ッ」

 

唯依はこれからこの艦が戦場になる横浜に向かうことに表情を強張らせて固唾を飲む。きっと横浜も京都と同じ地獄と化しているであろう。

頭の中で京都での出来事がフラッシュバックしてしまう。その所為か、身体が震えてしまう。無理もないだろう、彼女は衛士どころか兵士として未だに幼い――そんな彼女に惨劇となっているであろう戦場に向かうとなれば、この艦も敵の攻撃に晒されるのは必至であろう。

そんな彼女の肩に託未が手を乗せてきた、唯依は彼の顔を見ると無表情のままの託未が口にする。

 

託未「お前はこの艦に居ろ」

 

唯依「え!?」

 

託未「此処にいれば少なくとも安全だ」

 

唯依「....ッ」

 

確かにこのディーヴァの艦内に居れば少なくとも命の保証はされるだろう。しかし衛士としての道を志した彼女の心中が「果たしてそれでいいのか?」っと自問する。

しかし自分がここで出来ることは少ない、ここは彼の言う通りにすべきと判断して落ち込みながらも了承した。

 

唯依「わかり...ました」

 

託未「嗚呼、それでいい」

 

唯依「...ッ」

 

唯依は大人しくブリッジから出ていった。それを見届けた託未は四人に振り向き、出撃を促す。

 

託未「行くぞ。横浜に向かう」

 

四人「「「「了解」」」」

 

 

 

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横浜

 

佐渡島ハイヴから南下し、再び本土上陸を果たしたBETAは、現在横浜を襲撃している。しかし急なBETA侵攻の為に横浜の人々の避難が未だに完了していない。帝国軍は彼らの背後を守らんと決死の思いで迫るBETAを相手に、戦力を再編され展開した戦術機部隊や、海軍の艦艇の砲撃による迎撃を与え奮闘している。

 

『無理はするな!数を減らすことを集中するんだ!エレメントを崩すな!!』

 

『『『『了解』』』』

 

現在の帝国軍は先の本土防衛でかなりの数を減ってしまっていた。しかし今は一人でも多くの者を救わんと帝国軍はここで何とかして踏ん張らないといけないと考えている。

 

『弾幕を張り続けろ!!近寄らせるな!!』

 

『仲間とのデータリンクは必ず確認して!射線が被ってないか気をつけるのよ!!』

 

『『『了解』』』』

 

しかし多勢に無勢、奴らは数を武器とし何者にも恐れを抱くことのない強靭な生命を持つ。幾ら弾幕を張ろうとそれは焼け石に水というものだろう、そうこうしているうちに一機、また一機とやられていく...。

 

隊長ォオオおおおおおおおおーーー!!たすけ...ぐぇええああああああ嗚呼アアアア―――ッ!!!!!!

 

喰われるぅーーーっ!!!!死ぬゥーーッ!!ぐうぎゃぁあああああああああああああーーッ!!!

 

と部下の断末魔が衛士たちのインカムに木霊する。仲間の無情な死に顔を歪ませるもその死を嘆く暇はない、今はBETAからこの横浜を守ることを専念しないといけないからだ。

そこへ日本斯衛軍の第09戦術機大隊・ハイドラ大隊が援軍として駆けつける、その部隊の指揮官は五摂家の崇宰恭子である。

帝都城にて会談があった際にBETA上陸の報を聞き、彼女はすぐに悠陽に出撃したいとの旨を訴える。それに二つ返事で良しとし、更に彼女の部隊に斯衛軍で開発したばかりの新型戦術機―― 00式戦術歩行戦闘機・武御雷と、武御雷専用の強化装備・零式衛士強化装備を装備して今回の防衛戦に加わる。

 

恭子「いいか!これより我々は横浜に侵攻中の敵を駆逐する!隊形・楔参型隊形!!」

 

『『『『了解』』』』

 

ハイドラの全女性衛士たちが彼女の指示に従って部隊陣形を取る。各自突撃砲を構えて敵群を迎え撃つのだった。

 

恭子「(唯依....貴方は必ず生きているって信じてるッ、だから...)だから!!今は!!行くぞ!!異星起源種どもをここで駆逐するっ!!!」

 

『『『『了解』』』』

 

武御雷の性能は正に獅子奮迅の如く、または顕現した雷神が如くの奮戦である。ずば抜けた機動性と運動性能を持ち74式近接長刀や36㎜、120㎜を駆使して近寄るBETAを根こそぎ屠っていく。

恭子は戦いながら戦域のデータリンクを確認する。見たところ帝国軍のほうは被害はそこまで多くはないが、しかし少ないと言うわけではない。

これではまた戦線が瓦解するのは自明。ならば彼女は斯衛、そして五摂家の立場を使い戦線で何とか奮戦している帝国軍部隊に命じた。

 

恭子「こちら、斯衛軍第09戦術機大隊・指揮官の崇宰恭子大尉だ」

 

『斯衛軍!?』

 

『五摂家の方だ!!』

 

恭子「このままでは各隊ともに弾薬や推進剤が底を尽きてしまうだろう。そこでだ、我ら斯衛軍がこの場を足止めを試みる。

各部隊はその隙に後方で補給を」

 

『こちら帝国軍第12大隊。貴官の申し出を受諾します』

 

恭子「感謝します。急いでいただきたい」

 

『了解』

 

帝国軍部隊が補給の為に一時戦線を後退した。データリンクで見届けた彼女は顔を引き締めて戦いに集中しながら、部下に檄を飛ばす。

 

恭子「ハイドラ1より大隊各機に告ぐ!このまま防御に徹して迫る敵を打ち返す!帝国軍部隊が態勢を立て直すまでの辛抱だ!」

 

『『『了解!!』』』』

 

恭子の操る青い武御雷が長刀を携えて向かってくる要撃級五体膾切りにしてみせる。続いて彼女の随伴する白い武御雷四機と黄色い武御雷二機が、彼女を援護すべく突撃砲やら同じく長刀などで迫りくる突撃級やら戦車級などを駆逐してみせる。

他の大隊機も見事な連携で迫るBETAに、何するものぞ!とばかりに攻めてきては押し返し叩いて見せる。

このまま敵を押し潰せば必ず勝てる!そう意気込み雄叫びを挙げながら敵を倒していく恭子。

 

恭子「ヌッ!オオオオォォォォォーーッ!!!!」

 

片や突撃砲、片や長刀を以て善戦してみせる恭子が駆る武御雷。彼女の周囲には彼女に付き従い戦う多くの武御雷たちが戦っている。

見事に立ち回りBETAを翻弄していくが、それが次第に焼け石に水となっていった。

 

『ぎゃあぁっ!!!』

 

恭子「っ!?」

 

彼女は部下の悲鳴を聞き、データリンクで一気に三機の武御雷の反応が消えた。何事かと動揺するが――

 

『っ!大尉!!あ、あれを!!ぶぎゃあ!!』

 

恭子「っ!?ハイドラ2!!」

 

恭子の近く副官である黄色い武御雷が一瞬で膾斬りにされてしまった。まさか戦術機をこうも切り刻むなど有り得ないと思うも彼女は恐る恐るその方向を見ると――

 

恭子「あ、あれはっ!!?」

 

彼女の目の前に要塞級が五匹そびえ立っていた。既にもう五匹とも尾節から全長約50mの触手が伸びており、今にも彼女を殺さんとしている。

 

『『『恭子様ぁ!!』』』』

 

四機の武御雷が彼女を守ろうと攻撃を仕掛けようとしたが、いつの間にか多数の要塞級に囲まれてしまい遂には――

 

『あ゛あ゛あ゛ああああああああーーっ!!!』

 

『きょ!恭子様あああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛――ッ!』

 

恭子「み、みんな...!」

 

一瞬の隙が生まれたことで部隊の大半が死に絶えた。残るはまさかの自分ただ一人、恐怖に襲われる彼女だったが必死に歯を食いしばって恐れを打ち払う。

 

恭子「なめるなぁ!!!異星起源種ども!!!!このようなことで...キャアアアアっ!!」

 

彼女の機体に衝撃が襲う。いつの間にか彼女の武御雷の右腕と左足、それと跳躍ユニットが粉々にされてしまったのだ。機体のバランスが完全に崩されて地面に仰向けで倒れる恭子の武御雷、管制ユニット内ではいきなりの衝撃に苦悶の表情を浮かべる恭子は網膜投影に映る自分の機体を囲い込む多数の要塞級の光景に、彼女は――

 

恭子「ひッ!!!」

 

思わぬ拍子で本来女性としての一面が恐怖と共に口から出てしまう。如何に崇宰家の当主となり祖国の為に戦う為に女を捨てて衛士となってその道を志していたとしても、彼女は女。

いつ如何なる時も死というものに覚悟はしていたが、いざそれが今自分の目の前に降りかかると知ると恐怖で顔は歪み涙が止まることなく流れていく。

 

恭子「あ....嗚呼.....助け...て...ッ」

 

要塞級たちが一斉に触角を伸ばした、その時であった。四方八方から桃色の閃光が次々に要塞級の群れを確実に射殺していく。

余りのことに上手く判断が出来ず、何が何なのか分からず動揺する恭子。っがそんな彼女のインカムに声が――

 

 

『生きているか?』

 

恭子「え...?」

 

彼女の目の前にツインアイをギラつかせて彼女の武御雷を見下ろす機体――Hi-νガンダムがそこに居たのだ。

 

恭子「あ、あれは....」

 

託未『生きてるのか?』

 

通信から聞こえる男の声に、彼女は冷静さを取り戻して何とか受け答える。

 

恭子「え...えぇ、生きてるわ」

 

託未『動けるか?』

 

彼の問いに恭子は何とか機体を動かそうとするが、満足に立つこともできない。苦虫を嚙み潰したように顔を顰める恭子は通信相手である彼に無理と答える。

 

恭子「無理だわ。この機体はもう...」

 

託未『....仕方ない。今からお前を俺の機体に乗せる。準備するから待ってろ....睦城、蒼真』

 

蒼真『ん?なに?』

 

睦城『はい?』

 

託未『コクピット内に仮設シートを作って、こいつを保護する。それまで援護しろ』

 

睦城『了解です』

 

蒼真『分かったよ、託未』

 

恭子「(託未...?)」

 

恭子は今託未という名に聞き覚えがあった。それは帝都城で月詠真耶が口にした白い悪魔たちのリーダーと思しき者の名である。

そうこうしていると戦車級がこちらに向かってくる、しかしFAZZがこれをハイメガキャノンで一掃、ΞGもファンネルミサイルで要撃級の群れ粉微塵にしてみせた。

圧倒的なまでに近寄らせない力を間近でみた彼女は圧巻される。

 

恭子「凄い...」

 

するとHi-νガンダムが彼女の武御雷に手を伸ばしてきた。

 

託未『機体のハッチを開けろ。これからお前を保護する』

 

恭子「....了解したわ」

 

彼女は何の反論もせずただ彼の言うことに従い管制ユニットのハッチを強制的にパージさせた。そこから出た恭子の姿を確認してか、Hi-νガンダムの腹部のコクピットハッチが開く。

 

託未『乗れ』

 

恭子は言われるがまま急いでHi-νガンダムのコクピット内に入る。入った先にはロンドベル仕様のノーマルスーツを纏った男・新月託未が言う。

 

託未「目の前の仮設シートに座れ」

 

恭子「分かったわ」

 

彼女は言われるがまま仮設シートに座り、四点シートベルトを付けた。

 

恭子「できたわ」

 

託未「そうか。睦城、蒼真――もういい。このまま敵を駆逐して宗陰と森羅と合流する」

 

『『了解』』

 

託未「今から残りの敵を潰す。口を閉じていろ」

 

恭子「え...?きゃあ!!」

 

きょとんとする恭子の視界が揺らぎ悲鳴をあげる、直ぐにそれが加速したことと察した彼女は託未に言われたように口を閉じることとした。

Hi-νガンダムはビームサーベルを二本持って戦術機では有り得ない機動をしてみせ、目にも止まらない動きで残った要塞級を八つ裂きにしてから上段から真っ二つにする。

 

そして――

 

 

託未「消えろ」

 

 

最後は近づきつつあった戦車級の群れ諸共、ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーから発射された巨大な光の奔流に巻き込み消滅させる。

異常で普通じゃない光景をみて恭子は啞然としてしまう。

 

恭子「うそ...」

 

託未「すまないが、このまま他のBETAも駆逐しないといけない。悪いが君を帝国に返すのは後でもいいか?」

 

恭子「分かったわ」

 

恭子は託未の話に了承する。そしてHi-νガンダム、FAZZ、ΞGはそのまま戦場となっている横浜の街へと向かう。

そしてそこで託未はこのマブラヴ世界において重要な分岐点を狂わすこととなる。

 

 




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