Mobile Suit Gundam MUV-LUV G-ALTERNATIVE   作:武者ジバニャン

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この作品は台本形式で進行します。台本形式が嫌いな人はブラウザバックを推奨します。

それとですが、この作品にはマブラヴのストーリー内の原作時系列、設定などを無視したり改変したり、ご都合主義な部分があります。

それも含めてよろしくお願いいたします。今回かなり文章数が多いです。


イメージOP1「閉ざされた世界/劇場版機動戦士ガンダム00」

イメージED1「Prototype/機動戦士ガンダム00 season2」


第十六章 彼らの時間 

《あらすじ》

 

前回、五摂家の一つである崇宰家の女性当主である崇宰恭子を救出した託未。彼はその後2人の少年少女――白銀武と鑑純夏をも救出した。

彼らを助けた託未たちは一度ディーヴァに戻ることとなった。

 

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先の戦いからディーヴァに帰還した託未たち。格納庫にはハロたちや唯依と上総までも待っていた。

 

唯依「託未さんたちが帰ってきた!」

 

上総「そのようですわね」

 

ガンダム五機がハンガーに固定され、コクピットから彼らが降りてきた。帰ってきたことに喜ぶ唯依は、彼が連れてきた人物が居るなど知らず嬉々として近寄っていく。

 

唯依「託未さぁーん!」

 

コクピットから出てきて、中に手を差し伸べると恭子が顔を見せる。それに駆け寄する彼女の顔が驚愕に染まり、口元を手で覆い声を荒げる。

 

唯依「え!?恭子さま!?」

 

恭子「っ!唯依!...唯依!!」

 

唯依の姿を目の当たりにした恭子は嬉しさが込みあがり、彼女に向かって手を大きく広げながら駆け寄って抱きしめた。

生きている彼女を抱きしめる恭子は瞼から涙を流して、彼女の体温を感じながら名前を呟く。

 

恭子「唯依...」

 

唯依「きょ、恭子さま!あ、あの!く、苦しいです!」

 

照れながらも彼女に訴える唯依。その声にハッと正気に戻り彼女に申し訳なさげに謝る。

 

恭子「ごめんなさい!唯依」

 

唯依「いえ、大丈夫です。でも恭子さまがどうして....」

 

恭子「殿を務めてBETAと戦っていたんだけど、部隊は総崩れなって生き残ったのは私だけ....そこへ、彼が助けてくれたの」

 

彼女は唯依に説明しながら後ろに居る託未に振り向く。当の本人はまだコクピットの中に居る武と純夏に、注意を促しながらゆっくり降りるように告げている最中である。

 

託未「慎重にな。ゆっくりとだ」

 

武「は、はい!ほら、純夏」

 

純夏「う、うん!」

 

託身に導かれて武と純夏がコクピットから出てきた。二人は目の前に広がるディーヴァの格納庫を見て呆気に取られる。

まるでSF映画のワンシーンに自分が居るような気分だと思わされる、彼らの心中はそんな気持ちで一杯であった。

 

武「すげぇ...」

 

純夏「うん、映画みたいな光景だねぇ」

 

二人はそのまま託未の後に続く。二人を連れている託未は自分を出迎えに来ていた唯依を見つける。

 

託未「どうした?こんな所で」

 

唯依「あ!お帰りなさい!託未さん!」

 

託未「出迎えに来たのか?」

 

唯依「はい!」

 

彼の問いに笑顔を浮かべて返事をしてみせた唯依。笑みを向けられた託未は何も表情を変わらず、淡々としている。

一方上総はと言うと、宗陰のペーネロペーを真剣な面持ちで眺めている。

 

上総「....」

 

宗陰「ん?」

 

自身の機体を見つめている彼女に対し、宗陰は近寄り問いかけた。

 

宗陰「モビルスーツが気になるか?」

 

上総「....いえ何でもありません」

 

宗陰「そうか」

 

上総「....はい」

 

と何でもないと言いながらガンダムを見つめていた視線はそれとは全く矛盾しているのを宗陰は見逃さなかった。

彼女自身、未だに何か引っかかるものが在るのやもしれない。

そんなやり取りがあった中、突然何処からか腹の虫が鳴り響く。

 

託未「ん?」

 

託未たちは誰の物かと見回すと、何やら申し訳なさそうにして武が苦笑いを浮かべている。

 

武「す、すみません....ハハハ」

 

純夏「もぉ~、タケルちゃんったら~」

 

幼なじみの情けない姿に呆れてため息すら漏らす純夏。だが彼女の腹から空腹を知らせるの音が響く。

 

純夏「あ、ありゃ?(;^ω^)」

 

武「ありゃ?じゃねぇーよ!人のこと言えないじゃねぇーか!」

 

純夏「だってだって!仕方ないじゃん!」

 

自分のことは棚に上げていた純夏に怒る武、それでも純夏も負けじと反論して痴話喧嘩を始めてしまう。

子供みたいなやり取りに呆れる託未たち、しかしもう止めないといけないと蒼真が笑顔で間に割って入ってきた。

 

蒼真「はいはーい♪喧嘩はやめよーねぇー♪」

 

武・純夏「「す、すみません....」」

 

申し訳なさそうにする二人を見て、蒼真を含めて託未や睦城も仕方ないなと思う。

あれだけの恐怖に支配されつつ絶望的な状況に陥った後だ、そりゃ緊張の糸も切れて腹だって鳴るだろう。

仕方なしと託未が口を開いた。

 

託未「今から飯にするか」

 

唯依「はい♪」

 

睦城「そうですね」

 

宗陰「賛成だ」

 

森羅「今日って誰が料理当番だ?」

 

蒼真「あ!今日託未じゃん!」

 

託未「あーそうだったな。じゃあ今用意しよう」

 

っと、一足先に更衣室に向かおうとする託未に恭子が在ることを疑問に抱き、彼らに問いかける。

 

恭子「そう言えば、この船には一体どれだけの人が居るの?先ほどから整備員を見かけないけど....」

 

彼女からしてみれば当たり前の疑問なのだろうが、それに対しての託未の返答はシンプルな物だった。

彼は何食わぬ顔でーー

 

託未「居ないぞ」

 

恭子「え?」

 

託未「この艦に居る人間は此処にいる全員だけだ」

 

恭子「................」

 

鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔で眉をピクピクと震わし、託未に再度問いかける。

 

恭子「じょ、冗談よね?」

 

託未「本当だ。その代わり....ハロ」

 

恭子「ハロ?」

 

彼の呼び声にメンテナンスハロたちが現れた。

 

ハロ「「「「ハロ!ハロ!整備!整備!」」」」

 

恭子「....なに?あれ」

 

託未「サポートロボのハロだ」

 

ハロたちを目の当たりにした恭子は唖然としているが、そんな彼女を放置してハロたちはガンダム五機の整備に取り掛かる。

ハロの姿を見て言葉を無くす恭子とは反対に純夏はと言うとーー

 

純夏「わぁー!可愛い!タケルちゃん!あの子達可愛よぉ!?」

 

武「お前なぁ....」

 

呑気にハロの姿に萌える純夏に武は呆れてしまうが、そんな中託未は唯依に彼らを食堂に案内するように伝える。

 

託未「唯依、彼らを食堂に案内してやってくれ。俺たちは着替えがある」

 

唯依「分かりました!」

 

託未「頼む。だが....」

 

恭子「?」

 

託未の視線が何故か恭子に集中する。恭子と言うよりも彼女が纏っている強化装備に向けられているようだ。

確かに機能面としては素晴らしいものであるが、しかしその見てくれーー特に女性物の強化装備は、その外見的によって正直普通の健全な男であれば目のやり場に困り挙動不審になる。

そうーー

 

武「...ッ///」

 

純夏「タケルちゃん?なにデレデレしてんの?(威圧)」

 

武「い、いや!!べ!べべべべべべべべべべべつに!!見てねぇよっ!!!!」

 

純夏「凄いキョドってる」

 

恭子の強化装備姿は思春期男子の武にとって目の毒であり見てはダメと思いつつ、ついチラ見してデレデレしてしまう。まぁそれを幼なじみの純夏が見過ごすはずかなく、威圧感をぶつけながら睨む。

そんなアホなやり取り中、託未は恭子を見つめる。恭子からしてみれば気になりつつある男から、いきなり何も言わず見てくることに動揺して顔を赤くしてしまうのは必至であろう。

 

恭子「ちょ///な、なに///?あ、あまりこっちを...み、見ないで///!」

 

照れながらもそれが何処か嫌そうではなく、笑みを浮かべている。そんな恭子を見つめる託未に唯依はーー

 

唯依「むぅ!」

 

頬を膨らませて何やら嫉妬めいたものを沸き上がらせている様子。

しかし自身に見られてニヤニヤしてる恭子や、嫉妬でふてくさった唯依の反応など無視して託未は恭子に着替えるように言い渡す。

 

託未「その格好じゃ、そいつにとって目の毒だろう。こっちで着替えを用意する。唯依、女子更衣室に案内してやれ。二人に関しては蒼真が食堂に案内させる」

 

蒼真「分かったよ。じゃあ二人とも俺が案内するから付いてきて」

 

武・純夏「「は、はい!」」

 

託未「唯依」

 

唯依「....」

 

託未「どした?」

 

唯依「...もう、いいです!」

 

彼女は未だにふてくした顔をして託未を見つめていた。彼自身何故彼女がそんな顔をするのか分かってない、

と言うか女心と言うものを理解しきれていないのだ。

唯依は「もう知らない」とばかりに託未にそっぽ向いて、恭子の手を掴んで更衣室に案内しようと格納庫を後にする。そのあとを上総も付いていくのだった。

唯依の言動に理解出来ない託未は頭を傾げてしまうが、隣に宗陰が近寄ってきた。

 

宗陰「大変だな?託未」

 

託未「これじゃあ戦闘の方がマシだ」

 

宗陰「だな」

 

 

===========================================

 

 

唯依「恭子さま。此方が着替えです」

 

女子更衣室に来た唯依は、恭子に自分と同じエゥーゴの女性士官服を手渡した。因みに上総も同じ服を着ている。

手渡された恭子は士官服を見て珍しそうに見つめる。

 

恭子「へぇ~、こんな服見たことないわね。わかったわ、ありがとう唯依」

 

唯依「いえ!そんな!」

 

恭子は士官服を着替える為、今着込んでいる強化装備を脱ぎ始めた。

すると彼女の綺麗な柔肌が現れ、それと同じくして女性のシンボルーー男がつい目が行ってしまう、豊満で大きなバストが晒される。

それを見た唯依は自分の胸を触りながら見つめて、内心思う。

 

唯依「(きっと私だって恭子さまみたく大きくなる、よね...?)」

 

恭子「どうかした?唯依」

 

唯依「え?!い、いえ!何でもありません!!」

 

恭子「そう?それにしても....」

 

着替え終わった恭子は、鏡に写る今着込んでいるエゥーゴの士官服姿の自分を眺めながら満悦な顔で感想述べた。

 

恭子「この服、素敵なデザインね。私好みだわ」

 

彼女が着ている士官服は、嘗てティターンズに居たがその専横と暴挙を許さずエゥーゴの思想に賛同して同士となってリック・ディアスやガンダムmarkⅡなど乗って戦った女性、エマ・シーンが着ていた士官服と同一の物である。

それを身に纏ってた恭子は中々にお似合いである。着ている服を堪能した彼女は唯依や上総の服装を見て誉めた。

 

恭子「二人も似合ってるわ。とても可愛いらしくて素敵ね」

 

唯依「あ、ありがとうございます///」

 

上総「ありがとうございますわ!崇宰様からお褒めをいただくなどとても嬉しいです」

 

上総は目の前に5摂家の一つにして、篁家の主家でもある崇宰家の女性当主である恭子に対して、畏まった態度をする。

 

恭子「そう言えば貴方...」

 

上総「唯依と同じ嵐山斯衛養成学校から直ぐに任官しました!山城上総と申します!!」

 

上総は敬礼の姿勢をする。しかし恭子は笑顔で彼女の肩に手を乗せた、上総はえ?となって彼女の顔を見ると――

 

恭子「そんな畏まらなくてもいいのよ。同じく彼らに保護された者同士なんだから、ね?」

 

上総「は、はい!」

 

恭子の綺麗な笑みを魅せられて、上総は返事をしてみせる。そのようなやり取りの中、更衣室中に腹の虫が鳴る。2人はまさかと思いながら恭子を見つめると、彼女は恥ずかしそうにしながら言う。

 

恭子「そ、そのう...///は、早く行きましょ///!!」

 

唯依・上総「「は、はい」」

 

 

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一方、蒼真に連れられている武と純夏はディーヴァ艦内の食堂に案内されていた。

 

蒼真「直ぐに託未が来て飯を作ってくれるから、待っててね」

 

武・純夏「「は、はい!」」

 

蒼真「じゃ!俺も着替えあるから」

 

蒼真はそう言い残して食堂を後にした。残された2人は立っているのも何なのでとりあえず適当に座ることにした。それでも座って辺りを見渡してしまう純夏は武に尋ねた。

 

純夏「タケルちゃん、この船すごいよね?」

 

武「ああ。ほんとSF映画の中にいるみたいだ」

 

そう感想を漏らす武はある事に疑問に思った。それは託未たちの存在である、この食堂まで来て見て分かったが彼ら以外に他の乗務員の姿が一切無い。

格納庫で託未が口にした通り、ここにいる人間は彼らだけのなのだろう。だが――

 

武「....可笑しくないか?」

 

純夏「何が?」

 

武「あの人たち、帝国軍ってわけではなかった。斯衛軍ってわけでもない...」

 

武の指摘に純夏は「え?そうなの?」と口にし、今更気づくの遅いだろうと武は呆れながらも自分が感じたことを教えるやることに。

 

武「だってこんな戦艦、テレビとかで見たこともないだろ?それに乗せてくれたあの凄い戦術機――あれだって異常だ。でも――」

 

純夏「でも?なに?タケルちゃん」

 

武「....」

 

武が何か考えていた時である、唯依と上総、そして恭子までもが食堂に入ってきた。恭子は綺麗な作りに驚嘆の声を漏らした。

 

恭子「わぁ、凄いわね」

 

彼女がそう口漏らしたと同時に託未がエゥーゴの制服を纏って宗陰たちと共に入ってきた。

 

託未「座って楽にしていろ」

 

恭子「え、えぇ。そうするわ」

 

恭子や唯依、上総は一緒に武たちが居るテーブルの席に着いた。彼女たちがとは反対のテーブルに宗陰たちが席に着き、託未は一人厨房に入りそのまま食事の支度に取り掛かかった。

彼は手慣れた手捌きで調理器具や材料を用いて、どんどんと料理を形にしていく。すると厨房からとても美味しそうな香ばしい香りが食堂に居る恭子や唯依、上総、そして武や純夏の鼻に通り彼らの空腹感を更に加速させた。

恭子はその香りに心地よさそうに呟いた。

 

恭子「ん~♪いい匂い!」

 

武「ほんとだぁ~」

 

純夏「楽しみ~」

 

彼女の言葉に武と純夏の二人は頷き、これから来る料理を楽しみにしてしまっている。

上総は平静な態度で居るが、唯依は自身が気になっている男性である託未が作る料理に興味を抱いて今かと待っている。

すると彼らの期待に応えるように厨房から託未が、作った料理が乗せられたカートと共に姿を見せた。

彼が来た事に森羅は待ってましたと両手を合わせてパンと鳴らし、睦城と蒼真も香る匂いに満悦の様子であり、宗陰も内心これを待っていた。

 

宗陰「託未、今日のレシピは?」

 

託未「今日は肉じゃがと、玉ねぎと油揚げのお味噌汁、それとさばの味噌煮だ」

 

皆にそう教えながら次々にテーブルへと料理を運ぶ託未。

宗陰たちに配った後、武や純夏、唯依と上総そして恭子にも同じ料理を彼らのテーブルへと運んだ。

厨房から漂ってきた匂いの元である料理を見て、恭子は感嘆の思いを抱く。

五摂家の一つである崇宰家にもいい腕の料理人は居る、居るがそれでも用意される料理はどれもこれも合成品で作られている物ばかりだ。

だが稀に天然物も出される時もあるが、それは決していつもと言う訳ではない。

しかしそれを差し引いても、目の前に出された料理の形が綺麗に出来上がっている。

武や純夏、それに上総も託未の料理を見て早く食べたそうにしているし、唯依はーー

 

唯依「わぁ~♪」

 

彼女は嬉しそうにしている。何せ肉じゃがは、篁家の名物の料理である。いつも母親から教わってたりしてはいるが、目の前に出されたのはそれをも越える美味そうな出来映えである。だがそれ以上に託未が作った料理というのもあって早く味わってみたいと思っている。それを感じたのか「やれやれ」と思いながら唯依たちを見ながら早速いただこうと言葉を口にする。

 

託未「それじゃあ食べよう。いただきます」

 

宗陰たち四人「「「「いただきます」」」」

 

恭子「いただきます!」

 

唯依・上総・武・純夏「「「「いただきます!!」」」」

 

皆まず肉じゃがから一口口の中に頬張ると、宗陰たちは各々満足そうにしている。

 

蒼真「うっまぁー!流石は託未♪」

 

森羅「マジでやべぇなぁ!うめぇよ!」

 

睦城「ええ。相変わらず見た目もさることながら味もまた絶品ですよ」

 

宗陰「本当だな」

 

四人は以前から託未が作る料理の上手さは知っている。一方唯依たちはと言うと、彼が作った料理の美味しさに深く堪能していた。

 

武「美味い!凄く美味い!」

 

純夏「うん♪とっても良く出来てて、本場のお店で食べてるみたい!」

 

上総「ホントですわね。見事な腕前ですわ」

 

武や純夏、上総は驚嘆の思いでこの料理を作った託未を称賛する。

そして恭子と唯依はーー

 

恭子「とっても美味しい!家の料理人たちが作る物よりも美味しいわ」

 

唯依「託未さん、ありがとうございます。美味しいです」

 

っと彼らの反応に当の本人はただ淡々として、自ら作った料理口にしている。

そうして楽しい食事の時間が終わり、片付けも皆でやって今食堂の一つのテーブルを囲んだ彼らはそこで話し合いが始まった。

そのきっかけは恭子が今回自分たちを救ってくれた彼らーー「白い悪魔たち」と謳われている者たちに改めて礼の言葉を申したいという事から始まったのだ。

 

恭子「改めて貴方たちに御礼を伝えたい思います。ありがとうーー貴方方が来てくれなければ、私は死んでいたわ」

 

彼女がそう口にすると、武や純夏も続くようにもう一度礼の言葉を口にする。

 

武「俺たちも貴方たちが居なかったら、死んでました!本当にありがとうございます!!」

 

純夏「ありがとうございます!!」

 

そんな礼を口にする恭子たちに託未はそんなの気にするなとばかりに、クールな態度で応対する。

 

託未「気にするな。俺たちはただ自分たちの目的の為に動いていた所を偶然助けた。それだけだ」

 

恭子「目的?それは一体なに?」

 

彼女は気になりそれを問いかけると、託未は何の躊躇いもなく答えた。

 

託未「それは俺たちの生存権の確保だ」

 

彼の返答を聞いた恭子や、聞いていた武や純夏はさっぱり理解出来なかったが、唯依と上総は彼らが異世界から来た来訪者であると聞いているためか何となく理解できた。

異世界から来たのなら、この世界に於いて彼らに家が無ければ戸籍などもない。

ならば国としても保証してもらえる物ないなら、彼らの立ち位置はとても複雑なことだと伺える。

しかし恭子や純夏、そして武はそれを知らない。そのせいか恭子深くそれを聞いてきた。

 

恭子「どういうこと?生存権の確保ってーー貴方たちは日本人なのでしょ?なら....」

 

彼女が言いかけようとしたが、それを託未はーー

 

託未「俺たちはーーこの世界に於いて、戸籍がなければ個人登録番号なんてのもない」

 

恭子「え....?それってどういうこと....?」

 

託未の思わぬ返しに目を丸くして問いかける恭子。しかし彼は衝撃というべき話をする。

 

託未「俺たち五人はーー異世界から来た来訪者だ」

 

恭子「................は?」

 

武・純夏「「................へ?」」

 

完全に鳩が豆鉄砲を喰らったみたく間の抜けた声を漏らす三人。

しばらく食堂内は静寂に包まれたが、恭子はゆっくりと口を開いた。

 

恭子「................なるほど」

 

託未「ん?」

 

恭子の表情が何かを納得しそして合点がいったような、そんな顔をしていた。

 

託未「ほう....意外に落ち着きがあるな。信じるのか?」

 

恭子「ええ、考えてみれば貴方たちが乗る機体ーーあれは戦術機とは圧倒的に性能が違い過ぎるぐらい強い。

それにこの空飛ぶ戦艦ーーこんなのどの国でも建造された報告もないし、こんなハイテクな戦艦見たこともないし今の人類には作れないわ」

 

恭子の指摘に託未は、意外にも冷静なことを言う女だなと思った。

彼女の言うことは確かに正しい、今の人類にディーヴァやワンオフ機体とも言うべきガンダムを建造するなどまず不可能である。

 

恭子「私、崇継から貴方たちと接触した話を聞いてたし、貴方たちの乗る機体が戦術機ではなくモビルスーツという物だってことも聞いたわ」

 

彼女の口から崇継という名前が出て恐らくもう、粗方話は政威大将軍にいってるのかと推察するが、しかしそれは全てではない。

ただのほんの少し程度の物だと託未は思う。

 

託未「帝国は、俺たちをどう思っているんだ?」

 

恭子「帝国は貴方たちを英雄と讃えているわ。あれだけ日本を救ってくれた恩人を敵意を剥ける程愚かではないはずよ」

 

託未「なるほど....(売り込みの効果は上々だな)...さて、それではだが明後日お前たちを帝国に送り返す」

 

唯依「え....?」

 

託未の発言に唯依は動揺する。まさかいきなりもう帝国に返されるなんてと思いもしなかった。しかしここには五摂家の一つである崇宰家の当主までもが乗船している。

しかも先の戦闘で恭子が率いていた部隊は、彼女を残して全滅してしまっている。今頃帝国側では彼女は部隊諸とも死んでしいると誤認してしまっていてもおかしくない、ならば一刻も早く返してやった方が彼らの為と言えよう。

 

託未「流石に今からなんて無理がある、この船とガンダムのメンテなどもあるのでな。休める部屋も提供する。蒼真、悪いが使える部屋に案内頼む」

 

蒼真「はいはーい♪」

 

快活に返事し、蒼真は恭子や武、純夏を案内すべく誘導することに。

 

蒼真「はーい、それじゃあ今から部屋に案内するからついて来てねぇー」

 

武「は、はい!」

 

純夏「わかりました!」

 

そのやり取りを見て託未は部屋に居る全員に解散を指示、各々自由過ごせと言ってやるが恭子だけはずっと託未を見つめている。

そんな彼女に苦笑いを浮かべて部屋に案内すべく蒼真が声をかける。

 

蒼真「あのう?部屋に案内するから、ついて来てくれる?」

 

っが彼のお願いに恭子は首を横に振り、これを丁重に断って理由を話す。

 

恭子「ごめんなさい。私はまだ彼に問わなければならない事があるの」

 

蒼真「え?いやぁ~でもさぁ」

 

蒼真としては一度に全部終わらせたいと言うのが、本音なのだが無理に連れていく訳にはいかず、困った顔で託未を見ると彼は仕方なしと判断して口を開いた。

 

託未「彼女は俺が案内する。宗陰たちは格納庫にいってハロたちと共にガンダムのメンテをしとけ」

 

宗陰「了解」

 

睦城「わかりました」

 

森羅「へいへい」

 

宗陰たち三人は格納庫へ、蒼真も武と純夏に居住ブロックに連れて行くべく声をかける。

 

蒼真「んじゃ、俺らも行こう」

 

武・純夏「「はい!」」

 

食堂に残されたのは託未と恭子、それと唯依と上総である。だが上総は託未にあることをお願いをしてくる。

 

上総「新月さん、お願いがあります」

 

託未「何だ?」

 

上総「格納庫に行ってガンダムを見ていたいのですが、いいですか?」

 

託未「宗陰たちの邪魔さえしなければ構わない、行っていいぞ」

 

上総「ありがとうございます!では....」

 

彼女はそのまま宗陰たちの後を追うべく格納庫へと走って向かって行った。結局残されたのは託未、唯依、恭子となった。

何故か三人が居る食堂に漂う空気が微妙な物になっていく、その中で恭子が真剣な面持ちで託未に話かける。

 

恭子「ねぇ、聞きたいことがあるの」

 

託未「なんだ」

 

恭子「貴方たちはどうしてこの世界に来たの?」

 

その問に託未は上手く隠しながら答えてやることにした。

 

託未「旅の途中、母艦に異常が起こりこの世界に流れ着いた。その原因は全く不明で、元居た世界にも戻れないーーならばこの世界で暫く生きていくしかない、不本意だがな」

 

託未の返答に些か気に入らない部分があり、恭子は眉をひそめてしまう。

二人のやり取りを唯依はたじたじになり、どうすべきか分からずこの状況を見守るしかなかった。

唯依が困り果てている中、恭子は託未に鋭い目付きで問いかける。

 

恭子「貴方たちは、一体何の為に戦ってるの?」

 

託未「....」

 

唯依「託未さん...」

 

唯依が彼を心配そうに見つめる中、恭子は一切遠慮なく問い掛けてくる。

 

恭子「貴方たちは...貴方は何のために戦ってるの?」

 

彼女がそう問い詰める中、当の本人は何食わぬ顔で淡々と腕組して答える。

 

託未「俺たちが何の為に戦うか...それは―――自分たちの保身のためだ」

 

唯依「....え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、蒼真に連れられて居住ブロックまで来た武と純夏はそれぞれの部屋を紹介されていた。

 

純夏「わあー♪綺麗な部屋だー!」

 

武「................」

 

部屋の中はとても広く、トイレやバスルームそれぞれ別に完備、壁には大型の薄型液晶テレビが備えつけられている。

部屋の広さからして18㎡はある。高級なビジネスホテル並みの出来となっているようだ。

純夏は部屋の中を見てウキウキして、武は呆気に取られている。

ホテルなんて今まで行ったことない彼だが、此処が普通という言葉では片付けることが出来ない。

そして食堂での託未が言っていたーー異世界から来たという言葉を思い出してそれが本当なんだと理解する。

武がそんな事を思い耽っている最中、純夏は未だに興奮を抑えきれず部屋中を物色している。

彼女の反応を見て蒼真はニコニコして、部屋が気に入ったか聞いてみた。

 

蒼真「どう?お気に召したかな?」

 

純夏「はい!こんなとっても素敵な部屋、私たちが使っていいんですか?!」

 

蒼真「うん、使っていいよ」

 

純夏「やったぁー!聞いた!?タケルちゃん!!一緒に泊まれるって!!」

 

武「ばぁか。流石に男女同じ部屋って訳には行かないだろ、流石に....」

 

純夏がこの部屋で一緒になんて口にしたので、それは流石に不味いと諭す武ではあったが、それに対して蒼真が会話に入ってくる。

 

蒼真「あれ?同じ部屋で一緒寝ないの?」

 

武「いやいや、一緒には寝ませんよ!」

 

蒼真「え?なんで?君たち恋人じゃないの?」

 

彼の素朴な疑問に武と純夏は表情が強ばって目がギョっとなり声を荒げる。

 

武・純夏「「ち、違います///!!」」

 

蒼真「まぁいいや。隣りも同じ作りになってるから、どっちか使っていいから」

 

武「はい、ありがとうございます.....あのう~」

 

蒼真「ん?」

 

武は申し訳なさそうに頬を指で搔きながら、蒼真にお願いしてくる。

 

武「実はぁ....格納庫にあるあの~――」

 

蒼真「あ~、ガンダムのこと?もしかして興味があるの?」

 

武がガンダムのことを興味を抱いていると悟り問い掛けると、目の前のこの少年は眼を輝かせて蒼真にばっと近づいて力強く頷く。

 

武「はい!!すげぇ興味があります!」

 

彼の無邪気な所に蒼真は脱帽する思いを抱き、苦笑が顔に浮かぶ。きっと彼はガンダムに乗ってみたいと思っている、現に今の彼からはガンダムに対する純粋な気持ちが思念となって蒼真に流れている。

蒼真は核心を突いてみることに――

 

蒼真「ねぇ、ガンダムに乗ってみたいの?」

 

武「っ!?――は、はい!!」

 

蒼真「ん~」

 

純夏「はぁ...もうタケルちゃんったらぁ」

 

わざとらしく困ったように唸る蒼真。そんな蒼真に武はどうしてもと必死に強請る。もうそれは玩具コーナーで欲しい物を前に親に駄々をこねる子供のようだった。

そんな幼馴染の姿に情けないと溜息を吐き、目も当てられない。しかし武はもう好奇心とワクワクによってどうにもとまらない。

 

武「だって純夏!ロボだぜ!ロボ!!男だったらロマンの塊じゃねか!!」

 

純夏「わたしは女だもん。知らないよっ」

 

戦術機とは全く違いカッコイイロボ――モビルスーツ・ガンダムに助けられたあの時、彼は内心カッコイイ、乗ってみたいと場違いな感想を実は抱いていた。彼は幼いころから機械とかロボットなど好きな部類である、そんな彼にガンダムは正に格好の的なのだ。

武はどうあってもガンダムに乗りたいと蒼真に懇願する、しかし蒼真は冷静に答える。

 

武「お願いします!!」

 

蒼真「ん~。でもねぇ、実際にガンダムを動かすのは無理なんだよ」

 

武「え....?」

 

蒼真「俺たちが乗るガンダム五機にはね、特殊且つ何重ものセキュリティによって登録した人間以外が動かすことは出来ないよう設定されてるんだ。だから君が万が一でもガンダムを動かすことは出来ないんだ」

 

蒼真は諭すように微笑みながらに彼に言って聞かせ、それに武はしょんぼりして項垂れて落ち込んだ。戦術機よりも強い未知の存在たるガンダムに乗れないとなるともう受け入れるしかない、武はそう思い至る。

だがそんな露骨に落ち込んでいる少年に蒼真は苦笑交じりであることを提案してきた。

 

蒼真「実際に動かすことは出来ないけど―――シミュレーターなら出来るよ」

 

武「え...?」

 

蒼真「シミュレータールームにね、訓練用のコクピットポッドが複数あるのさ。そのシミュレーションはリアル感が実際の戦闘の物と同一に出来てるから、迫力満天だよ」

 

蒼真の話を聞いて武は再び眼を輝かせて彼にグッと近づく、これを見て蒼真は「ほんと無邪気な子供だよ」と内心呟いて苦笑してしまう。

 

蒼真「どう?乗ってみたい?」

 

武「え!?いいんですか!!?」

 

蒼真「いいよ。実機なら怒られると思うけど、シミュレーターなら退屈凌ぎにやってる奴だっているから(まぁ森羅だけだけど...)」

 

武「やったー!」

 

蒼真の話に武は大いに喜びガッツポーズをしてみせる。その大喜びの彼に純夏は呆れるが、蒼真に自分も格納庫に一緒に行っていいかと問い掛ける。

 

純夏「あのう、私も一緒にいいですか?」

 

蒼真「ん?いいよ。もしかして気になったかな?」

 

純夏「え?あ、あのうそのう、まぁ....」

 

純夏は両手の人差し指同士でつつき合いながらモジモジする。そんな先ほどまで自分に呆れていた彼女に今度は自分が呆れて肩で笑う。

 

武「なんだよ。お前そうじゃないか」

 

純夏「タケルちゃんほどじゃないもん!」

 

蒼真「はいはい、痴話喧嘩しないの。じゃ行くか」

 

武・純夏「「は、はい!」」

 

笑顔でそう促して蒼真は2人を引き連れてシミュレータールームに向かっていくのだった...。

 

 

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格納庫

 

 

その頃、格納庫ではハロたちと共にガンダムのメンテナンスを宗陰と森羅、そして睦城が行っている。これまでの戦いにおいてガンダムは目覚ましい力を奮ってきた、しかしいくらOPにハイパー・ナノスキンによって機体のダメージを自動で修復出来ると言っても整備を怠れば、ガンダムはその戦闘力を十分に発揮出来ない。

ようは機体を殺すも生かすもやはり人間なのだ。

 

森羅「ふぃ~、疲れんなぁ~」

 

等と愚痴る森羅、そんな彼に睦城は注意する。

 

睦城「黙ってやってくださいよ、全く」

 

森羅「やってんだろ」

 

宗陰「うるさいぞ2人とも、静かに出来ないのか。こっちはもう終わるぞ.....ん?」

 

ふと宗陰の視界に偶然上総の姿を捉えた。彼女は五体のガンダムを真剣な眼つきで見つめている、それを興味が湧いたのか彼はメンテを終わらせてすぐさま彼女の下へと行くことに。

 

宗陰「モビルスーツがそんなに気になるか?」

 

上総「っ!....はい」

 

宗陰に声を掛けられて上総は一瞬驚くがそれでも平静を保つ。彼女の様子を伺いながら宗陰はガンダムを見上げて話す。

 

宗陰「何が気になるんだ?」

 

上総「....」

 

彼女は少し黙るが、しかしゆっくりと首を縦に振って肯定した。そして彼女はこう口にし始めた。

 

上総「....このモビルスーツを私でも動かすことは可能でしょうか?」

 

宗陰「操縦性は戦術機と違い、機敏に出来ている。仮に動かすとしても戦術機みたく上手くは出来ない」

 

上総「つまり訓練しないとダメという訳ですの?」

 

宗陰「そうだ」

 

戦術機は3次元機動と柔軟な任務適応能力──高い運動性や兵装の汎用性によって、設計時には予測もされなかった様々な評価を得るに至り、通常戦闘に於いても有効な対BETA兵器として運用されている。

モビルスーツはレーダーや誘導兵器を使用不能になる状況下で有視界を主として、人の形を模し、マニピュレータに射撃・格闘武装を携行し、歩行する事で不整地を踏破、各部に設けられたバーニア・スラスターで類まれない空間戦闘や陸上戦闘、挙句水中などでもその性能を遺憾なく発揮してみせる程の多用性と汎用性を有している。

そして内部フレームが人の動きに近く設計されている為に戦術機よりも器用に動くことも可能なのだ。しかしそれを今すぐに動かして簡単に出来るというものではない、適正が無ければモビルスーツを扱うなど不可能である。

 

宗陰「如何に戦術機での適正が高かろうと、モビルスーツでそれが無ければ意味がない」

 

上総「...そう、ですの」

 

宗陰「....やってみるか?」

 

上総「え?」

 

宗陰「実機では無理だが、シミュレータールームにある演習用のコクピットポッドを使えば実際の戦闘と同じ感覚を味わえる。しかも操縦システムは完全にモビルスーツと同一の物を採用しているから、本当にモビルスーツに乗っていると体感できる」

 

上総「....」

 

宗陰「どうだ?興味があるか?」

 

宗陰の問い掛けに上総は彼を見つめていた。彼女はやって来た機会にそれを断ることなど出来ず、彼に一切目を逸らさず受け入れることを選んだ。

 

上総「はい、是非お願いしますわ」

 

宗陰「分かった。ならシミュレータールームに案内してやるからついてこい」

 

上総「はい」

 

宗陰「なら....森羅!睦城!」

 

森羅「んあ?」

 

睦城「なんです?」

 

宗陰「今からこいつをシミュレータールームに案内する。ここは任せたぞ」

 

森羅・睦城「「へいへい|了解」」

 

二人に告げた宗陰はそのまま上総を伴ってシミュレータールームに向かっていった。

 

 

==========================================================

 

 

シミュレータールーム

 

宗陰に連れられてシミュレータールームに着いた上総の視界に映るのは、丸みに帯びたポッドが部屋中に置かれている、これが全てのモビルスーツのコクピットシステムを内蔵している。

戦術機のシミュレーターよりも現実感と臨場感を体感することが出来る代物で、シミュレーションデータも数数えきれないパターンが組み込まれている。

戦術機用のシミュレーター機と比べてそのサイズは複数部屋に入れる程の大きさである。部屋にあるのは全部で25機が設置されている。

 

上総「これ全部が...」

 

宗陰「ああ、全部シミュレーターだ.....ん?」

 

宗陰の目に蒼真と純夏の姿を見つける。すぐさま宗陰たちは2人の下に近寄り声をかける。

 

宗陰「何してんだ?蒼真」

 

蒼真「ん?嗚呼、宗陰。今ね――ほら」

 

宗陰「ん?」

 

上総「あれは...」

 

蒼真に指し示す先にある壁に設置された大型モニターを見る。そこには一機のモビルスーツ――型式番号:RX-178・ガンダムMk-Ⅱ、一年戦争時に名を馳せた「ガンダム」の名を継ぐ機体として、ジオン残党狩り部隊であるティターンズが開発したMSだ。

ガンダムの開発に携わった人材を優遇して集めて、ジオン系技術者を排除し純粋な連邦系技術により開発された機体であり、主にスペースコロニー内部での戦闘を想定して開発された機体。

フレームに初めてムーバブルフレームを本格的に採用している。脚部の可動部の露出が多いのは、『ビームを装甲により防げないのなら装甲によって機体重量を増やすよりも機体を軽量化させ被弾率を下げる』というコンセプトによる。主兵装は頭部バルカン・ポッド、ビーム・サーベル×2、ビーム・ライフル、ハイパー・バズーカ、シールド。

そんなシミュレーション上の仮想空間での戦闘でガンダムMk-Ⅱが次々と現れる敵を倒していく。そのコクピットポッドからは喜びの声が響く。

 

武「うおおー!!ひゃっほー!!」

 

宗陰「誰か乗っているみたいだな」

 

蒼真「ああ、白銀くんだよ。ほら託未が助けた」

 

宗陰「嗚呼、あのガキか」

 

彼らが話てる中、武はシミュレーターの中で旧式ザクⅠやマゼラアタックやドップ、61式戦車などの小物を相手に大いにはしゃいでいる。

武はシミュレーターをゲームセンターのゲーム機を遊ぶかみたくはしゃいでペダルやレバーを操って、データ上の敵を撃破していくのだった。

 

武「どうだ!おりゃ!!」

 

武が操るガンダムMk-Ⅱがビームライフルで連射しながらザクⅠの武装を破壊しながら間合いに近づき、とどめとばかりにビームサーベルを引き抜きそのまま振り下ろして切り捨てた。

 

武「やった!」

 

喜ぶ武の声を聞き、純夏は溜息を吐いて呆れてしまっている。

 

純夏「はぁ...もうタケルちゃんは」

 

呆れる純夏の横で蒼真はにこやかに笑ってしまう。

 

蒼真「あははは!面白い子だね白銀くんは。あんな雑魚レベルの相手に喜ぶなんてね♪」

 

宗陰「まぁど素人がやることなんてそんなもんだ」

 

笑う蒼真にそう口にする宗陰ではあるが、彼は隣りに佇んでいる上総を横目で見る。彼女は真剣な顔でモニターに映るガンダムMk-Ⅱを見つめている。Mk-Ⅱを見て何かうずうずしている様子を見せる上総に宗陰はこう誘ってみた。

 

宗陰「お前もやってみろ。その為に此処に来たんだ」

 

上総「は、はい!!」

 

宗陰「よし、なら隣りの二番機を使うといい」

 

上総「わかりましたわ」

 

宗陰の勧めで上総はシミュレーターポッドの二番機に乗り込み、シートに座る。

 

上総「...ハァ――フゥ...ッ!」

 

目を閉じて深呼吸をしてから彼女の瞼が開き、眼つきが鋭くなった。ポッド内に宗陰の音声が聞こえてきて、彼は基本的な操作説明をし始めた。

 

宗陰『基本的な操作はレバーとペダルだが、機体のモニターは網膜投影ではない。ポッド内は全天周囲モニターとなっている』

 

上総「はい!」

 

宗陰『左レバーのスイッチで操作してシミュレーターの中で動かす機体を選択してみろ、それがシミュレーション内の乗る機体になる』

 

上総は宗陰の助言通り、左レバーで操作して操作する機体を選択し始める。選べる機体の一覧には宇宙世紀やC.E、アフターコロニー、OOの西暦世界など他のガンダム世界の機体がデータとして記載されている。

彼女は慎重に吟味して一機のモビルスーツを選びだした。

 

上総「これにしますわ」

 

彼女が選んだのは型式番号:RGZ-95・リゼル。グリプス戦役期の名機、MSZ-006 Zガンダムの量産型として位置付けられる機体で正式名称はリファイン・ゼータ・ガンダム・エスコート・リーダー(Refine Zeta Gundam Escort Leader)といい、その頭文字を取ってリゼルと呼称される。

Zガンダムの量産を目的として開発されたRGZ-91:リ・ガズィがバックウェポンシステムによる非可逆的な巡航形態を付与する方式であったのに対して、こちらは完全な可変モビルスーツとして設計となっている。これは可変機構の弾力的運用を目的としたもので、巡航形態はサブフライトシステムとしても機能するようになっている機体。

彼女がリゼルを選んだことに対して宗陰は忠告する。

 

宗陰『その機体は量産型ではあるが、結構な腕がないと身が持たないぞ』

 

上総「構いません!やります!!」

 

宗陰『....そうか。ならやるといい』

 

上総「はい!行きますわ!」

 

彼女が操るリゼルがシミュレーション上の仮想空間に飛んでいく....。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、食堂に居る託未たちは....。

 

託未「俺たちが何の為に戦うか...それは―――自分たちの保身のためだ」

 

唯依「....え?」

 

託未の言葉に唯依は眼を丸くしてしまい恭子は眼つきを険しくしてしまう、しかし託未は一切動じず淡々としている。そんな託未に恭子は追求していく。

 

恭子「....保身の為―――本気なの?それは」

 

託未「俺がそれ以外にどんな理由で戦ってると思っていたんだ?」

 

恭子「それは....」

 

託未に問われて言葉を紡ぐことが出来ず、目を逸らしてします恭子。目の前の男が戦う理由が自分の為、保身の為と嘯く姿を目の当たりにして恭子は理解できなかった。

彼女からしてみればあれだけBETA相手に無双しておいて、戦う理由がよりもよってそれなんて思いもしなかった。

しかし託未からしてみればこの世界で自分たちには戸籍や個人情報なんてものはない、この世界で自分たちは何の保証もないし身の安全なんて何一つもない。

仮に託未たちがもしお人好しで且つ人類の為になんて言うヒーローチックな者たちだったとしよう、それをこの世界の人間たちは真っ先に信じると思うだろうか?第二次世界大戦から冷戦に移り変わった状態からBETAとの戦争に入ってこの世界の人類が、そんな彼らを純粋には受け入れず野心や策謀などを巡らし嵌めてから持っている機体や戦艦などを無理矢理接収されかねない。

だがそれは託未たちがお人好しだった場合だ、実際の彼らにはそれはない。あるのはシンプルなものだ、自分の身を守る為敵意を持つ者は情けなく潰すというものだけ。

それに人間として自分の為に行動することは別に珍しいことではない、何よりも我が身の為にというのは人間らしく当然のことだ。

しかし恭子や唯依のような他者の為に力を振るうことを正道とする者からすると、自身の保身の為に動くことしかない者は珍しくはないがそれを素直に良しと見ることはできない。

だが託未はそんなの知ったことではない。

 

託未「まさかお前、俺たちがお人好しの正義の味方だと思ってたのか?」

 

恭子「....」

 

託未「ここまで来ての間、俺と言う人間を少しは把握したんじゃないか?――当然唯依も、俺を知ったのではないか?」

 

唯依「でも...」

 

唯依は何か言いたそうに口ごもるが、その顔は何を言いたいのか何となく分かっている。恐らくそれは拒絶か否定――しかしそれをどうやって言葉にすべきか困惑している。

 

託未「お前が俺にどういう印象を抱いているのか知らないがな。唯依――俺は以前に言ったな?俺は異世界から来た、と。ならこの世界に来る前の俺がガンダムを使って何をしていたか、何となく分かっているだろ?」

 

唯依「それは....」

 

それを言われて唯依は顔を俯いてしまう。彼女は託未から元の世界で戦争をしていたと聞いている、その相手が同じ人間であることも。

知っているからか複雑な思いを抱く唯依、彼女の様子を見て恭子は気になってしまい声をかける。

 

恭子「唯依?」

 

彼女を心配して恭子が声をかけるも唯依はどう言えば分からず何も言えない。だが託未は躊躇いなどなく、自分が教えてやることに。

 

託未「俺たちはな、元の世界で戦争をしていた」

 

恭子「え?戦争を...?」

 

託未「そうだ」

 

恭子「それってBETAような敵と...?」

 

彼女の問いに託未は呆れるような溜息を漏らしてしまう。

 

託未「ハァ...なんでそうなる。俺たちが相手をしていたのは同じ人間だ」

 

恭子「そんなっ!?」

 

堪らず恭子は立ち上がりながら驚愕する。あれほどの高性能な機体を使っての戦う相手が同じ人間なんて、恭子は思いもしなかった。しかし託未の言葉は終わらない。

 

託未「人間ていう者は皆純粋で出来てるわけではないだろ?権力と保身、それに欲の為に動く者は少なくない」

 

恭子「それは!!...でも人間はそれだけではないわ。中には善良な人だって....」

 

託未「.....ッチ」

 

思い詰めるように顔を伏せて顰める恭子や唯依を見て、託未は内心いたたまれない気持ちを抱き舌打ちを打ち立ち上がる。

いきなり彼が立ち上がったことに気になった2人は彼を視線で追いながら見つめる。すると彼は――

 

託未「....今から部屋に案内する」

 

恭子「え....?」

 

託未「あと――断っておくが、決して君を非難するつもりで言った訳じゃない。俺のような下衆な奴も居るってことを把握してもらいたいが為に言っただけだ――気を悪くしたなら謝る」

 

唯依「託未さん....」

 

恭子「.....」

 

彼女らに一切顔を向けずに無愛想な表情でそう伝える託未の姿に、恭子はふと突然に―――

 

恭子「....フフッ」

 

唯依「恭子様!?」

 

託未「....なにが可笑しい」

 

突如笑った恭子に唯依は困惑し、託未に関して若干イラッとしながら彼女に鋭い視線を向けてやる。しかし恭子はそんな彼の睨みを気にせず、微笑みを浮かべて口にする。

 

恭子「ごめんなさい。でも、貴方がどうしても不器用なんで、つい可笑しくて...」

 

託未「....部屋に案内する。行くぞ」

 

機嫌が悪くなったのか、託未は彼女らの返事も聞かずに食堂から出ていく。それに対して唯依が慌てて立ち上がって託未を呼びかける。

 

唯依「あ!託未さん!待ってください!」

 

しかし託未は一切待たずに行こうとするので唯依は恭子に、彼の後を追うと促す。

 

唯依「恭子さま、早く託未さんの後を追いましょ!」

 

恭子「フフフ、そうね。行きましょう」

 

2人は食堂から出ていき、託未の背後についていく。そんな彼の背後を見ながら唯依と恭子はそれぞれ思う。

 

唯依「(託未さん...一体どんな生き方をしてきたんだろう。とても気になります――貴方のことが)」

 

恭子「(感情を晒すのがきっと不器用なのね?私、益々貴方に興味が湧いたわ....託未)」

 

 




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